「Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~」を通常のコラムとは別に、明日から始めます。
中身は、新聞記事などを読んで感じたことを書き留めているものです。
これらは、従来は、コラム用のネタとして保管していたものです。
保管していたものを、いざ完成させようと思った時には、旬があまりにも過ぎていたり、
書きたいという意欲がなくなっていたり、なんてことが多々ありました。
そこで、コラムは今まで通り書きますが、(それとは別に)しばらく実験的に、記事をアップさせてゆきます。
「Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~」は、私自身の情報の整理を目的にしている面もありますが、
できるだけ読みやすさも考慮しながら、社会福祉や市民活動について、ご紹介してゆきたいと思います。
特になにもなければ、毎週月曜日にアップする予定です。
間にコラムの記事もアップしてまいりますので、お時間のあるときで結構ですので、そちらも是非ご一読ください。
なお、著作権の関係もあり、詳細に記事を紹介できな場合も多々あろうかと思います。
気になる記事があった場合は、基礎情報は明記しておきますので各自でご対応ください。
また、あくまでも私的な意見を述べているだけですので、最終的なご判断は読者の皆さんに委ねます。
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私の自己紹介や、なぜ社会福祉や市民活動の事に話題にしているのか?と感じた方は、
画面右横にある、「TOP(初めての方は此方へ」)と、「過去記事一覧」もあわせてご覧下さいませ。
日付(中身)タイトル
1) 2009/05/07 (自己紹介)
2) 2009/08/26 (移植とサポートハウスの存在意義)
3) 2009/09/05 (私の子どもの死)
4) 2009/09/23 (私の子どもの死))
5) 2009/10/08 (私の子どもの死)
6) 2009/10/27 (サポートハウスの利用のされ方)
7) 2009/11/16 (収益事業)
8) 2009/11/19 (自死について)
9) 2009/11/23 (1冊からボランティアについて)
10) 2009/11/28 (勝手広告について)
11) 2009/11/30 (不要な私有財産と公共財産について)
12) 2009/12/23 (子どもたちの食事環境と心の育ち)
「個食化と共感力」
13) 2009/12/25 (マスコミ出演)
14) 2010/01/06 (新年の挨拶)
「今年の目標」
15) 2010/01/29 (アルコールを取り巻く環境や規制)
16) 2010/02/01 (近況報告)
17) 2010/02/07 (書籍の紹介です)
18) 2010/02/19 (病気治療に関する情報提供)
19) 2010/03/01 (難病患者さんとそのご家族の精神面のお話です)
20) 2010/03/09 (サポートハウスの絵本紹介&提供)
「「やさしさの木の下で―ぼくとびょうきとファミリーハウス」の進呈を始めます!」
21) 2010/03/12 (病気とは何か?患者になるということは?)
22) 2010/03/16 (農家のボランティアさんの様子をお伝えします)
23) 2010/03/20 (人生の節目に向かう子どもたちへのメッセージ)
24) 2010/03/22 (以前行っていた収益事業でのハプニングです)
25) 2010/03/24 (自分の命を大切にしない人の発言)
「「腹を切る」」
26) 2010/04/01 (7年目のスタートです)
27) 2010/04/05 (難病とは?)
「「難病とは?」」
28) 2010/04/10 (お金と病気・・・難病シリーズ)
29) 2010/04/12 (お金と病気・・・難病シリーズ)
30) 2010/04/18 (薬価について)
31) 2010/04/23 (忘れること、忘れられることの恐ろしさについて)
32) 2010/05/02 (尊厳をもって死ぬこと)
33) 2010/05/12 (尊厳をもって死ぬこと)
34) 2010/05/17 (書籍進呈の様子です)
「「やさしさの木の下で・・・」絵本進呈が順調に進んでいます。」
35) 2010/05/21 (死んだ子への想い)
36) 2010/05/31 (宗教からみた医療)
37) 2010/06/12 (ボランティアの歴史)
38) 2010/06/21 (お金・経済)
「極端な貧困 」
39) 2010/07/05 (選挙にあたって)
40) 2010/07/19 (新しいコミュニティ)
「コンパクトシティ」
40) 2010/07/24 (お金シリーズ)
「お金と医療と平和」
41) 2010/08/09 (お金シリーズ)
「老化するお金」
42) 2010/08/21 (病気と労働)
43) 2010/09/05 (患者からみた医療)
44) 2010/09/21 (臓器移植法の改正で)
45) 2010/10/01 (医療とリスク)
46) 2010/10/18 (医療の進歩と生命の尊厳)
47) 2010/11/01 (母親の子どもへの愛)
48) 2010/11/15 (笑う門に・・・)
49) 2010/11/29 (不妊治療について)
50) 2010/12/13 (初めて方に)
51) 2010/12/28 (人口減と医療)
52) 2011/01/17 (善意のありかた)
53) 2011/02/04 (人口減と医療)
54) 2011/02/20 (収益事業と電子書籍)
「せどり」
55) 2011/03/07 (収益事業について)
56) 2011/03/13 (東北大震災について)
57) 2011/03/15 (東北大震災について)
58) 2011/04/04 (休載)
「おしらせ」
59) 2011/04/27 (再開)
「再開です」
60) 2011/05/10 (エネルギー問題について)
「電力と命の関係」
61) 2011/06/01 (食料と大震災)
62) 2011/07/01 (近況報告)
63) 2011/08/04 (近況報告)
64) 2011/09/09 (ボランティアと報酬)
「握手と踏ん切り」
65) 2011/10/06 (性とボランティア)
66) 2011/11/23 (お金シリーズ)
67) 2011/12/31 (幸せとは?)
68) 2012/01/31 (望む医療とは)
69) 2012/03/31 (望む医療とは)
70) 2012/04/30 (TPP問題)
71) 2012/05/31 (サポートハウスの受付について)
「困難度を測る。」
72) 12/06/04 (新聞記事などから)
Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~ Vol.1(12/5/28~6/3)
73) 12/06/11 〔新聞記事などから)
Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~ Vol.2(12/6/4~6/10)
74)12/6/21 (新聞記事から)
Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~ Vol.3(12/6/11~6/17)
75) 12/6/25 (院内学級)
76) 12/7/2 (新聞記事から)
Weekly Pickups ~社会福祉の現場から~ Vol.4(12/6/18~7/1)
77) 12/7/30 (NHSと日本の社会保障制度)
78)12/8/6 (子ども力を市民活動へ)
京都は新緑真っ盛り。
もうすぐ梅雨の季節ですね。
私は、新緑と雫が重なるとき、緑が一番美しいと思います。
さて、今日はサポートハウスの予約にあたってのお話です。
現在、お部屋は満室ですが、たまに空室があります。
空室になれば、お問い合せがあればお部屋をお貸しすることになります。
でも、それでは旅館業になりますよね。旅館業は原則お部屋に空きがあれば、
宿泊を断っては、いけないことになっているんですよ。
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サポートハウスはファミリハウスやペアレンツハウスとも呼ばれています。
(初めて読まれる方は、初めての方は先ず此方へを先ずはご拝読ください)
マクドナルドハウスは有名なハウスのひとつです。
そのすべてのハウスは「空室がありますから、お貸ししますよ」と表面上は申し上げますが、
実は、総合的に判断して一番「困難な状況にある」と判断した方に優先的に、
お部屋を提供しているんですよ。
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困難度を測る事は難しいです。
ハウスの予約作業は言葉にすると簡単。
希望する日に、お部屋が空室があること。
複数利用希望者がいたら、どちらが、困難な状況なのか判断できる情報があること。
ただ、困難な状況とはなんですか?と尋ねられると、簡単には申し上げられないのです。
きっと、ハウスの運営をしている方は、「そんなことはオープンにしない方がいいのでは?」と、
仰られる方が多いのではないかと思います。
もちろん、私もオープンにしたことはありませんが、この機会に整理の意味も込めて、
どうやって、困難度を測っているのかをお話します。
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上から、電話を頂いたときに当方からお尋ねしている順番です。
*ご利用される期間
*誰が患者さんなのか。
*どういう病気なのか。
*どこから、京都に来られるのか。
*今回、京都大学病院や京都府立医大病院に入院する理由。(手術?検査?)
*付添いが長期に渡って必要なのか。
*誰が利用するのか(人数や性別)
*ハウスの利用者予定者の、日常生活における補助の有無(患者さんが滞在される場合もあるので)
ここまでは一般的な質問です。
あとはここからは、お話の中からおよその判断をつけながら、抱えている問題の大きさを測ります。
どんなことを確認しているのかというと
*経済的な問題の有無
*家族の協力の有無
*緊急性
*精神的な健康状態
などを、確認してゆきます。
下の4つは私がお話をしながらおよその判断をつけるのです。
かなりデリケートな問題なのであからさまに尋ねることができませんから、
色々な質問をしながら確認してゆくことにあります。
それは相手に応じて変わってきますので、文章化が難しい。
以上の点を総合的に判断するのに、多数のスタッフが関わっていては
話が前に進みませんので、私がハウスの受け入れ作業について、
すべての権限と窓口作業を一本化しています。
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困難度を測るとは、「より困難な状況にある人にお部屋を貸したい」と言うことになります。
ハウスの運営方針にもかかわることなので、多少の違いがありますが、根底にあるものはそう差はないと思います。
京都サポートハウスでは、「遠方で、長期の付き添いの支援が必要な患者さんが入院され、今後もその病院で長期に渡り、治療される見込みが高く、経済的な問題を抱え、家族の支援があまり期待できない人で、精神的に追い詰められているご様子の方」にお部屋を貸したいということになります。
この文章を読んだ人の中には、「お前は何様のつもりだ。部屋があれば貸せばいいじゃないか!」と仰る方もいるでしょう。
その通りだと思います。でも、多くの善意を集め、ハウスを運営している状況です。
ですから、困難な状況にある方にお部屋をお貸ししないと、その善意は小さなものになってしまいます。
善意を小さくしてしまうと、資金面での支援が必ず減ってまいります。そうなると安定的で継続的な運営ができなくなります。
空腹な人にご飯を食べてもらうべきであって、満腹の方にご飯をお出ししてもあまり喜んで頂けないでしょう。
それと一緒です。とても辛い作業ですが、避けて通ることができないものです。
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さて、上記の問題を一気に解決する方法があるんです。
問題の原因は、お部屋の数に限りがあるから。
お部屋がたくさんあって、誰にでもいつでもお貸しできる状況ならば、
こんな辛い選択をしなくても済みます。
お部屋を十分用意すること。
そのお部屋を利用する際の利用料金は無償。
そして、付き添いが不要になるまでは何日でも安心して利用が出来る。
そんなハウスを私は目指しているのです。
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私の自己紹介や、なぜ医療やサポートハウスのことを話しているのか?と感じた方は、
画面右横にある、「TOP(初めての方は此方へ」)をご覧下さい。
「TPP」その名前くらいは聞いたことがあると思います。
TPPに大きな期待を寄せている財界や、政治家。
ほとんどいませんが、農家の中にもTPPに加入することに楽しみにしている人もいます。
TPPのことを尋ねると、大抵の方は、関税が無くなることで貿易が盛んになると答えられます。
それに、安く物が買えるから良いのでは?と言う方も。
それだけなら、私も、TPPの成り行きをみまもることもできます。
しかし、そういうわけにはいかないのが、このTPPです。
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皆さんは、マイケル・ムーア監督の『シッコ SiCKO』をご覧になられた事がありますか?
ご覧になっておられない方のために簡単に中身の説明を。
アメリカは、先進国で唯一国民健康保険制度が無い国です。
6人に一人が無保険で、毎年1.8万人が治療を受けられずに死んでいく。
でも、無保険者のお話ではありません。
民間の保険会社に入っている人が、病気をしたり怪我をしても、
実は保険は簡単には下りません。
もしかすると、まったく下りないケースもあるのです。
9.11の現場に駆けつけた消防士たちの中にも、現場で吸った粉塵が原因と思われる、
呼吸困難に陥ったりしている人もいます。アメリカはヒーローとして持ち上げるだけ持ち上げましたが、
いざというときは、行き過ぎた資本主義の原理原則に従い、「自己責任」として処理をします。
アメリカ国民の昔からある社会主義へのアレルギーもそれに拍車をかけます。
アメリカでは、公的健康保険制度は、国が個人を管理することにつながり、強いては社会主義への道を開くと考えています。
話は横道に逸れますが、実はこれはまったくの間違いではありません。
国民皆保険制度などに象徴される福祉政策は、本来資本主義社会ではありえない制度だからです。
資本主義は、その制度の延命に、社会主義的な政策を上手く取り入れいます。
そういう点では、資本主義は学び上手であると言えます。
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話を戻します。
映画では、賢明なアメリカ国民は無保険で病院に行けないし、
保険に加入できていても、保険が下りないという悲惨な状況を描き、
一方で、先進国の公的保険制度や、キューバの医療制度なども紹介します。
また、笑えたのが、悪名高いグアンタナモ基地では、
テロの容疑で収監された人々が、基地内で無償で最高の医療を受けているのです。
この、歪んだ医療制度が、日本にも来るかもしれない。
それが、TPPなんです。
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TPPは、関税云々だけではありません。
金融、通信、建設、食品、物流、サービス、保険、医療、IT等、ほぼすべての分野が例外なく適用されます。
TPPに加盟したら、日本はあちこちのアメリカ企業から市場開放を求められるでしょう。
アメリカ企業が商売するにあたり、最も邪魔なのが、「公的な国民健康保険制度」です。
これがある間は、アメリカ企業の保険商品は(アメリカの様な旨味ある商売という意味で)売れないことは明らかです。
ですから、TPPを持ち出して、市場開放をしない日本政府を大統領や司法を通じて、大きく揺り動かすことでしょう。
それに対応できる力が、今の政府にあるのか?という所が現実的な問題としてあります。
アメリカの庇護の下、経済大国と言う恵みを享受してきた一方、
「和を以て貴しとなす」という思想を大切にしてきた日本人が、それに対応できるのか。
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日本がもし、アメリカの要求を飲んでしまったら、
「(国境の)領土問題より怖い、医療問題」ということになりかねません。
病気にならないようにすることは大切なことです。
しかし、一個人でできることは限界があります。
公的な保険制度維持のため、「見ず知らずの人のために何でお金を出さないといけないのか。」
そんなことを言う人もいることでしょう。
しかし、私の経験から申し上げます。
「そんなことを言えて、自分で事を解決できる時間は人生の中でごく僅かな時間です。」
人間は一人では生きてゆけないのです。助け合って生きて行くことが最も大切なのです。
私たちが人間らしい生活を維持するためには、公的な保険制度は絶対に必要です。
TPPは絶対に反対です。涙を流してからでは遅いのです。
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私の自己紹介や、なぜ医療や難病のことを話しているのか?と感じた方は、
画面右横にある、「TOP(初めての方は此方へ」)をご覧下さい。
まだまだ寒い日があったりで、なかなか風邪が治らない私です。
今年はなんの問題も無く乗り切れるかと思ったのですが、
最後に、風邪をひいてしまい、完治せずに困っています。
ところで、年度末で皆さんも忙しい毎日ではないかと思います。
私も、個人的な事業の決算に追われています。
と、言っても今日が最後なのでバタバタしても仕方がないのですが。
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「事前指示書」のお話の続きです。
昨日、亡くなった息子の誕生日でした。
家内と色々と18年前のことを振り返っていたのですが、
やはり、二人とも感じていたのは、入院中の事故がなければ、
もしかしたらまだ生きていたのでは?と言う思いです。
それだけ、息子の病気(原発性肺高血圧症(PPH))の取り巻く環境が、
息子の頃より大きく変化しているからです。
今は、治療薬(フローラン)がかなり期待できる。
それに、移植で助かるところまで来ています。
息子が亡くなった18年前には考えられなかった状況がいまそこにあるのです。
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息子は、院内の事故で脳死状態になりました。(初期の頃の記事をご参照下さい)
脳死の状態になると自発呼吸はできないのですから、治療というより延命です。
そういう状態になって約三ヶ月で、息子は天国へ。ところで、息子はどういう医療を望んでいたのでしょうか?
0歳児にそんな判断ができるはずもありませんが、これが成人している人ならばどうでしょうか。
皆さんは、そんなときのために「事前指示書」があるのですが、知っていますか?
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事前指示書の理念的なもについては、以前こちらで記事を書きました。
「リビング・ウィル(尊厳死)」をお読み下さい。
今日は、具体的「事前指示書」を書きました。家族と一緒に考えてみました。
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事前指示書
家族、担当医師へのお願い
私、浜本靖は治る見込みの無い病気に罹り、かつ死期が迫っている場合に備え、
下記の通りの希望を明記します。
(この指示書は私の精神状態が健全な状態にあるときに記したものであります)
1.私の病気が不治であり、死期が迫っている場合は、延命治療は一切お断りします。
2.1の目的を達成する際に生じる苦痛へのこれを和らげる最小限度の緩和医療を希望します。
3.心配停止状態になった場合は、蘇生医療は行わないで下さい。
4.私が、3ヶ月にわたり、いわゆる植物状態になったときは、一切の生命維持措置を取りやめてください。
5.死後は、すべての臓器提供の措置を積極的に行ってください。
以上
色々と考え思いをはせましたが、家族と共有できたことが一番大きな安心感につながりました。
シンプルな内容ですが、基本的にこれで十分だと思います。
事前指示書は、患者さんが認知症などで、正しい判断を下せないとなった場合は、代理人でも作成は可能です。
(ただし、日本では法的な効力はありません。)
ちょっと前の資料ですが、H8年の厚生省の資料では、家族に事前指示をしている人は90%を超えます。
ただし、それは口頭が多く、文書で残している方は4%にしかすぎません。
ただ、「自分の終末期に対して、事前指示をしたいか?」との問いには、80%の方が「したい」」と答え、
80%を超える医師が、その思いを尊重したいと考えているようです。
事前指示書を作成するにあたってのメリットとしては、いわゆる究極の選択をした場合に起こる家族の苦しみが、
和らぐのではないかといわれています。
例えば、人口呼吸器を取り付けた場合、患者さんにも家族にも辛い時間が待っています。
私の息子もそうでした。
そこに、事前指示書があれば、「本人の希望通りにしてあげることができた」と言うふうに思えます。
私の経験から言っても、これが一番大きなメリットとなります。
事前指示書があればすべての問題が解決するわけではありません。
指示書があることで起こる問題もありますが、指示書を作成する際に、その文書にある思いを家族で共有できていれば、
そういうトラブルはある程度避けられるはずです。
すべてのことにいえることですが、結局自分の人生にまっすぐ向き合うことが生きていく上でとても大切で、
終末期においても、どういう人生を歩みたいのかをしっかりと考え、家族と共有しておくことが、
事前指示書を作成する上で重要です。
また家族においては、指示書の内容を実行に移すとき、患者本人にどれだけ寄り添うことができるのか、
試されるときでもあります。
家族で私の事前指示書を作る作業は、初体験ですから戸惑いもありましたが、冗談も出て結構面白かったです。
なお、この指示書は(毎年1回でいいと思いますが)更新することが大切です。
来年も、息子の誕生日には更新作業をと考えています。
皆さんも「事前指示書」の作成、如何でしょうか?
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私の自己紹介や、なぜ医療や難病のことを話しているのか?と感じた方は、
画面右横にある、「TOP(初めての方は此方へ」)をご覧下さい。
今は一年で一番寒い時期ですね。
もうすぐ節分。
奈良の二月堂のお水取りが終わるまで、
寒さに弱い私は、辛抱の毎日です。
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「事前指示書」とは、最期に受けたい医療を
自分で決めて、それを文書で残しておくことです。
これがあれば、本人も、また、家族も何かと安心です。
最近、色々なところで医療のあり方が問われています。
例えば、この方です。
「金曜プレステージ『私は母になりたかった~野田聖子 愛するわが子との411日~』
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2012/i/120110-i004.html
野田衆議院の不妊治療から出産、そして子育ての話をしてしまうと、
「事前指示書」の話から遠ざかってしまいますが、私はあえて紹介したいと思います。
出産後すぐに、NICU(新生児集中治療室)に入院し、様々な治療を受けます。
詳細は、リンクの記事を読んで頂ければと思いますが、子どもの難病を経験して、
今も、そういう状況にある子どものご両親を支援している私にとっては、
身に詰まされる記事の中身で、心がかきむしられそうになります。
今、野田議員の子どもさんへの向き合い方が話題になっているのは、
「そこまでする必要があるのか?」ということが挙げられます。
非常に困難な状況にある子どもを、それも新生児を何度も手術するとか、
「それって親のエゴではないのか?」と言う声が聞こえてきそうです。
—–
事前指示書を、新生児が書くことは当然無理ですから、
親が、総合的に考えて一番良いと思われるものを選択することになります。
ただ、(新生児だけではなく、すべての人)終末が近づいている人に、
延命治療が本当に必要なのか。その判断に迷うケースが増えてきています。
私は今も、息子への治療行為はあれでよかったのか?と言う思いがあります。
私は過去のことですが、まさに今、悩んでいる方がいるわけです。
そんな負担を少しでも軽くするために、また、患者さんが自分の納得のいく医療を
受けられるようにと発案されたのが、「事前指示書」であります。
事前指示書に関して、いくつかのケースなどを紹介しながら、
今の医療のあり方や死をどう迎えるのか。
考えてゆきたいと思います。
—–
私の自己紹介や、なぜ医療や難病のことを話しているのか?と感じた方は、
画面右横にある、「TOP(初めての方は此方へ」)をご覧下さい。
幸せになるには、先ず、不幸せでないことが大切です。
数年に1回度、「助けて欲しい」と電話口で言われます。
もちろん、私が「あ~だ、こ~だ」と言って何か解決することはありません。
瞬間、気持ちが楽になるだけです。
——
年に1度程度、「幸せになりたい」と聞かされます。
そんなときは、「今、不幸せでしょうか?」と尋ねます。
不幸せでないならば、大枠で幸せであると言えます。
——
こんな仕事をしいると、こんな質問によく出会います。
「難病って治るんでしょうか?」
治らないから難病なんです。
でも、希望を棄てることはありません。
希に奇跡的な事が起こるし、医療技術の進歩は目覚しい。
だけど、そういう患者さんじゃない人が、
「難病って治るんでしょうか?」と、昨日食べたケーキが美味しかった?と言う感覚で、
質問ができるならば、大枠で幸せです。
——
こんな質問もウケます。
「生きる意欲が湧いて来ない。」
よくよく聞いてみると、目標が無い人が多い。
でも、目標ってなんなんでしょうか?
大きなことが良いんでしょうか?
でも、大きな目標ってなかなか達成できないし。
そう思っているあなたには、
先ずは「5cm上にある目標を達成する事」をオススメします。
つま先立ちすれば届くのが5cm上のモノです。
だから、そのあたりにちょっとした夢や目標を設定してください。
日に多いとき、3つは達成できますよ。
「今日の俺ってイケテル!」って感じになります。
これはかなり幸せを感じます。
—–
これが一番多い質問です。
「病気にならないためには?」
医療の技術発展は目覚しいものがありますが、
それは、病気に罹っている人への治療行為です。
基本的に、病気への対策が出来ていないのに、処置方を充実させても意味がありません。
先ずは、病気にならないための対策を充実させねばいけません。
でも、対策ってお金や時間や、難しい知識や器具が必要な感じしませんか?
私もそう思っていましたが、この仕事を始めて感じたことがあります。
それは、「免疫力」を下げないことです。
それが下がってくると、どうしても病気になりやすいです。
だから、病気になりたくない、長生きしたいと言う人は、免疫力を下げないことをオススメします。
じゃ、どうすればいいのか。
人間の脳には、目標を達成したり、愛されている、必要とされているなどの実感がわくと、
脳が、たくさんの幸せ物質セロトニンで満たされます。
この脳内物質セロトニンが充実していると、免疫力はアップします。
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女性の寿命が男性より長いのは、一つには身近な話題で満足感を得ることが上手な人が、
女性に多いからだと言われています。
編み物が上手にできたとか、庭先にキレイな花が咲いたとか。
これも、5cm上の目標に通じるものがありますね。
手を伸ばせば届く様な場所に、案外幸せってあるんです。
私も、病気を2つも持っていて、完治は難しいといわれていますが、
希望を棄てずに、免疫力を下げないで生きてゆきたいと思っています。
——
今年一年有難う御座いました。
また、ボチボチと更新してゆきます。
来年も宜しくお願い致します。
浜本
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私の事や、なぜ難病患者さんや命の世界のことを話しているの?と、お感じになった方は、
画面右側の「TOP」をクリックしてください。
京都は紅葉の最盛期を迎えようとしています。
滅茶苦茶、観光客の方がお越しになられていて、道路はすごい渋滞です。
京都が一番にぎわう季節になってきました。皆さんの地域では、紅葉如何ですか?
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村上龍著の「あの金で何が買えたか」風に、今マスコミが取り上げている事件を題材に、
ちょっと面白いことを考えてみましたので、気楽にお読みください。
ボランティアの世界で運営上かならず付きまとうのがお金です。
例えば、私が運営しているサポートハウスは、1部屋あたり年間約50万円の経費がかかります。
主に、家賃に36万、水光熱費で14万で50万円となります。
50万円を収益事業で捻出するとなると、Amazonでの書籍販売では、
およそ、1000冊を販売せねばなりません。(1冊あたり500円が純利益)
1000冊って、結構な冊数です。どうしても数ヶ月かかります。
今の収益事業の到達点では、3~4部屋を維持するのに精一杯となるわけです。
(サポートハウス、収益事業のことについては、画面右横「TOP」をクリックしてください)
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私がいま注目している事件がこれです。
「大王製紙前会長の井川意高(もとたか)容疑者逮捕」
彼は、昨年の5月から今年9月までに、子会社7社から無担保で約107億円を借り入れていました。
大部分はマカオなどでカジノに使っていたとみられます。
会社の金をギャンブルに使う経営者としての道義的な問題はさておき、
今日はこの100億円について考えてみたいと思います。
100億円あれば、どんなことができるのでしょうか。
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まず、サポートハウスならば、100部屋を200年間運営できます(笑)
皆さんも良くご存知の、盲導犬の募金箱。
盲導犬協会の資料では1頭にかかる費用は270万円だそうです。
100億÷270万≒3703頭
日本で盲導犬を必要としてる方は、およそ7800名。
その約半数の方に盲導犬を贈ることができます。
ポリオから子ども達を守る、「ポリオワクチン」は、一人分はおよそ20円です。
100億÷20=50億人分!!
おなじ20円でいきますと、アラブ諸国の中でも戦火などで教育が十分に受けられていない国の、
教科書代だそうです。これも、50億冊の教科書が配布できます。
ひとり5冊(算数や国語・・・等々)を10億人分配布できる金額なんです、100億って。
カンボジアなら小学校が、500万円で建設できるようなので、200校は新設できます。
国内に話を限定すれば、こんな感じになります。
(子どもへのDVなどが原因で)自宅に居られない子どもが増えてきています。
彼らが1ヶ月安全な場所を確保するのにはおよそ12万円かかるそうです。
100億÷12万円≒83,333人分の経費を賄うことができます。
福島原発事故から注目されている、風力発電。
単純計算ですが、20基で計4万kWの発電能力を有する風力発電用風車と変電所の建設総費用は、約100億円です。
私が普段向き合っている難病患者さんのすべてを救うことはできませんが、
100億円を難病治療薬の開発費として使ってくれていたらと思います。
もうこのあたりで止めておきます(苦笑)
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アメリカの株式市場では、社会貢献度が高い企業には、優良な株主がつくそうです。
儲けを出せばいい。配当が高ければいい。そんな時代は過去のものです。
大王製紙にとっては、この先の運営が大変でしょうが、失った信用を取り戻すには、
利益をどうやって出すかではなく、利益をどう使うのかを、真剣に考えて欲しいところです。
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私の事や、なぜボランティアの世界のことを話しているの?と、お感じになった方は、
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愛を真っ直ぐ語ると、どうしてもありきたりな話になりがちです。
そんなことをここで熱く語っても仕方がないので、
ちょっと変わった角度で「愛」について話をします。
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ボランティアというと、関わっている方への報酬の有無を問わず、
善意のやり取りが行われているかどうか。
また、その行為に最も比重が置かれているか。
最近のボランティアは、この辺りが重視されています。
でも、日本では、どうしても報酬の有無に目がいきがちです。
確かに、ボランティア組織を運営していく上ではお金は大切ですが、
個人レベルでは、善意のやり取りの中で、報酬としてのお金の有無は、
大した問題ではないとはっきりと言えます。
愛は、(人間が生きてゆく上で大切な事を)多くの意味を含んだ最強の言葉です。
だから、愛の意味を語るとき、「善意」と言う言葉も入ると私は考えています。
善意はボランティアの根源をなす言葉です。
私の友人の「愛・善意」についてお話をすすめます。
彼女は、風俗店で働く女性。いわば「プロ」です。
だから、「ボランティアじゃない!」と言われれば、あえて反論はしません。
ただ、今日は、ボランティアの言葉の意味や定義を直接的に語るのではなく、
純粋に、「こんな愛もあるよ~」みたいなノリでお話をすすながら、
ボランティアのあり方も考えたいと思います。
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彼女は私の元部下で、ある日、その会社を退職し、何故か風俗店に勤めることに。
年齢は私より上で、若い女性が、人気を博する世界ですが、彼女はまだ現役なんですよ。
そのキャリアは10年以上!
彼女の家にはたくさんの借金があったようです。
それは、夫が作った借金なのですが、返済のため風俗の世界へ。
数年で返済を終えたので辞めようと思った様ですが、
何故か、10数年も続けることに。その訳は。。。
「彼女」と連発すると、ちょっと変なんでAさんとしましょうか。
Aさんは、入店してから面白いことに気づきました。
それは、お話をするだけの客が多いことです。
職場にも家庭にも居場所のないと思われる男性。
最初は、中年サラリーマンが多かったけど、
若い人も段々増えてきているようです。
あと、もうひとつが、障害をもっておられる方の利用も多いことです。
最初は少しびっくりしたAさんですが、そのうちに、
そういう境遇の男性を愛しいと感じるようになった自分に気づいたそうです。
人前ではリラックスして話ができない人、居場所が無くて寂しい人、借金がいっぱいの人、
障害など困難な状況の人、そんな男性と向き合う瞬間、心の底から湧き出す不思議な愛情。
こういう「愛」もあるんですね。
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最近、セックスボランティアと言う言葉がマスコミなどでも取り上げられるようになってきましたね。
「障害をもっている人は、性欲は我慢しなさい!」なんて、考えてみたら変な話です。
様々な障害があったとしても、人として生まれてきた以上、当たり前の欲求です。
そこに善意の手をということで、有料ですが、性的な満足感と心の安らぎを得られるよう、
その行為の補助をするNPOが各地で増えてきています。
Aさんの場合は、そういう流れとは相反しますが、サービスを提供している瞬間の、
Aさんの精神状態は、上の組織の方とそう差はないでしょう。
Aさんは、そんな自分が好きだし、そういうAさんに心惹かれて通い続ける男性が居る。
これって、Aさんの愛・善意に触れて癒される男性がいるってことですよね。
癒されている男性を見て、心が満たされるAさんがいると言うことでもあります。
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人は、人からその存在を認められると嬉しいものです。
愛は、「あなたの存在を認めました」というメッセージの一つの形。
孤独とは、その反対の状態を指します。
難病の患者さんは、うつ病を併発する方がいます。
難病が自分の生命を脅かしていると言う事実と、
孤独感がその患者さんの心を病ませます。
人が生きてゆく上で大切なのは、愛を実感すること。
愛を実感すると生きる勇気と希望がわいてきます。
愛の形は人それぞれですが、愛を感じながら生きてゆくことが、
人生の最大の幸せであることは間違いないと思います。
あなたも始めてみませんか?
あなただから伝えることができる愛。
待っている人がきっといます。
大きな被害をもたらした台風12号が去って、
朝晩は秋の気配の京都です。
皆さんの地域は如何でしょうか?
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ボランティアの世界で、報酬と言えばなんと言っても、
サービスを受けた方からの「感謝の気持ち」です。
一般的には、報酬と言えばお金(例外的に地位や名誉)を指すのですが、
私が身を置いている世界では、お金より感謝の気持ちです。
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今年に入ってサポートハウスの利用者さんは、
ほとんどが、移植を受けられる患者さんと付き添いのご家族の方です。
病気になる確率も低いのですが、移植を受けられる確率はもっと低い。
そんな中で、移植を実際に受けられる幸運と、移植手術と向き合う苦しみ。
この心境は、当事者で無いとわからないものです。
でも、患者さんのサポートをする私たちも、毎日、ドキドキなんですよ。
早く移植手術を受けられるといいなあと。
そして、手術が成功して早く退院できるといいなあ。
でも、それは、誰かが亡くなっていると言う事実もあるわけです。
移植の現場は、本当に難しい。
そんな悩み?を抱えながらの毎日なんですが、
この夏、とてもスッキリすることがありました。
ある若い女性が移植を受けられ、無事成功し、
術後の経過もよく、退院することになりました。
この女性のお母さんをサポートさせて頂いたのですが、
あいにく、当方のサポートハウスは満室でしたので、
他の団体にお願いをして、お部屋を融通していただきました。
お母さんは、お話をされている間はとても明るい方でしたが、
長い闘病生活でお疲れのご様子。
ですから、なんとかハウスが確保できた時は、とても喜んでくださいました。
それから数ヵ月後に、お嬢さんの退院となったわけですが、
お母さんと、お嬢さんがわざわざ私にご連絡をくださり、
京大病院内でお逢いすることができました。
色々と、思い出話やこれからのことを伺いましたが、
最後に、握手をしてくださいました。
お嬢さんの手はしっかりしたものでした。
本当に良く頑張ったと思います。
また、それをずっと支えておられたお母さんの手にも、
幸せな温もりに包まれていて、私の心まで熱くなりました。
ボランティアの世界での最高の報酬を私は実感することができたのです。
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今回のコラムはこの話だけではなく、もうひとつお話をしたいことがあります。
それは、「移植」と言う世界を私の中でどう受け入れていくのか。と、言うテーマで私はずっと心の片隅に重いものを感じていました。
でも、今回の握手や患者さんの笑顔に触れて、
私の様な者でも、「命のリレー」に関わっている責任と、
遣り甲斐を実感したし、不幸にしてお亡くなりになられた方のことを
思っても、移植をすれば助かる命があり、その人の役に立てられる
幸せがあるんじゃないかと感じました。
もう移植のことで悩むのはやめて、しっかり自分の役割を果たそうと、
そういう踏ん切りがついた握手でもありました。
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いつかは、誰しもが天に召される瞬間が来ますから、
本来は身近なはずの「死」は、今は、病院の中で秘密にされていて、
「死」を考えることは、心に不安が広がります。
移植にも、そういう面があって、本当に(医学的・倫理的に)正しい処置や、
(高い精神性において)配慮ができているのか、よくわかりません。
これからたくさんの成功例と失敗例が出てきて、様々な視点から議論を
されるでしょうけど、私は、移植で救われる命があって、
その人々の幸せな笑顔に触れた経験から、もう迷うことなく、
移植に賛成していこうと思うのです。
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次回は、ボランティアや医療の話から離れてみようと思います。
愛とか絆みたいなものに話をもっていけたらと思います。