本日4/22(金)から5/2(月)までの12日間、バハマ・ロングアイランドのDeans blue holeにて、世界中のトップ・フリーダイバーが集結する大会VerticalBlue2016が始まります。
私もトップ選手に混じってひっそりと、昨年この大会に参加しました。この季節のブルーホールは気候も良く、透明度も素晴らしく、毎日毎日の緊張感や感動、フリーダイビングに没頭していた日々を、昨日のことのように思い出して、今すぐ現地に飛んで行きたいくらいです。
(昨年の大会のダイジェストムービー)
10年以上続くこの大会は島のちょっとしたお祭り?のようで、島の人たちもとても親切。今年も日本人選手達は島のロクスレーおじさんにまるで親戚のように面倒を見てもらっている様子です^^
(昨年、みんなのバハマのお父さん、Locksleyを囲んで)
昨年秋にはハリケーンに襲われた島。今でも嵐の爪痕は残っているようですが、現地の選手達の様子をネット越しに見る限り、のんびりとした島の風景はそのままのようで、ホッとしています。
◆最高峰の大会
さて、Vertical Blueは、数あるフリーダイビング大会の中でも特別中の特別。最高峰の大会、と言って過言では無いのではないかと思います。
何故バーチカルブルーが特別なのか??という詳細はコチラをご参照下さい↓
http://www.junkstage.com/yukimuto/?m=201311
【大会の概要と特徴】
・開催地Dean’s Blue Holeは海況が安定しており、年間通して一定のコンディションで競技が可能。
・ひとりの選手が9日間(レスト含め11日間)のうち6回競技出来る。出場種目はCWT、FIM、CNFのいづれかの深度競技から自由に選択。競技前日に種目と深度を申告する。(これまでの競技結果や前日の体調など様子を見て申告が可能)
この条件のうち、最後の「開催時期が11月」というのが、2013年当時の記事からは変わっていますね。4月というのはどの国の選手にとっても完全にシーズン初めの大会・・・だったはずが、もはや皆さん、この大会に照準を合わせて冬の間から調整をしつくして臨んでいるようです。いやーーーすごい。
大会開始の1ヶ月程前から現地入りするのは当たり前、さらにその前に別の場所でトレーニングに励んでから臨む選手も数多い。自由に参加出来る大会ではあるのですが、必然的に選ばれた選手が、大記録を目指して集結することになります。連日ナショナルレコードや、ワールドレコードがズラリと勢揃いします。
加えて大会スタッフも一流揃い。ハイレベルなセーフティスタッフ(本人達もナショナルレコードホルダーだったり、)や、こなれた環境で競技に臨める、ということはシビアな深度を潜るこのスポーツにとって、とても重要な点です。
(安心感抜群のすばらしいセーフティチームに囲まれて浮上)
◆今年の大会
さて、初日のスタートリスト、出ました!
※スタートリストの見方の説明です。左から
Top Time ⇒潜行開始時間(この2分前からカウントが入ります)
Athlete⇒選手名、国籍
Discipline⇒種目名(CWT、FIM、CNFの3種目)
Announced depth⇒申告深度(この深度にロープがセットされ、これ以上深くは潜れない)
Announced dive time⇒申告時間(潜行時間の目安。判定には関係ないけれど、トップ選手ほどこれがとても正確なことが多い)
Record attempt?⇒ WはWorldRecord(世界記録)NはNationalRecord(国内記録)
※CNF、FIM、CWTってナニ?という方、競技説明はこちら
http://www.junkstage.com/yukimuto/?p=575
今回のトップバッターは日本の廣瀬花子選手のCWT88m。公式自己ベストへの挑戦。そして、なんと初日から、驚きの日本記録の申告が2つも!
・木下さゆり選手のCNF(フィンを付けずに平泳ぎで潜る)68m、自身の公式日本記録61mを大きく上回る記録に挑戦。
・福田朋夏選手のCWT(フィンを付けて潜る)93m、これまで日本女子の公式記録90m超えはチャンピオン岡本選手の92m(世界第三位!)のみ。これを越える日本記録への挑戦。
昨年も「SOY POWER」と言われてVBのメダルを総なめした日本人女子。
今年は更にぶっちぎって凄過ぎて、今日本(の一部のフリーダイビングマニア)はビックリざわついております。
◆【VerticalBlueの観戦&応援】
毎度ながら、フリーダイビングはwowwowでもcatvでもネットでも生中継はしていません。毎日、競技前日に選手は申告を行い、スタートリストが発表になります。それをもとに、ネットで該当ページを開いてスタンバイ!これがVerticalBlueの観戦方法です。以前は実況中継、なんていうものもありましたけれどね。
<大会関連ページ>
◆公式/申告&リザルト(VB公式サイト)ほぼリアルタイム更新
http://2016.verticalblue.net/results/?action=days
◆公式Facebook (こちらは写真付きで情報が上がることも)
https://www.facebook.com/verticalblue
◆公式twitter
@vertical_blue
日本との時差は-14時間です。完全に昼夜逆転しますので寝不足ご注意です。。大会期間は今夜22時過ぎから、観戦&応援開始です。
沢山のナイスパフォーマンスを楽しみにしています。
でも私にとっては・・というより、たぶん日本から応援しているみんな大記録よりも、現地の美しい風景、そして何より選手達の笑顔を見ることがもっともっと、
ずーっと楽しみなのです。各選手のページもぜひご覧下さいね!
<日本人各選手の公式ページ>
篠宮龍三
https://www.facebook.com/ShinomiyaRyuzo/
岡本美鈴
https://www.facebook.com/freedivermisuzu/
福田朋夏
https://www.facebook.com/freedivertomoka/
廣瀬花子
https://www.facebook.com/FreeDiverHANAKO/
福本幸子
https://www.facebook.com/sachikojudyfukumoto/
遠く離れていると数字しか見えませんが、VBでは毎日選手ひとりひとりにドラマがあり、その奮闘を応援しています。
(ドラマの一例。)
どうか事故等なく、選手たちが最高の環境で、最高の笑顔を私達に届けてくれますように!地球の裏側から、エールを送りますよ!
※写真は全て昨年のVB2015のものを使用しています。
■DAY2 57m
さて、例によって悩みに悩み、DAY2はついに-57mを申告しました。
-57mは、4年前のギリシア大会で出した公式自己ベスト記録と同じ深度。そして58mでブラックアウトの経験があります。55mは何度も潜っていますが、ここから先の50m代後半に、突如として壁が現れます。
私の場合、耳抜きが障壁になることはほぼありません。申告したボトムまでは行こうと思えば行けてしまいます。問題は「息が持たない」という点なので「行けるか行けないか」ではなく「きちんと往復して帰ってこられるか」という帰り道が課題。浮上途中で酸欠になれば非常に危険なブラックアウト(失神)をしてしまいます。これを自己ベストゾーンで潜行の段階で見極めるのはかなり難しいのです。
これを考えるとどうしても申告をためらってしまいます。でも最後はもうこれ以上は逃げられない、57mしかない・・と消去法的に決定。前日はしっかりごはんを食べた後、早々にベットに潜り込みました。
さて、当日の朝・・・いつもの青空を見て深呼吸、と部屋の窓を開けると。
毎日抜けるような青空の中で生活していたので、太陽の無い茶色の風景には驚きです。まあ、曇りの日くらいあるか・・
ともあれ、ストレッチと軽い朝食を済ませて、ボート乗り場へ。途中まで同室の諏訪恵選手が一緒に来てくれましたが、この時何となく息苦しく「これ、光化学スモッグかな??」と言い合ったのを覚えています。
沖に出ると、空気がどんどんくすんできました。海はとても穏やかなのですが、空気が茶色・・沖から見渡せるはずの街並は一切見えず、海の中より空気中のほうが透明度が悪い。
こんな不思議な空の下、-57mに向けて淡々と時間が迫ってきます。ウォーミングアップを終えて競技ゾーンへ。この日既に競技を終えた木下選手&廣瀬選手が2人でサポートのために待っていてくれました。二人のサポートは可愛くて面白くて、競技直前まで気持ちを和ませてくれました。
ここ何年も、55mをしつこい位何度も潜っていたお陰で、57mは頭の中で十分イメージすることが出来ました。40m頃から始めるフリーフォールですが、いつもより、2秒多くカウントすると目の前にボトムプレートがありました。
「よし、ぴったり!」そしてあとは浮上するだけ、、とはいえ、私にとってはこの浮上が一番の課題。途中で意識を失ったりしないように、体全体をリラックスさせながら、でも気持ちは引き締めながら浮上と同時にロープの高い位置を掴んでしっかりサイン。そして・・
「ホワイトカード!」
今大会最初の公式記録は自己ベストタイ。この日のダイブの感触の良さは格別でした。全てイメージ通り。酸欠感は全くなく、身体にしっかりと血液が巡っている実感。浮上してロープを掴んだ瞬間「もっと深く行ける」そう確信しました。
この後、環境は悪化します。茶色い空気は、アラビア半島からの砂塵でした。なんと、10年に一回のレベルの砂塵だったようです。お隣のレバノンやイスラエルでは、砂塵の影響で病院に担ぎ込まれる人が出たり、外出禁止令が出た程の酷さです・・
<当時のBBCニュース>
Middle East dust storm puts dozens in hospital
キプロスはヨーロッパというより、地理的にはほぼ中東ですからね。
翌日はまたレスト。砂塵はどんどん酷くなってきました。私は喉が苦しく、咳が止まらず、一歩も外に出られない、そんなオフを過ごすことになりました。この翌日は一番砂塵が酷く、砂塵が気管支や肺に入ることを恐れてトレーニングに出ない選手もいました。
■DAY3 60m
プレ大会の最終日。この日私は、60mを申告しました。
しかも今回の申告は1秒も迷うことなく。一大決意をしたわけでもなく、他の選択肢を検討する余地もなく決まっていました。1mで迷う私が、+3mで何故迷いもしなかったのか不思議ですが。
「こうしたい」という自分の意思というより「こうすることになっていた」とでもいう感じ。人生にはそういう時って、ありますよね^^;
60mは私にとって4年越しの壁。57mまでは4年前にサクッと到達出来たのに、その後のたった3mがどうしても突破出来ませんでした。60mを目指して本当に色々な奮闘をしてきました。フィンワーク、閉息トレーニング、陸上トレーニング、肺活量訓練、体幹トレーニング、試行錯誤しました。が、結局到達出来ず。
私が悪戦苦闘している間に、いとも簡単に70m,80mと潜る選手が増えてきました。けれど、3年前のバハマ大会でも、2年前のギリシア世界大会でも、60mは失敗。私は万策尽きて、もう私の身体はこれ以上は無理なのだ・・といわば諦めの境地に達していました。そしてもう、60mを「目指す」ことはやめていました。ただ、今年はキプロス大会に向けて、ベストを尽くそう、と粛々とトレーニングし、食事や鍼灸で身体を整えていました。(そして結果、ブラックアウトしやすさの原因の一つと考えられる低血圧が改善しました!)
そして「この日」は、やってきました。
まだ砂塵が残る中、マスクとサングラスをして船に乗り込みます。少し咳も出ています。海は穏やかで青くてトロンとしていました。
バージ船の上でストレッチと呼吸、ビジュアライゼーション。
ゆっくりウェットスーツに着替えて、ウォーミングアップはいつも通り。顔つけ5分、そして10m、15mのフリーイマージョンを1本づつ。
開始15分前、待機場所に行くと前回と同じくdeepダイブを終えた木下選手・廣瀬選手がサポートに来てくれました。全ていつも通り。淡々と進んで行きます。
カウントの声が聞こえ、潜行開始。
-20m地点はサーモクラインですぐにわかります。急に水の温度が3-4℃下がり、ひやっとします。薄目を空けると、水中カメラマンたちがこの地点で浮上をし始めるのが見えます。
さあ、ここからはひとりぼっち。
30mを過ぎ、40mまで、ゆるやかにキックを緩めながら進みます。そしてフリーフォールに突入。このあたりで圧力はもの凄く増しているはずなのに、何故か感じる安堵感。すーっと加速しながら落ちて行くのが心地よい。
50mを過ぎてもまわりは明るい青。キプロスの海はどこまでも明るい青。目をつむっていてもわかります。
いつもより5秒長くカウントし、目を開けると目の前にボトムプレートがありました。「よし!ピッタリ!」
60mまで「来たこと」は何度もあります。でも浮上を失敗していました。これまではボトム地点で「ずいぶん深くまで来てしまった」と感じていました。ところが今回は「あれ、もう着いてしまった」とあっけなさに笑ってしまいそう。
浮上はいつもより軽快に感じました。50m…40m…30m…ここで1stセーフティダイバーが水中スクーターでお出迎え。このあと20mでさらに2名のセーフティダイバーやカメラマンが出迎えてくれます。
そして浮上。絶対に水面で失神等しないように、思い切り、高い位置を掴みました。そして、しっかりとサイン。
取って来たタグを見せながら、顔が笑ってしまうのがわかります。
「ホワイトカード!」
長年の壁をついに突破しました!
もうこの後は狂喜乱舞です^^;
ジャッジのロバート・キングにハグ!みんなにハグ!!
60mは、世界大会では全然深い深度ではありません。でも間違いなく、この喜びっぷりは今大会ベスト3入りしたのではないかと思います。木下選手・廣瀬選手、二人とも私よりずっと深く潜ったばかりなのに、自分のことのように顔をくしゃくしゃにして喜んでくれました!
そして、この場にはいない沢山の人たちも、私を支えてくれていました。ありがとうを1000回言っても足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいになりました。早く戻ってこの感謝を伝えたい、という気持ちと、このままずっと水の中にいたいという気持ち。
申告から潜り終わるまで、身体が勝手に動いていたように感じた、とても不思議な一日でした。
この日のダイブは、一生忘れないでしょう。
この先、もっと深く潜れる日が来てもきっと忘れない日です。
それにしても、よく考えると、あらゆる努力をして、わざわざ60mも潜るなんて、相当馬鹿げていますよね。クレイジーです。そして越えられなかった壁とは何だったのでしょう?本当にそんなものがあったのでしょうか?
でも・・私は浮上後ロープにぶらさがり判定を待ちながら、もっと馬鹿げたことを思ったのです。
「もっと潜りたい・・・そうだ、70mに行こう!」
何年かかるかわかりません。でも私の次の目標はこうして、決まってしまいました^^
photo by Daan Verhoeven , Soteroula Tsirponouri
大分間が空きましたが、プレ大会のお話と合わせて深度競技での「深度申告」について。
キプロスでは、本大会の前に「Pre Competition」(プレ大会)が開かれました。順位やメダルなどはありませんが、本番と同じ競技環境・ジャッジ陣で実施され、この大会での記録は公式記録として認定されます。
世界大会の本番は各種目1回だけのチャンスなので海況や体調が合わなければそれまで。でもプレ大会では1日おきに3回競技のチャンスがあります。というわけで、ここで記録更新を狙う選手(National recordやWorld Recordに挑戦する選手も!)もいれば、練習試合と位置づけて調整がてら参加する選手、プレ大会には出場せず合間のトレーニングにだけ参加し本大会にピークを持ってくる選手、と様々です。ちなみに私は練習がてら参加することにしました。
■競技船
プレ大会前日。ようやく大会本番の競技船でのリハーサル・トレーニングです。
見たことも無い装備、巨大なバージ船から鉄の棒が突き出し、そこからロープが垂れています。ウォーミングアップロープが6本、本番ロープが3本。ちょっとロープ同士の間隔が狭すぎるのではなどと思いました。
競技船の甲板には屋根も無くてひたすら眩しい、また、船から海に降りる段差が急すぎる等も発覚。一番この日のトレーニングはまるで「バグ出し」のような状況でした。
■毎回悩む「深度申告」
私は夏の間Deep練習が出来ていなかったので、プレ大会前の4日間の練習は身体慣らしから開始。30m、45m、50m、55mとじょじょに深度を上げ、気持ちと身体がだんだん海に馴染んでいきました。始めはすこぶる調子が悪かったものの、3日目には自分の中で、ようやく大会に臨めるコンディションになったと感じることが出来ました。
そしていよいよプレ大会前日。「深度申告」の時間がやってきました。私はこの「申告」を毎回かなり、悩みます。
海洋競技はルール上、申告深度にボトムプレートとロープがセットされます。つまり、申告した深度が潜れる深さの上限になります。
□申告深度に到達すれば成功(ホワイト)
■途中で引き返せば減点(イエロー)
■ボトムまで到達しても浮上時に失神などしてしまうと失格(レッド)
本番で「もっと浅くしておけばよかった」となればボトムまで行かずに引き返せばよいのですが、イエロー、減点になります。逆に「もっと深くしておけばよかった」と思っても、それ以上は潜れません。
これを潜る前日に決めておかなければなりません。プールの大会は競技の最中に自分の上がり時を見極められますが、海洋競技の場合はこの「申告」から既に競技がはじまっている感じです。
体調、メンタル、海況・・・明日を予測しながら、ベストを尽くしながらも確実にホワイトが取れる「浅すぎず、深すぎず、ちょうどぴったりの」申告をしたい・・と思うとたった1m(往復2m分)の申告を決めるのにも迷うことがあります。1mなど誤差の範囲だということがわかっていても、悩みます。
申告深度はメンタルには大きく影響し、リラックス出来たり緊張してしまったり、あとちょっとのところで耳抜きが出来なかったり。また流れなどの海況によっては往復数mの差が成否の分かれ目になりかねないのです。
■たかが申告・されど申告
今回、私は本番大会はCWT,CNF,FIM3種目の出場でしたが、プレ大会では3日とも本命種目のCWTだけに絞って出場する、ここに迷いはありませんでした。ただ、初日の申告深度を
・55m
・56m
・57m
どれにするか?で大いに迷いました。どれも同じに見えますが私にとっては「自己ベストゾーン」なので、1mの重みはとても大きいのです。
事前練習では55mまで潜り、今年4月のバハマでは56mの記録もありました。「もう一度55mで様子を見るか」「いや、初日だからこそフレッシュに挑戦すべきか」等々・・延々と一人ブレスト。潜っている感覚を頭の中でシミュレーションして、紙に3つの数字を書き出して、結局、一番しっくり来た「-55m」に決めました。「ここから本番まではまだあと2週間。前向きなメンタルを保つことも重要なので、まずは確実にホワイトカードでスタートしよう。」そう考えての、いわば守りの数字。実際申告したとたん安心感に包まれ、ああ、これで良かった、と思ったのです。
・・今から考えると、何故ここまで迷ったのか、と可笑しいくらいなのですけれど。。今回の大会中一番迷ったのが最初のこの申告だったかもしれません。長期の大会では、一つのダイブが次のダイブに影響もするので、最初はより慎重になります。
深度を考え過ぎて最後はもうサイコロで良い、と思ってしまうこともあります。人によっては「この数字が好き」ということでサクッと決めたりということもあるでしょう。団体戦はコーチやチームで綿密に計算のもと申告数字を決めるし、NationalRecordやメダルを狙い「数字ありき」で勝負をする選手もいるでしょう。フリーダイビングは数字と密接で、毎回申告を考えるたびに、数字ひとつひとつに、「色」のようなものがあるように感じます。最終的には浅いか深いかよりも「その数字がそのものがしっくり来るか」という感覚で決める、そういった部分もあります。
さて、こうして申告が出揃うと、その夜「スタートリスト」(申告深度とそれを元にした競技時間の表)が発表されます。たかが数字の羅列ですが、この数字のひとつひとつには、各選手の色々な想いや葛藤がたぶん、秘められています^^
■DAY1 前日、55m
これだけ迷って迎えた大会初日。
競技場までの送迎ボート乗り場につくと、送迎船は影も形もなく、船頭のオジさんから、のんびり「1時間遅れになったよ」と告げられます。
炎天下で1時間も待つのはちょっと・・と、いったんホテルに戻り、ロビーのソファでウトウト。。
そしてまたボート乗り場に。大分混雑したボートに乗り込むと、オジさんの携帯に「大会中止」と連絡が入りました。1時間Delayの挙げ句の中止・・そしてDAY1は翌日に延期となりました。
海況不良による中止はよくある話なのですが、今回は競技海況の安全装置のセットの調整が上手く行かなかったようです。これで大幅に時間がずれてしまったため、競技は中止になりました。その代わり、トレーニングで潜るのはok、ということになりました。
周囲は何となく気が抜けてワサワサした雰囲気でしたが、それは気にしない。今日は予定通り大会と思い、-55mを潜り、無事タグを持って来ることが出来ました。一部始終をゆっくり観察しながらのダイブ、良い感触です。そして「多少のことがあっても平常心で潜れる申告」にしておいて良かった、と思いました。
トレーニングなのでジャッジはいませんでしたが、、自分の中では「よし、プレ大会DAY1、ホワイトカード」ということになり、ガッツポーズでした!
この後、本来1日おきにあるはずだった大会はスケジュールがずれ、翌日が正式に”DAY1”となりました。その後のスケジュールは延びないので、DAY1, DAY2が連続2日間の競技日になります。
<プレ大会スケジュール>
6th September – プレ大会DAY1⇒中止
7th September – プレ大会DAY1 & 公式トレーニング
8th September – プレ大会DAY2
9th September – 公式トレーニング
10th September – プレ大会DAY3
これまでの経験から、本番は一日ずつ休みを入れながら潜ると決めていたので、自分の中ではDAY1は既に終了したこととして、翌日の競技はキャンセル。まずは良いダイブをした感触とホッとした気持ちと共に、DAY2に向けてゆっくりレストすることにしました。良いダイブの次は潜るのが楽しみになります。長期戦でのこの「また潜りたい気持ちでのレスト」、大事です。
というわけで悩みに悩んだ55mの申告は成功でした^^
photo by Daan Verhoeven , Soteroula Tsirponouri
さて、キプロス入り翌日、初日のトレーニングはこんな感じです。
大会公式ホテルの目の前がビーチ。
ここから船に乗って沖合のポイントへ。
移動船のキャプテンは女性フリーダイバーSasica。大会コーディネイターのMariaといい、キプロスの女性は美人で逞しくカッコ良い人が多い!
ビーチは黒砂で一見地味でしたが、少し沖に出ると、とたんにすごい青さが広がります・・圧倒されるほと真っ青な青です。そしてとろん、とした水面。海ではなく湖のようです。
キプロスは9月は非常に気候が安定しているそうです。
水温は表面が28−29℃ととても温かいのですが、少し潜り-20mを過ぎた頃にサーモクラインが発生し、急に水温が5℃くらいガクっと下がります。さらに深く潜ると17℃くらいまで下がるそうです。
でも、こんなことも予め知っていれば何と言うことはありません。先発で潜っている選手達とは早速情報交換。そう、トレーニングでは各国の選手達との嬉しい再会のひとときでした^^
海上で、水中で、ハグで再会を喜び会いました!数ヶ月ぶり、数年ぶりなのにまるで一週間振りに合会った、みたいな感じが良いですね。
私は初日はまずは長旅後の水への身体慣らし。体調をみつつ軽く潜りました。
まだ選手も少なく、とてもゆったりのんびりとした雰囲気です。
今回の大会はプレ大会が9/5-10まで、本大会が9/11-20と長丁場となり、
明日からしばらくトレーニングの日々です。
睡眠と食事とトレーニング。ひたすら自分の身体と対話し、海を感じる、それだけのシンプルな日々が始まりました。
二年に一度開催されるフリーダイビング海洋種目個人戦世界大会、
Individual AIDA Pool World Championshipsがまもなくキプロス共和国のリマソール(Limasol, lemesos)にて開催されます!私にとっては二年ぶりの世界大会です!
私は昨日現地入りしました。毎度ながらの大荷物で羽田を深夜に出発!今大会が初世界大会となる諏訪恵選手と一緒です。
乗継ぎはカタールのドーハ。ドーハからキプロスのラルナカに向かう便では、キプロス国境の警備にあたる国連平和維持軍の方達と一緒で、旅客機の周囲8割方が迷彩服に埋め尽くされるという何とも奇妙な気分でしたが・・・数年前まで南北情勢が不安定でしたが、現在は情勢は非常に安定しているそうです。
こちらが上空から見たキプロス島。真っ青な地中海に浮かぶ島国です。
日本との時差は-6時間。ここまでの道程、日本から一回乗り継ぎで空港からも近いので、他の大会に比べると身体の負担も少なく、相当スムースでした。
各国から28カ国、150名以上の選手が集結する大きな大会になります。
この大会の競技種目は3つ。(大会種目の詳細はこちら)
- コンンスタント・ウェイト・ウィズフィン(フィンをつけて海に潜る競技)
- コンスタント・ノーフィン(フィンをつけず平泳ぎで海に潜る競技)
- フリーイマージョン(フィンをつけず、ロープを手繰って海に潜る競技)
今回は私は3種目に全て出場することになりました!
体力気力を維持しながら、頑張ります^^
<日本代表公式FACEBOOK>
⇒大会の情報を随時update。ぜひ「いいね」をお願いします!
https://www.facebook.com/cyprus2015japanteam
<日本代表選手の大会日程はこちら>
http://aida-japan.com/info/3130.html#more-3130
<大会公式サイト>
http://www.freedivingcyprus.com/wc-2015
エルニーニョの影響で今年は台風の当たり年とか・・・いや、そんなことは無いはず!と言いたいのですが、本当に台風はフリーダイバー泣かせです・・(サーファーの人たちは大喜びですけれどね)
7月初めに予定されていた国内最大の海洋大会である「沖縄フリーダイビングカップ2015」は、観測史上13年ぶりという3つの同時発生台風によりいったん中止、そして8月に延期となりました。
何と言う集中攻撃・・・ここまで来たら諦めつくよね・・。
沖縄で大会が開催されるのは3年ぶり。そして今年は2年に一度の海洋競技世界大会の年でもあるので、最終代表選考試合でもあるこの大会に向けて全国の沢山の選手が練習に励んできました・・
そしてオーガナイザーである沖縄チームメンバーは昼夜奮闘して大会準備に奮闘していました・・
が、自然には勝てないということを、いともあっさりと見せつけられてしまいました。こんな時にフリーダイバーは「あー仕方ないね」と比較的すんなり受け入れることが出来るのです。自然相手のスポーツの宿命ですからね。
さて、私は事前トレーニングの為に早めに沖縄入りし、那覇空港に到着したとたんに「大会中止」の連絡を受けたので、最初から「トレーニング合宿」として臨みました。台風は確実に沖縄に向かっているものの、まだ影響が出るまでには時間があったので3日間、船でのトレーニングに参加することができました。ラッキー!
塩谷漁港。空がとても広い。
早朝の海。真っ青な海!!この青さは絶品です。
初日の練習後は、かつて事故で伊豆の海で亡くなった先輩ダイバーの「献花の会」を沖縄の海から。二度と事故を起こさず、安全に潜れますようにという祈りを込めて。
2日目、3日目とも、ウネリと風は強かったもののターゲット(自分のmax深度へのアタック)練習をすることが出来ました。
私は5月のバハマ大会以来、殆どdeep練習が出来なかったので、初日は身体慣らし、3日目に55m、ここから先が私の正念場、、というところで、4日目からは海が荒れてしまいました。私の記録はここで停滞してなかなか伸ばせずにいます。それでも少々流れのある海で安定してこの深度を潜れたことは、トレーニング合宿はとてもありがたい機会でした。
沖縄の写真家の卵、石田君にこんな素敵な写真を撮ってもらいました!
そしてトレーニング後には大会のスポンサーさんである「エンゾ」で美味しいイタリアンランチを食べたり。
灯台マニアの岡本美鈴選手につれられて残波岬灯台に行き
32mの高さにおののいたり・・・(-32mは軽く潜っているにもかかわらず・・)
いよいよ台風が来る、という直前には、もう翌日トレーニングはないので、ゆっくりコンドミニアムでパーティ。
そして翌日のオフではやんばるの森に入って
今帰仁までドライブして、オーガニックで美味しいランチを食べました。
いつまで話しても話がつきません。海や山にかこまれて、仲間とこんなゆったりと最高の時間が持てたの台風のおかげかな・・と台風にちょっと感謝です。
もう永遠にこの時間が続けば良いのに・・と思ってしまいましたが。。。
いよいよ台風が接近し暴風域へ、どんどん欠航が決まり始めてしまったので私は欠航直前に帰京しました。実際留まったったメンバーは停電やら断水やら大変なことになったらしいのですが・・
さて、大会オーガナイザーの面々。左からさゆる、あいちゃん、こーへー。なぜか関西弁が飛び交う。いつも漫才しているみたい。公式練習でも最高のホスピタリティでみんなのサポートをしてくれました。さゆること木下さゆり選手は、日本記録を2つ保有し、破竹の勢いで成長しているダイバーですが、今回はオーガナイザーに専念。
私が今回感動した一つが、大会のタグ。ボトムロープの一番下につけて、潜った証として取って上がってくる為のもので、普通は真っ黒だったり真っ白だったり何の愛想もありません。海底では所詮細かいものはなにも見ないですからね。
でもこのタグには全部小さな模様がついています。沖縄の伝統工芸『ミンサー柄』だそうです。『沖縄の海に足しげくお通い下さい、必ずまたタグを取りにきてね』という気持ちを込めて、手作りてくれています。
さて、今回の大会は中止ではなく「延期」となり、8月22日(土)23(日)に開催されることが決定しました!私は参加出来ませんが、今度こそ最高の海が迎えてくれるのでは、と思います!
参加する選手のみんな、そしてオーガナイザーのみんな、
最高の大会になりますように、応援しています!
◆沖縄フリーダイビングカップ2015 公式facebookページhttps://www.facebook.com/okinawa.freedive.wc2015?fref=ts
暑い夏まっ盛りですが、見ているだけでひんやりしてくる
水の写真集「Water Being」がこちら。
私の友人であるフリーダイダイバー写真家、野口智弘の初の写真集が、この『Water Being』です。カメラマン自身が素潜りして撮影した海や人の写真で、独特の世界が広がっています。ここに写っているのは人間、魚、鯨、沈船・・・・深い深い蒼い世界。明るいキラキラした世界ではなく、deepで冷たくて、薄暗くて、だけど落ち着きと安らぎも感じる世界です。
さて、この写真集の出版記念パーティーが先月、恵比寿のお洒落な写真集食堂「めぐたま」にて行われました。総勢70人ほどが集まる一大イベントになりましたので、この様子をご紹介します!
まずはウエルカムドリンクならぬ、「ウェルカムおにぎり」での歓迎!身体に優しい美味しい手作り料理でのおもてなしです。
なんと、小笠原のフリーダイバーであり、凄腕スピアマン小林さんが小笠原で自ら獲ってきたお魚による豪華なお魚の数々が振る舞われたのです!!
小林さん自身も野口君の写真のモデルになっていますが、出版記念のお祝いに駆けつけるだけでなく、こんなにバラエティに富んだお魚を穫って、そのまま遥々船で東京に一緒に持ってきて、自ら捌いてくれる、という徹底した祝福ぶりです!
こちらがメニュー。かっぽれ、ツチホゼリ、石垣鯛、バラハタ、などなど・・こんなに沢山食べきれるかな・・
と思ったのもつかの間。会場には沢山の人がお腹を空かせて来ていて、乾杯のあとに次々に、瞬殺で無くなっていきました^^;
主催のデザインチーム「Richblack」吉井さん、高橋さんからのご挨拶。
このパーティには海関係の人と写真・アート関連の人が半々といった感じです。写真については詳しくても「海に潜る」ということ、「素潜りで写真を撮る」ことをあまり知らない、という人も多く、野口君の解説の前に私がフリーダイビングについても少しお話させて頂きました。
人間はもともと海から来た生き物です。フリーダイビングを通じて改めて感じることが出来る、「潜水反射」などの興味深い人間の身体機能。フリーダイビングはまさに「海の記憶を思い出す」もの、人間は「Water Being(=水の生き物)」だと思い出すことが出来るものです。野口君の写真集のタイトルはまさに、フリーダイビングのキモなのではないかと思います。
そしていよいよ野口君。が訥々と語る水中写真のお話
「自分自身が素潜りをする中で、単に海の中の景色ではなく、潜っている時の様々な心の機微を撮りたいと思った。潜れば潜る程死に近づくはずなのに、そこでは何故かリラックスして、不思議な無心の境地になれる、それを写真にして伝えたいと思った」
「写真というのはそもそも物理的なもので、光を撮っているに過ぎない。ただの光の反射でしかないそこには本当は心の機微は写らないはず。でも、写真を見た時には確かに心が動かされる瞬間があるはず。」
「これは小笠原の海底に沈む零戦。70年も前の人の痕跡。沢山の歴史が詰まっている。それが今では海という大自然の一部のようになりながらも、でもどこかに人の残り香のようなものがある。これを見た時に自分の気持ちが大きく揺さぶられた。人工を内包している自然、そして純粋な人工は人の意志なのではないだろうかと考えた・・・」
普段は真面目に語ることが無い野口君の写真への熱い思いを聞くことが出来ました。
真剣に聞き入る面々。海の世界を知らなかった人は海を、写真のことを知らなかった人は写真のことをそれぞれ知り、海の命を美味しく頂きながら、新たな出会いと繋がりが出来た夜でした!
集合写真、、さすが広角カメラで全員収まった!の図。
そして最後に、オーナーの写真評論家、飯沢耕太郎氏により、「WaterBeing」はめぐたまの書棚に収まったのでした。
野口君が次にどんな写真を撮るのか、楽しみです。写真を通して、沢山の人が水を感じ、自分が「水の生物」であることを思い出してもらえたら嬉しいですね!
Photographer 野口智弘:https://www.facebook.com/pages/Photographer-%E9%87%8E%E5%8F%A3%E6%99%BA%E5%BC%98/1522593401329360?fref=ts
写真集「Water Being」(amazon):
http://www.amazon.co.jp/Water-Being-%E9%87%8E%E5%8F%A3-%E6%99%BA%E5%BC%98/dp/4990808304
photo by Tomohiro Noguchi,
Mami Shimizu, Michiyas Suzuki
只今、セルビア・ベオグラードでは2年に一度のフリーダイビング世界選手権 (プール種目、個人戦) 「Individual AIDA Pool World Championships
Belgrade 2015」が開催中です!前半の予選が終了し、あっという間に今日から後半の決勝に入りました! 2年前の大会と同じく終盤戦のレポートになりますがご容赦くださいませ。
大会公式サイト⇒http://www.aidapoolworldchampionships.com/
フリーダイビングのプール競技とよく間違われるスポーツに、オードリー春日選手の活躍でも最近話題の「フィンスイミング」があります。同じ大きなモノフィンを着けてプールを泳ぎますが、こちらは速さを競う競技なので、距離や閉息時間を競うフリーダイビングとは少し違います。でも、全く同じフィンを身につけるて泳ぐという点ではちょっと親戚みたいなスポーツなので、何にせよ盛り上がるのは嬉しいことです^^)
セルビアのフリーダイビング世界選手権でもオードリー選手に負けず魅力的な選手達が頑張っています!
■セルビアってどこ?
さて・・セルビアってどこ?と 聞かれて即座に正確に答えられる日本人がどのくらいいるでしょうか?
ココです!東欧バルカン半島のど真ん中です。バルカン半島といえば教科書で習った複雑な民族紛争の歴史がまず思い浮かんでしまいますが・・、ベオグラードの市内にも空爆で破壊された建物の史跡などが残っているようです。でも現在は独立国家となりヨーロピアンな美しい街並、そして親日家も多く、東西文化が混じった美味しい料理が食べられるとても素敵な国だそうです!
フリーダイビングはヨーロッパで盛んで、特にプール競技はロシアや東欧諸国の選手がガチで強い!ので中央に位置するこの国は、多くの選手にとってとても便が良い国、なのです。国境を越えて車でやってくるヨーロッパの選手達も多いようです。今回も各国から170名以上の選手が参加している最大級のフリーダイビング大会です!
■プールの世界大会で競われる種目
この大会で競われる種目は3種目です。
・ダイナミックウィズフィン(フィンをつけて水平に泳ぐ距離を競う種目)
・ダイナミックノーフィン(フィンを着けず平泳ぎで水平に泳ぐ距離を競う種目)
・スタティック(水に浮かんで息を止めている時間を競う種目)
フリーダイビングには海洋種目とプール種目がありますが、どちらかというと「スポーツ的」な要素が強いのはこのプール競技なのではないかと思います。
一つのプールの隣り合わせのレーンで選手が競技を行い、何と言ってもその様子を全て観戦することが出来ます。予め決めた申告深度に挑戦する海洋種目と異なり、プールの場合は最後の最後まで結果が分かりません。思わぬ大記録が出る場面を目の当たりにすることもあるのです。
競技結果はコンマ1秒、1m刻みで勝敗がつきますがその様子は本当に手に汗を握るものです。観戦しながら思わず息を止めてしまいそうになり苦しくなります^^;
ちなみに私はプール競技が苦手なので選手全員すごく尊敬しています。
■世界大会のプールはこんなところです。
50m×25mの広いプール、透明度は50mオーバー、つまり端から端までクッキリ見えるようです。そして何と深さは2m以上。
現地の選手によると「晴れれば海のようにキラキラで透明度抜群で最高に気持ち良く、塩素の匂いが全くしないので、おそらく限りなくピュアウォーターなのかな?そんなお水で泳ぐ素晴らしい開放感。水温22~24℃で超寒いけど、シャキッとします。」とのことです。んーこんなプールで泳いでみたい!
■チームJAPAN
日本からは男女10名の選手が参加しています。
【日本代表選手 種目別一覧】
・DNF ダイナミック・アプネア・ウィズアウト・フィン
男子 / 守屋滋記、飯伏教文、後藤修一、大井慎也
女子 / 石田美弥子、市原由利子、丸山さわ子
・DYN ダイナミック・アプネア・ウィズ・フィン
男子 / 飯伏教文、守屋滋記、大井慎也、後藤修一
女子 / 石田美弥子、市原由利子、丸山さわ子、草地ゆき
・STA スタティック・アプネア
男子 / 飯伏教文、大井慎也、後藤修一
女子 / 丸山さわ子、草地ゆき、印牧未央
ベテランからフレッシュな新人選手まで、バラエティ豊かなメンバー、得意種目も様々です。プール種目は国内でも沢山の大会が行われ、日本人選手のレベルもグングン上がっていますが今回は特に世界大会が初めて、という新人選手も多く参戦し、健闘しています!
競技前日の申告.ホワイトカードがとれますように。
日本のみんなからのメッセージが書かれた日の丸をプールサイドに掲げて。
こちらはスタティックのローテーション表ですね。専属のコーチがいるわけではない日本選手団は、選手同士お互いサポートしあい助け合いながら頑張っています!特にスタティックはサポートと二人三脚ですからね!
■予選を終っての結果はこちら
そして前半3日の予選を終えての結果がこちらです。
<ダイナミックノーフィン>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_b0683e554af24ef8830b74c52716fe1d.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_f2c3d7afdc454c35915a6b6e50e1be91.pdf
<ダイナミックウィズフィン>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_83439f435816493382a9ff59e45c248e.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_9cde0b1749094854a475435ddf89af19.pdf
<スタティック>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_f894e5acb44d4469aa778600b78f03fa.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_850b0f7efb5e4b6ca42feed3e944c023.pdf
なんと最終日のスタティック決勝には新星、草地ゆき選手がAファイナル決勝に残りました!メダルにも手が届く位置に着けています!!
それにしてもいやあ・・・決勝のレベル高さには驚きました。
決勝通過ラインは
・ダイナミックウィズフィン 男子 200m 女子 173m
・ダイナミックノーフィン 男子 153m 女子 130m
・スタティック 男子 6分34秒 女子 5分10秒
残念なことに、日本選手の数名はあと数メートル、数秒の差で決勝に残ることが出来ませんでした。。ダイナミックウィズフィンの石田選手、スタティックの丸山選手とも17位(決勝進出は上位16名)というギリギリラインでした><)
石田美弥子選手は前回のセルビア大会では堂々決勝に残り、さらに176mの日本歴代2位という記録を叩き出した「本番の女王」。今回彼女はたったの1位差、あと5m差で決勝を逃してしまいました・・現地の石田選手とはチャットで会話しましたが、
「事前に強豪選手の過去データから決勝のラインを徹底的に分析して、168-170mと読んでいた。予選では余力を残して169mで上がった。結果は17位。16位の選手は173m。あと5m足りなかった。ジャッジのエカテリーナには完璧なホワイトと褒められたけど、こんなに悔しいホワイトカードは無い。でも泳ぎの内容は過去最高だった」
とのことです。さぞかし悔しいと思いますが、冷静な自己分析はさすが。こんな風に、細かな読みや戦略が渦巻くのも世界大会ならでは、ですね。
でもみんな実力を出し切った、とても良い顔をしています!
さて、残りの決勝、日本との時差は-7時間です。
■リアルタイム中継はこちら↓
https://www.facebook.com/IndividualAidaPoolWorldChampionshipsBelgrade
■日本チームの応援ページはこちら↓
https://www.facebook.com/freediving2015pool
世界の強豪選手がどんな大記録を叩き出すのでしょうか?またとんでもない世界記録が出るのでしょうか?
そして最終日6/27(土)STA決勝での草地選手の健闘を祈ります!ぜひみんなで応援しましょう!!
photo by Tomoyuki Ishida & Tean Japan in Belgrade
フリーダイバー同士の会話で
「採寸した」「新調した」「お直ししなきゃ・・」
というフレーズが出たら、シャツのことでもジャケットのことでもドレスのことでもなく、ほぼ100%ウェットスーツのことでしょう。
私は高価な洋服を買うことはまずありませんが、ウェットスーツは別。気がつけば夏用・冬用・講習用・競技用、、と何着も持っています。しかも大抵オーダメイド。自分が持っている衣類(?)の中で一番お金をかけているのは間違いなくウェットスーツです。
フリーダイバーにとって、ウェットスーツは自分の身体の一部、肌の一部とも言えるくらい、大切なものですからね!特に深度競技用のスーツは競技に集中したり、安全のためにも重要な役割を果たします。
1)身体にピッタリしていて
2)保温力があって
3)柔らかくて
4)水の抵抗が少ないもの
こうした要件を満たす最高のウェットスーツはなんと言っても「フルスキン」。両面ともツルツルとしたゴム生地で肌に密着し、身に纏うとまるで自分の肌がイルカやアシカになったような感覚、潜りながら水がスルスルと身体に沿って流れを感じることが出来ます。
でもネックなのは・・・生地の特性上とんでもなく破けやすいこと。
「スーツ、ビリビリに破けちゃったよ・・」という事態、フリーダイバーでは割とよく見る光景でもあります。フリーダイビング競技は海の中で格闘技のような肉弾戦を繰り広げるわけでもなく、ごく静かに一人で淡々と行うものにも関わらず。
着替えの時に少しだけ爪をひっかけてしまった、、ボートのちょっとした出っ張りにひっかかってしまったりとか、ともかく、ちょっとした行動で簡単に、音も無くサクッと破けてしまうのです。
なので、修復用ボンドも必携。ボンドで傷口を上手に修復して一晩置けば、また元通り着られるようになります。
と、いうわけで、私が一番愛用している3mmスキンのウェットスーツには沢山のツギハギがあります。5年前に初めて作った憧れだったフルスキンのウェットスーツ。慣れないうちは特によく破いていましたが、次第に扱い方にも慣れ、最近では簡単には破かなくなりましたが・・。
ところが、流石に5年も経つと経年劣化であちこちの継ぎ目から水が漏るようになってしまいました。先月出場したバハマの大会でも、ウォーミングアップ中に肩に空いた小さな穴から「ツー・・」と水が浸入してきてなかなか集中出来なかったり・・・
■DELFINOへ
ここまで来たら新調したほうが良いのかもしれませんが、愛着のあるウェットスーツは長く着たいもの。今年はいくつか大会にも出場するので、全身修理をするために、真鶴のウェットスーツ店「DELFINO HOUSE(デルフィーノ)」へ。
真鶴の海を見渡せる高台にあるここは。練習帰りに採寸してもらったり、自力では修復不可能なレベルに破けたウェットスーツをその日のうちに持込みしたり・・と本当にお世話になっています。
スクーバ用、漁師さん用、と様々なウエットスーツを作り続けている後藤親子はプロ中のプロ。この工房には沢山の生地や型紙があり、見入ってしまいます。
生地一つ・型紙一つにも職人芸の細かさとこだわりが感じられます。
こちらがウェットスーツデザイナーの後藤仁志さん。自身も素潜りの名手ですが、何故か海で出会うとウェットスーツではなく海パン一丁で潜っていることが多いのです。
それどころか、マスクも無しの素面ということも。。
素肌で海に潜る気持ち良さを良く知っているからこそ、肌の一部のようなスーツが作れるのかもしれません。
「ウェットスーツを着るのも瞑想の一つなんですよ」
そういえばそんなことを教えてもらったこともあります。ウェットスーツへの愛情と、もはや哲学のようなものすら感じます。
■青い翼
さて、、私のウェットスーツはこんな風に生まれ変わりました!
海女さんのように全身地味で真っ黒だったウェットスーツの肩が青く光っている!肩の後ろで腕を組むストリームラインを作るために一番摩耗しやすい肩の部分に新しい青い生地がつきました。
まさしく背中に生えた青い翼です!
初めて-50mを潜った時も、初めて世界大会の選手になった時も来ていたウェットスーツが、青い翼でパワーアップしました!
この翼は、どこまでブルーな世界に連れて行ってくれるのか、この夏潜るのが、ますます楽しみです♪
いよいよ海シーズンが始まります!
私は真冬でも潜っているので「あなたは一年中海シーズンなのでは?」と思われがちですが、やはり今からがシーズン・オンです。
もうすぐ夏です!そしていざ夏になってしまうとあっという間に終ってしまうので、「これからやってくる夏」を楽しみにするこの季節は格別な時です。何かを楽しみに待つ時間は、「何か」以上に楽しかったりしますよね^^;
ひとつひとつ、これから始まるしるし、を見つけていきます。
都内の、プール練習で会う友人達の肌がだんだん黒くなり日焼け比べをしてみたり。(※紫外線対策、、気をつけねばなのですが・・)
葉山の海がだんだん賑やかになって来たり。
真鶴の東京フリーダイビング倶楽部の練習会が始まり、そして始まったと思ったら早速南風が吹いて船練習が中止になり、ビーチエントリで地味な自主トレに励んだり。
海の透明度はどうポジティブに見ても抜群にはほど遠く、水温もまだまだ冷たいのですが、これはこれから夏に向かうプロセスの一貫ですからね!
そして私にとってはこれからが「海が身体に戻ってくる」季節でもあります。私は5月始めに一度、バハマでの大会に出場し暖かい海で潜っていたので既に一度身体が海仕様になっていたはずなのですが・・・それでも関東のひんやり冷たい海では、やはり夏に向けてもう一度地味にトレーニングするしかなさそうです。
7月には沖縄で大会があります。これもあっという間にやって来ます。
これからの季節、自分が進歩出来ることを楽しみに、頑張ります!