ゴールデンウィークももうすぐ。
楽しいご予定のある方、長いお休み中にはネイルを楽しみたい方、
多くいらっしゃるのではないでしょうか。
サロンに行ったりセルフネイルをなさったりと、ネイルは綺麗になるけれど、
自爪や指先のトラブルにお困りの方も少なくないのでは。
今回は、美しいネイルをより引き立てるためにもトラブルの対処をお伝えします。
まず、トラブルの代表選手「二枚爪」です。
二枚爪の主な原因は、
・爪切りを使っている
・ヤスリの使い方に問題がある
・乾燥
となります。
以前もお話したとおり、爪切りはご法度だと思ってください。
瞬間的に水平に圧をかけてしまう爪切りは、爪自体の薄い層を剥がしてしまいます(爪は薄い3層構造)。
乾燥もともなうとあっという間に二枚爪に。
次にヤスリの使い方です。
力をかけた往復がけは禁物です。振動と衝撃で爪の層にダメージを与えてしまいます。
正しい使い方は、「力を抜いて一方向で」かけることです。
ヤスリはある程度の長さがありますから、その長さを目いっぱい使うつもりで、
長い一方向を意識します。
慣れないともどかしく感じるかもしれませんが、きちんを「目(グリッドとも)」のあるヤスリならこの方が実は効率的なんです。
当てる角度にも注意が必要です。
爪に対して45度くらい傾けて、先端の裏面に当たる意識をすると良いでしょう。
こちらも爪の層を守るためです。
そして、乾燥。
真冬など明らかに乾燥を感じる季節には保湿に気をつける方も増えるのですが、
手、とくに指先は常に酷使しているパーツです。
保湿は年中、と心がけるべきです。
紫外線や洗剤など、外的刺激も出来るだけ避けるようにしましょう。
お顔同様に手をかけてあげればその分美しさで返してくれます。
最後に、日常的な指先の使い方にも気をつけてみましょう。
立てた爪の先を使う癖はありませんか?
確かに、爪は一種の道具のように使うと便利です。
缶のプルタブを開ける、シールを剥がす、落ちたコインを拾う…などのシーンでは特にそうですね。
でも、指の腹を使うようにすると、爪への衝撃を少なく抑えることが出来ます。
またこの仕草の方がエレガントだと思います。
常にネイルを美しく保ち楽しむ方は、この仕草が身についているようです。
ちょっとした手の動きが上品、というのはおそらくこの動きかと思われます。
乾燥や刺激を長く放置してしまうと、爪周りの角質が硬くなってしまいます。
ガチガチの部分などの応急処置としては、ヤスリで皮膚を撫でてみることも「あり」です。
ちょうど足裏かかとをヤスリで擦るのと同じです。
角質を削り取ってしまって、柔らかい皮膚に戻してから保湿。
削りすぎに注意してください。理想はやはり、ネイルサロンでお手入れしてもらうことです。
ささくれがある場合は、浮いた部分だけを小ハサミなどで摘み取りましょう。
放っておくと深くなっていく可能性があります。
この機会にネイルをサロンで楽しみたい、という方はぜひネイリストにご相談ください。
お休み中の一時であれば、落としやすいケアカラーのメニューがお勧めです。
しばらくは続けて楽しんでいたいのであれば、ジェルネイルを。
せっかくだから自爪では出来ない長さやデザインを思い切り楽しみたいのであれば、
スカルプチュアがお勧めです。
気になる爪へのダメージですが、
もっともダメージが少なくむしろお手入れにも繋がるのはケアカラーです。
ジェルネイルやスカルプチュアは、落とす際にも専用の溶剤を使いますし
爪へのダメージがないわけではありません。
ただし、数回程度を繰り返す分には問題ないと思います。
陽気も華やぐ春の連休、ネイルが綺麗ならなお楽しくなりそうですね!
ネイルを習う人、ネイリストとして働く人、さらに講師としてプロ養成に携わる人。
「ネイルに関わる人=ネイリスト」にも形態はさまざまです。
今回は一括りにされがちなネイリストを細分化してお話しようと思います。
(注:あくまで私の見解に基づきます)
まず、ネイルを習う人。学生さんですね。
ご存知かと思いますが、私のコラムで多く取り上げられている対象の方々です。
働く形態が柔軟に選択できる仕事なので、色んな方がいます。
① 学校卒業後のお仕事として始めようと考える20代前半(または20歳前後)の方
② 子育てがひと段落、専業主婦から卒業してあらたなお仕事を始めたい30代の方
③ お仕事でキャリアを積みつつも将来を見据え転職を考えての20代後半~の方
④ まれに、趣味プラスアルファのプチ収入があればと考える主婦の方
私が接するなかで、もっとも真面目に意欲的にお勉強熱心に感じられるのは③の学生さんです。
社会経験を積まれていることもあり、物事に取り組む姿勢が出来ているようです。
社会で仕事をすることの厳しさもご存知なので、一層熱心にお勉強なさることが多いです。
①の学生さんは、とても差が出やすいようです。
まだまだ若く楽しい誘惑もいっぱい、人生は果てしなく続くように思う楽観的な「若さ時計」のせいかどうか
(その時代を過ぎてしまったアラフォーにはうらやましい限りなのですが)
優先順位がたびたび変わってしまうようで…。
検定を控えた模擬試験などで不合格が言い渡されて初めて焦りだす、という感じです。
しかしそこは若さとパワーでしょうか。
本気になった彼女達の改進にはしばしば驚かされます。
もともとネイルが好きで、センスや目も肥えていることが多いぶん、
本気モードになればあっという間に上達してしまいます。
②と④の方は、ご家庭の事情が最優先であるせいかご本人の希望ではなく状況で左右されることが多いようです。
また、プロ養成のカリキュラムの複雑さ厳しさを知り「そこまで深く携わりたいわけではない」と判断されることもしばしばあります。
現在ではサロンで主流のジェルネイルを専門とするジェルネイリストに、活動の幅を絞る方も少なくありません。
さて、ネイリストとして働く人、です。
たぶんこの層がもっとも幅広く多岐に渡ります。
講師との兼業も多く境界線もはっきりしないでしょう。
それでも講師層とは比較にならないくらい、幅広くネイル業界のメイン層を占めています。
先ほどの「ジェルネイリスト」なるジェルネイル専門のネイリストもいます。
プロネイリストは、お客さまにネイルサービスをするのが仕事なのはいわずもがな。
しかしプロといえども、その技術の差も幅広くあるのが事実です。
いわゆる上手な人、下手な人、です。
その見極めをいくつか挙げてみましょう。
・仕上がりが満足いくものかどうか
・周囲の反応はどうか
・2週間以上、保てるかどうか
以上の3点がおおまかな基準かと思われます。
お金を払って時間を使っても、仕上がったネイルを見ればニコニコ出来るかどうか。
きれいだね!と周りの人たちが誉めてくれることがあるかどうか。
2週間くらいは何のストレスもなくそのままの指先が保たれているかどうか。
簡単なようですが、これらを満たす技術を出来るネイリストなら、たぶん「上手な人」に入るでしょう。
この「上手な人」はあくまで一般的なお客さん目線です。
私たちプロ同士の「上手な人」はまた別次元のお話になります。
こちらはマニアックなお話になっていくので、また別の機会に譲ります。
最後の「もち」に関しては、色々な要因があり一概にネイリストの技術だけでは判断できませんが普通基本的には、ということです。
年齢層も幅広いですが、はやり主軸は20代30代です。
細かい仕事がらの集中力と視力の点からも、年齢的な限界はどうしてもあるようです。
意外に思われるかもしれませんが、体力も必要です。
集中しての作業は思いのほか体力も使いますし、フットサービスなどでは足腰にもかなりきつい労働になります。
(力を抜いた人間の足って重いんです)
アート的センスも必要ですし、お客様とのコミュニケーションのため話術や気遣いも求められます。
トータルバランスの良い年齢となると、やはり経験を積んだ30歳前後がベストなのかもしれません。
また、現役で年齢と経験を重ねているということは、やはりネイル全般におけるセンスがあるということではないでしょうか。
日々の技術向上への研鑽もあると思います。
そうしたネイリストは、常に忙しそうですし(お客さんが離れていかないので)講師の兼業も始めるかもしれません。
現場においても任されるポジションにあり、後輩の育成にも力が入ります。
そうなると益々自身の技術や知識に磨きがかかり、いわば「のっている」状態です。
トップネイリスト、カリスマネイリストとはこの層にあるのはないでしょうか。
さて、最後は講師ネイリストです。
前出のトップネイリストが講師の場合は、講師の名にふさわしいとても優れた講師です。
一般では「講師」ときくと「エキスパート」と思われるかもしれません。
実際そうであることが多いのですが、残念ながらそうでないことがあるのも事実です。
特に技術を扱う世界においては、あっては困る残念なこともあります。
講師の名にかまけ、技術と知識の更新を怠ってしまった場合です。
講師が相手にするのはこれから習う「素人さん」です。
ここが重要。
素人さんからすれば、どんなに下手でも講師は講師。上手に見えます。
講師の言うことは正しいと思います。
呼ばれる呼び名は「せんせい」。
自分のレベルを正す機会がないと、あっという間に裸の王様状態です。
この、講師が陥ってしまう罠。
私も恥ずかしながらこのトラップに引っかかってしまう寸前まで堕ちた経験があります。ですから、なおさらこの罠には敏感ですし、罠にかかった講師にも敏感です。
この罠にかからず、もしくは罠を罠と認識し潜り抜けた者が本当の講師と名乗れるのはないかと思っています(妙な手前味噌ですが)。
この件に関しても、次の機会に詳しく取り上げることにしようと思います。
講師の年齢層も幅広く、20代から上は60代近い方(私の知る現役と思われる範囲で)。
日本ネイリスト協会が認定する、認定講師という制度があるためです。
実際には講師業を行っていないとしても、この資格を持っていれば講師と名乗れるからです。
反対に、この認定講師資格を持っていなくても講師業の実業は務まります。
最近では難しいのですが、以前は割りと多いことでした。
実質さえ伴えばOKだったのです。
問題視される傾向が顕著になり、徐々に資格取得と実質の充足がイコールになってきましたが
かつては現場において講師の認識ががあいまいだった時代がありました。そう昔のことではありません。
ネイル技術と教える技術は別、とも考える人が少なからずいることも事実ですが、両方を兼ね備える必要性が現在では求められています。
どの世界もそうかもしれませんが、長く続けるということは独りよがりでは出来ないことで
周囲の評価も必要です。
そして何より、続けられる意思の強さ。
それをクリアできれば、本当にネイルは柔軟に人生の長いスパンで活かせるお仕事なのだと実感しています。
今回は、スクールに通う生徒さんのお話をしようと思います。
私が講師を務めるのは、社会人向けの各種資格取得を得意とする大手スクールのネイルコースです。
一般的なネイルスクールはネイルサロン直営や関連という形が多いので、私のスクールのような形は特殊といえば特殊かもしれません。
転職や資格仕事、というキーワードにマッチするためか受講される生徒さんも一般のネイルスクールより幅が広いように感じます。
年齢的なものももちろん、経歴や職歴、環境なども本当に様々です。
以前にご紹介した「親子ネイリスト」のような方もいらっしゃいます。
ネイルサロン通いをされていて「ネイル大好き!極めたい!仕事にしたい!!」というきっかけより、「ネイリストって仕事としてどうなんだろ?」という方が多くいます。
そんなせいかどうか、個人のキャラクターも個性豊かで刺激的、同種に偏らず様々な方々がクラスメイトとして集うので見ていて面白いこともたくさんあります。
これからお話するエピソードは、プライバシーを考慮して事実をベースに若干のアレンジも加えます(が、かなり事実に近いです)。
初日の自己紹介、みなさん緊張しています。
お名前と軽い自己紹介をしてもらうのですが、ある時「元・キャビンアテンド」という方がいました。
お化粧もばっちり、姿勢がもの凄く良くて、終始口角を上げ気味にして「良いお顔」でいらっしゃいます。足も常に斜めに組んでいたり、立っても片足が半歩前です。
それなりの場所でないと、案外にもこうした完成度の高い雰囲気って浮くものみたいです。
別に何もしていないのに、彼女は明らかに「異種」でした。
私の経験上、第一印象で何かしら「ん?」と引っかかる場合は、その後も色々な意味で悩みの種になったりということが多いものです。
彼女の番がきて、ハキハキしたアナウンサーを意識したような明るい声でご挨拶を始めました。
「わたくし、元はCAでございました。ネイルは女性の嗜み、これから皆さんとともに頑張ってお勉強いたしたいと思っております」
関係ないかもしれませんが、うちの学校は千葉にあります。
このキャラは場所柄やや珍しいような…。銀座校とかならしっくりくるかもしれません。その後も他の方の自己紹介をにこやかに相槌を挿みながら聞いていた彼女。
私よりぜんぜん先生っぽいです。すごく疲れそうで心配です。
もしかして今回のクラスはこの人が「要注意生徒さん」かな…なんてうっすら思いました。
そしていよいよ初回の授業開始。
初めての授業では、まず道具や材料の説明と確認、座学ではネイルの歴史を学びます。
スタートから約15分、ガターンという音がしました。
驚いて見ると彼女が椅子から落ちちゃってます。
慌てて近寄ると「具合が悪い。。。」と。とにかくスタッフを呼び、空いてる教室に椅子を並べて横になってもらいました。
心配で様子を見に行くと目を開けていたので、大丈夫?と話しかけました。
「先生、すみません、わたくし時々こうなってしまうんです」と。
落ち着いたところで今日のところは帰宅することになりました。
そして彼女はそれから二度と現われませんでした。
後のスタッフの説明では、実は他の校舎にも一度通ったことがあるそうで、そのときもほぼ同じような状況で初日で帰ってしまったのだとか。
しばらくして本人から「もう一度通いたい、でも違う校舎で」との連絡があり今回に至ったそうで、
なぜ違う校舎なのか、なぜ初日に具合が悪くなってしまうのかよくわからないままなのだとか。
特に持病(緊張による発作とか)があるという話でもないらしく、またいつも元・CAであることを常に必要以上に強調する意味もよくわからず。
その後彼女がどうしているかは知りませんが、謎多き女性として記憶に残っています。
うーん、今も不思議。そしてやっぱり少し心配。
お次のお話。
検定試験にはアートの課題があります。
その都度テーマは与えられて、今春に控えている試験の場合だと「バタフライ(蝶々)」ですし、前回は「スイーツ」でした。
ある時の試験、お題は「海の生き物」。
決められた時間内にバランスよく手際よく見栄え良く描こうとすると、だいたいパターンは決まります。
イルカ、ニモ(クマノミ)、海亀。
このあたりが人気でみなさん頑張って描いていました。
いつもニコニコしていて可愛らしい、でもその若さゆえだけではない天然ぶりがやや心配だった生徒さんがいました。
彼女は最初イルカを描いてきました。
なんか違和感を感じる…と思って観察すると、イルカのほっぺ(が実際はあるかどうか)にピンクの丸いチークを描き入れているのです。
子供向けのアニメならいいのかもしれませんが、試験ではないほうがよさそうです。
「イルカにチークはいらなくない?」と言うと、
「えっ!?」と、もの凄く意外だったというような反応が。
試験だからね、と諭し描き直しを指示しました。
数分後、出来ました、と可愛い声がしたので見に行くとまったく同じチーク仕上げ。
だからなんでチーク描いちゃうの?いらないでしょ、と強めに聞くと、
少し口を尖らせて
「じゃあ、センセ、亀にしてもいい?」と聞きます。
いいけど…。
それから嬉々として描き始めた彼女。出来ました!で呼ばれると。
もうおわかりですね。
海亀のほっぺにもしっかり丸いチークが。
長いため息をつきたいのを我慢して、描き直しを伝えると
「え~、じゃ、今度はニモにする」と。
どうぞどうぞ。
そして、また同じ展開です。
たぶん普通だったら、からかわれてるのかと思いますが、彼女はいたって真剣なのです(それが天然)。
あのさ…、と私が言うと、周囲の黙々と作業していた他の生徒さんも流れを読みクスッと笑い出します。
「えーっ、ダメですか?」と上目遣いで聞いてくる彼女。
「てか、なんでいつもチークを絶対描いちゃうの?」
「えー…、だってこっちの方が可愛いから」と。
ま、「アート」なのでその発想はありっちゃありなんですけど。
結構真剣な試験なので、かたく合格を目指すならやっぱり「なし」です。
早口でまくし立てたい気持ちを抑え、ゆっくりした口調で諭しました。
結果、口を尖らせ納得いかないオーラ満々で普通にイルカを描き上げてくれましたが、
果たして本番ではどうだったか…。
試験後は会っていないので今も時々気になります。
後は、練習に付き合ってモデルになってくれているお母さんと喧嘩を始めちゃうとか。
モデルさんって、素人とはいえ慣れてくると割りと目が肥えるらしく
生徒さんより冷静に評価が出来たりするんですね。
身内なのでなおさらのようで、
「違う、先生はこうしていた」とか「もっとそーっとやっていた」とか
聞いているこちらも、わが意を得たりのような的確なアドバイスをズバッとしています。
すると生徒さんが怒っちゃうんです。
「うるさい!」とか「わかってるよ!」とか。
するとお母さんも負けていなく
「だからアンタのやり方は違うってば!」とか。
親子喧嘩勃発です。宿題やったの?今やろうとしたのに!みたいな。
そんな時、身内の争いには下手に口を出さない方が良いので、
しばらくは聞こえないふりで静観しますが、
ボルテージが上がりそうなら間に入ります。
やれやれですが、それだけ皆さん真剣ってことで微笑ましくもあります。
色んな方と接することで、私も楽しかったり刺激を受けたりしています。
またコミュニケーションのお勉強にもなりますし。
なにより、この仕事をしていなければ接することのなかったであろう年齢層や
経歴をお持ちの方々にお会いできるのは本当に嬉しいことなんです。
ネイル技能検定試験、特にプロとして通用するか否かの目安となる2級・1級は、
半年に一度の開催とあって受験生もかなりの緊張感をもって臨みます。
その方の、今後の方向性を左右するかもしれない大事な試験です。
私たち運営側も責任をもってサポートしなければなりません。
会場は独特の緊張感に包まれます。
プレッシャーや緊張に震えてしまう指先、でもその指先でベストの技術を行わなければなりません。
それがまた緊張を呼びさらに震えが止まらない…。
私も経験したので(コンテストにおいてはいまだ経験中!)よくわかります。
人によっては事前にお腹の調子を崩す方もいるようです。
道具類のセッティングを済ませると、いよいよアナウンスが流れ本番前の最終準備時間に入ります。
事前審査といって、試験前に様々な点をチェックする時間です。
要項での規定違反がないかなどを主に見てまわります。
ここからすでに減点式のジャッジが始まっているので、受験生さんも怯えたように試験官を見上げます。
減点式とはいえ、意地悪な視点であらを探すわけではありません。
あくまで決められた公平なチェック項目に則っているのですが、
第三者にチェックされるというのは緊張するものです。
もちろん、ぜんぜん怯える必要はないんですけど…。
すがるような目で「大丈夫ですよね?私、ヘンなコトしてないですよね?」的な表情をされる方が多いように感じます。
その緊張をほぐすため試験官の多くは、優しく微笑むように接することを心がけている場合が多いと思います。
なかには忙しいタイムスケジュールにおされ、その余裕がない方もいますが。
後日の感想はここで分かれるようです。
「試験官が超怖かった!」とか「すごい優しかった」とか。
またこの印象が、将来自分も試験官(イコール認定講師)になりたいかどうかのきっかけにもなるようです。
いずれにせよ、緊張で顔が強張っている方がほとんど。
その空気は私たちにも伝わり、私語禁止の会場は針を落としても聞こえるくらいシンと張り詰めます。
いよいよスタートのアナウンスで実技試験開始です。
ここからはひたすら夢中でこなしていくので、緊張も忘れるようです。
私たちはその間も何か起こればすぐ対処が出来るように、
また途中の審査もしながら担当エリアを巡回します。
暇なのはモデルさんです。
2級なら90分、1級だと150分、ひたすら両手を差し出しジッとしています。
何もすることがないので、キョロキョロ(動けないので目だけ)周囲を観察している方や
襲ってくる眠気と必死で戦っている方がほとんど。
なかには親御さんをモデルにされている方も多いので、そんな方々は大抵心配そうにお子さんの手つきを見つめています。
男性もモデルが可能なので、彼氏やご主人、お父さんやご兄弟のように見受けられる方も多数います。
おそらく、女性より男性の方がこの拘束は苦手のようです。
当初は興味津々で「オンナの園」を観察していたりしますが、
時間の経過とともに見るからに生気が失せていくようです。
実技が終わりホッとしたのもつかの間、その後の審査(こちらも1時間弱)がさらに追い討ちをかけ、
すべてが終わりモデルさんが解放される頃には死んだ魚のような目をしている方も。
その点、女性はそれほど様子が変わらないようです。
(もちろんすごくすごく疲れているとは思いますけど)
また、お母さんらしきモデルさんの場合、
試験官と目が合うたび「よろしくお願いします」のような含みで軽く頭を下げたりする方もいて、
こちらとしては非常に恐縮してしまいます。
試験中には、ネイル特有の匂いで一時的に気分の悪くなる方もたまにいます。
会場には救護室が用意されているので、休まれると大抵は回復されますが、
その間受験生さんの試験が待ってくれているわけではありません。
万一それが原因で試験内容に支障が出たとしても、
それは理由にならないので受験生さんにとっては仕方ないとはいえ無念だと思います。
モデルさんの心配と自分の無念。
泣いてしまう方も少なくありません。
そんな姿を見るのは私たちもとても辛いです。
受験生は実技の後、審査中はいったん会場外に出ます。
ここでも自分の実技を振り返り、後悔の涙を流している方もいます。
スクールのお友達を見つけ、小声でお互いの報告をしている方もいます。
大抵は「駄目だった…」という声です。結果はどうあれ、この時点で余裕ある様子の方は稀です。
審査が終わり、モデルさんが退場されると今度は筆記試験です。
筆記試験はそれほどの難関ではないので、普通にお勉強していれば大丈夫。
実技に比べると気も楽なのでしょうか、実技を終えて一安心という感も強く緊張がほどけ、会場の空気は変わります。
「もうすぐ終わる…」と表情も和らいでいる方が多く見られます。
緊張の糸が切れたように呆然としているように見える方もいます。
筆記試験が終われば、無事試験終了です。
2日間のうち、2級は午前と午後の2回、1級は1回のみ行われます。
多くの試験官は2日間通して運営を行います。
それこそ、朝から夕方遅くまで。
短い休憩があるだけで、ずっと立ちっぱなしです。
肩や腰の不調を口々に訴え、足をさすり、朝とは明らかに老けた顔で2日間を終えます。
何はともあれ、大きなハプニングもなく終了することにホッとします。
会場には、自分の生徒さんを見つける講師も少なくありません。
いつもの力は出せただろうか、何か失敗はしなかっただろうか、
そんな心配もあり、試験官も合格発表までは内心落ち着かなかったりします。
実技中の危なっかしい手元を見ると、出来ることなら片っ端から変わってあげたいくらいの時もあります。
私の場合、試験後には試験を終えた生徒さんからの連絡ラッシュが始まります(笑)。
失敗を自覚し、すでに泣いてしまっている方。
終了後に合流したモデルさんの爪(試験の作品)を写メで送ってくれる方。
色々ですが、共通して一言、
「とにかくお疲れ様」とだけ伝えるようにしています。
不測の事態があるとしても、半年間の自分の実力でしか結果は出ません。
「本番はなんとかなる」と言う方もいますが、まずなりません。
それを思い知っての反省なら、きっと次につながると思います。
私が直接審査をしたのではないし、結果は出ているとはいえ誰にもまだわかりません。
今感じている気持ちを忘れず、約1ヶ月先の合格発表を迎えてほしいだけです。
その先のことはそれから。
それまでは、少しの間ネイルを忘れてリフレッシュするのもいいかもしれません。
これまで一緒に戦ってきた私も束の間のホッとした気分になれます。
合格発表があれば、また次に向けて動き出します。
半年に一度の試験ではありますが、
私にとって仕事として携わるようになってからは日常に組み込まれたリズムのひとつです。
その一つ一つのリズムが、生徒さんや受験生さんにとっては一生に一度のことかもしれない、
といつも忘れないように心がけています。
検定試験ではどんなことをするのでしょうか?
これは、ネイリスト検定を受けてみたいと思われている方は当然のこと、
そうでなくても興味が少しある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、その内容を具体的にお話しようと思います。
まず、登竜門である3級からですが、
3級と2級については、事前に自分で用意したモデルさんに赤いマニキュアを10本塗っていくことが前提です。
マニキュアを落とすところから実技はスタートします。
(これが出来ていない、または明らかに手抜きだと失格や減点になります)
70分で、消毒からスタートしマニキュアの除去、
10本お手入れ後10本赤いマニキュアを塗布し、指定の指1本にイラストアートをして終了です。
アートのテーマは、その時々で変わり事前に発表されます。
今春は「フラワー」です。お花のアートを赤いマニキュアに映えるよう描きます。
3級受験料は、6,000円です。
2級についてです。
2級は、「プロとして」通用するかどうかをジャッジされます。
内容は、前半後半に分かれます。
前半は、35分で消毒からスタート(これはネイルの施術や試験ではお決まり)し10本をお手入れして終了です。
1分のインターバルをはさみ、すぐに後半スタートです。
後半は、55分。やはり消毒からスタートし指定の指1本にチップラップと呼ばれるリペアの技術を施します。
長さを人工的に出しかつ自然に美しく仕上げる技術です。
欠けてしまった指などに行うものです。
残り9本のうち、8本は赤いマニキュアを塗り、残り1本はアートです。
アートの指も事前に指定され、赤色以外のマニキュアを塗り指定されたテーマに沿ったイラストアートを施します。
ちなみに今春のテーマは「バタフライ(蝶々)」です。
2級の受験料は、8,000円です。
最上級の1級。
こちらに事前の準備指定はありません。人工爪を作る試験になります。
150分で、合計7本の指に指定の長さを出した人工爪を作ります。
このうち5本と2本に技法がわかれますが、仕上がりを同じにしなければなりません。
さらに1本の指に、あらかじめ用意したチップを貼り付けアートを施します。
テーマは2級と同じです。
技法は、3D(スリーディー)と呼ばれる立体的なパーツを作ることが中心で、
プラス他のアート技法をミックスさせるミックスメディアと呼ばれる複合アートです。
用意してきたチップも、試験中に行った他の7本の指と同じフォルム(形)でなければなりません。
1級受験料は、10,000円。
いずれも、事前に発表される試験要項にのっとった内容になります。
指定の指とアートテーマはその都度変わりますし、
禁止事項や制限事項もあります。
ジャッジの基準や決められた形に関することも細かく多く、ただ出来れば良いというレベルではありません。
ようは、「お金をいただける仕上がりであるかどうか」。
限られた時間の中、緊張しながらもその合格ラインの技術を行うのは想像以上の力が求められます。
1人の受験者につき、3人の試験官がジャッジをし公正公平な判断を行います。
そのほかに不正行為や減点失格行為がないか、常に複数の試験官がウロウロしています。
工程によっては、その所作も審査対象です。
これが受験生にとってはものすごいプレッシャーみたいなんですね。
私も(というか、その会場にいる試験官全員)試験をパスしてきた者ですから
かつては皆さんと同じ立場にありました。
ですから、その緊張はよくわかります。
そんな状況でもベストを発揮するには、技術だけでなく強いメンタルも求められますし、
その結果を出すための日々の練習と努力を続けるモチベーションを保つ精神力も必要です。
複数の試験官がジャッジするということは、誰が見ても「合格」と思える完璧さを目指すべきなのです。
初めてこの内容を知った方、そのハードさを想像していただけるでしょうか?
おそらく少しでもネイルに触れたことのある方(お客さんとしても)からすると、
よりリアルに想像していただけるかと思います。
結構、大変なんです。そりゃ、合格したら嬉しくて泣いちゃうってもんです。
そして、その大変な試験をパスし、今度はジャッジする側にまわるとなると、
協会の認定講師試験に合格しなければなりません。
またこれが大変で…。
内容は今回は割愛いたしますが、もう、なんというか。
ひたすら大変でした。求められることが多すぎる。寿命が縮む思いでした。
その試験もパスした認定講師が、試験会場の運営を行っています。
タフでなければ、本当にネイルを好きでなければその立場にいません。
その運営も、受験とは違ったストレスとプレッシャーを感じながら行っています。
ですもん、ネイリストは色んな意味で強いわ(笑)。
話がそれそうなので、戻しましょう。
試験は各地で行われます。すべての級において受験者はモデルを同伴します。
ですから会場には受験者の倍の人数がいるわけです。そして運営スタッフ。
ちなみに、関東のオフィシャル会場である東京ビッグサイトには
当日だけで約5千人くらいいることになります。
大勢の方が、この日のために昼夜問わずの努力を重ねてきたと思うと
結構感慨深いものがあります。
さて、次回はそんな試験会場における試験官からみた様子をお伝えしようと思います。
色んなドラマが生まれてる。。。かも、です。
お楽しみに!
ネイリスト検定試験、という試験があることをご存知でしょうか。
もしかしたら、あまり興味のない方からすると、
「上手にマニキュアが塗れる試験?」
というイメージかもしれません。
まあ、間違いではありません。
プロとしてお金をいただく以上は上手に塗れなくては話しになりませんもの。
ですが実際はもっともっと奥深く難易度も高い本格的な試験なのです。
ネイリストのイメージにありがちなチャラチャラキラキラさは微塵もないのです。
今回はそのネイリスト検定試験のお話です。
正確にはネイリスト技能検定試験といいます。
一般財団法人 日本ネイリスト検定試験センター(JNE)が主催する試験です。
この記事を書いている2012年2月現在、ネイリストとして働くための受験および級取得は必須ではありませんが
実際に自身のレベルを示す肩書きとして無いよりあった方がいいのが現状です。
サロンの求人にも、「2級以上」や「1級以上」の所持者を条件として募集していることがほとんどです。
そういった意味以外にも、受験や取得には前向きであるべきと私は考えます。
なぜか。
プロとして必要な知識技術が確実に身に付く手段だからです。
器用な人なら、絵心がある人なら、パッと見には上手に見える技術があるかもしれません。
でも、色々な方のお爪に触れる仕事です。
トラブルを抱えている場合も少なくありません。
人様の体の一部に手を加える責任は小さくありません。
爪を飾ることよりも必要不可欠な知識と技術が基本となります。
爪の構造、ネイルのための皮膚科学、手指の骨格、扱うネイル用品の化粧品学、爪の異常や病気、ネイルの歴史。
ざっと挙げただけでも座学で学ぶ内容は専門的かつ幅広いのです。
加えて、実際の技術に関するお勉強。こちらも理論から学びます。
これらの基礎があって成り立つのが施術です。
試験では、段階に分けてその成果を評価します。
3級、2級、1級とあり、飛び級受験は出来ません。
3級試験は年に4度。2級と1級は年に2度の開催です。
いずれも実技の他に筆記試験もあります。
合格目安としては、
3級…ネイルケアカラーの基本が学べている
2級…プロとしてサロンワークに通用するネイルケアカラーとリペアの技術知識を有している
1級…スカルプチュアを含めた総合的なトップレベルの技術知識を有している
となっています。
3級の合格率は約80%と、比較的大きく開いた門です。
なぜならまだプロとしてのレベルは要求されていないからです。
「学べている」のニュアンスはそこです。
2級、1級になると合格率はぐっと下がります。
約40%。ときにはそれに満たないことも。
これは「プロである」という評価の壁の表れです。
ほとんどの学生さんがこの2級と1級を目指してスクールに通いお勉強します。
そしてその審査の細かさ厳しさにまず衝撃を受けるようです。
それこそ、重箱の隅をつつくような、もしかしたらそれ以上の細かさです。
私たちネイリストが「真っ直ぐ」といったら、とにかく真っ直ぐなのです。
「ムラなく」といったら、ムラのムの字も許しません。
こういった目を養うのも、こうした数々の試験やコンテストなどを経験してこそです。
限られた時間のなかで、誰が見ても合格ラインを満たしている仕上がりが求められます。
実技試験の所要時間は、
3級では70分、2級では90分、1級では150分です。
その前に事前審査があり、実技終了後には審査時間がおおよそ1時間近くあります。
筆記試験はその後にやはり1時間近くあります。
受験生はモデルを各自用意し同伴します。
モデルさんの爪をあらかじめ試験用に準備しておく必要もあります。
ですから、試験は試験の数日前から準備が始まり、当日はほぼ1日がかりなのです。
同伴されるモデルさんも、相当な我慢を強いられます。
試験中および審査中はトイレに行くこともままなりません(禁止ではない)。
もちろん私語禁止、飲食禁止、携帯なんてご法度。
ジーっと両手を突き出し座っているのです。
私たちネイリストは自分のための勉強と我慢、そして努力ですが
モデルさんは果てしなくボランティアです。
ネイリストにとってその活動や成長は「モデルありき」なのです。
私もこれまでたくさんの方々に協力していただきました。
そして今も。本当に感謝感謝です。
無事合格しても、やっとスタートラインに立ったということでしかありません。
そこからは対お客様の実践が待っています。プロとして。
車の運転と同じ、実地を繰り返して技術を高めていきます。
新人のうちは「お金をいただいて練習させていただく」という身分です。
ここからさらにレベルアップしていくには、メンタルの成長も求められます。
次回は、級ごとにいったいどんなことをするのか、その試験内容をご紹介いたします。
ネイルの世界には、通常のサロンワークのほかに検定試験やコンテストが多くあります。
お客様にネイルサービスをおこなうサロンワークは、ネイリストの仕事のメインをしめますが
その技術や情報を常に最新かつ高いものに保つためには、そういった試験やコンテストが不可欠だと思います。
自分の技術を客観的に評価してもらうことは、我流になりがちな「腕」や「目」を鍛えるためにもっとも効果的です。
今回からはそんな試験やコンテストのお話をご紹介していこうかと思いますが、
まずは柔らかくネイルアートのお話です。
以前にネイルアートをしてみましょう!編でお伝えしたのは、実践的なアートです。
通常サロンでサービスするアートのベースでもあります。
しかし、ネイルアートにはコンテスト用のものも存在するのです。
コンテストですから、技を競うわけで、実用性は必ずしも必要ありません(むしろ不要)。
ネイルの技術を総動員してあらゆる用具材料を使い、
「こんなことも出来ちゃいます!」的な、まさしくアートを競うのです。
アートを施す土台は、ネイルチップ。
爪に実際に貼り付けることが出来るチップです。
コンテストアートでは、チップだけを飾り立てるタイプのものと、実際にモデルさんの爪に最終的には装着しメイク・コスチュームともにトータルで仕上げるものとあります。
ネットのキーワードに「ネイル アートチップ コンテスト」で検索してみてください。きっとたくさんの実際の画像が見られると思います。
ちょうど先週に私が講師を務める学校でチップコンテスト(前者タイプ)があったので、どんなものか写真をご紹介します。
ああ、恥ずかしい。
…これはもちろん私の作品。共通のお題であるテーマは「春のいぶき」。
実は私はアートが一番苦手。
こうしてご紹介するのはとてつもなくお恥ずかしい限りなのですが
普段あまり目にすることのない読者の方もいらっしゃると思いますので
勇気を振り絞りました。はい。
ご同業の方が見てらっしゃるかもしれないと考えると怖すぎて仕方ないのですが。
気を取り直して。
チップは片手5本分。
長さは自由ですが、こうして有り得ない位の長さのチップを使うことも多いです。
マニキュアでベースカラーを塗り、その上にアートをしてあります。
イラストはアクリル絵の具を使い筆で描いてます。
上部のモコモコした部分は人工爪に使うアクリルです。エンボスアートという技法です。
蝶々も同じくアクリルで作り紋様は絵の具で描きました。こちらは3D(スリーディー)アートと呼ばれる技法。
このように複数のアート技法を混ぜることをミックスメディアアートと呼びます。
検定試験の内容にも含まれる技術です。
この写真のようなアートはとても単純なものです。
実際の大きなコンテストになると格段の差でお話にもなりません。
受講生さんへのいわゆるお手本見本なのと、校内コンテストなのでわかりやすく基本的なものです。
(とはいえ、繰り返しますが私のアート力量はこんな程度です…)
さて、アートに関してよく聞くことで、
「私はセンスがないんです」とか「絵が下手なので向きませんよね?」といった不安の声があります。
これからネイルをお勉強しようと考えてる方がまず口にされることなんですが、
これははっきりお答えできます。
まったく関係ありません。
センスや絵の上手い下手は確かに差が出る部分でありますが、
ある程度のアートは「慣れ」なんです。
配置のバランスや描き方は慣れれば、サロンワークではほぼ通用する程度のアートが出来るようになります。
ド下手な私が言うのですからきっと説得力があるのでは、と思ってます。
そこから先、たとえば本格的なコンテストに臨むなどのレベルにはセンスを磨き技法の向上が必要になります。
センスの磨き方(アートの発想など)は、とにかく色々な作品を見ることのようです。
実際の絵画や食器類からヒントを得るというネイルアーティストも多くいます。
服の柄や包装紙など、身の回りにもヒントはたくさん溢れています。
やはり細かいことが得意なネイリスト達は、細かい所にも目が行くのかもしれませんね。
さて。
「メンズネイル」です。
さすがにこの言葉も認識されつつあるのではないでしょうか。
ネイルとは無縁の方も耳にされたことくらいはあるのでは、と思います。
ここでご注意。
メンズネイルとメンズネイリストは別物です。
前者はネイルを楽しむ男のかたのことで、
後者は男のネイリストを指します。
今回は前者「メンズネイル」のお話をいたします。
ネイルもよくわからないのに男がそれをやるなんて信じられん!!と目を丸くされる殿方も少なくないのでは。
やるのです。時代は変わったのですよ(笑)。
とはいえ、まだまだ少数であることは事実です。
顔をパックしたりエステに通う男性がいるご時世ですが、ネイルにはなかなか手が回らない様子です。
その理由を私が個人的に勝手に考えてみました。
面倒くさい。
別に爪なんて短くしてればそれでいい。
なんか女っぽい。
意味がわからない。
…こんなところでいかがでしょうね?
なかにはもしかしたら、
「やってみたいけどなんか恥ずかしい」的な予備軍もいらっしゃるかも、ですね。
ちなみに、私の主人の意見は、
「綺麗になるのは凄いと思うけど、そのために1時間近くジッとしてるのは耐えられない」
だそうです。
なるほど。要はそこまでの必要性も感じていない、ということですね。
実際に数回手を借りたことがありますが、「まだぁ?ねぇ、まだ終わらない?」と五月蝿いのなんの。
ではどんな方がメンズネイルをなさっているのでしょうか。
ネイル業界に携わる方。
マジシャンや営業マンなど人前で指先を注目される方。
芸能著名人の方。
お洒落意識が高い方。
あとは、
彼女や奥さんがネイリストで非常に理解がありかつ協力的にモデルをしてくれる方。
(俳優の黒田アーサーさんがこのタイプ)
というところでしょうか。
私の知っている「メンズネイルな有名人」をざっと挙げてみます。
*敬称略
郷ひろみ、DAIGO、Mr.マリック、武田修宏、パンツェッタ・ジローラモ。
メディアで見かけたらぜひ指先をチェックしてみてください。
またミュージシャンや野球選手にもネイルをなさる方がいらっしゃいます。
こちらの場合はお洒落というより補強のためであることが多いようです。
ミスチルの桜井氏も、数年前はギターを弾くために便利なのでと自らサロン通いを告白してました。当時のライブ映像を見ると確かに数本自爪に近い形のスカルプチュア(人工爪)が付いているのを見つけました。
(担当のネイリストさん、手に手をとって羨ましい…と思ったものです)
では、実際メンズネイルはどういったことをするのでしょうか。
基本的には、男性なのでさすがに長さや色味はありません。
あくまでも清潔感のある指先がモットーです。
お手入れをし、短く整えた爪の表面をバフがけして磨き上げます。
ポイントに1~2本、男性らしいクールなアートをすることもあります。
色は、黒や白、グレーに赤やシルバー・ゴールドなどが定番でしょう。
メンズネイルの仕上がりを競うコンテストもあるんですよ。
男性でネイルにまで気を配るのはなかなかのお洒落達人。
ネイリストとしては大歓迎ですが、プライベートの相方としてはこちらも気を抜けないような気がしてしまう私です。
なんて言っているようでは私もまだまだなんでしょうね、反省。
先日は、JunkStageの総会に出席してきました。
総会の後は新年会で、初めてお会いする方々にご挨拶させていただくべくこちらも参加させてもらいました。
さすが「一芸ライター集団」。
みなさん魅力的な方々であちこちのテーブルで盛り上がり、あっという間の楽しい時間でした。
私はというと…。
借りてきた猫状態でした。
お若いうえに様々な「一芸」のある方々。その溢れるエネルギーに圧倒されておりました。
興味深いお話を伺うだけに精一杯、普段いかにぬるま湯にどっぷり、だったか思い知らされまして…。
しかしながらとっても刺激的でした!
細やかなご配慮で素敵な時間を作ってくださったスタッフのみなさん。
もっともっと個々にお話をしたかったライターのみなさん。
お疲れ様でした。ありがとうございました。
さて、当日話しかけてくださった方で多かったのはやはりネイルに関してのご相談でした。
伸ばしたいのに亀裂が入って伸ばせない。
似合う形はどんな感じかしら?
爪以外のハンド部分はどんなお手入れをするべき?
フットについて興味ある。
メンズネイルって…?
などなど。
今後のコラムにて詳しく取り上げる予定のご質問もありますが、
簡単にそのお答えとアドバイスを今回はお話します。
まず、爪とハンドのお手入れ方法です。
今の季節は乾燥も激しいので、いつも以上にお手入れはこまめになさってください。
炊事などではゴム手袋をはめ、それ以外でも水に触れたらハンドクリームを塗るようにしましょう。
ケミカルの合成洗剤類は、肌だけでなく体内においても悪影響を与えます。出来るだけ直接皮膚に触れないようにするべきです。
また、肌に付いた水が蒸発する際に相当な水分・油分を奪われてしまいますので乾くすきを与えないつもりで直後のクリーム類塗布が理想です。
手の甲がいつもしっとりしている状態を、ご自身が通常であると慣れることが大切です。乾いた感じを自覚するアンテナをぜひ育ててください。
亀裂や二枚爪も乾燥が原因ならば、以上のお手入れで改善されます。
他に考えられるのは、爪先を使う動作をしていないかどうかです。
キーボードを打つ、本を棚から引っ張り出す、靴のかかとを引っ張り上げて履く…など。
案外意識もせずにしている動作に爪を使っているかもしれません。
かばって指の腹を使うようにすると、爪への負担が減少するので亀裂や二枚爪を防ぐことになります。
それから、爪切り。
以前の「イケナイ爪切り」でもお話したとおり、爪切りの使用も二枚爪の原因になります。出来るだけヤスリで整えてくださいね。
ただその方の持っている爪の質もありますので、残念ですが限界もあります。
色々と気遣ってもなお理想とする状態にならない場合は、ぜひネイルサロンにご相談ください。
ネイリストが一緒に最適な方法を考えアドバイスさせていただきます。
自分の爪に合う形ですが、これはなかなか高度なご質問でした。
(思わず豹変して声も高らかに熱く語りだすところでした)
その方の指全体と今現在のお爪の長さで決めることが多いです。
丸みのない形は長い爪向きで一番アートが映えるといわれています。
短い爪なら先端を鋭めの丸みにシェイプするとほっそり見えます。
最近の流行は、長さに関係なく丸みのあるタイプです。
フットについては「セルフネイル・フット編」にて詳しくその手順などをお話しましたのでまたぜひご参考になさってください。
サロンにおいてのフットサービスについては、コラムになりそうなお話もありますので今後取り上げる予定です。
男性が楽しむネイル「メンズネイル」については、近々テーマにしますのでお楽しみに!
男性の手元も見られる時代です。特にご職業柄ネイルのお手入れは必須という方も(少数ではありますが)いらっしゃいます。
男性諸君、必見ですよー(笑)。
私が講師を務めるネイルスクールは、幅広い年齢層の受講生さんが多いことが特長です。20代の方が中心ではありますが、私が担当したなかで、上は62歳、下は18歳。
6人~8人の一クラスに様々な方がクラスメイトとしていらっしゃいます。
当校はネイルスクールには珍しい担任制クラスです。
入学すると毎週同じ曜日同じ時間に、平均1年半ほど一緒に過ごされます。
みなさん「ネイリストになりたい」という共通の希望を胸に入学されるのですが、
その理由はさまざまです。
以前にお話したシェアリングによってもそれ以外のタイミングでも、
徐々に学校と講師の私に慣れてきた生徒さんから色々な打ち明け話を聞きました。
今回はその中でも印象深かったお話をご紹介します。
Aさんは、40歳を過ぎてのお勉強開始でした。
そのお若い様子からそうは見えないのですが、すでに成人したお嬢さんのお母様です。
当初は「子育てがひと段落したので」とおっしゃっていましたが、
後日「実は…」と打ち明けてくださいました。
お年頃のお嬢さんとは、徐々に話も合わなくなり会話も少なくなっていったそうです。
そのうちお家も空けがちで友人宅に泊まる日が続き、母親であるAさんは寂しさとともにどう関係を修復したら良いかわからず途方に暮れていたそうです。
自由になる時間が増えたこともあり、なにか今までしなかったことをしてみようと習い事を検討していたところ、ふと思いついたことがありました。
そういえば、娘はネイルを好きでよくやっているな…。
ネイルは自分も興味があるし、何より少しでも娘さんとの接点を掴めれば、
という気持ちでネイルのお勉強に白羽の矢を立てたのでした。
実際に始めてみると想像以上に奥深く可能性も幅広いネイルにすぐに夢中になりました。
ネイルのお勉強には練習に手を貸してくれる方(モデルさんと呼びます)の存在が必須です。
お嬢さんにお話してみたところ、意外にもすんなりモデルを承諾して付き合ってくれたそうです。
最初はぎこちない雰囲気がなくもなかったのですが、そのうち感性も鋭いお嬢さんも熱心に練習に付き合ってくれるようになりました。
何よりこれをきっかけにして以前のようにご家庭にもお嬢さんの姿があるようになったそうです。
お母様であるAさんの熱心な様子に触発され、お嬢さんもネイルにさらに興味を抱くようになります。
そして数ヵ月後、スクールに入学したお嬢さんの名前がありました。
お互いが手を貸し合い、勉強に関する情報を共有したりするいわば「ネイル友」にもなったのです。
私に、Aさんの練習を冷静に分析しダメだしを語るお嬢さんの様子は、なんとも微笑ましく羨ましくなってしまうほどでした。
Aさんは現在、立派なネイリストとしてご活躍されています。
ネイルをきっかけに他方面での出会いが増え、趣味を超えたネイル以外の専門分野もお持ちです。
お嬢さんはネイルのお勉強を続けつつ、ご結婚、ご出産されお若く可愛らしいお母さんになりました。
主婦であり子育てを終えた母親であり、
今ではお若いおばあちゃまで、
ネイリストでもあるAさんはお会いするたびキラキラとされている素敵な女性です。
「本当になんてことはないただの主婦だった」と、かつてのご自分を笑って振り返られる充実した日々を過ごされています。
同じ女性として先輩でもあるAさんとの出会いは私にとっても貴重なものです。
ネイルこそは私がご指導させていただきましたが、色々なことをAさんから学んだと思っています。