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2013/12/13

先日、最高裁判所が、、性同一性障害で戸籍の性別を変えた夫が、第三者から精子の提供を受けて妻が出産した子供を、法律上の夫婦の子と認める判決を出しました。

こう書いた時点で、「何のこっちゃ?」と思われる方がおられるかもしれないので、噛み砕いて説明すると、生まれた時の体の性別が女性だった人が、性同一性障害であったため、男性に性転換し、戸籍も女性から男性へ変更し、その後、女性と結婚して夫婦になり、妻である女性が、第三者から精子提供を受ける形で(夫は、生まれた時の体の性別は女性であるため、精子を作る肉体的能力がないため)、妊娠出産し、その子の戸籍上の父親を夫とすることを、最高裁判所が認めたという判決です。

この裁判は、①家庭裁判所、②高等裁判所の2つの裁判所では、父親になりたいという夫の主張は認められず、三審制の再度の砦である、最高裁判所で、それまでの裁判所の判断を覆す大逆転により、夫の主張が認められたのです。

この裁判にはいくつかの論点がありますが、中でも「生物学上、父親とはなり得ない人を法律上の父親と認めることの可否」という点が大きな部分です。

つまり、法は、父親の要件をどのように規定しているのか?ということですが、ダイレクトにそれを細かく規定しているわけではないのです。

今回の最高裁の判断では、民法772条の「妻が婚姻中懐胎した子は、夫の子と推定する」という条文を、そのまま文理解釈したとも言えます。

性同一性障害特例法が制定施行された時点で、今回のような問題は十分想定できたことです。

今年は、非嫡出子(結婚していない男女の間に生まれた子供)の相続分を、嫡出子(結婚している夫婦の間の子供)と同一にするという最高裁の判決も出ており、家族関係をめぐる法律の大きな転換点の年だったと言えます。

今回の判決文によれば、現代社会による家族関係の多様化に配慮しているという側面が読み取れます。

国が、家族の枠組みを一方的に決めるのではなく、国民自身が築く家族関係に、一定のゆとりを持たせたと考えることもできるでしょう。

似たようなケースに、非配偶者間人工授精(AID)というものがあり、不妊症などで自分の精子を使用して妻を妊娠させることができない場合に、第三者からの精子提供で子供をもうけ、その子の父親として戸籍上は記載されるという運用が長年されてきました。

ただこの場合でも、子供が成長して、真実を知った時、実の父親(精子提供者)を知りたいと希望したケースが少なからず報告されています。

また、もし、精子提供者が、自分が実の父親であるとして、戸籍訂正をするように訴訟を起こした場合は、どのような判断がされるのでしょうか?

さらに、代理母を用いて、子供をもうけた場合に、母親としての戸籍記載の問題は、本件とはどう区別されるのでしょうか?

法律が定める親子関係は、現在の生殖医療には全く追いついていません。

抜本的な家族法体系の見直し、改正が一刻も早く望まれます。

04:09 | nakahashi | 最高裁判断に思うこと はコメントを受け付けていません
2013/11/29

今回は、中橋とハウスメーカーにお勤めのWさん(ゲイ・仮名・38歳)との対談です。

中「ちょうど私と同級生ですね。お仕事はハウスメーカーでの営業職だそうですが、年齢的にも多忙なのでは?」

W「そうですね。同級生ですね。この歳になると、仕事もある程度は慣れたものの、部下の指導もしなければならないし、上司や会社には神経使うし、毎日がキツイですね。営業自体は得意というか好きなので、そんなに苦にはなりません」

中「営業、好きなのですか?」

W「ハウスメーカーの営業職は天職だと思っていますよ。お客様のマイホームの夢を叶えるお手伝いができるというのは、とてもやりがいがあります。時間をかけて、お客様との信頼関係を築いて、最終的にお客様の満足される家を建てていくのですから、この工程には、いろいろなドラマがあります。そして、自分が頑張れば頑張るほど、給料に反映される職種でもあるので、仕事の達成感はハンパないですよ!(笑)」

中「いいですね~。とても前向きで。私も見習わなければなりません(苦笑)」

W「自分自身はゲイなので、子供をつくって、家族で暮らせる新しい家を創るっていうのは縁遠いと思うのですが、その果たせぬ夢を、お客様に託しているという感じですかね。ちょっとキザかも(笑)」

中「なるほど。自分の夢をお客様に託す…ですか」

W「家を建てるってのは、やはり、そこに若い親子で住み始めるというケースが多いじゃないですか。まさに新生活というか、結婚したからとか、子供が生まれたからとか、そういう家族安住の場所を確保するという行動であるわけで、それは、ノンケの家庭の代名詞というか、昔ながらの家族像なんだと思います」

中「LGBTで一戸建てを買う人はいない?」

W「そんなことは無いと思いますが、ケースとしては少ないでしょうね。僕のゲイの友達は、ほとんどマンション暮らしですね。自己所有にしても賃貸にしても」

中「住宅を新規に購入する人のほとんどは、住宅ローンを利用していると思いますが、LGBTだと住宅ローンの利用に何か影響はありますか?」

W「LGBTだからローンを組めないということはないですが、ノンケの夫婦なら、夫婦で収入合算をして住宅ローンを組むというケースが多くあります。でも、ゲイやビアンのカップルでは、法的な夫婦ではないので、収入合算はできないでしょうね。そうした意味では、LGBTは1人できちんとした資力がないと、一戸建てにしろ、マンションにしろ、ローンでの購入は厳しいという事になります」

中「現代は共働きの夫婦が多いので、収入合算して、連帯してローンを返済していくわけですね」

W「そうです。そうすれば、借り入れの上限が上がり、よりグレードの高い不動産を購入できるわけです」

中「その点では、LGBTのカップルは優遇されませんね」

W[はい。法的に同性婚制度などが整備されないと無理でしょうね」

中「Wさんが、仕事で知り合ったLGBTの方はおられますか?」

W「お客様のセクシャリティをいちいちお聞きするわけではないので、遭遇していても気付かないケースもあると思います。でも、あるお客様からは、私がゲイだということを何故か見抜かれていて、こっそり、そっちの人ですよね?みたいなことを言われた事があります」

中「そのお客さんというのは、1人暮らしで家を建てる方ですか?」

W「はい。その方の職場の近くに新たに開発された新興住宅地で、平屋の一戸建てを建てられました」

中「その方を営業として担当されたのですね?」

W「はい。無事に引き渡しが終わって、お礼にと新築記念パーティに誘われ、お宅にお邪魔したら、ゲストが私一人で、口説かれました(笑)」

中「それで?(笑)」

W「今の職場に転勤するまでの1年半付き合いました(爆笑)」

中「転勤になって別れたのですか?」

W「はい。円満に別れました。私の仕事はハードなので、物理的な距離は致命傷ですからね。よく話し合って決めました。今では良い友人ですよ」

中「そうでしたか。最後に、マイホームを購入しようとしているLGBTの皆さんに、何かアドバイスはありませんか?」

W「最近、ローンの返済がきつくなって、せっかく買ったマンションを手放した友人がいましたので、そのことをふまえてのアドバイスです。今の時代、金融機関は、かなり無理のある金額でも、信用に傷の無い人になら比較的容易に貸し付けをします。借りられるからといって、無茶な金額を借りるのではなく、まず、頭金など自己資金を作ってから、借入をしましょう。借入総額の目安は、年収の5倍を超えない事。借りる金額が少ないに越したことはありません。計画性を持って、マイホームを手に入れて下さい」

中「とても現実的な問題ですね。大変参考になりました、ありがとうございました」

W「こちらこそ、ありがとうございました」

12:01 | nakahashi | 夢のマイホーム取得を手助けする(ある対談・35) はコメントを受け付けていません
2013/11/15

夫と離婚して、子供を引き取り、女性パートナーとお付き合いしているというビアンさんたちがいらっしゃいます。

中には、子持ちのビアン同士(カップルを含む)で、同居している場合もあります。

どうして男性との結婚歴があるのにビアンなのか?と思われる方もおられるかもしれませんが、結婚をせざるを得なかったビアンの女性は多くいますし、厳密にはバイセクシャル的な要素を多く持っているビアンさんがいるのが現実です。

子持ちのビアンさんの相談で多いのが、子供の養育費に関して、別れた夫に払わせたいというものです。

離婚する際は、とにかく離婚届に印鑑を押してもらうのが精いっぱいで、養育費などの諸条件については決めていなかったというのです。

離婚した事後に、養育費や慰謝料、財産分与などの諸条件を話し合うことは可能ですが、やはり離婚する際に事前に取り決めておくことが重要です。

手順的には、離婚条件を協議する⇒協議で決めた内容を書面にする(離婚協議書の作成)・公正証書で作成するなら、なお良し⇒離婚届を提出⇒離婚成立 という流れがベストでしょう。

調停や裁判にせずに、話し合い(協議)で離婚をするなら、上記の手順を踏むと、後から養育費を元夫に支払ってもらうために苦労する必要はないのです。

養育費は、例え離婚していても、親として子供の養育のために負担しなければならないものです。「最後のパンの1切れまで」というように、親子関係の断ちえない強い絆を根本理念としています。

離婚をスムーズにするために、養育費の請求等を最初からあきらめている女性が多くいるのに驚かされます。

養育費の請求は、子供の権利であると言えます。堂々と、我が子の権利を主張して欲しいのです。

離婚当初は、養育費がなくてもやっていけると思っていても、子供が成長するにつれて、経済的に困窮するケースも見受けられます。

子供を持つセクシャルマイノリティが、親としての責任をきちんと果たして、子供に必要以上の経済的・精神的負担をかけることなく、健全な育成ができるように願って止みません。

12:01 | nakahashi | 養育費は誰のもの? はコメントを受け付けていません
2013/11/01

バイセクシャルの男性Kさん(31歳)と、バイセクシャルの女性Rさん(30歳)は、結婚して2年になる、まだまだ新婚カップルです。

二人の出会いは、まだそれぞれが同性の恋人と交際している時でした。お互いの恋人が友人同士だったことで知り合い、時折4人で食事や旅行に行くうちに、友人としての親交を深めていきました。

やがて、Kさんが恋人と別れ、Rさんカップルとの付き合いも途切れたのでしたが、Rさんが転職した職場で再開するという偶然が起きました。

それ以来、職場の同僚としての付き合いが始まり、Rさんが恋人と別れた際には、その過程の相談役も務めました。

二人の距離は友人以上に縮まり、職場で再開してから1年半でのゴールインとなりました。

結婚前、「バイセクシャル同士が結婚することのデメリットを教えて下さい」という相談をRSNに寄せられ、バイセクシャルゆえの不安や苦悩を整理して、出来る限りのリスクを回避しようという行動をされたのでした。

実際に面談してお話をする中で、バイセクシャルの二人には共通の悩みがある事がわかりました。

それは「惚れっぽい」事です。

異性、同性に限らず、相手の事を魅力的だと思う範囲が広いのです。

惚れっぽいおまけにバイセクシャルときたら、これはもう大変です。

自分自身で自覚しているから、それを相談することで少しでも気持ちを楽にさせようとしているように見えました。

結婚するのだから、相手の事だけを見て、他人を意識しなければ良いじゃないかと思われるかもしれませんが、「惚れっぽい」という心理は、意図して湧き上がるものではなく、本能的にというか無意識にというか、制御不能な心の動きなわけです。

だからこそ、これは厄介です。

最初は浮気でも、それが本気になったらどうしよう? 今、目の前にいる大好きな人を、いつか傷つけることになったらどうしよう? そういう不安をお互いが持っているという特殊な状態でした。

相互により魅力的な自分を保たなければならないという関係は、やがて疲れてしまうでしょう。

そんなお二人に、お子さんが誕生されたそうです。

二人の惚れっぽさは、今は、二人の愛の結晶に向かって一直線だそうです。

誰かを愛おしく思う気持ちが、自分の子供に最大限に向かうなら、これはとても幸せなことでしょう。

理性のある人間だからこそ、性的衝動を、愛をもって、精神的愛情に変換させる事ができるのかもしれません。

愛を忘れない生き方を、もっと多くのLGBTの皆さんが実践すれば、幸せなLGBTの割合もきっと増えるだろうと思います。

12:57 | nakahashi | 「惚れっぽさ」の悩み はコメントを受け付けていません
2013/10/18

今回は、中橋とゲイの川村さん(仮名・47歳)の対談です。

中「川村さんは、葬儀社にお勤めだそうですが、LGBTの方が自分自身の葬儀を考える際に、注意すべき点などありますか?」

川「まず、葬儀の形式と規模については、ご自分がどのような宗教を信仰されているかという点と、参列者がどの程度の人数見込まれるかという事に注意しなくてはなりません。LGBTだからといって、特別な葬儀形式があるわけではありませんので(苦笑)」

中「確かにそうですね(焦)」

川「ただ、LGBTの方の場合、例えば親族と疎遠になってしまっていて、葬儀の主催者、つまり喪主が同性のパートナーだったり、ご友人だったりする場合があります。参列者も少ない場合には、家族葬的な形式でアットホームに葬儀を執り行う場合もありますし、無宗教方式で執り行う場合もあります」

中「葬儀というと、祭壇があって、お坊さんがお経を唱えて、弔辞があって、焼香して・・・とお決まりのパターンがあるように思いますが、必ずしもそうではないということですね」

川「確かにそのような旧来の方式で行う方がほとんどではありますが、必ずしもそれでなくてはならないというわけではありません。たいていの葬儀社では、葬儀の形式に関して柔軟に対応することが可能です。心配であれば、ご自身で事前に葬儀社に相談されるのもいいと思いますよ」

中「事前に相談ですか?」

川「はい。ほとんどの葬儀社では、互助会加入制度というのがあって、生前から積み立てを行うことによって、実際の葬儀の際に様々な特典を受けることができます。そうした互助会に加入されている場合、生前にご自身の葬儀の見積もりを出してもらうことも可能ですので、葬儀の形式や規模に関してもある程度想定しておくことができるのです」

中「葬儀の形式も時代と共に柔軟に変化しているのですね」

川「都心部では、直葬も流行ですね」

中「直葬というのは、葬儀を行わずに、死後24時間以上安置した後に、火葬場に運ぶというものですね」

川「はい。儀式的・宗教的なものを極力排して、火葬に進みます」

中「葬儀としては味気ない気がしますが?」

川「そもそも参列者を想定しない形式ですから、近親者などの近しい人、LGBTの場合はパートナーやごく限られた友人などだけで行います。中には、葬儀は生前葬として、ご本人がお元気なうちに、親しい仲間を招いてどんちゃん騒ぎをして、実際の死後は直葬でという方もいらっしゃいますよ」

中「なるほど。それだと本人にとっては、楽しいですね」

川「今は葬儀に関するサービスが多様化しています。自分自身で自分の葬儀をデザインすることが可能な時代になりました。大切なことは早めに自分の葬儀についての意向を誰かに伝えておくことです」

中「生前葬で、自分を送ってくれる仲間と別れの儀式を楽しくしておいて、実際の死後は、簡素な家族葬もしくは直葬で行うというスタイル、これから増えそうな気がします。葬儀や供養に関する価値観も変化しているのですね」

川「はい。最後まで自分らしくいられるというというのは、とても幸せなことだと思います。個々のスタイルに合わせて、葬儀もバリエーション豊かに行うことができるというのを多くの方に知って欲しいです」

中「大変参考になるお話をありがとうござました」

川「こちらこそ、ありがとうござました」

12:50 | nakahashi | 葬儀について考える(ある対談・34) はコメントを受け付けていません
2013/10/04

10月になり、ようやく朝晩は秋らしい気候となってきました。

まだまだ日中は暑い日も多くありますが、昼夜の寒暖の差に、体調を崩してしまったという方もおられるかもしれません。

さて、暑い季節が終了すると、レインボーサポートネットへの相談数は、気温の低下と共に減少していきます。クリスマス~お正月にかけては、相談数が一時的に回復しますが、その後は春まで低調で推移していきます。

今年の夏に寄せられた相談の特徴としては、SNSやLINEといったコミュニケーションツールを介したトラブルの相談が多く寄せられました。しかも、相談者の年齢層は、10代後半から20代の若年層の皆さんでした。

LGBTのコミュニケーションツールとして、早くからインターネットは使用されてきましたが、最近は、若年層のLGBTとそれ以上の年齢層のLGBTで、インターネットを利用したサイトやツール、アプリケーションの使用媒体が異なってきているような気がします。

相談内容として多いのは、相談者に関する醜聞を、こうしたツールを使用して特定の集団に流布され、その集団の中の一人が、最初の醜聞の書き込みをさらに拡散していくという構図になっています。

その結果として、事実無根な醜聞や、一部の人にしか告白していないような秘密が、自分の知らないところで、無尽蔵に拡散してしまい、友人や知人が離れていってしまったというのです。

インターネット上のLGBTのコミュニティ内でこうした事件は頻発しているわけですが、現状では効果的な打開策は見当たりません。

匿名性を排したツールでも、事実でない醜聞が拡散する危険性が指摘され始めた今日、もはやそれらを使用しないようにするしか、安全策はないのかもしれませんが、それは同時に重要なコミュニケーションツールを失うことにもなるので、麻薬のように使い続けてしまい抜けられなくなるのです。

夏の出会いが、今では仇になってしまっている人が、少なくないのかもしれません。

12:01 | nakahashi | 暑さが過ぎ去り… はコメントを受け付けていません
2013/09/20

日本では同性婚が認められていないため、夫婦としての権利や義務を契約という形で新たに設定することがあります。

レインボーサポートネットでは、そうした契約を『パートナーシップ契約』として承っていますが、その内容はカップルによって千差万別です。

大まかな取り決めのみに終始する契約書は、結婚式の儀式の際に使用される結婚誓約書のような内容になりますし、逆に細かく取り決めをしたいカップルは、ゴミ出しの役割分担とか、風呂掃除の役割分担まで記載したりします。

契約というと、ちょっと堅苦しく感じるかもしれませんが、その内容は微笑ましいものが大半です。

しかし中には、「もし浮気した時は…」とか「自宅にパートナーに内緒で人を連れ込んだ時には…」など、万が一のカップルの危機に直面した際の取り決めをするという方もおられます。

契約で相手の心をつなぎ留めれるわけではないのでしょうが、いざ取り決めを交わそうとすると、極端にいえば強迫的に細かい内容までを決めてしまおうとする場合もあるのです。

パートナーシップ契約の内容を考える作業は、本来は楽しい作業のはずです。しかし中には、その作業がきっかけで心が離れていってしまう場合もあり、まだまだ契約社会になりきれていない日本人の心の葛藤が見えるのです。

結婚という形を別の形で実現しようとした時、その形式に辟易としてしまう心情は、男女の結婚にありがちな「マリッジブルー」に相当するのかもしれません。

そうした意味では、パートナーシップ契約を締結するという行為は、実質的な結婚にきちんと匹敵していると言っても良いでしょう。

結婚という区切りがないから、ダラダラとただ付き合っているだけになっては嫌だというカップルが、パートナーシップ契約という選択肢を選んだ時、その内容を検討する段階から、二人は新たな関係の構築段階に入れるのかもしれません。そして、その段階を超える事ができるかどうかが、永遠の愛に近づけるかどうかの分かれ目になることでしょう。

12:01 | nakahashi | パートナーシップ契約あれこれ はコメントを受け付けていません
2013/09/06

病気療養のため、前回の更新をお休みさせて頂きました。
事後報告になりまして、読者の皆様にはご迷惑をおかけし、申し訳ございません。

さて、この間のHOTなニュースとしては、有名人のカミングアウトがありましたね。
ドラマ「プリズン・ブレイク」で主役のマイケル・スコフィールド役を演じた俳優ウェントワース・ミラー氏が、ロシアでの同性愛宣伝行為禁止法への反対意思表明の際に、ゲイであることをカミングアウトしたということです。

この俳優さんについては、ゲイではないか?という噂はありましたが、この度はっきりとカミングアウトして、しかも、最近のロシアの同性愛者に対する権利抑制姿勢に苦言を呈したという何とも男前なカミングアウトとなりました。

欧米ではこういうことが度々ありますね。有名人が、何らかの機会に自分がセクシャルマイノリティであることを公にカミングアウトするという行為。日本ではまだまだ考えられません。よほど有名な人が口火を切ってくれれば、後に続く人が出るかもしれませんが、まだまだ今の日本は、欧米のように公にカミングアウトする土壌が整っていないのが現状でしょう。

しかし、欧米でのこうした動きは、日本のセクシャルマイノリティにとっても大きな刺激になるはずです。いつかは、堂々と公にカミングアウトしてみたいと思う人も増えるのではないでしょうか?

もちろん、カミングアウトする人が、しない人よりも人間的に偉いというわけではありませんし、カミングアウトするかしないかは自由な選択だと思います。

ただ、社会に対して一定の影響力をもっている有名人・著名人が、自身のセクシャリティを公表することで、社会全体のセクシャルマイノリティに対する評価の向上に役立つことは間違いないでしょう。

カミングアウトすることで、その個人の評価が下がるような時代とならないように、社会全体が個人の個性を尊重できるような状態にならなければなりません。

欧米の有名人のカミングアウトを、ただ「へぇ~」と感じているだけでは、何も変わらないのです。

12:01 | nakahashi | カミングアウトの受け取り方 はコメントを受け付けていません
2013/08/09

今回は、中橋とゲイのお子さんをお持ちの花田さん(仮名)との対談です。

中「息子さんからゲイであるとカミングアウトされた時の心境をお聞かせ下さい」

花「息子の成人式の日の朝でしてね。最初は冗談かと思って、夫と軽く笑い飛ばしてみたのですが、息子は大まじめに告白していたんですね。それで、よくよく話を聞くと、本人は前々からこの日に告白しようと心に決めていたようで、その真剣さに安易な返事が出来なくなって私たち親としては黙り込んでしまいました。当の本人は、告白するとスッキリしたようで、その日は成人式の後にお友達と遊びに行って帰りは遅かったですね」

中「ご両親としては、直ちに現実に直面するのは難しかったわけですね?」

花「それが現実かどうかも分からないというか、そもそも同性を好きになるってどういうことかと理解ができませんでした」

中「ご両親はその後にどう対処しましたか?」

花「夫婦で話し合ったのは、とにかく息子は息子であって、彼の人生が幸せであることを願う気持ちに違いはなく、まだ若いことですし、あまり深刻に考えるのは止めようと決めました」

中「深刻というのはつまり、息子さんがゲイであること自体が深刻な事態であるということですか?」

花「はい。息子の人生にとってプラスになることだとは思いませんでしたから、当時は」

中「つまり、ご両親の間で、息子さんがゲイであると受け入れることに大きな抵抗感があったわけですね」

花「そうですね。息子自身にもまだ決めつけて欲しくない気持ちがありました。う~ん、今でもあるかもしれないです」

中「カミングアウトをされてから、息子さんに対する接し方が何か変わりましたか?」

花「変わらないように努めました。でも、息子から見ると無理していたように見えていたようですね」

中「そう息子さんに言われた?」

花「はい(苦笑) 息子は同性愛を告白してからは、私たち親を気遣いながら、無理しなくていいから、本当はどういう息子であって欲しかったとか、そういうことをぶつけてくれていいと言うんです。でも、そんな風に息子に接することは私たち夫婦にはできませんでした」

中「優しい親御さんですね。でも、そのフラストレーションはなかったのですか?つまり、息子さんがゲイでなければよかったのにとか、そういう願いを思うことは?」

花「それは思いますよ。今でも。でも、息子も、好きでそういう道を選んでいるわけじゃなくて、自然な感情がそういう方向に行くのであれば、もう仕方が無いと思うしかなくて」

中「とても理解があるご夫婦に思えますが、ゲイやLGBTについて何か学ばれたのですか?」

花「息子に告白されたから、図書館やインターネットで夫婦で調べてました」

中「勉強熱心ですね。素晴らしい」

花「いえいえ、とんでもない。最初は、息子の同性愛を何とか治すことができないかと思って調べていたのですよ」

中「治すことができそうですか?」

花「できないんですね。そう、病気じゃないし、そもそも治すという考え方自体が間違っていたのですね。そういうことに気付いてから、ようやく息子と真剣に向き合えるようになったのかもしれません。ケンカとか一方的な押し付けじゃなくて、親としては親としての人生論というか指導的な物言いではあるけれども、息子とたくさん議論をしました。今でもそうです」

中「親として苦しんだのですね」

花「本人に比べたら大したことないと思います。本人はこれからの人生の中で、苦しいことも沢山あると思います」

中「今、息子さんとの関係はどうですか?」

花「普段は特に何も変わりません。でも、息子の将来の話とか、息子と同世代の親戚が結婚するとかいう話になると、ちょっと未だに息子に対する遠慮の様な気持が起りますね」

中「息子さんに結婚話を聞かせるのは悪いと思うからですか?」

花「私たち親が息子の結婚を望んでいると思われると、彼にとってストレスなんじゃないかと…」

中「結婚を望んでいるの?」

花「正直、息子がある日を境に同性愛を止めてくれて、女性と結婚して家庭を築くと言ってくれたら、嬉しいと思います」

中「親としてはそれが本心でしょうね」

花「はい。でも、無理なのはわかっています。息子が彼の生き方で幸せになれるように願っています」

中「息子さんが彼氏をご実家に連れてきたそうですね?」

花「はい(笑) もう一人息子が出来たような気分でいます。いい子だったので、その点はホッとしていますが、彼らの世界のことは彼らにしか分からないことがたくさんあって、そこは親としても立ち入らないようにしています。息子ももう大人ですから、自分の責任で自分の人生を切り開いていって欲しいと願うだけです」

中「今回、ご希望により詳細な家族構成は伏せていますが、他のご家族はご両親と同じような理解のされ方をしているのですか?」

花「今ではもう家族全員が事情を知っていますが、未だに理解が悪いというか受け入れられない者もいます。でも、受け入れること強要すべきではないとも思いますから、家族内不統一も仕方が無いと思います」

中「また、数年したらお話しをお聞きしたいですね。ご家族のお幸せを心からお祈り致します」

花「ありがとうございます。機会がありましたらまた」

12:01 | nakahashi | カミングアウト後の親心(ある対談・33) はコメントを受け付けていません
2013/07/26

LGBTの皆さんから、終活に関する相談をお受けすることも増えてきました。

その中で、自分自身の遺骨の納骨について、どのようにすれば良いのか全くわからないという相談が時折寄せられます。

自分の死後の供養について、後の世代に託すことができないという事情を持つLGBTの皆さんは多くおられます。

そうした場合、いわゆる永代供養の手配をして、墓や納骨堂に納骨することになります。

つまり、生前の元気なうちに自分の納骨場所を確保する必要があるということです。

なお、永代供養を行う場合には、契約内容についてよく確認をすることが必要です。例えば、納骨堂の個人用スペースに33年間は収容されるが、それ以降は共同供養塔に移されて永代供養される場合などがあります。果たして、未来永劫、特定の場所で供養してもらう事が出来るのかどうか、きちんと契約内容を理解しておくことが必要でしょう。

お墓や納骨堂の他に、近年は新しい納骨方法が話題になっています。

①樹木葬:特定の樹木やモニュメントのそばに、墓標を設けずに遺骨を埋設するものです。細かい区画に分かれていますが、傍には他人の遺骨が収納されるので、見ず知らずの人と一緒に眠るイメージです。同じお墓に入るという意味で、生前に「墓友」として交流するケースもあるとか。

②散骨:遺骨の一部を細かく粉砕した上で、自然界に撒くものです。量的に、ごく少量に限られるので、納骨の補助的手段として用いるべきでしょう。なお、散骨する量が多かったり、散骨したものの上に土を被せると違法になります。

③手元供養:遺骨の一部を粉砕して、宝飾性のある物の中に収納して持ち運ぶ(例えば、ペンダントや指輪など)ことや、宝飾性のある置物の中に遺骨を入れて自宅に保管すること、遺骨自体を加工してアクセサリーにすることなどです。大切な恋人・パートナーと死後も一緒にいることができるといった理由で、この方法を選択する方もおられます。

自分の遺骨を、誰が引き取ってくれて、どのように納骨してくれるのかということを、いつまでも?マークにしておくことは、LGBTの皆さんにとっては、解決しない気がかりをいつまでも抱え込むことになります。

もしかすると、必要な「その時」が来るまで、死後の供養の事など全く考えないのかもしれません。

しかし、それでは、将来的に誰かに迷惑をかけたり、本人の望まないような供養になってしまう可能性が増してしまいます。

もうすぐお盆のこの時期、ご自分の年齢にかかわらず、自分のお葬式のあり方やその後の供養について考えてみてはどうでしょうか?

共に人生を歩んでいくことを誓い合ったパートナーがいる方は、二人でじっくり話し合ってみて下さい。それは、遺されたパートナーの負担を減らしてあげることにもつながるからです。

12:01 | nakahashi | どうする?LGBTの納骨事情 はコメントを受け付けていません

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