まだまだ寒い日があったりで、なかなか風邪が治らない私です。
今年はなんの問題も無く乗り切れるかと思ったのですが、
最後に、風邪をひいてしまい、完治せずに困っています。
ところで、年度末で皆さんも忙しい毎日ではないかと思います。
私も、個人的な事業の決算に追われています。
と、言っても今日が最後なのでバタバタしても仕方がないのですが。
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「事前指示書」のお話の続きです。
昨日、亡くなった息子の誕生日でした。
家内と色々と18年前のことを振り返っていたのですが、
やはり、二人とも感じていたのは、入院中の事故がなければ、
もしかしたらまだ生きていたのでは?と言う思いです。
それだけ、息子の病気(原発性肺高血圧症(PPH))の取り巻く環境が、
息子の頃より大きく変化しているからです。
今は、治療薬(フローラン)がかなり期待できる。
それに、移植で助かるところまで来ています。
息子が亡くなった18年前には考えられなかった状況がいまそこにあるのです。
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息子は、院内の事故で脳死状態になりました。(初期の頃の記事をご参照下さい)
脳死の状態になると自発呼吸はできないのですから、治療というより延命です。
そういう状態になって約三ヶ月で、息子は天国へ。ところで、息子はどういう医療を望んでいたのでしょうか?
0歳児にそんな判断ができるはずもありませんが、これが成人している人ならばどうでしょうか。
皆さんは、そんなときのために「事前指示書」があるのですが、知っていますか?
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事前指示書の理念的なもについては、以前こちらで記事を書きました。
「リビング・ウィル(尊厳死)」をお読み下さい。
今日は、具体的「事前指示書」を書きました。家族と一緒に考えてみました。
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事前指示書
家族、担当医師へのお願い
私、浜本靖は治る見込みの無い病気に罹り、かつ死期が迫っている場合に備え、
下記の通りの希望を明記します。
(この指示書は私の精神状態が健全な状態にあるときに記したものであります)
1.私の病気が不治であり、死期が迫っている場合は、延命治療は一切お断りします。
2.1の目的を達成する際に生じる苦痛へのこれを和らげる最小限度の緩和医療を希望します。
3.心配停止状態になった場合は、蘇生医療は行わないで下さい。
4.私が、3ヶ月にわたり、いわゆる植物状態になったときは、一切の生命維持措置を取りやめてください。
5.死後は、すべての臓器提供の措置を積極的に行ってください。
以上
色々と考え思いをはせましたが、家族と共有できたことが一番大きな安心感につながりました。
シンプルな内容ですが、基本的にこれで十分だと思います。
事前指示書は、患者さんが認知症などで、正しい判断を下せないとなった場合は、代理人でも作成は可能です。
(ただし、日本では法的な効力はありません。)
ちょっと前の資料ですが、H8年の厚生省の資料では、家族に事前指示をしている人は90%を超えます。
ただし、それは口頭が多く、文書で残している方は4%にしかすぎません。
ただ、「自分の終末期に対して、事前指示をしたいか?」との問いには、80%の方が「したい」」と答え、
80%を超える医師が、その思いを尊重したいと考えているようです。
事前指示書を作成するにあたってのメリットとしては、いわゆる究極の選択をした場合に起こる家族の苦しみが、
和らぐのではないかといわれています。
例えば、人口呼吸器を取り付けた場合、患者さんにも家族にも辛い時間が待っています。
私の息子もそうでした。
そこに、事前指示書があれば、「本人の希望通りにしてあげることができた」と言うふうに思えます。
私の経験から言っても、これが一番大きなメリットとなります。
事前指示書があればすべての問題が解決するわけではありません。
指示書があることで起こる問題もありますが、指示書を作成する際に、その文書にある思いを家族で共有できていれば、
そういうトラブルはある程度避けられるはずです。
すべてのことにいえることですが、結局自分の人生にまっすぐ向き合うことが生きていく上でとても大切で、
終末期においても、どういう人生を歩みたいのかをしっかりと考え、家族と共有しておくことが、
事前指示書を作成する上で重要です。
また家族においては、指示書の内容を実行に移すとき、患者本人にどれだけ寄り添うことができるのか、
試されるときでもあります。
家族で私の事前指示書を作る作業は、初体験ですから戸惑いもありましたが、冗談も出て結構面白かったです。
なお、この指示書は(毎年1回でいいと思いますが)更新することが大切です。
来年も、息子の誕生日には更新作業をと考えています。
皆さんも「事前指示書」の作成、如何でしょうか?
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