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尼崎事件。次々に発覚する殺人事件に日本中が驚愕しています。
養子縁組を用いて、他人の家に親族として乗り込むやり方。
周囲に異常を発見されて警察に通報されても、「親族内の揉め事」と返されれば、警察も積極的に介入はしなかったというこの事件は、養子縁組の闇を浮き彫りにしました。
養子縁組は、年長者の戸籍に年少者が入籍する形で親族関係が成立するものです。
法律上の親子関係を構築するもので、法的な権利関係は実親子と変わりありません。
ですので、遺産相続も実親子と同じように発生しますし、生命保険の受取人として養子を指定することも何の障害もなく可能となります。
養子縁組の手続自体も、所定の用紙に記入押印して提出すれば良いだけで、その形式は極めて簡単なものです。婚姻届と酷似しています。
養子縁組には「法的に親子関係を構築するのだという縁組の意思」が必要になりますが、届を提出することでその意思があるものと推定されています。もちろん、養子縁組届の提出時には本人確認や、代理提出の場合には後日、本人に対して確認が行われ、必要最低限の確認作業は行われています。
ゲイやレズビアンのカップルは、養子縁組によって入籍するという法的関係が結婚による入籍と似ているので、この制度を利用して親族となるケースが昔からありました。
そもそも縁組の意思というのは内心の問題であるので、縁組の意思自体がどういうものであるべきなのかということを確定的に決めてしまうのは難しいのです。
親子とは、本来は実親子を指すものであるので、法律が手続によって法的な親子関係(養子縁組)を認めている以上、歪で不明瞭な内心の効果に基づく養子縁組は無くならないでしょう。
近い将来、相続税の課税基準が厳しくなりますが、その対策にも養子縁組が使われる場合もあります。
この事件を機会に、養子縁組制度の是非や運用方法について議論が深まることを願っています。