日本が右傾化しつつあると言われていますが、この現象はLGBTの権利擁護運動にとってマイナスの影響を与えるのでしょうか?
そもそも、『右』とか『左』などと呼ばれる政治的信条の様なものが、LGBTの権利擁護運動に何らかの影響を与えるものなのかという点が気になります。
確かに、保守的な考え方からすると、現状の家族制度に風穴を開けようとする同性婚制度などは、到底許容できるのもではないのかもしれません。
保守という定義を紐解いていくと、西欧の宗教的考察に行き着きます。調べれば調べるほど難解で、現在の日本の状況にきちんと当てはめようとすると齟齬が生じる部分もあります。
何となく雰囲気で、右とか左とか、保守的云々といった、感覚的判断をしていて、はっきりとした定義を理解しているわけではない人が多いのではないでしょうか。
LGBTの中にも、当然、保守的な人もいれば、革新的考えの人もいるでしょう。
現在の日本の右傾化と呼ばれる現象は、LGBTの皆さんを見る目を変化させるような要素をあまり持っていない気がします。
日本に在住する外国人のLGBTの方によると、日本はLGBTを保護する法制度は乏しいかもしれないが、とても暮らしやすく、偏見をあまり感じない国だという声をよく聞きます。
以前のレインボーノートにも書きましたが、日本は欧米と違って、宗教的理由でLGBTを排斥するような風土はほとんどありません。法的保護はされていないけれども、なぜか居心地の良い環境でもあるのです。
権利を勝ち取るためには、ある程度の闘争が必要です。そうして勝ち取った権利が法制化されていきます。
欧米では、そうしたLGBTの権利獲得のための闘争が、長い間行われてきたという歴史があります。だからこそ、同性婚制度などの法的位置付けがきちんとなされているのです。
先日、大変興味深いイベントの案内を頂戴しましたのでご紹介します。
3月8日に福岡アメリカン・センターでシンポジウムが行われます。
このシンポジウムに、大阪・神戸のアメリカ総領事館の総領事が参加されるのですが、この方は、男性と同性婚をしている男性です。
そして、その総領事の配偶者である男性に、日本政府は「外交官の配偶者」というビザを発給しました。
同性婚制度のない日本で、海外で同性婚をしているカップルの配偶者を法的に処遇したという大変珍しいケースです。外交官という特殊な立場の人に配慮したものではありますが、このニュースはLGBTの皆さんの間で、大変大きな関心を呼びました。
海外では、社会的地位の高い人物が、セクシャルマイノリティであることをカミングアウトしていることが多いということを、あらためて知るニュースでもあります。
LGBTであるか否かを問わず、自然権として有している人権の根本的概念を理解することで、他者を個人として尊重することの大切さを学ぶことができるのではないでしょうか。
自らが選ぶことのできない理由により、マイノリティという立場を背負った人々を、単に少数者(マイノリティ)として差別したり、マイノリティという括りで取り扱うのではなく、個人個人、一人一人の個性として尊重する考え方を持ちたいものです。
別れたいのに、相手が別れてくれない… どうしたら円満に別れることができますか?
別れ方次第では、相手がストーカー化してしまうなど、トラブルもあり得る事なので、円満に別れる事ができないようなケースのご相談には、非常に気をつかいます。
さて、今回のケース、なぜ別れることになったのか、その理由をお尋ねすると、セックスレスが原因だというのです。
なるほど、セックスレスの問題というのは、セクシャリティの別は無関係なわけですね。ゲイやビアンのカップルであっても、セックスレスはお互いの関係にとって大問題であるわけです。
今回の相談者は、パートナーからセックスを拒絶され、その期間が半年以上になるというビアンさんです。これ以上、セックスレスが長引くのなら、パートナーとしては付き合っていけないので別れたいと相手に伝えたところ、付き合いたての頃とは違って、交際3年目を迎える二人の関係においては、セックスは重要な要素ではないはずだとして、別れることを拒まれたというのです。
男女の夫婦の場合は、セックスレスによる精神的負担は、婚姻を継続し難い重大な事由として、裁判でも離婚が認められる傾向にあります。
今回の相談者は、レズビアンのカップルですから、法的に云々とは言えませんが、要はお互いの気持ちにズレが生じており、これを修正する事が出来ない限り、円満な交際を続けていくのは難しいということです。
相談者は、相手に「なぜ、自分とセックスできないのか?」と尋ねたそうですが、「人生のパートナーとしてしか見れず、セックスのパートナーとしては見れない。かといって、別の人と浮気するわけでもないから、安心して交際して欲しい。あなたの性欲は浮気以外の方法で自分で解消して欲しい」と答えたとのことでした。
この相談者のパートナーさんは、2人の関係にとって、セックスは既に重要な要素ではなくなっていると考えているわけです。一緒にいるうちに、セックスの相手としての魅力が薄れてしまったのでしょう。あるいは、性欲そのものが薄れて、誰に対しても性的欲求を持たなくなったのかもしれませんし、元来その欲求が少ない方なのかもしれません。
しかし、相談者にとっては、自分のパートナーとセックスできない不満は、お互いの関係自体を解消したいほどに積もり積もってしまったわけです。
恋人同士でも夫婦でも、お互いに相手を尊重し合って、必要な限度で譲歩することも必要でしょう。
セックスを相手に強要することは、夫婦でも恋人同士でも許されません。
なればこそ、お互いの意思の合致が尊重されるのです。
セックスレスの問題は、カップルそれぞれに事情は異なりますが、なぜそうなるに到ったのかという過程を紐解いていくことで、その原因を探ることは可能です。
この相談者には、まず、その原因を探る作業から始めてもらい、原因が推測できて、それが是正可能なものなら、その作業をはじめることからアドアイスしました。二人の関係の問題が、セックスレスだけにあるのなら、それを解消する努力をもう一度して欲しかったからです。
結果的に、この相談者は、セックスレスの原因を探ることに成功し、その原因となっている障害を克服しようと努力を始めました。その努力が実を結ぶかどうか判断がつくまで、別れの選択を止まることになりました。
別れの原因の根本になっている深いところでの事情を、当事者自体が認識していない場合があります。そこを掘り出していく作業をし、是正できれば、関係は修復できるのです。
人間同士ですから、主義主張や生活上の問題での対立は必ずあります。
他人同士がパートナーとなって、生活を共にすること自体、何らかのストレスは募るものです。
それを解消する手段や、お互いの意見をぶつける機会を持つことで、より信頼し合える関係へ昇華していくのではないでしょうか?
日々の生活に追われる中で、相手の事をよく見ていないという状態にならないようにしなければなりません。
出会えたことの奇跡が、ちょっとしたすれ違いで壊れてしまうのは、あまりにも勿体ないことです。
今回は、中橋と経営者Kさんの対談です。
中「Kさんの会社には、LGBTの社員が複数人いらっしゃいますが、採用にあたって特に何かきっかけがあったのですか?」
K「きっかけは1人の社員でした。彼は元々アルバイトとして弊社で働きだしたのですが、とても優秀な子で、学校を卒業後に社員として入社してもらいました」
中「Kさんの会社は、分類で言うと、アパレル系ということでよろしいでしょうか?」
K「そうです。零細ですけど、何とか頑張っています」
中「卸から店舗経営まで順調に経営されてますね。さて、話を元に戻して、その、きっかけになった1人の方はどういう方なのですか?」
K「バイト時代から、販売の要領も上手で、お客様のウケも良く、仕入れに関する提案を積極的に行うなど、キラッと光る人材でした」
中「そういう人材に出会えたことは、経営者にとって幸せですね。それでその方がどうしたのですか?」
K「社員となって間もなく、店舗の運営を任せるようになったんです。アルバイトの採用も含めて任せて、厳し目のノルマも課しました。最初は苦戦していましたが、3ヵ月ほどして売り上げがドンドン伸びて来たんです。これには本当に驚きました。それで、理由を聞くと、有能なアルバイトたちを雇ったと言うんです。実際に店舗で見ていると、接客が上手なんです。接客の教育を徹底したんだなと思ったら、元々素質のあった知人を雇用したというんです。彼らの働きで、その店舗は前年比で2倍強の売り上げとなりました。」
中「すごいですね。それからどうなったのですか?」
K「さらにそのバイト君を正社員にして、別の店舗の店長にしたら、その店舗の売り上げも上がって、大変満足のいく結果になりました。そんな感じですから、私も彼らを可愛がりまして、娘の婿にとまで思ったのですが(笑)、全く女っ気がないというか、いや、彼らはいわゆるイケメンなんですよ。モテる外見と優しくて頼りがいのある中身を持ったイイ男達なんですよ。でも、彼女がいる様子でもないし、不思議に思っていたのですが、会社の慰安旅行で若手の女性社員とくっつけようと依頼があって(笑)、画策したら、何と彼が公にカミングアウトしましてね、驚きましたが、あぁそうなんだと妙に合点がいって、謎な部分が解けたもので、本人や社員たちと笑い合いましたよ。今では良い思い出です。それで、彼が雇ったアルバイト、後に社員になった彼らだけど、彼らも同じようなセクシャリティだということもわかって、これはこれで二度びっくりなんだけど、落ち込んだ女性社員も居たような(苦笑)、そんなことだったんですよ」
中「社長としては、セクシャルマイノリティを雇用していることへの戸惑いはありませんでしたか?」
K「びっくりはしましたが、仕事のスキルが高い人物なので、性的なことは何も気になりませんよ。よくいう偏見みたいなことは、弊社内ではないと思います。むしろ、彼らの持っている感性はこの業界に親和性があるというか、老若男女問わず、あらゆる層向けの商品に関して大変良いセンスで対応してくれていますよ」
中「そうですか。仕事の成果に対する評価にセクシャリティは関係ないという事ですね」
K「もしかすると、そういう性的な指向が、弊社の業務に良い効果をもたらしているのかもと考える節もありますよ。上手く説明できませんが」
中「ちなみに、社内にどれくらいのLGBTの方がおられるのですか?」
K「はっきりとカミングアウトしているのは4名です。他にもいるかもしれませんが、調査するわけではありませんので(笑) カミングアウトしている4名は、今では幹部ですよ。次期社長が出るかもしれません(笑)」
中「とても明るく語って頂きました。LGBTの社員と働くことに対して、特に構えているわけでなく、自然体で接しておられる様子がよくわかりました。ありがとうございました」
明けましておめでとうございます。今年もレインボーノートをよろしくお願い申し上げます。
さて、読者の皆様は年末年始をどのように過ごされたでしょうか?
今回の年末年始は、長い連休を取れた方も多いのではないでしょうか。
レインボーサポートネットも年末年始はお休みを頂いて、お問い合わせに対する対応はしませんでしたが、年が明けてみると、年末年始の休みのうちに寄せられた大量のお問い合わせのメールの処理で一苦労しています。
おそらく、長い休みのうちに、問題解決や法的手続のアクションを起こそうと決意された方が多かったのでしょう。それだけ、自分自身を見つめる時間や、気持ちを整理する時間が取れたということでしょうか。
お正月は帰省する場合が多いので、久しぶりに家族や親戚と会い、自分の人生のこれからについて何らかの刺激を受けたという場合もあるようです。
「親が思っていたより年老いていて、近い将来同居してあげなければいけないと思った」・「独身だった兄弟が婚約者を連れて挨拶に来て、いよいよ自分への結婚のプレッシャーが高まった」・「同窓会に出席したら、昔好きだった人の風貌の変化に驚いた」・「親戚にしつこくお見合いを勧められた」など、普段は都会で気ままな1人暮らしをしているのに、田舎に帰って急に現実的な話や場面に遭遇してしまう体験をした方も多いでしょう。
若いうちは、そういった場面を上手くスルー出来るのでしょうが、30歳代半ばを過ぎると、自分自身の人生の将来と、家族(特に親)の将来を考えて、あらためて真剣に人生設計を考える時期が来るようです。
パートナーに財産を遺すために遺言書を作りたいとか、万が一に備えてパートナーと相互に任意後見契約を結びたい、養子縁組をしたい、離婚をしてセクシャルマイノリティとしての人生を歩みたい・息子のゲイを治したいといったパートナーや家族との関係に関する手続や相談は、自分と自分の近しい人との関係をどうにかしたいという気持ちからくるものです。
他者に無関心でいられるなら、それほど楽なことはないかもしれません。
しかし、現実には、人は1人で生きていけるほど強い生き物ではなく、大半の人は、家族や恋人、友人を自分の精神的テリトリーの中に置いて、その距離感を意識しながら生きているのでしょう。
孤独が好きな人はよくいますが、精神的な孤独が好きなわけでは決してないのではないでしょうか。
LGBTの場合、図らずも孤独に陥ってしまう場合があります。それは、偏見や差別によるものですが、このリスクをある程度承知しているからこそ、カミングアウトをするorしないという選択の善し悪しを天秤にかける必要性が出てきます。
自分以外の人間との距離感を上手に把握できるLGBTは、カミングアウトに関しても上手です。
精神的な孤独を味わうことの辛さは、LGBTにとっての生きにくさの代表的事項でもありますが、それを覚悟する度胸が、LGBTとして生きていく人生には求められるのです。
ヘテロセクシャル(異性愛者)と比べて不公平であることは言うまでもありませんが、社会全体の差別や偏見が皆無にならないと、この状況の完全なる改善はあり得ません。
マイノリティであるということは、精神的強さを身につけなければならないということを、多くのLGBTは普段の社会生活の中で実感していることでしょう。
今年は、LGBTの皆さんが、LGBTであることの生きにくさを少しでも感じなくて済む年になるように願っています。ただそのためには、LGBT当事者の皆さんによる、権利擁護の運動を正しく行っていく必要があります。
社会との闘いは、マイノリティにとって必須であるという覚悟もまた、求められているのです。
今年も残すところあと数日になりました。
毎年この時期になると思う事ですが、1年ってあっという間ですね。時が経つのは本当に早いです。
今年1年のレインボーサポートネットを振り返ってみると、結婚(準婚姻)誓約書の作成依頼やご相談が最多の1年となりました。
昨年の震災の影響もあるかと思いますが、人と人との絆、自分にとって大切な人との絆を確かなものにしておきたいと考える人が増えたのではないでしょうか。
現在の日本では同性間での結婚は法律上認められていません。
そこで、当事者間だけで、お互いに取り決めをして、本物の夫婦のように共同生活をしていくケジメとして書面化しようとするわけです。
内容はカップルそれぞれ。日常生活の細かい決め事から、浮気した場合のペナルティまで、お互いの相手に求める事柄を決めていきます。
実はこの作業は、2人の関係性を見つめなおす良いきっかけともなり、最初はこうした取り決めに消極的だったカップルも、最後はノリノリだったりします。
ただ、最初からペナルティの条項ばかり考えるカップルは、お互いの関係を窮屈にし過ぎてしまう恐れがあり、ほどほどにして頂いております。
結婚(準婚姻)誓約書に限らず、今年はカップルがその絆を深めるために取り得る手続や手段を教えてほしいという、どちらかというとハッピー系のご相談が、そうでない相談を大きく超えた1年でもありました。
また、新たに許認可を取って事業を始めたいとか、LGBT向けの新ビジネスのご相談など、前向きでワクワクするご相談が多い1年でもありました。
もしかして、景気が上向きつつあるのかな?と思わせられるような兆候でもありました。
来年は、今年以上にハッピー系のご相談が増える1年となることを願っています。
ところで、年末年始にお墓参りをするという方も多いと思いますが、先祖を大切にするというのはとても重要な事です。
LGBTの方の中には、先祖に対して背徳感を感じて、お墓参りなどしないと決めている人を散見しますが、これはよくありません。
今の自分があるのは、先祖のおかげです。謙虚な気持ちでお墓参りをしてはどうでしょうか。無駄にパワースポット巡りをするよりも、ご自身にとって最も重要なパワースポットであるはずです。
1年の総括をするこの時期、謙虚に反省ができる人間になりたいですね。
どうぞ、よいお年をお迎え下さい。今後ともよろしくお願い申し上げます。
いよいよ、今週末が衆議院選挙&東京の方は都知事選の投票日となりました。
すでに、期日前投票を済ませたという方も多いかもしれませんし、投票には行かないと決めている人もおられるかもしれませんが、各自の投票行動は完全に自由でなければなりません。
「どこに投票すればいいですか?」
「誰に投票すればいいですか?」
「推薦する政党や候補者はいますか?」
このような内容のメールがいくつか届きました。
お返事としては、「ご自分で決めて下さい」という内容に尽きます。
誰に(どこの政党に)投票するかの判断は、その判断基準が各人によって異なるはずなので、どういう選択がベストなのかを私が個々にお教えするような性質のものではありません。
それに、レインボーサポートネットは、政治的な活動は一切行っておりませんので、特定の政党や候補者を推薦や応援することはありません。
いつも書いていることですが、LGBTの皆さんは、セクシャルマイノリティであるということだけをもって、政治的に団結しているわけではありませんし、そういう大掛かりな組織は、まだ日本には存在しません。
そういう状況にあっては、特定の政党や候補者を責任を持ってお勧めすることはできないのです。
投票には行ってみたいけど、政党や候補者を選べなくて困っているという話はよく聞きます。
そういう場合は、熟慮した上で、とりあえずは投票し、それが良い選択であったかどうかを振り返ることが重要なのです。
誰に、どこの政党に投票したのかをきちんと覚えておいて、その候補者や政党が、選挙後にどのような活動や政策を推進したかを、次の選挙の投票日までに評価して、次も前回と同様の投票を行うかを考えればいいのです。
それを繰り返すことによって、自分自身にとって、満足のいく投票行動ができるようになるでしょう。
投票も経験が必要なのだということではないでしょうか。
政治や選挙に興味がないのであれば、興味が持てるような工夫を自分自身で行うことが重要です。
選挙に行かないという選択肢の原因が、政治への無関心だとしたら、自分自身の社会生活を全く受動的に送っているということの裏返しでもあります。
自分で何かを決める事が出来るという素晴らしさの原点は、自由や民主主義に由来します。
その証ともいえるものが、選挙権を行使して、政治家を間接的に選ぶことによって、国の政治を行うということです。
投票に行くという事が、まるで自分の自由な時間を奪う面倒なイベントであるように言う人までいますが、とんでもない勘違いです。
LGBTには若い人が多くいます。
まず、とにかく投票に行って、誰かに投票する事が重要なのです。誰に、どこに投票すればいいのか投票寸前でもわからなければ、フィーリングで投票してもいいのです。
そこが、政治への関わりの第一歩なのです。あとは、長い人生の時間に何度も行われるであろう選挙で、必要に応じて修正していけばいいのです。
投票には是非行って頂きたいと思います。
今回は中橋とゲイのヨシさん(仮名・41歳)とレズビアンのミナさん(仮名・35歳)の対談です。
中「お二人は、LGBTのためのショッピングサイトの運営会社を起業されようとしているわけですが、きっかけなどをお話しいただけますか?」
ヨシ「LGBTにはある種の共通の感性的な側面があって、その感性を満たすような商材だけを集めて販売する事が、同じセクシャリティの仲間の役にたてるのではないかと思ったからです」
ミナ「物販だけではなく、様々なサービスに提供などもしていくことのできる、LGBTのための総合商社を目指したいと思っています」
中「大きなビジョンをお持ちのようですね。LGBTの皆さんに支持してもらえる自信があるという事ですか?」
ヨシ「LGBT向けの通販としては、エロ系がほとんどですが、我々はそうではなく、非エロで商品構成をしたいと考えています」
中「エロと非エロの線引きをどこでするのか?というような問題があると思いますが…。例えば下着とかはどうなるのですか?」
ミナ「それは実は難しい問題だったんです。でも、現状ではクリアーしました。直接的にセックスに関わる事、例えばアダルトグッズ等はNGで、下着とか出会いの場を提供するようなサービスはOKとしたんです」
中「出会いの場の提供ですか?まさか、ハッテン場の経営?」
ヨシ「いえいえ。例えば、旅行やイベントの企画をして、そこで出会ってもらうというような場合です」
中「なるほど。物販だけではなくて、イベントの企画などもするわけですね」
ミナ「具体的な商品やサービスの開発は、まだまだこれからですが、仲間が集まって、あ~でもない、こ~でもないとやっているのが楽しいです」
中「この事業に携わるお仲間は何人くらいいるのですか?」
ヨシ「現在は10人くらいです。まだ正社員としての雇用ができる状況ではないですが、各分野で頑張ってもらって、社内で独立採算的な運営をし、頑張った人が頑張っただけの報酬を手にすることができるような企業運営をしたいと考えています」
中「商品は、オリジナルの物を開発するのですか?既存の商材を使用するのですか?」
ヨシ「その両方です。市場に出回っていながら、良い可能性を秘めた商材をどんどん発掘していきたいですし、世の中にない品物やサービスを自社で開発していきたいとも考えています」
ミナ「ゆくゆくは実際にお店を構えてみたいとも思っています」
ヨシ「店舗は夢ですね。都心から徐々に地方へ広げていけるような展開ができればと考えています」
中「今回、古物商の許可を取られましたが、リサイクル的な営業形態も考えておられるのですか?」
ミナ「はい。衣料品のリサイクルを考えています。私の趣味も兼ねています(笑)」
ヨシ「ミナさんは、服飾デザイナーなんですよ。私はWEBデザイナーです」
中「お二人の接点は何だったのですか?」
ヨシ「LGBTの健康に関する勉強会で知りあって、もう5年の付き合いになります。お互いの人脈を駆使して、今回の起業にたどりつきました」
中「新しいことをするというのは、難しい側面も多いでしょうが、ワクワク感は前に進む原動力になりますね。お話をうかがっている最中のお二人の眼が輝いて見えます。事業が成功することをお祈りしています」
ヨシ・ミナ「ありがとうございます」
本日、野田総理が衆議院を解散し、師走の総選挙となるわけですが、全国数百万人(推定)のLGBT票はどこへ向かうのでしょうか?
少なくとも日本の政治の現状は、LGBTの皆さんが団結して一つの政党を推す状況にはありません。
一つの政党がLGBTの皆さんの支持を一手に集めようとするのなら、普段からLGBTに歩み寄って、その要望や意見を吸い上げる努力をしなければなりません。
しかし、それはLGBT側に政策提言や請願を組織的に行う大きな団体があっての話ですが、それが整備されていません。
従って、政党側にLGBTへの歩み寄りが少ないという批判をぶつけたとしても、その解決策を上手に提案することが難しく、状況が改善されにくいのです。
LGBTの皆さんには、当然にそれぞれの信条があって、政治に関しても支持する政党があるか否かや、どの政党を支持するかは人それぞれです。
そもそも、どの政党が、LGBTに関して、政策上どのようなスタンスにあるのかを知ること自体が難しいと思います。
各政党のHPを検索したり、検索ワードを駆使して知ろうとしても、正確な情報はなかなか出てきません。
このこと自体が、日本におけるLGBTの政治上の存在感を示しているわけです。
LGBTに関する様々な法整備の問題は、普段からこのレインボーノートに記してきましたが、例えば同性婚の件に関して、政党として賛成なのか否なのかを現時点ではっきりと知るのは困難です。その前提としての議論の場を設ける意思があるかどうかを知ることも困難でしょう。
結局のところ、LGBTに対して、その存在を認め、法整備に関して議論の場を設けるようなアクションを起こす政党かどうかは、雰囲気で見極めるしかないのです。
その雰囲気とは、政党の中にLGBTフレンドリーな政治家がいるか否かでしょう。
でも、誰がLGBTフレンドリーな政治家であるのかを知ること自体も困難な状況です。
それから、LGBTであるからといって、LGBTフレンドリーな政治家や政党に投票するとは限りません。LGBT云々よりも大切だとする選択観点をお持ちのLGBT当事者も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、今回の総選挙では、どうか、各政党や選挙区の候補者が、LGBTに対してどのようなスタンスを取っているのか(取るであろうか)をよく見極めて(予想して)、投票行動に生かして頂きたいと思います。
また、LGBTメディアは、そうした材料になる正確な情報を是非発信してもらいたいと思います。
そして、どうか投票に行って頂きたい。期日前投票という便利な手段もあります。自分の意思で一票を投じれば、その選挙で選ばれた人たちを任期中によくウォッチングするきっかけにもなります。それは、次の選挙の際にどういう投票行動をするかの明確な指針にもなるわけで、政治への関心が自然と続くことになるでしょう。
LGBTという大票田が一つにまとまるのは、まだまだ遠い先の話であるような気がしますが、その時への準備のためにも、政治への関心を高めていかなければなりません。
尼崎事件。次々に発覚する殺人事件に日本中が驚愕しています。
養子縁組を用いて、他人の家に親族として乗り込むやり方。
周囲に異常を発見されて警察に通報されても、「親族内の揉め事」と返されれば、警察も積極的に介入はしなかったというこの事件は、養子縁組の闇を浮き彫りにしました。
養子縁組は、年長者の戸籍に年少者が入籍する形で親族関係が成立するものです。
法律上の親子関係を構築するもので、法的な権利関係は実親子と変わりありません。
ですので、遺産相続も実親子と同じように発生しますし、生命保険の受取人として養子を指定することも何の障害もなく可能となります。
養子縁組の手続自体も、所定の用紙に記入押印して提出すれば良いだけで、その形式は極めて簡単なものです。婚姻届と酷似しています。
養子縁組には「法的に親子関係を構築するのだという縁組の意思」が必要になりますが、届を提出することでその意思があるものと推定されています。もちろん、養子縁組届の提出時には本人確認や、代理提出の場合には後日、本人に対して確認が行われ、必要最低限の確認作業は行われています。
ゲイやレズビアンのカップルは、養子縁組によって入籍するという法的関係が結婚による入籍と似ているので、この制度を利用して親族となるケースが昔からありました。
そもそも縁組の意思というのは内心の問題であるので、縁組の意思自体がどういうものであるべきなのかということを確定的に決めてしまうのは難しいのです。
親子とは、本来は実親子を指すものであるので、法律が手続によって法的な親子関係(養子縁組)を認めている以上、歪で不明瞭な内心の効果に基づく養子縁組は無くならないでしょう。
近い将来、相続税の課税基準が厳しくなりますが、その対策にも養子縁組が使われる場合もあります。
この事件を機会に、養子縁組制度の是非や運用方法について議論が深まることを願っています。
今回は、マリさん(バイセクシャル・40歳)と中橋の対談です。
中「マリさんはバイセクシャルということですが、今は恋人はいるのですか?いるとしたら性別は?」
マリ「今は恋人はいません。次に狙う性別も決めていません(笑)」
中「そうですか。確かにあらかじめ決めるものではないのでしょうね。好きになった人を好きになるだけですね」
マリ「でも、偏りはありますよ。私の場合はビアン寄りのバイセクシャルだと思います。同性を好きになることの方が多いですね」
中「バイセクシャルの人には、ゲイ寄りとかビアン寄りとかいうことを仰る方が多い気がします。全くイーブンということの方が珍しいのでしょうね」
マリ「そうですね。私の感覚だと、基本はビアンなんだけど、一部の男性はストライクゾーンに入るみたいな感じです」
中「ゲイ寄りのバイセクシャルの方も同じようなことを言っておられました。ストライクゾーンが男性側に広いか女性側に広いかの問題のようなことを」
マリ「ストライクゾーンがやたら広いのがバイセクシャルだと思われそうですね(苦笑) でもそれは、男側か女側かの偏りで調整されているから、そんなにストライクゾーンが広いわけではないのですよ」
中「相手が誰でもいいのがバイセクだ!みたいな誤解があると?」
マリ「そうそう。嫌われますからね~。例えば同性と付き合っていても、いずれは異性と結婚して家庭を作って、社会の中で幸せに暮らしていくんだろう~みたいな皮肉を言われたり。いいなぁと思っていた女性から、そういう嫌味を言われてゲンナリしたことも多々ありますよ。そういう度に、あぁバイセクはモテないなぁと思いましたね」
中「ゲイやビアンにとって、バイセクは脅威だということですね」
マリ「実際にバイセクに傷つけられたという人もいるから、そういう批判を全否定はできないですが、バイセク全体がいい加減な人の集まりとか、性的に乱れているイメージとかで語られるのは納得できません」
中「どうしても、美味しいとこ取りのようなイメージがするのでしょうね」
マリ「私のことを『あの人は危険人物だから近付かないように』とまで言う人もいました。そういうことがあったので、自分がバイセクだということを伏せていた時期もありました。それから、バイセクだと性的に乱れていると勘違いするのか、やたら都合のいい関係を求めようとする変態男に付きまとわれたこともありました(泣)」
中「いろいろなご苦労があるのですね(焦)」
マリ「理解されることは少ないですけど、バイセクは決して良い立ち位置ではないということは知って頂きたいです」
中「以前に対談をした方も同じような話をされていましたが、同性愛者にも異性愛者にも受け入れられない危機感があるように思いました」
マリ「ゲイやビアンは、存在を大きくアピールできる場があったり、社会的に取り上げられることが多いですが、バイセクにはそういう場面がありません。LGBTの中に組み込まれてはいるけど、日陰な存在になっているような気がします」
中「実際のバイセクの姿を多くの人々に知ってもらう機会が訪れるといいですね」
マリ「はい。少しでも誤解が解ければ幸いです」
中「今日はありがとうございました」
マリ「こちらこそ」