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今回は、中橋とハウスメーカーにお勤めのWさん(ゲイ・仮名・38歳)との対談です。
中「ちょうど私と同級生ですね。お仕事はハウスメーカーでの営業職だそうですが、年齢的にも多忙なのでは?」
W「そうですね。同級生ですね。この歳になると、仕事もある程度は慣れたものの、部下の指導もしなければならないし、上司や会社には神経使うし、毎日がキツイですね。営業自体は得意というか好きなので、そんなに苦にはなりません」
中「営業、好きなのですか?」
W「ハウスメーカーの営業職は天職だと思っていますよ。お客様のマイホームの夢を叶えるお手伝いができるというのは、とてもやりがいがあります。時間をかけて、お客様との信頼関係を築いて、最終的にお客様の満足される家を建てていくのですから、この工程には、いろいろなドラマがあります。そして、自分が頑張れば頑張るほど、給料に反映される職種でもあるので、仕事の達成感はハンパないですよ!(笑)」
中「いいですね~。とても前向きで。私も見習わなければなりません(苦笑)」
W「自分自身はゲイなので、子供をつくって、家族で暮らせる新しい家を創るっていうのは縁遠いと思うのですが、その果たせぬ夢を、お客様に託しているという感じですかね。ちょっとキザかも(笑)」
中「なるほど。自分の夢をお客様に託す…ですか」
W「家を建てるってのは、やはり、そこに若い親子で住み始めるというケースが多いじゃないですか。まさに新生活というか、結婚したからとか、子供が生まれたからとか、そういう家族安住の場所を確保するという行動であるわけで、それは、ノンケの家庭の代名詞というか、昔ながらの家族像なんだと思います」
中「LGBTで一戸建てを買う人はいない?」
W「そんなことは無いと思いますが、ケースとしては少ないでしょうね。僕のゲイの友達は、ほとんどマンション暮らしですね。自己所有にしても賃貸にしても」
中「住宅を新規に購入する人のほとんどは、住宅ローンを利用していると思いますが、LGBTだと住宅ローンの利用に何か影響はありますか?」
W「LGBTだからローンを組めないということはないですが、ノンケの夫婦なら、夫婦で収入合算をして住宅ローンを組むというケースが多くあります。でも、ゲイやビアンのカップルでは、法的な夫婦ではないので、収入合算はできないでしょうね。そうした意味では、LGBTは1人できちんとした資力がないと、一戸建てにしろ、マンションにしろ、ローンでの購入は厳しいという事になります」
中「現代は共働きの夫婦が多いので、収入合算して、連帯してローンを返済していくわけですね」
W「そうです。そうすれば、借り入れの上限が上がり、よりグレードの高い不動産を購入できるわけです」
中「その点では、LGBTのカップルは優遇されませんね」
W[はい。法的に同性婚制度などが整備されないと無理でしょうね」
中「Wさんが、仕事で知り合ったLGBTの方はおられますか?」
W「お客様のセクシャリティをいちいちお聞きするわけではないので、遭遇していても気付かないケースもあると思います。でも、あるお客様からは、私がゲイだということを何故か見抜かれていて、こっそり、そっちの人ですよね?みたいなことを言われた事があります」
中「そのお客さんというのは、1人暮らしで家を建てる方ですか?」
W「はい。その方の職場の近くに新たに開発された新興住宅地で、平屋の一戸建てを建てられました」
中「その方を営業として担当されたのですね?」
W「はい。無事に引き渡しが終わって、お礼にと新築記念パーティに誘われ、お宅にお邪魔したら、ゲストが私一人で、口説かれました(笑)」
中「それで?(笑)」
W「今の職場に転勤するまでの1年半付き合いました(爆笑)」
中「転勤になって別れたのですか?」
W「はい。円満に別れました。私の仕事はハードなので、物理的な距離は致命傷ですからね。よく話し合って決めました。今では良い友人ですよ」
中「そうでしたか。最後に、マイホームを購入しようとしているLGBTの皆さんに、何かアドバイスはありませんか?」
W「最近、ローンの返済がきつくなって、せっかく買ったマンションを手放した友人がいましたので、そのことをふまえてのアドバイスです。今の時代、金融機関は、かなり無理のある金額でも、信用に傷の無い人になら比較的容易に貸し付けをします。借りられるからといって、無茶な金額を借りるのではなく、まず、頭金など自己資金を作ってから、借入をしましょう。借入総額の目安は、年収の5倍を超えない事。借りる金額が少ないに越したことはありません。計画性を持って、マイホームを手に入れて下さい」
中「とても現実的な問題ですね。大変参考になりました、ありがとうございました」
W「こちらこそ、ありがとうございました」