今回は、中橋とFTMのリキさん(仮名・33歳)との対談です。
中「リキさんは、子供が欲しいと真剣に願っているそうですが、そのための具体的な行動は計画しているのですか?」
リキ「はい。時間的にのんびりしてはいられないので、パートナーとも話し合って、実際に行動しようと情報を集めています。そのためのお金も、パートナーと頑張って稼ぎまくってます!(笑)」
中「逞しいですね。リキさんはFTMですから、産むのはパートナーさんということでよろしいですか?」
リキ「はい。でも卵子は私のを使ってもらいます」
中「リキさんは、性別適合手術を受けていないという事ですね」
リキ「そうです。子供が無事に産まれたら、性別適合手術を受けたいと思っています」
中「つまり、卵子はリキさんのものを使って、それを精子と受精させた後に、パートナーさんのお腹に移し、出産してもらうということですね」
リキ「そうそう。私のパートナーが代理母みたいになります。戸籍上も母親となるでしょうけど、遺伝子的には私が親です。この繋がりで家族を作りたいと切に願っています」
中「精子はどう調達するのですか?」
リキ「精子バンクでもいいし、協力者もいないわけではないですし、それはけっこうどうでもなるんです(笑)」
中「そうなんですか!精子の価値、何だか低いですね(焦)」
リキ「そんなことはないですよ(爆) でも、海外に行けば、かなり選べます。そこは、パートナーと色々検討しています」
中「やはり海外でないと難しいのですか?」
リキ「日本でも色々と動きはあるようですが、現実的には海外に行った方が早くて確実ですね」
中「同じようなことをされた方は多いのでしょうか?」
リキ「実際にはどれくらいいるのかわかりませんが、今は結構いるんじゃないですかね」
中「そんなにまでして子供が欲しいと思う理由は何ですか?」
リキ「そりゃあ、男の本能でしょう!自分の子供を孕ませたいですもん(爆)」
中「あぁ、なるほど。男性的発想ですね、確かに。。」
リキ「だから、一刻も早く性別適合手術を受けて、戸籍上も性別変更をしたいけれども我慢しているんですよ。子供ができるまでは!って」
中「確かに、現行の制度だと、戸籍上の性別変更には、性別適合手術を受けて、生殖機能を失う必要がありますね」
リキ「酷い制度だと思いますよ。性別変更させてあげるから、生殖機能を失えっていう拷問じゃないですか? LGBTだって、子供が欲しいと思いますよ。今は医学も発達していることだし、そういう手段で子供を持てるなら、LGBTのカップルだって子供を持ち、育てていきたいですよ」
中「確かに、自分の遺伝子を後の世代に受け継がせたいと思うのは、性別云々ではなくて、人間的な本能かもしれませんね」
リキ「自然じゃない妊娠・出産をすべきではないという人がいますが、ヘテロセクシャルの夫婦でも不妊治療で妊娠・出産する人たちが多くいますよね。こういう人たちも自然な妊娠・出産ではないじゃないですか。それと区別する意味がわかりません」
中「確かに、差別的な取り扱いだということもできると思います」
リキ「子供はもちろん大切に育てていきます。普通の家庭ではないのは確かだけど、そういうマイノリティの家庭に生まれ育ったことを恥じる事がないような育て方をしていきたいと二人で誓っているんです」
中「様々なハードルがあると思いますが、お二人の夢が叶うように頑張って下さいね」
リキ「はい!頑張ります」
高校を卒業して10年以上経った同窓会で、久しぶりに旧友に再会し、またつるむ様になったという「ひとみ」さん(仮名・アラサー)の悩みは、その旧友からの思わぬ告白でした。
その旧友(「あい」さん・仮名)は、高校卒業後、地元を離れて都会の大学に進学し、大学時代に知り合った留学生の外国人と結婚。その後、夫と外国に移住して生活をし、最近になって日本に戻ってきました。
不便な国で暮らしていたという、あいさんは、最近になってSNSを始め、同窓会の情報をキャッチ。久しぶりに、同級生たちと合流できたのでした。
一方、相談者のひとみさんは、高校を卒業後、地元の短大へ進学。そして、地元の会社へ就職し、会社で知り合った男性と婚約中の身です。
ひとみさんとあいさんは、離れ離れになっていた期間を感じさせないほど打ちとけ合い、同窓会後にもわざわざあいさんが新幹線に乗って、ひとみさんに会いに来るほどの親密さになっていました。
二人で会った際には、お互いの男性パートナーの話をし、ひとみさんはあいさんから結婚生活のい・ろ・はを教えてもらう等、友人としての付き合いを深めていきました。
ひとみさんが恋人と正式に結納を交わして婚約をし、結婚披露宴の日取りも決まって、いよいよ結婚の日が近づいて来た日の事でした。
ひとみさんは、あいさんから、愛の告白をされました。
戸惑うひとみさんに、あいさんは「一方的な気持ちだから、ただ伝える事ができただけで幸せ。これまでと変わらぬ付き合いをして欲しい。できれば好きになって欲しいが、無理強いはしない。でも、あなたが結婚してしまうのは悲しい。もし、自分の気持ちを受け入れてくれるのなら、夫と離婚してもいい」と伝えたのでした。
突然の予想外の告白にショックを受けたひとみさんは、レインボーサポートネットに相談を寄せられたのでした。
メール相談を何度も重ねるうちに、ひとみさんの気持ちは徐々に整理されていきました。
あいさんのことをどのように思っているのかを、自分の気持ちに問いかけ、混乱した思いを整理して、まず、自分の気持ちに正直になりました。
ひとみさんは、あいさんの事は友人として大好きだが、恋人になれるわけではないし、性的関係を築くつもりもない。あいさんは、夫がいるのに、その人を裏切ろうとしている。そのことは軽蔑に値する。あいさんには、夫を大切にするように伝えたい。と考えるようになりました。
ひとみさんは結婚披露宴の直前、あいさんに電話をして、自分の正直な気持ちを伝えました。
これから結婚しようとしている女性として、妻として女としてどうあるべきかを、今度はあいさんにわかって欲しかったからでした。
あいさんは、短く「わかった。ありがとう」と言って、電話を切ったそうです。
それから、間もなく、あいさんが夫と共にまた外国へ旅立ったとのことでした。
ひとみさんが結婚して1年、子供が誕生し、育児に日々めまぐるしく過ごしている時でした。
海外のあいさんから出産祝いが届きました。ひとみさんとは連絡を全く取っていませんでしたが、共通の友人とは連絡を取っており、ひとみさんの出産の情報が伝わったそうです。
お祝いの品に手紙が添えられていました。「あいさん、出産おめでとう。私ももうすぐ母になります」
ひとみさんは、あの時、あいさんに正直な自分の気持ちを話した事を、本当によかったなと実感しました。あいさんが日本を離れた事を知ってから、ひとみさんは自分自身の事を責めていましたが、この手紙で救われた気持ちになりました。
そしてまた二人の日本と海外の遠距離での交流は再開し、高校時代の仲の良い『友達』に戻ったのでした。
大切なものを失うのか、それとも新たに手に入れるのか、ターニングポイントにおいて考えるべきは、その時に課されている責任を全うできるのかという観点なのかもしれません。
消費税が5%から8%に上昇し、色々なものの価格が上昇しました。
そもそも今回の消費増税の理由は、「高齢化社会における社会保障財源の確保のため」だそうです。
つまり、高齢者の医療や介護・福祉などについての国の出費が増え、これを補う必要があるので消費税を上げたということでしょう。
今日ほどの超高齢化社会になると、医療機関や介護・福祉サービスや施設にお世話になることは、全国民的に晩年のほぼ定められたレールであろうと思われます。
少子化や核家族化により、自分の老後を自分の子供や親族に託せないという方がほとんどです。
LGBTにとって、将来の老後の心配はつきものです。特に、自分の子供をもうけることは多くのLGBTには無いわけですから、老後を誰かに看てもらうという発想を排除して、老後の設計をしなくてはなりませんでした。
その老後の設計の際に、「ヘテロセクシャル(異性愛者)は、自分の子供に老後を託せるからう羨ましいな」という気持ちになり、何か悔しいような気持であったのが、結局、ヘテロセクシャルであっても、子供が老後を看てくれるというケースが少なくなっているという現状ですので、そういった面では、セクシャリティの老後の不安の格差は解消してきているなと、多くのLGBT当事者は感じ始めているのです。
逆に、LGBTの方が、元気なうちから自分の老後について真剣に考え、いわゆる『終活』として様々に準備をしているケースが多いとすると、老後に自分の不本意な医療や介護を受けてしまうリスクの大きさは、ヘテロセクシャルの方が大きいのかもしれません。
終活に関しては、ヘテロセクシャルよりも、LGBTの方が先行しているということです。
終活の定義は、『自分の最期を自分らしく迎えるために必要な準備をすること』です。
自分らしい生き方を貫いてきたLGBTにとっては、人生の終わりも自分らしさを貫く事が必然と言えます。
自分らしい人生の最期を考える時、それは、一般の人が普段はなかなか考えない『自分らしさ』に真剣に向き合う事になります。
自分らしさを考えるという事は、他者との違いを認めるということでもあります。
終活ブームの今日、人の生き方の違いにまで思いを馳せ、自分の中にある他者への差別や偏見が適切に是正されることを期待します。
今回は中橋とFTMの「コウキ」さん(仮名・30歳)との対談です。
中「コウキさんは、私の仕事と少し隣接している士業の先生ですね」
コ「先生だなんて、まだまだです。資格は取りましたが、先輩の事務所で修行中の身ですから」
中「将来は独立ですか?」
コ「えっ、いやそれはどうでしょう(焦) 今はとにかく仕事を覚えるのが精一杯なんで」
中「どういうお仕事か説明してもらえますか? 私はわかっていますが、対談の記事を書きますので(笑)」
コ「はい(笑) 土地家屋調査士といって、不動産の測量をして、表示の登記をする仕事です。外にいる事が多いので、日焼けに困ります(笑)」
中「つまり、不動産の大きさや種類などの状況を登記簿に記載するために必要な測量や図面の作成をするお仕事ということですね」
コ「そうです。わかりやすく説明するのって難しいですね」
中「確かに外にいる事が多いお仕事でしょうが、図面を作成したり、申請書を作成するのは屋内ですよね?」
コ「はい。でも、私は専ら現場で修行中です。作業着が心地よいと感じる今日この頃です」
中「コウキさんは、FTM、つまり、肉体的性別は女性だが、心は男性というわけですね。見た目は、イケメンですから、FTMだと気付かれないことも多いのではないですか?」
コ「はい。これだけゴツイと気付かれないですね。同じFTMの友達からは、偽物扱いされます。まぁ、いいのですけど(爆)」
中「仕事上では、FTMであることの支障はありませんか?」
コ「名前がですね~『〇子』なんですよ。よりによって。だから、身分証明的な部分で困ります。早く手続きをして改名したいです」
中「う~ん、そのイカツサ、、いやイケメンぶりで、〇子は有り得ないですねぇ」
コ「でしょう。こういう仕事だと、戸籍上の名前で仕事をしないといけないので、将来的に独立して事務所を開設する際には、改名できていればいいのですが」
中「コウキさんは、性別変更手続まで考えておられますか?」
コ「はい。今はまだ時間が無くて無理ですが、仕事にある程度の自信が持てて、自分の時間を多く取れるようになったら、手術を受けたいと思っています」
中「ためらいはありませんか?」
コ「ありません。むしろ待ち遠しいです!」
中「意思は固いようですね。でも、今は仕事最優先ですか?」
コ「はい。まだ修行中ですから。一人前になるまで頑張ります!」
中「応援していますよ。これからもがんばって下さいね。今日はありがとうございました」
コ「ありがとうございました」
先日、久しぶりにLGBTライフ研究会の勉強会に参加させて頂きました。
この研究会は、LGBTのより良いライフスタイルを追求するために、一定期間にテーマを決めて、研究を行い、成果を発表したり、レポートや書籍を商品化しているグループです。
今回は、パートナーシップ契約に関する研究成果の発表が行われるということで、声をかけて頂きました。
実際にパートナーシップ契約を交わしたカップルの実体験に関する発表や、これから契約や誓約を交わそうとしている方の意気込みなどが披露されました。
私はレインボーサポートネットの活動を通じて、実際にパートナーシップ契約書の作成をしたことがありますが、どうしても法的な要素を重視しがちになります。
「契約書」とか「誓約書」というネーミングのものなので、法的な要素を重視するのは私にとっては当たり前の感覚なのですが、当事者の皆さんは、法的な部分よりもお互いの気持ちの証明といった要素を重視しており、それを敢えて書面化することで、ヘテロセクシャルの場合の婚姻届のような意味合いを実現しようと考えているわけです。
実際に結婚披露宴やそれに類似したセレモニーを行うLGBTの方も増えており、そうした際に参列者の面前で署名するための誓約書の需要もあるとのことでした。
今回のテーマの成果物として『パートナー契約事例集』を編集・刊行されたということで、内容を見させて頂きましたが、当事者の皆さんのアイデアが良く生かされている内容でした。
パートナーシップ契約や結婚誓約書の作成を考えておられる方には、良いバイブルになるのではないでしょうか。
販売は、動画配信会社の協力を得て、インターネットを通じて、PDFをダウンロードする形式で行われています。
なお、下記のリンクにて、販売サイトを閲覧できますが、アダルト動画配信サイトであるため、18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。また、主にゲイ向けのアダルト動画配信サイトであるため、その点を十分にご留意の上、閲覧して下さい。
まだまだ寒い日が続いていますが、この時期は、春からの新生活の様相が決まり始める重要な時期でもあります。
つまり、進学・就職・転勤・・・など、春の移動が明らかになってくる時期です。
距離的に離れ離れになってしまうカップルの関係の危機が、まさにこの時期に訪れはじめるのです。
毎年この時期、レインボーサポートネットには「彼氏が転勤で遠方に行くのですが、遠距離恋愛を始めるべきでしょうか?」とか「進学で彼女が他府県に一人暮らしを始めるのですが、付いていくべきでしょうか?」といった内容の相談が寄せられます。
二人のつながりが強ければ、多少の遠距離恋愛には耐えられるかもしれません。
しかし、距離のために、面と向かって会うこと、一定程度の長期間にわたり難しいという場合には、心の距離にまで影響を与えてしまいます。
恋愛における距離というのは、お互いを信じる心のバロメーターだと思います。
物理的な距離が遠くても、お互いを信じる心があれば、心の距離は開きません。
現実問題として、物理的な距離は、心の距離に影響を与えてしまうということは否定できません。
付き合ってきた期間の長さや、お互いの関わりあい方の度合い、貞操観念や信頼度など、カップルごとに違う条件においては、絶対にどうだということは言い切れません。
これから春にかけては、出会いと別れの季節。
物理的距離の発生を「縁が無かったんだな」と潔く諦めるのも、大人の決断と言えるでしょう。
何事にしても、居心地の良い現場を変化させるのは、相当なストレスです。
でもその変化が必ず発生してしまうような境遇となった場合には、ある意味での諦めも必要なのです。
そもそも迷いが生じるという時点で、結論が出ているような気がします。
勇気を持って、新しい世界に飛び出し、居心地の良かった過去を、新天地でも形成していくだけのモチベーションを持ち続けたいものです。
だらだらと結論を長引かせることだけは、時間の無駄です。絶対にやめましょう。
今回は、レズビアンの自助グループを主宰する「ひかる」さん(26歳・仮名)と中橋の対談です。
中「自助グループの活動内容について教えて下さい」
ひかる「私たちのグループは、若いビアンの新しいライフスタイルを快適にするための研究をして、その成果をメンバーにフィードバックさせるという活動をしています」
中「すいません。よくわからないです。具体的に教えて下さい(焦)」
ひかる「例えば、美容や健康についての情報交換や、ビアンカップルにおすすめの旅行先の情報交換などです」
中「ビアンの皆さんに有益な情報を共有する活動という事ですかね。それにしても『若い』という前提なのですか?」
ひかる「一応そうです。私自身が若くない段階に来ているので、そのうち追い出されるかもしれませんが、若い感性を大切にしているサークルです」
中「いやいや、決して若くないことはないでしょう!若いビアン同士の情報交換の場ということですね。出会いの場でもあったりするのですか?」
ひかる「そうですね。下心がある人は大歓迎です(笑)」
中「メンバーは何人?」
ひかる「総勢では30人くらいです。その中で、いつも集まるのは12,3人といったところかな」
中「情報交換は、実際に集合して行っているのですか?」
ひかる「イベントを時々行うので、そこで顔を合わせた時にとか、普段はSNSでやってます」
中「失礼かもしれませんが、かなり軽い感じのノリの集団に聞こえますが、そんな感じですか?」
ひかる「う~ん、軽い・・というかユルいというような…、ノリは良いですよ」
中「将来的には、そのグループはどうなるのですか?」
ひかる「具体的には決められませんが、中心メンバーが歳を取ると、卒業者が出てくるのでしょうね。そして、若い子は少しずつ入ってくるので、入れ替わりが進んでいくと思います」
中「活動内容からして、本当に学校のサークルみたいですね」
ひかる「はい。まさに。でも、運営に必要な経費の負担などは、会費という形で集めたり、イベントで収益が出た場合には、それをサークル活動に還元したり、運営の事務的なことはしっかり処理しています」
中「グループの存在は、メンバーの皆さん個人にとっては大きいものですか?」
ひかる「生活の一部になっていると思いますので、大きいと思いますよ。ビアンである事に関して言えば、このグループに属しているという事自体が、自分自身をビアンなんだなと再認識させてくれることもあるのです」
中「それだけ存在が大きいのですね。メンバーの皆さんの精神的な拠り所として成り立っているなんてスゴイじゃないですか」
ひかる「まあ、私の人徳でしょう(爆)」
中「居心地の良い集団であり続けることはとても難しい事だと思いますが、良い形で発展されることを願っています」
ひかる「ありがとうございます。がんばります」
セクシャルマイノリティの皆さんが、LGBTとして生きていくことの困難さを実感するのは、義務教育~高校時代であると言われています。
この時期は、幼年期から急激に心身共に成長する時期であり、『学校』を舞台とした子供社会にドップリとハマる時期でもあります。
友人関係や先輩後輩の関係、教師との関係等の本格的な人間関係を体感で学ぶ重要な時期です。
そして、この時期に、自分のセクシャリティを自認する人が多いのも特徴です。
「自分が人と違う」と、自分自身と周りの友達との性自認の違いを認識し、そこで生じる様々な葛藤や焦燥を経験し、人生や社会の壁を実感することが多いのです。
当事者がどのような実感を抱いたかを、実体験から読み解き、全セクシャリティの子供たちがより良い教育を享受するためにも、実際のデータの収集が欠かせません。
各地の研究者が、こうした分野について研究し、教育現場に生かすことのできるノウハウの構築を実行してくれれば、そのノウハウを用いて、現場の教師の皆さんに適切な指導を実行して頂けるのではないかと思います。
なお、現在、下記のHPで、LGBT当事者の皆さんの学校生活に関するアンケート調査を行っております。貴重なデータの収集にご協力頂ける方は、よろしくお願い申し上げます。
リベンジポルノとは、元配偶者や元恋人の裸体の画像や映像などを故意にインターネット上に流出させる悪質な嫌がらせ行為のことを言います。
レインボーサポートネットに寄せられる相談の中にも、リベンジポルノに関する相談が増えてきました。
実際に被害に遭っていなくても、該当するような写真を撮られた経験から不安になって、相談を寄せられる方もいらっしゃいます。
スマホや携帯で気軽に写真が撮れるようになった今日、様々な日常の場面で写真を撮ることはよくある事なのでしょうが、個人の重要なプライバシーとも言える裸体や性行為などの場面の画像は、むやみに撮影するべきではありません。
故意であれ、過失であれ、一旦インターネット上に流出してしまった画像を完全に削除してしまう事は難しく、半永久的にインターネット上を漂流することになってしまいます。
流出しては困るような写真を絶対に撮らない、撮らせないことが重要なのです。
最近では、プライベートで撮影した性行為の場面の動画が、本人たちの意思とは無関係に流出し、アダルト動画として有料配信されてしまっているケースもあります。
盗撮されてしまった場合は仕方ないかもしれませんが、少なくとも自らの意思で、セルフポルノを撮影することは、現代社会においては、致命的な社会的ダメージにつながる事を忘れてはいけません。
リベンジポルノを処罰する法整備が行われるようですが、例えそのような罰則が出来たとしても、流出させてしまおうと思う人の衝動は止まらないでしょう。
自らのセルフポルノ撮影の欲求を断ち、パートナーや恋人からの誘いも断る勇気を、一人一人が持たなければならないのです。
個人情報に対する意識を高めることが、最も有効な危機管理となります。
早いもので今年もあと数日で終わりですね。
今年1年の「レインボーサポートネット」への相談状況を振り返ってみると、家族関係に関するご相談が多い1年でありました。
最高裁の「非嫡出子の相続分を嫡出子と同じくする判断」や「性同一性障害で女性から男性へ性別変更した方を父親と認める判断」に関する報道が大きくされたおかげもあるかもしれません。
『家族』というものの定義について、法的に揺れに揺れた1年でしたが、LGBTにとって、この家族定義の議論は、大変大きな関心をもってみるべきものであります。
日本は著しい少子化のために、従来の家族定義のままだと、少子化に歯止めをかけることができない恐れがあります。
多種多様な家族定義を認めることは、生殖医療の更なる発展を促すと共に、その利用の機会を増やし、新しい家族観によって、そこに迎え入れられるべき子供達の存在をおおいに肯定するものです。
旧来の保守的な家族観が間違っているわけでは決してありません。その家族観を基本としながらも、当事者の自由な選択によって、現代の生殖医療や将来の生殖医療が可能にするであろう子孫のもうけ方に光を当てる必要があるのです。
「子」を欲しいと願う誰もが、親としての義務を適正に果たすことを条件に、新しい家族を構成する自由を享受できる社会にすることで、我が国の少子化による国力低下を少しでも防ぐことができるのではないでしょうか?
具体的には、
- 生殖医療により誕生した子供の母性や父性を、生物学的観点からだけで判断せず、当該医療の受診者とそのパートナーを父母とすることを認める。(先の性同一性障害により性別変更した方の場合や、代理母や卵子提供によって誕生した子供の問題を解消できる)
- 同性婚制度を認め、生殖医療により子供が誕生した場合には、父又は母が2人存在するという状況を認める。(例えば、男性パートナー同士の子供の場合には、父が二人いる家庭となる)
- 特別養子縁組の制度について、その要件を緩和し、法的な実親効果の発生を促進していく。
このように提言すると、家族観というのは、個人の価値観での判断が許されるものではなく、国家や国民の総意により形成されるものであるという主張をされる方がおられます。
確かに、立法を要するという面では、個人の価値観だけで判断されるものではありませんが、内心における観念としては、憲法によっても保障されているとおり、完全に自由なものです。
選択肢を狭めることは批判されるべきものであると考えますが、多様な選択肢を創設すること自体には何ら罪はないはずです。
必要な時に、必要な人たちがそれを選べるという状況を創り出すことは、自由で民主的な社会の象徴とも言えるでしょう。
我が国の将来を考えた時に、少ない人数で、限られた選択肢の中で窮屈に生きていく社会よりも、個人の自由が保障された中で、様々な発想をもった人たちが、お互いの自己実現のための人生の追及を、数多ある選択肢の中から選びながら行っていく社会の方がどれほど魅力的でしょう。
旧来の家族観と、生殖医療やLGBTの存在を前提とした新しい家族観を対立構造にしては絶対にいけません。
それぞれ認めて、その選択に関しては、国民一人一人に委ねられるような社会にしていくことが、これからは大切なのです。
そして、その判断の基準について、国民一人一人が自分でしっかりと観念できるように、様々な価値観の養生を、子供の頃から適切に教育していくことが重要なのです。