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「TPP」その名前くらいは聞いたことがあると思います。
TPPに大きな期待を寄せている財界や、政治家。
ほとんどいませんが、農家の中にもTPPに加入することに楽しみにしている人もいます。
TPPのことを尋ねると、大抵の方は、関税が無くなることで貿易が盛んになると答えられます。
それに、安く物が買えるから良いのでは?と言う方も。
それだけなら、私も、TPPの成り行きをみまもることもできます。
しかし、そういうわけにはいかないのが、このTPPです。
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皆さんは、マイケル・ムーア監督の『シッコ SiCKO』をご覧になられた事がありますか?
ご覧になっておられない方のために簡単に中身の説明を。
アメリカは、先進国で唯一国民健康保険制度が無い国です。
6人に一人が無保険で、毎年1.8万人が治療を受けられずに死んでいく。
でも、無保険者のお話ではありません。
民間の保険会社に入っている人が、病気をしたり怪我をしても、
実は保険は簡単には下りません。
もしかすると、まったく下りないケースもあるのです。
9.11の現場に駆けつけた消防士たちの中にも、現場で吸った粉塵が原因と思われる、
呼吸困難に陥ったりしている人もいます。アメリカはヒーローとして持ち上げるだけ持ち上げましたが、
いざというときは、行き過ぎた資本主義の原理原則に従い、「自己責任」として処理をします。
アメリカ国民の昔からある社会主義へのアレルギーもそれに拍車をかけます。
アメリカでは、公的健康保険制度は、国が個人を管理することにつながり、強いては社会主義への道を開くと考えています。
話は横道に逸れますが、実はこれはまったくの間違いではありません。
国民皆保険制度などに象徴される福祉政策は、本来資本主義社会ではありえない制度だからです。
資本主義は、その制度の延命に、社会主義的な政策を上手く取り入れいます。
そういう点では、資本主義は学び上手であると言えます。
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話を戻します。
映画では、賢明なアメリカ国民は無保険で病院に行けないし、
保険に加入できていても、保険が下りないという悲惨な状況を描き、
一方で、先進国の公的保険制度や、キューバの医療制度なども紹介します。
また、笑えたのが、悪名高いグアンタナモ基地では、
テロの容疑で収監された人々が、基地内で無償で最高の医療を受けているのです。
この、歪んだ医療制度が、日本にも来るかもしれない。
それが、TPPなんです。
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TPPは、関税云々だけではありません。
金融、通信、建設、食品、物流、サービス、保険、医療、IT等、ほぼすべての分野が例外なく適用されます。
TPPに加盟したら、日本はあちこちのアメリカ企業から市場開放を求められるでしょう。
アメリカ企業が商売するにあたり、最も邪魔なのが、「公的な国民健康保険制度」です。
これがある間は、アメリカ企業の保険商品は(アメリカの様な旨味ある商売という意味で)売れないことは明らかです。
ですから、TPPを持ち出して、市場開放をしない日本政府を大統領や司法を通じて、大きく揺り動かすことでしょう。
それに対応できる力が、今の政府にあるのか?という所が現実的な問題としてあります。
アメリカの庇護の下、経済大国と言う恵みを享受してきた一方、
「和を以て貴しとなす」という思想を大切にしてきた日本人が、それに対応できるのか。
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日本がもし、アメリカの要求を飲んでしまったら、
「(国境の)領土問題より怖い、医療問題」ということになりかねません。
病気にならないようにすることは大切なことです。
しかし、一個人でできることは限界があります。
公的な保険制度維持のため、「見ず知らずの人のために何でお金を出さないといけないのか。」
そんなことを言う人もいることでしょう。
しかし、私の経験から申し上げます。
「そんなことを言えて、自分で事を解決できる時間は人生の中でごく僅かな時間です。」
人間は一人では生きてゆけないのです。助け合って生きて行くことが最も大切なのです。
私たちが人間らしい生活を維持するためには、公的な保険制度は絶対に必要です。
TPPは絶対に反対です。涙を流してからでは遅いのです。
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