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今回は、中橋とゲイの川村さん(仮名・47歳)の対談です。
中「川村さんは、葬儀社にお勤めだそうですが、LGBTの方が自分自身の葬儀を考える際に、注意すべき点などありますか?」
川「まず、葬儀の形式と規模については、ご自分がどのような宗教を信仰されているかという点と、参列者がどの程度の人数見込まれるかという事に注意しなくてはなりません。LGBTだからといって、特別な葬儀形式があるわけではありませんので(苦笑)」
中「確かにそうですね(焦)」
川「ただ、LGBTの方の場合、例えば親族と疎遠になってしまっていて、葬儀の主催者、つまり喪主が同性のパートナーだったり、ご友人だったりする場合があります。参列者も少ない場合には、家族葬的な形式でアットホームに葬儀を執り行う場合もありますし、無宗教方式で執り行う場合もあります」
中「葬儀というと、祭壇があって、お坊さんがお経を唱えて、弔辞があって、焼香して・・・とお決まりのパターンがあるように思いますが、必ずしもそうではないということですね」
川「確かにそのような旧来の方式で行う方がほとんどではありますが、必ずしもそれでなくてはならないというわけではありません。たいていの葬儀社では、葬儀の形式に関して柔軟に対応することが可能です。心配であれば、ご自身で事前に葬儀社に相談されるのもいいと思いますよ」
中「事前に相談ですか?」
川「はい。ほとんどの葬儀社では、互助会加入制度というのがあって、生前から積み立てを行うことによって、実際の葬儀の際に様々な特典を受けることができます。そうした互助会に加入されている場合、生前にご自身の葬儀の見積もりを出してもらうことも可能ですので、葬儀の形式や規模に関してもある程度想定しておくことができるのです」
中「葬儀の形式も時代と共に柔軟に変化しているのですね」
川「都心部では、直葬も流行ですね」
中「直葬というのは、葬儀を行わずに、死後24時間以上安置した後に、火葬場に運ぶというものですね」
川「はい。儀式的・宗教的なものを極力排して、火葬に進みます」
中「葬儀としては味気ない気がしますが?」
川「そもそも参列者を想定しない形式ですから、近親者などの近しい人、LGBTの場合はパートナーやごく限られた友人などだけで行います。中には、葬儀は生前葬として、ご本人がお元気なうちに、親しい仲間を招いてどんちゃん騒ぎをして、実際の死後は直葬でという方もいらっしゃいますよ」
中「なるほど。それだと本人にとっては、楽しいですね」
川「今は葬儀に関するサービスが多様化しています。自分自身で自分の葬儀をデザインすることが可能な時代になりました。大切なことは早めに自分の葬儀についての意向を誰かに伝えておくことです」
中「生前葬で、自分を送ってくれる仲間と別れの儀式を楽しくしておいて、実際の死後は、簡素な家族葬もしくは直葬で行うというスタイル、これから増えそうな気がします。葬儀や供養に関する価値観も変化しているのですね」
川「はい。最後まで自分らしくいられるというというのは、とても幸せなことだと思います。個々のスタイルに合わせて、葬儀もバリエーション豊かに行うことができるというのを多くの方に知って欲しいです」
中「大変参考になるお話をありがとうござました」
川「こちらこそ、ありがとうござました」