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高校を卒業して10年以上経った同窓会で、久しぶりに旧友に再会し、またつるむ様になったという「ひとみ」さん(仮名・アラサー)の悩みは、その旧友からの思わぬ告白でした。
その旧友(「あい」さん・仮名)は、高校卒業後、地元を離れて都会の大学に進学し、大学時代に知り合った留学生の外国人と結婚。その後、夫と外国に移住して生活をし、最近になって日本に戻ってきました。
不便な国で暮らしていたという、あいさんは、最近になってSNSを始め、同窓会の情報をキャッチ。久しぶりに、同級生たちと合流できたのでした。
一方、相談者のひとみさんは、高校を卒業後、地元の短大へ進学。そして、地元の会社へ就職し、会社で知り合った男性と婚約中の身です。
ひとみさんとあいさんは、離れ離れになっていた期間を感じさせないほど打ちとけ合い、同窓会後にもわざわざあいさんが新幹線に乗って、ひとみさんに会いに来るほどの親密さになっていました。
二人で会った際には、お互いの男性パートナーの話をし、ひとみさんはあいさんから結婚生活のい・ろ・はを教えてもらう等、友人としての付き合いを深めていきました。
ひとみさんが恋人と正式に結納を交わして婚約をし、結婚披露宴の日取りも決まって、いよいよ結婚の日が近づいて来た日の事でした。
ひとみさんは、あいさんから、愛の告白をされました。
戸惑うひとみさんに、あいさんは「一方的な気持ちだから、ただ伝える事ができただけで幸せ。これまでと変わらぬ付き合いをして欲しい。できれば好きになって欲しいが、無理強いはしない。でも、あなたが結婚してしまうのは悲しい。もし、自分の気持ちを受け入れてくれるのなら、夫と離婚してもいい」と伝えたのでした。
突然の予想外の告白にショックを受けたひとみさんは、レインボーサポートネットに相談を寄せられたのでした。
メール相談を何度も重ねるうちに、ひとみさんの気持ちは徐々に整理されていきました。
あいさんのことをどのように思っているのかを、自分の気持ちに問いかけ、混乱した思いを整理して、まず、自分の気持ちに正直になりました。
ひとみさんは、あいさんの事は友人として大好きだが、恋人になれるわけではないし、性的関係を築くつもりもない。あいさんは、夫がいるのに、その人を裏切ろうとしている。そのことは軽蔑に値する。あいさんには、夫を大切にするように伝えたい。と考えるようになりました。
ひとみさんは結婚披露宴の直前、あいさんに電話をして、自分の正直な気持ちを伝えました。
これから結婚しようとしている女性として、妻として女としてどうあるべきかを、今度はあいさんにわかって欲しかったからでした。
あいさんは、短く「わかった。ありがとう」と言って、電話を切ったそうです。
それから、間もなく、あいさんが夫と共にまた外国へ旅立ったとのことでした。
ひとみさんが結婚して1年、子供が誕生し、育児に日々めまぐるしく過ごしている時でした。
海外のあいさんから出産祝いが届きました。ひとみさんとは連絡を全く取っていませんでしたが、共通の友人とは連絡を取っており、ひとみさんの出産の情報が伝わったそうです。
お祝いの品に手紙が添えられていました。「あいさん、出産おめでとう。私ももうすぐ母になります」
ひとみさんは、あの時、あいさんに正直な自分の気持ちを話した事を、本当によかったなと実感しました。あいさんが日本を離れた事を知ってから、ひとみさんは自分自身の事を責めていましたが、この手紙で救われた気持ちになりました。
そしてまた二人の日本と海外の遠距離での交流は再開し、高校時代の仲の良い『友達』に戻ったのでした。
大切なものを失うのか、それとも新たに手に入れるのか、ターニングポイントにおいて考えるべきは、その時に課されている責任を全うできるのかという観点なのかもしれません。