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2011/05/22

「風景が見えてくる曲だね」

 とオリジナル曲を聴いて言ってもらえることがあります。とても嬉しいです。
音楽は、当たり前のことながら「聴覚」から入ってくる情報。それが視覚的に
も皆さんの中に入っていける、というのは、演奏者冥利に尽きるというもの。
自分でもそうですが、そういう時は音楽に集中して耳を傾けるんですよね。
そうなると、目の前には演奏者がいるけれど、頭の中には違う風景が
広がっていて・・・パっと我に返った時には間抜け面の私がいたりなんか
しちゃったら、、なんかすみません~って気分になることもあります(笑)
本当に音に集中して音楽と向き合おう、と思ったら、もしかしたら視覚情報
というのは邪魔になるのかも、と考えることがよくあります。
 でもそうすると、視覚情報が伴うライブ活動というものの存在意義が、かなり
危うくなってきます。

 「いい演奏ならCDでも聴ける。かえってCDのほうが演奏に集中できる」
 なんて言われることもあります。それも一理あり。じゃあ、生演奏の醍醐味
は何なのか?

 せっかく生演奏を聴きにきてくれるのだから、もっとエンターテインメントとして、
ライブ全体に視覚的にも楽しんでもらう工夫をしなきゃ・・・と考える方も少なく
ありません。私もある程度はそういった努力も必要だと思います。でも、もし
自分が音楽を聴きに行ったとして考えると、そういった演出は余計なもの、
むしろ音楽を聴かせるということから逃げていると感じてしまうと思います。
その他にも、過剰に身体を動かしながら演奏したり、演奏とは関係ない大きな
動きがあったり。。。邪魔と感じる以上に不快になったり、こんなものを
見に来たわけではないんだけどなあ。。。なんて思ってしまうこともあります。

 じゃあやっぱりCDのほうがいいの?なんて思うのですが、やっぱり
生演奏は魅力的なのです。なぜなら、その演奏者の技術とパッションを
身近に感じながら音楽を身近で聴く喜びがそこにあるのです。
 クラシックを習っていた時、ピアニストとして活動している方に指導して
いただく機会があり、間近で手本演奏をしてくれた時、感動で身震いが
しました。本物の演奏を生で聴く、という喜びを覚えたのはその時から
かもしれません。
 過剰な動きや演奏と関係ない大きな動きを不快に感じるのはきっと、
演奏者が、音そのものではなく、身振りや動きで伝えようとしているのを
感じ取ってしまうから、なのだと思います。演奏者自体が、そう思うことに
よって「音に集中していない」ということになるからだと思います。

 何かを伝えようとする真摯な姿、息遣い、演奏を含んだその人の感情表現
そのものを感じ取りたいから、生演奏を聴きにいくのだと思います。

 もちろん、ずっと音に集中しているのも疲れるし、意外なところを見て
発見したり、こんな表情で演奏するんだなーと思ってみたり。。。いろいろな
部分で楽しんでもらうことも大歓迎です。そういう時のためにも、やっぱり
聴きに来てくださる方が不快にならないような振る舞い、服装etcを
心がけることも、大切なのだと思います。

 前回の最後に「次回は演奏時の姿勢やパフォーマンスについて、
思ったことを書いてみたいと思います。」と締めくくりました。
 続きモノ、と言ったワリに、次に何を書くのか全く自分でもわからないまま
終わっていたので(ジャズのアドリブと一緒!?)宣言とはちょっと違う内容に
なってしまいましたが、これからも演奏活動とパフォーマンスについては
いろいろと考えて行きたいと思います。

06:36 | toyama | ジャズと服装②~音楽と視覚 はコメントを受け付けていません
2011/05/10

 ゴールデンウィーク中、5月3日はジャズのライブハウス、4日はファミリー
向けのコンサートをホールで、5日は子供の日にちなんでか保育園の着工
パーティーにお呼ばれして…と様々な場所で演奏してきました。

 4日は稲毛記念館という、千葉県の海浜公園の中にある施設の中のホール
でしたが、そこにいらしたお客様から「皆さんスーツやスタンドカラーのシャツ、
ドレスと、格好がきちんとしているのに驚きました。ジャズをやる方はもう少し
粗野な格好な方ばかりと思い込んでいたので・・・」と言われました(笑)
 たしかに「ジャズミュージシャン」というと、社会的規則からちょっと外れた
イメージもあるのか、ジーンズに皮ジャンとか、崩れた格好が連想されるの
かもしれませんね。そうかと思えば、ライブハウスやカフェなどで演奏している
時に「もっときちんとした格好で演奏するべき」とお客様に言われることもあり、
そういう時には反省しつつも、どういう格好が一番よいのか、TPOというのは
難しいものだなあ、と思うことが多いです。

 私はクラシック出身なので、小さい頃から発表会やコンサートでの衣装は煩く
注意され、気を使いました。とびきり小さい頃は子供用のドレスがそれなりに
あって良かったのですが、成長期のドレス選びはいつも大変でした。大人用では
セクシー過ぎるし、かと言って子供用では幼過ぎ…もちろん弾きやすいことも
第一条件なので、結局オーダーしたりしていました(体格が良かったので合う
サイズがなかったという説もありますが(^_^;))

 ジャズのライブを始めるようになって、そのラフさに驚いたと同時に、ドレスコード
がないのは堅苦しくないし、楽で良いな、と喜んでいました。しかし決まりがない
というのは逆に難しいものでもあります。
  今日はちょっとオシャレしてワンピースで…なんて行ってみたらメンバーの
男性全員ジーンズにTシャツだった、なんてこともあったり、ラフな格好をして
行ったら皆スーツだった、なんてこともあって、周りとのバランスも考えなきゃ
いけない。大きなホールでのイベントに呼ばれたり、パーティーなどフォーマルな
場で演奏する時のほうがロングドレスを着れば良いのでかえって気が楽ですが、
やっぱりなんだかジャズらしくないね、なんて言われる時もあります。

 昔のミュージシャンはスーツにネクタイで演奏が当たり前だった、ともききます。
戦中や戦後まもなく、ダンスホールでジャズを演奏しているバンドマンはタキシード
でしたし、スーツのミュージシャンがその時代のファッションリーダーだったことも。
 時代を重ねるにつれてスーツのミュージシャンは減りましたが、服装で個性を
出す人も多いです。パっと思いつくのは、いつもどんな時もどんな場所でも
「青と白のストライプのTシャツとジーパン」のギタリスト、パット・メセニーでしょうか。
ピアニストのキース・ジャレットもジーンズにスニーカー、白いTシャツです。
カジュアルな格好の方が多いかもしれませんね。
 
 先輩や周囲の方に聞いたり、自分で体験したりして、大体私がライブハウスに
出る時は「普段着に毛が生えた程度」の格好をすることにしています。この「毛が
生えた」がどんな具合なのか・・・ここでファッションセンスが問われるのですね(汗)
 最近の対策としては、ドレスアップ、ダウンがしやすいように、アクセサリー
などの小物を持ち歩いて調節する、というもの。これで大体しのげます。
 ドレスアップして綺麗な格好を見てもらうのも良いのですが、気軽に聴きに来たり
見に来て欲しいな、という面もあるので、あまり堅苦しくないように、というのも
心がけています。
 
 
 演奏する時のマナーや格好は、ライブ演奏には切っても切れないものです。
いくらピアノだけ聴いてもらえれば、とか中身がよければ格好なんて、、、と
言っても、人は視覚からの情報も多く得ます。聴いている方が不快にならない
格好、それにとどまらず、聴いてよかった、トータルで良いライブだったと思って
いただけるようなコーディネート、外見、というのも、考えていかなければな、と
思います。

 ジャズミュージシャンはミュージシャンであるだけでなく、スタイリストでも
なければいけない!!うーん、大変だなあ。。。(笑

 今日は服装についてだけでしたが、「外見」と書くと、演奏時のスタイルや
姿勢、パフォーマンスなども入ってくることに気がつきました。服装の問題は
意外と奥が深いかもしれません。。。
 次回は演奏時の姿勢やパフォーマンスについて、思ったことを書いてみたい
と思います。
(初の続きものコラムです!)

06:47 | toyama | ジャズと服装① はコメントを受け付けていません
2011/04/30

「私たちミュージシャンにできることは音楽だけなので…」

地震後のライブで良く聞かれる言葉でした。
私自身はこの言葉に非常に違和感がありました。週末を利用して
現地にボランティアに行っている方々、物資を集めて届けている方々…
職業は関係ないし、現にミュージシャンやライブハウスの経営者にも
そうした方がたくさんいます。
その行動力と勇気に尊敬の念を覚えながらも私はスケジュールどおり、
普段通りの音楽活動を粛々と続ける日々です。
 どうして違和感を感じたのか。それはきっと
 「音楽しかできないから」と言いながら演奏するのは、何か誰かに
言い訳しているように聴こえるからかもしれません。

音楽は皆で楽しめるものでもあるけれど、逆にとても個人的な存在で
あると思います。100人集まって同じ音楽を聴いても、抱く想いは
100人100様。有名なミュージシャンはたくさんの人に共感される
力があると思いますが、やはりファン一人ひとりの想いは様々です。
でも、それぞれが、それぞれの形で音楽の力に癒されたり、勇気や元気を
もらったりしていることは間違いないと思います。
一度にたくさんの人に聴いてもらえなくても、音楽の力を信じて演奏して
きました。でも音楽する意義、なんてきっと考えはじめると苦しくなる。
演奏していることが自分だから。自分もそれによって生かされているから。
 自分の行ける範囲内だけれど、震災後様々な場所で演奏し続けて、
それを再確認しました。

冷たい言い方で誤解を生むかもしれませんが、出来事というのは、不幸な
こともそうでないことも、本当に近しい人に起こらなければなかなかその
気持ちに共感する、というのは難しいと思います。だからこそ想像力を
働かせてその人の気持ちに思いを寄せることは必要だと思います。でも
やっぱり戦争も貧困も災害も、経験しないことに思いを寄せすぎると
ひとりの人間には荷が重すぎてパンクしてしまいます。
関東近辺ではこのパンク寸前の気持ちをかかえている方々が多いのでは
ないでしょうか。
「被災者の方々」「私たち」と一括りに出来ない、ひとりひとりの想いと苦しみに、
私の演奏を聴きに来て下さる方、CDで聴いて下さる方と対峙しながら、これからも
自分の出来る範囲内で活動して行きたいと思います。
 震災前も震災後も、生きるということには変わりないのです。

02:50 | toyama | 3.11の前も後も変わらない はコメントを受け付けていません
2011/04/14

 先週は、3月3日にレコーディングした音のミックスダウンに
行って来ました!

 茨城は鉾田にある北浦湖畔の自然の中のスタジオ
(一軒家?)です。自主制作版から先のセカンドアルバムまで、
ここですべてミックスダウンしています。北浦にかかる橋が
落ちてたり通行止めになっていたり、地震の爪跡もありながら、
無事終えて帰ってきました。
鉾田は震度6弱だったそうで、2階に置いてあったテレビモニター
が1階に落ちて壊れていたりしましたが、録音機材はたまたま
私のレコーディングが終わった後1階に置いてあったので、その
おかげで助かったそうです!録音した音も無事残っていました。
本当に良かった。。。。

 地震のあと、演奏は元気にしていましたが、
さすがにクリエイティブな作業にはなかなか入れずにいました。
これは特に地震とは関係はない迷いなのかもしれませんが、でも
このような時に私個人がCDを出すことに、何の意味があるのだろう、、、
録音に携わった関係者の中にも大変な状況にある人が沢山いる。
誰を助けることにもならない、自己満足な行為じゃないか、と何度も
思いました。

 でも、今回の録音があったおかげで鉾田の山本さんの録音機材は
助かったそうだし!もしかして幻の演奏になっていたかもしれないと思いながら
収録した音を聴いていたら、やっぱりこの音を最後まで形にしたい、大切にしたい、
という気持ちが湧いてきました。
「この曲、この演奏、すべて貴方がいなければ
この世に生まれなかったんだよ」と言ってくださった方の一言にも、
とても勇気づけられました。

 で、肝心の音ですが、前作以上に何も手を加えない自然な音に
なりそうです。ピアノの響きもホールの残響が良いリバーブになっているし、
何も手を加えないことが音を生き生きとさせる、のですね。ここで
ミックスダウンする度に気づかされ、驚かされることの一つです。
これから何度か詰めてマスタリングまで持っていきます。

 アルバム制作に力を貸して下さる沢山の方々に感謝しつつ、
わがままを通して自分が作りたいアルバムを作って形にしたいと思います。

03:52 | toyama | 少しづつ進みます はコメントを受け付けていません
2011/03/25

 もう16年(!)辛い時も悲しい時も忙しい時も、ずーっと聴いてる
伊集院光さんの深夜ラジオ。地震で1週お休みしたけれど、21日には
普段どおり放送されました。普段どおりだけれど、言葉を選んで、思い
やりのある「しゃべり」を聴かせてくれた2時間でした。その中で心に
残ったエピソードを。

『ある若手芸人さんの話。彼は阪神淡路大震災の時小学校高学年で、
被災して避難所暮らしをしばらくしていたそうです。その避難所にある日
から
「おれはワッハッハおじさんだあ~オレにつかまった子はワッハッハが
とまらない、ワッハッハ星人になるのだぞぉ~」
 と小さい子と追いかけっこをしながら毎日遊んでくれるだけの、不思議
なオジサンが出現しました。
「オレは避難所の子、全員ワッハッハ星人にしたら、別のところへいくんだ」
と言いながら。
 その芸人さんは、身体も大きめで、なかなかワッハッハおじさんには
捕まらない。でも皆捕まってるし、一度捕まってあげないと次の所行け
なさそうだしな(笑)と、ある夜一人でワッハッハおじさんの傍に行って
みました。すると、ワッハッハおじさんは隠れて一人で泣いていました。。。』

 この話を聴いて、ジャズでも良く演奏される「Smile」の歌詞を
思い出しました。

「どんなに辛くても悲しくても・・・・空が曇っても、笑っていたら太陽が出てくるよ」

 みんな不安、みんな辛いし、悲しいし、疑心暗鬼。でも生きたい。愛する
人たちが幸せでいてほしい。。。
 だったら・・・やっぱり笑って前を向いて生きるしかないのですよね。

 このワッハッハおじさんのように、私も生きたい。。。

 昨晩、代官山の「晴れたら空に豆まいて」にて、震災チャリティーライブを
行いました。地震の直後に企画され、すぐに実行されたライブでした。
 昨晩の演奏は、この「Smile」と、昨年の東北北陸ツアーの感動を曲にした
「May Journey」、少しでも穏やかな心で過ごせる時間がありますようにと
願いを込めた「Calm Days」、生命の誕生と春が来る喜びを願って「Springlake」
を演奏しました。この想い、本当は自分で東北へ行って届けたいけれど、まだ
できないので、少しでも多くの人に届くように、これからも演奏し続けたいと思います。

11:14 | toyama | 「ワッハッハおじさんの話し」と「Smile」 はコメントを受け付けていません
2011/03/19

 地震のあった3月11日(金)14時45分頃、私は青山のスタジオでCDの
ジャケット&宣伝用写真の撮影の最中でした。 スタジオはとてもしっかりした
造りの半地下で、それ程の被害とも思わずに最後まで撮影を終え、暢気に
スタジオを出たら…。
 渋谷方面に向かう無言の人、人、人…。交通機関はすべてストップ。コンビニ
には非常食を求める長蛇の列。 携帯はメールは通じるけれど、通話はダメ。
「帰宅難民」という言葉が頭をよぎり、焦りました。
たまたま今日都内の本社勤務だった夫と、公衆電話で何とか連絡を取り、
本社でホテルを取ってくれたというので、外苑前から芝大門まで歩きました。
 iPhoneのマップのナビ機能が本当に助かりました!それでも不安な道のり。
PHS同士は何とか通じるようで、札幌の実家と連絡をとり、励まされながら
歩きました。

 一夜明けて千葉県の自宅に戻るため、大混雑の山手線で上野駅に辿り
着いたら常磐線に乗る人たちの列が何千人も!半ばパニック状態だったので
ここに居るよりはマシ、と判断し、歩いて北千住に向かいました。そして
無事自宅行きの常磐線に乗り、やっと夕方帰宅しました。

 ドアを開けた途端夫が「ああ。。。やっぱり。。。」とため息。玄関の置物など
が割れて散乱してました。入ってすぐの寝室はタンスが倒れてドアが開かず。

 居間に入ると台所の食器が散乱、ほとんど割れてます。CDラックも全倒。
ピアノの部屋に入って唖然。グランドピアノが動いて横の壁に突き刺さり破壊。
譜面は散乱して足の踏み場なし。自宅はマンションの11階なので下の階より
揺れがひどかったのでしょう。

 疲れと被害の大きさに、しばし立ち尽くしましたが、少しづつ片付けをはじめ、
日曜あたりにはやっと家の中も落ち着いて、地震前の状態に戻りました。

 週明けの月曜は楽器店でのレッスンの予定でしたが、全店休講。
ここから怒涛の演奏キャンセルラッシュが続きました。

 あの金曜から1週間後の昨晩、地震後初の演奏仕事でした。お客様が
「忘れてた日常を取り戻せた感じ」と言って下さって、ハッとしました。そうなんです、
演奏するのも、聴くのも、日常。日常の中で少し非日常に行ける扉のようなもの。。。

 実は地震後1週間ほとんど音楽を聴ける精神状態でありませんでした。自分から
音楽に向かえない。でも昨晩演奏した後には、もっともっと演奏したい、やっぱり演奏
しないと元気に生活できない、と前向きな気持ちになれている自分がいました。
 これからも、自分のできる範囲で、自分の演奏で忘れていた日常を取り戻せる
人たちが少しでも居てくれたら・・・と思いました。

 仲間のジャズミュージシャンやお店の間ではライブをすべきか、中止すべきか、
ということで今も悩んでいる方々が沢山います。休んでしまうと生活が立ち行か
なくなってしまう、、、でも世間は自粛ムードだし、計画停電で営業の見通しも
立たない。。。

 結論から言うと、出来る状況にある人はやったほうがいいのだと思います。
日常生活を送れる人は日常を、送れない人は無理をしない。
「いまミュージシャンがすべきことは」とか大それた問題じゃなくて、
日常を送れる人が当たり前に送ることが、復興への希望になり、ひいては
全体の生活や経済活動が一日も早く健全になることにつながるのだと思うのです。

 「自分のできる範囲の日常を精一杯送る。」私はこの姿勢で
やっていきたいと思います。

07:48 | toyama | 日常に寄り添う音楽を・・・ はコメントを受け付けていません
2011/03/06

 レコーディングというと、皆様のイメージでは

何日間にもわたってスタジオに入って、一人づつブースに入り、
難しい顔をしたオジサマたちが腕組みをしながら機械の前で見守り・・・

なんて感じではないでしょうか?

 外山安樹子トリオのレコーディングはというと・・・

場所はホール。時間は1日。最小限のマイクで、人が聴こえるのと同じ
ような響きで録音できることを信条とするYPMレーベル・エンジニアの
山本さんが一人で大量の機材を朝9時から持ち込み、同時に調律の
須藤くんが調律を開始。このお二人には1stアルバムからお世話に
なっている、強力タッグです!

1時間後にはプレイヤーが集合。ホールですから全員楽器持込です!





 自主制作版CDからずっとベースを務めてくれている関口宗之さん。
ここまでこられたのは関口さんの支えのおかげです!





 ドラムは2作目「All is in the Sky」から引き続き秋葉正樹くん。
彼も捜し求めていたドンピシャなドラマー。外山サウンドに欠かせません。




 そして私もマイピアノを持参・・・
といいたいところですが、ピアノはなかなか運べませんので、スタインウェイ
のあるホールをこのためにリサーチして選びました。小さいながらさすが
スタインウェイの響き。。。
ただ雑音や、ハンマーに少し不具合がありましたが、そこは調律師
須藤くんにかかればチチンプイプイ!




 12時前には全員音だしにかかります。




 同じフロアで演奏してはいるけれど、曲やバランスによってはヘッドホンで
お互いの音をよく聴く必要もあり。ヘッドホンから聴こえる音環境で想像力も
掻き立てられたり湧かなかったりするので重要です!写真は使うヘッドホン
を選んでいるところ。

 うーん、やっぱりドラムの音が響きすぎるなあ・・・
とピアノの位置を直したり、ドラムの周りにカーテンや立て板で
臨時の遮音版を作ったり・・・
 ドラムの秋葉君、ほとんど布と板に囲まれた秘密基地状態で
叩いてもらいました。


なぜかドラムの前に座ってるのはベースの関口さん、ピアノの前には
山本さん、、、ですが、、、(笑)こんな感じで遮断。


 差し入れのカツサンドを頬張って13時すぎにレコーディング開始!

 今回は全11曲、10曲が新しいオリジナル曲。1曲はジャズスタンダード。
(一応秘密にしておきますが、かなりの有名スタンダードです)
すべて収録するかは未定ですが、せっかく録ったので世に出して
あげたいな、という気持ちも・・・。

 録る曲順もすべて自由。体力的な消耗の度合い、難易度、雰囲気・・・
いろいろ考えながら録り進めます。
 一度録ったらすぐにTake2に入る時もあれば、今どんな演奏だったのか
聴き返す時もあり。終了時間も見据えながら、次の曲へ進んで行きます。

 途中で撮影タイム!前回の2ndアルバムはリハの時に撮影して
くれたもののワンショットがジャケット写真として採用されましたが、
同じカメラマン三浦さんに入っていただきました。さて、今回はどうなる
でしょうか・・・。
 
 三人並んでピアノの前に座ることはなかなか無いので面白かったです。




 夕方ごろには差し入れを持って見学に来てくださったファンの方々も
増え、演奏にも自ずと気合が入ります!ただ、演奏中は場内の空調を
すべて切らなければならないので、午前中にはある程度暖まっていた
室内もかなり寒い状態に・・・。ダウンジャケットを着ながら頑張って
聴いて下さった皆様ありがとうございました!


 夕方から夜にかけて、メンバーの集中力も増して、どんどんと録り進めて
行きます。調子が出てきたな!という感じもありながら、確実に肉体的には
疲労がたまってきているわけで・・・そのせめぎ合いの中でいかに集中力
を保つか、そしてイマジネーションを絶やさないか、が勝負になってきます。


 せめぎ合いの中で苦悩するドラム秋葉君。
 
 ジャズのレコーディング、いったいどこまで決めてるの?と良く訊かれます。
普段アドリブの部分は決めていないプレイヤーも多いとは思いますが、
レコーディングともなると、かなり綿密にプレイ内容を決めて録る方も
いらっしゃるようです。私はそうはできないししたくない。完璧な演奏でなく
ても、「お、ここでなにかが起こったぞ、何かわからないけどまとまってる!」
とか、「おうおうこんなことやってるな」なんて、ライブと同じように聴く人に
楽しんでもらえると、ジャズの魅力を生かせたアルバムになるのでは
ないかな、と思っています。
 なので、これから録ったテイクの中から、どれをOKテイクにするか検討
しなければいけないわけですが、きっと演奏に多少キズがあっても、曲全体
の勢いやスィング感やスリルや・・・そういうものが伝わるテイクを採用すると
思います。

 さて、録りも録って全46テイク!21時ごろに録音終了。
出演者も自ら会場の後片付け。録ってくれたマイクさんありがとう。と心を
こめて仕舞います(笑)
 打ち上げは皆で焼肉でした♪

 これから採用テイク決定→ミックスダウン→再調整、
それと同時にジャケットやライナーなどの装丁、
そして発売記念ライブや売り出し戦略など(って大した売出しでもないですが)
やることが山積み。ひとつひとつの決断が重要になっていきます。
いろいろな方の意見を柔軟に聞きつつも、自分のやりたいことを見失わない
ように、丁寧に作り上げていきたいと思っています。

 発売予定は7月ごろ。実は7月12日には発売記念ライブも決定しています。
渋谷「JZBlat」にて。もちろんサイン付きCD即売会もあります。
お楽しみ企画やオマケもいろいろ構想中。詳細が決定次第、またお知らせ
します!まずは今から皆様手帳にメモ!してくださいね!

03:47 | toyama | 3rdアルバム・レコーディング実況中継! はコメントを受け付けていません
2011/02/22

 来月の3rdアルバムのレコーディングに向け、日々着々と準備して
おります。すべてを2枚目よりも「より良い」ものにしたい、、、と思うと
なかなか大変ですが、楽しく作業しています。

 「より良く」というのは、内容はもちろんなのですが、さらに楽しんで
いただけるために、CDを手に取った人に「前よりも良かったな」と
思ってもらえることだと思います。
 
 前回までの2枚は、出来たらすぐリリース!という感じで、まずは今まで
聴いてくれていたリスナーの方に買っていただき、ブログやクチコミで
少しづつ活動範囲が広がり、知っていただいた・・・という形でした。
今回は、きっちりと出す前に作戦を練ろう、ということで、いろいろな
方々のお力を借りて計画中です。
 そうなると、CD製作に関わって下さる方も増え、多方面から様々な
意見やアドバイスが入ってきます。とてもありがたいことですが、
それだけに、自分の考え、次のCDに対するコンセプトをしっかりと
持っていなくては、、と思っています。

 ジャズに大切な一期一会性と自然な音質のために、前回と同じく
ホール一発録音にします。何日何回粘っても、集中力には限界がある
と思いますので、1日勝負!(ん?予算がないから?そんなことないです(汗))
 ライナーノーツやジャケットを含めて、キャッチーな宣伝文句でも目を引く
お色気写真でもなく、CD一つを手にとってもらうことで自分の表現したい
音楽がその方のところに届くようなものにしたい・・・。
 CDを聴くシチュエーションは十人十色。人それぞれに、聴き方も、観点も、
存在意義も違うと思います。
 私自身は・・・CDを聴いて、普段心の奥底に閉まってある感情や想い出が
吹き出したり、胸がキュンとなる瞬間があったり、、、そんな瞬間、
「ああ音楽っていいな」と、難しいことは何もかも忘れて純粋に思えます。
そんな、日常にそっと寄り添うようなCDを作りたい、とずっと思っています。

 今までのやり方とは違うことも出てきて、戸惑うことも多いけれど、大切に
したいものを持ちながらも必要なものは受け入れて変わっていく・・・
これも「前に進む」ってことなんだな、と実感しています。

 どんなものが出来るか、これからどんな展開が待っているのか、
ドキドキワクワクです。何か決まったり仕上がったりしたら随時ご報告して
いきたいと思います。お楽しみに!!

 さて、先日、Junkstageのライター仲間である、山根さんがライブに
いらしてくださりました!ありがとうございます♪
http://www.junkstage.com/yamane/?p=259
 今年はおそらくJunkstageのイベントにも参加させていただくし、
いろいろなジャンルのライターの方と私も交流していきたいです!

04:54 | toyama | 「前に進む」 はコメントを受け付けていません
2011/02/10

 前々回に告知したムック本「W100ピアニスト」が発売され、
私も手に入れました。各ジャンルの女性ピアニスト100人、私以外
は錚々たる面子でビックリしましたが、皆さんのプロファイル、
興味深く読ませていただきました!

 昔クラシックをやっていた時もそうでしたが、周りのコたちは
揃って 「ピアノが好き、もっと練習したい、もっとピアノに向かう
時間がほしい」と言っていて、今回の雑誌でもそう書いていた方が
多かったです。

 で、私はというと・・・。こういうと怒られそうですが、実はあまり
「もっとピアノを弾きたい」とか「もっと練習したい」と今も昔も
思わないのです。昔も三度の飯よりピアノ練習、という時期も
あったけれど、どう練習から逃れるかばかり考えてたような気も
するし、今もほぼ毎日仕事で弾いているので、もう家ではいいや・・・
って思ってしまいます(汗)周りのピアニストを見ていると「私、ピアノ
そんなに好きじゃないのかもなあ・・・・」なんてシミジミ思ってしまう
ことも多々あり。
 でも、本番の緊張感の中でピアノを弾くのは昔から好きだったと
思います。コンクールやコンサートの本番のスリルと達成感、人に
演奏を聴いてもらう喜び、頑張ったら出る結果。。。舞台に立つ喜び
を得たいために練習していた部分もあるなあと思います。

 ジャズをやるようになって痛感しているのは「何を弾きたいかが
頭に思い浮かべられる」ことの重要性です。いかに様々な音楽を
聴き、吸収し、自分の中で消化して、自分の出したい音を生むこと
ができるか。。。これは実は物理的練習よりも大切なことなのでは
ないかと思います。もちろん、思い浮かんだことを弾けるように
ならなければダメだし、ただ弾けるだけでなく、きっちりと人に伝えられる
表現力も磨かなければいけない・・・でも、その根本にあるのは
「この音を届けたい!」という想いなのです。
 
 さらに、ジャズは「即興的」「アンサンブル」が重要な音楽。自分の
技術を磨くことも大切だけれど、人の音を聴き、その場に一番ふさわしい
音を出せるようになるためには、本番の舞台を何度も踏むこと、
これが一番の練習です。

 ピアノの前に向かってもいいけれど、日常の家事や些細な出来事
の中でポっと浮かんでくる音たち、いい音楽を聴いた時や他の芸術
作品に触れた時にインスパイアされて生まれる音たち・・・これらが
とても大切で貴重なもの。
 ピアノの前にいない時間も、私には沢山必要なのです。

 そんな日常の中から生み出した曲をあつめて、この3月に3枚目の
CDのレコーディングをすることが決まりました!できるだけ早く
完成させて皆様にお届けしたいです。

 そして、レコーディング前にはライブも。この二つが終わるとしばらく
トリオ名義のライブはありませんので、是非この機会にいらして
いただけると嬉しいです!

*****
2月19日(土)19時20分~
上野「アリエス」
http://www.jazz-cygnus-aries.co.jp/aries/ari-top.html
外山安樹子トリオ:関口宗之(b)勘座光(dr)
MF¥2200+1100(テーブルチャージ)
ご予約は;03-3831-0523まで
*****

*****
2月24日(木)19時半~
柏「スタジオWuu」
http://www.wuu.co.jp/
外山安樹子トリオ:関口宗之(b)秋葉正樹(dr)
予約\2500当日\2800
ご予約は:04-7164-9651まで
*****

03:30 | toyama | ピアノに向かわない時間 はコメントを受け付けていません
2011/02/02

 1月の末、札幌の実家に5日間ほど帰省してきました。

 この冬は例年より雪も多く寒い、というお話でしたが、
私が帰っていた期間は飛行機も無事飛び、安定した
天気でした!ほとんど休暇のつもりで帰りましたが、一日
だけ地元のボーカリストとデュオでライブをしました。中高
時代の同級生とも十○年ぶりに再会できて懐かしかった
し、こうして気軽にライブするのも、よいものです!

 さて、実家に帰って「こんな写真が出てきたんだよ」
なんて見せられた写真がなかなか面白かったので、今回は
その時々のエピソードを添えながら幼少期のお話をして
みようかな、と思います。

3769186_105.jpg

 小さな頃から食いしん坊キャラだったようです。
この日もご飯の用意が待てず、一人で猛烈にツマミ食い
していたところを父に激写されてしまったようでした(笑)

 私が自分自身の意思で初めてプレイしたのは、これから
ほどなくして・・・そう、あれは2歳になるかならないか、の
頃だったでしょうか。

 おもちゃのピアノに向かい、おしめをしながら弾き語り。
「ありしゃんの~~~ほにほにほ~。あ~るか~にゆれて~~
あの子のわかる~~~!!」と高らかに歌ったテープが残って
いました。歌の後、ピアノソロプレイに入ります。激しい和音とも
つかない連打の連続のあと、低音部から、少しづつ単音で
ドレミ・・・と小さな音で弾いていく。そして一番上に上った瞬間、
山下洋輔ばりに鍵盤全体をたたきつけた!

「くしゃくしゃい!」(訳:クサイ)

・・・・・・・そう、私はソロプレイをしながら、う○ちを
ふんばっていたのでした。

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 その「くしゃくしゃい」事件の後、2歳半で私はカワイの
「3歳児リズム教室」に通いはじめました。ピアノを始める
前にまず音楽を好きになってほしい、ということだった
ようですが、大当たりで、歌ったり踊ったり、毎回楽しくて
この頃覚えた曲は未だに歌えます!。
 ある日「3匹のヤギとガラガラドン」というミュージカル劇
を教室でやることになり、ヤギ(いい役)とガラガラドン(悪い役)
チームに分かれることになりました。ガラガラドンをやりたい
子はゼロ。 そこでわずか3歳の私、今でもそのとき考えた
ことを覚えているから恐ろしい。。。

 「ここでガラガラドンやったら絶対目立つ!!」

 かくして私はガラガラドンに志願し、先生にほめられ、目立つ
ことができました(笑)。

 時を同じくする頃、私は一人っ子でしたが、よく苫小牧にいる
従姉妹の家に遊びに行っていて、姉妹のように遊び、喧嘩もしました。
いとこがピアノをやっていて、本物のピアノを初めて弾いたのもここです。
 ある日苫小牧のバスに私と、いとこ、叔母、母の4人で乗っていた
のですが、母は混雑した車内でうしろのほうにはぐれてしまっていました。
そのように混雑している中だからもちろん私たちも座ることはできず。
しばらくして私は目の前の座席にすわっている見ず知らずのおばさんに
こう言ったそうです。

 「すわらしてくれないと、へーこいちゃうよ」

・・・・・。なんでだ!?なんでこんなこと言ったのだろう!?
相当すわりたかったのか!?一緒にいた叔母と従姉妹は
赤面。母は離れていて事なきを得たらしいです。

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 5歳ごろ。おそらく支笏湖あたり。
写真撮るまで、と思って我慢しちゃったのですね。

 4歳から片道50分程度のヤマハの札幌センターまで
通い始めました。私の10年以上のヤマハライフの始まりでした。
幼児科では音符やリズムを覚えたり、年長さんになるとジュニア科
専門コースのオーディションのために母とよく特訓?をしました。
母はピアノが弾けないから、鍵盤に「ドレミ」を書いたシールをはり、
和音を弾いて、私はその音を当てるというもの。今思えばこれが
絶対音感の訓練だったか?と思います。初めてイヤでもやらなきゃ
いけない、ということを覚えた気がします。(ちなみに2回目は、幼稚園
の入園式で、年長代表としてスピーチした時。10行くらいの台詞を
暗記しなければいけなかったこと。これも未だに空でいえます(笑))

 この頃好きだったのはサーカス、とABBA です。サーカスは
真駒内(札幌)のアイスアリーナに来たのを父と見に行った
のを覚えています。時代はディスコブームで、ディスコ好きの
従姉妹の影響で「サタデーナイトフィーバー」ばりの踊りを
教えてもらい、サーカスとABBAを歌い踊りまくる日々でした。

03:39 | toyama | 写真で振り返る!幼少期のこと はコメントを受け付けていません

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