セブで年末年始を迎えるもの15年が過ぎ、毎年慌ただしくあっという間に1月後半に突入しているので、新年らしいことなどまったく行わないので毎年変わらない日々ですが、皆さんにとってはさらに良い年を迎えてください。
新年を迎えたセブの海中も相変わらず賑やかな状態が続いていて、毎年の事ですが珍しい生物たちが見られるようになり、海から毎年お年玉をもらっているような感じです。
ここ最近、ふと思うところがあるのですが、海の生物たちの中でも小さな生物たちは本当に必要な生き物ばかりなのか??という疑問が頭をよぎるのですが、全ての海において生きている生き物は、海を形成する上で必要または不必要と大雑把に区別するとある生物は絶対に必要かなと観ていて思うのですが、希にこれは本当に必要なのか??と感じさせてくれる生物も存在します。水質や砂地、藻場、サンゴなどを活性化するものたちなどは良いのですが、それらに全く関わっていないように感じる生物たちも存在しているように思ってしまい、陸上の昆虫などと比べて自分勝手に解釈して納得している日々です。たとえば害虫といわれる昆虫類など人間にとっては不必要ですが、地球的には必要な生物の一つなのでしょう。不必要な生き物などこの地球上に存在するわけがないと個人的に考えています。それを毎日、観察していても答えは出てこないのが今現在で混乱するばかりなのですが、どうしてもそれらしい答えを求めて毎日観察している日々がこれからも相変わらず続くのでしょう。
今回の写真:ピグミーシーホース 辰年にちなんだものです。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea
あっという間に11月に突入で、今年も終わりが近づいて来ています。
10月31日はハロウィンで、ここセブでもあちらこちらでパーティが行われて騒がしいのですが、この時期フィリピンでは日本で言うお盆のような墓参りが行われる時期で、日本とちょっと違うところは墓地で一夜を過ごすという恐がりな人からするととても考えられない習慣があります。日本は火葬なので気にならないかもしれないのですが、ここではほとんど土葬になるのであらぬ気をつかってしまうかもしれません。こちらのお墓は一体一体棺に入れられて土に埋められるかコンクリートの棺に置かれるのですが、コンクリートの場合は徐々に積み重なれる場所もあり、見た目的にはまるで塔のような感じです。しかもミイラ化していると思うと、、、、。
自分的にはさすがに一夜は勘弁していただきたいところです。
ダイビングという仕事を通して毎日、海という自然を相手にしています。ここ数年の自然の猛威も多くあり、ここセブの海の環境も変化を見せてきています。
環境の変化によってクラゲやオニヒトデの大量発生などサンゴなどにとっては死活問題になる事も年々増えてきているのは事実です。この自然と向き合って今の現状をなるべく維持して、これ以上悪くならないようにしていくことがこれからの自分たちがしていかなければならない課題だと思います。
その一つにオニヒトデ退治もあるのですが、個人的解釈からすると全てのオニヒトデを駆除してしまうことがはたして環境にとって良いことになるのか?と考えてしまう毎日なのです。この地球上に不必要な生き物などなく、それぞれがそれぞれの役割があるから存在するもので、人間の解釈によって悪とされるもの全て駆除の対象にするのはかなり身勝手な考えではないのでしょうか。
海に潜るのもとしてどこを見ても不必要なものなど感じられなく、なにかのサインを自然が出しているのではないのかと思う今日この頃です。
今回の写真:海に映ったボートの舳先
映画で主役にもなりニモとも言われるクマノミの仲間もセブにも多く生息しています。
魚の多くは性転換するのですが、クマノミたちは雄性先熟といってオスからメスになります。一つのイソギンチャクに住んでいるクマノミの中で一番大きい個体がメスで他の個体は全てオスになります。メスは辻に大きい個体のオスを今より大きくならないように威嚇や攻撃を仕掛けたりもしますし、他のオスたちも自分より大きくならないように他のオスたちに威嚇をしている姿を見ることが出来ます。もしメスが死んでしまった場合は、次に大きい個体がオスからメスに変わりますが、このような世代交代がない限りはいつまでも子どものままなのです。
一見、一つのイソギンチャクに住み着いているクマノミたちは血の繋がりのある家族のように見えるのですが、実際には全く血の繋がりのない家族になります。クマノミの卵は孵化したあと、海を漂い成長しながら住居となるイソギンチャクに落ち着きます。このため同じ遺伝子を持つもの同士が同じイソギンチャクにたどり着く可能性は無に等しいのです。
見た目には家族のようにイソギンチャクに寄り添い合う姿ですが、他人同士仲良く暮らすクマノミたちを見ていると考えさせられるものがあります。
今回の写真:スパインチークアネモネフィッシュ
日本にはいないタイプのクマノミの種になります。小さい個体は綺麗な色合いを持っていて綺麗ですよ。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea
水母と書いてクラゲと読む。水の母とはすごいイメージが湧きそうな字ですが、最近は観賞用としてアクアリウムでも人気で、綺麗なクラゲはなかなか幻想的で癒してくれる生き物だと思うのですが、実際ダイビングではかなりやっかいな生物です。
クラゲの構造は傘、口腕、触手からなっていますが、触手に少しでも触れてしまうと棘胞が発射されれば、絡まった場所は痛がゆい何ともいえない症状など出ます。刺されてもそれほどでもないタイプのクラゲも射ますが、中にはかなり危険なものもいるので注意が必要なほど。
観賞用になるタイプのクラゲは遠くからでも見たらすぐに判るのですが、全く見つけられない小さいのもから触手が長く傘の部分が小さいタイプのものなど、セブの海にもクラゲは多く生息していて、いきなり刺されたりすることが多く刺されるとやり場のない嫌な気持ちだけが残るので、ダイバーからするとお近づきになりたくない生き物ですが、魚の種によってはクラゲを住み家として生活する魚もいます。しかし、クラゲの種類によっては命がけの生活で触手に触れないようにしながら日々を過ごしている種もいるのですが、他の天敵などからは襲われないですむので、ゆりかごと言ってよいのでしょう。
今回の写真:ハナビラウオ
イボクラゲなど大型のクラゲを住み家にしている魚です。写真を撮るときは触手に注意が必要になります。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea
現在知られている海水魚類の中で、ハゼという魚がもっとも種類が多く生息数も多い魚になり、その大半の大きさが10cmほどのサイズでさらに小さいものでは2cm以下の種も存在して、生息場所もほぼ全世界に分布するこのハゼ科の仲間たちは、生息場所もサンゴ礁や砂底、岩礁、藻場、マングローブ、干潟といったあらゆる環境や淡水域までも適応して拡散しています。
そのハゼがはじめて出現した時期は、イギリスで始新世後期の3540〜3860万年前の地層からハゼ科の骨格の化石が見つかって、これがハゼとわかる最初の化石とされハゼの起源といわれています。
多くのハゼの繁殖は雄雌ペアで孵化するまで世話を行います。卵は大体、沈性付着卵で付着糸によって生み付けられることが多いです。孵化した稚魚は一定期間の浮遊生活後、適当な場所で定着して生活していきます。浮遊時期に海流に乗って日本に流れていく物も多く、ここセブで見られるハゼが日本近海でも生息し、さらにそこで生まれた稚魚が水温の冷たい北の環境まで流れ着いて、そこの環境に適応しさらに進化していき、その環境でのみしか見られない種などもいたりかなり奥の深い世界なのです。
ダイバーになじみの深いハゼ類は、ハゼとテッポウエビが同じ巣に共生で生活するタイプで、お互いメリットデメリットをうまく利用して生きている姿はなかなか面白いもので、エビは一生懸命巣穴の拡張のため、穴の中からハサミの部分を使って砂を外に運び出していますが、エビは盲目であるため外敵が来たとしても気が付かないのをハゼがカバーする役目を負っています。エビが穴から出てくる時は必ずハゼの体に触角をつけています。もし外敵が巣穴に近づいたりした時にはハゼは体を震わせてエビに教えてお互いに巣穴の中に逃げ込みます。ところが、お互いの性格もあるのかもしれないのですが、ハゼのことなどお構いなしにハゼを退けてまで外に出てくるエビやエビよりも先に逃げ込むハゼなどなかなか楽しませてくれる世界です。
この共生生活もちょっと変わっている面もあります。全ての生物は子孫を残すことに懸命です。エビは子孫を残すために相手と出会うまで巣穴を広げていきます。出会えたら巣穴を広げることは終わり、巣の修復のみになります。その時にハゼも一緒に出会えればお互い問題はなく共生生活を続けていきますが、出会えないときには、それまでの巣穴を捨てて新しい巣穴を探しに行ってしまい、今までの巣穴はエビのみとなる時もあります。ハゼ、エビの種類によって共生出来るタイプもあるらしく、大半は同じ種類のもの同士がペアになっています。この広い海の中で10cmほどの生物が、よくペアになれるのが不思議な世界です。
今回の写真:レッドマージンシュリンプゴビー
海外では多くみられるハゼでハゼ観察入門編にはもってこいの種です。
The Gobioid Fishes of Philippines
一般的にフィリピンは6月から11月まで雨期のシーズンに入ります。でも、ここセブ島は一年を通して明確な雨期はないのですが、雨が多く降りやすい天気になります。雨といっても南国らしく、バケツをひっくり返したような降り方で、時には雷を伴って降ってもきます。
一度スコールが降ると、下水などしっかり作られていない場所では、道路が冠水して車などが通れなくなることも多くなるので、生活するのに不便になることもあるほどです。
この雨期シーズンは雨の影響で水中の視界が普段よりさらに悪くなるのですが、海にとっては恵みの雨とも言えるので必要なサイクルなのでしょう。陸の栄養素が雨によって海まで運ばれて、それがやがて海の生物たちの生きる糧に変わっていくのでしょう。
しかし、年々自然の変化や気候の変化によって雨期の時期に降るスコールの降り方や降水量なども変わって来ていて、それに合わせて生物たちも少しづつ変化してきているような気が最近しています。
今回の写真:イロブダイ
幼魚は個体数が少なく、今のシーズンに見られます。白地にオレンジ色で尾っぽを丸めている姿がかわいい魚です。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea
命あるもの全てに言えることですが、海の生物たちも生き抜くために子孫を残す行動を行っています。ここのような温暖な海では、海の生物たちの産卵サイクルも多く、年4〜5回もおこなう種も存在します。普段はダイバーなど自分より大きいものがテリトリーに近づいてくるとサンゴや岩場に隠れる習性を持っているのですが、これが産卵時期には全く異なった行動を行います。
その中でスズメダイという種は大きいもので20cmぐらいなのですが、それが卵を守るためにテリトリーに入ってきたダイバーなど自分より大きいものに果敢に向かって来て、小さい体全身で追っ払おうと必死に生きている姿や自分の体に卵をつけて守るものや孵化するまで口の中で守るものなどどれひとつ見ても神秘に満ちた世界が広がります。
生まれた種は広い海を海流に乗ってまだ見ぬ世界に広めていき、種族を絶やさないようにしていることは本当にすごいことなのです。
今回の写真:エボシウミタケハゼ
小さい青色のホヤに卵を産み付けて孵化するまで守りぬくハゼの仲間。
小さい生物ですが、その子孫を守るけなげな姿が何ともいえない感じです。
The Gobioid Fishes of Philippines
セブに来てダイビングをし始めてから10数年が経ち、いつもの見慣れた水中の風景やそこで命を営む生物たちを毎日のように一年を通して見続けて来ていますが、毎年見られる生物たちも変化していて本当に侮れない海の一つだと思います。
前にも書きましたが、セブで見られる生物の図鑑はなく、日本や他の海外の図鑑を使用するのですが、それらの図鑑でも全く種が足りないのをずっと感じています。現在も研究によって魚の学名や英名、日本名なども変わっている日々なのですが、それでも全然追いついていないのです。
ここを訪れる全てのダイバーのために、もっとセブ島の凄さを伝えるためにも、ここセブ島で誰もが水中で見られる生物の図鑑を作ること!!これが自分のライフワークと思い、時間があるときはせっせと写真をとり続けて居るのですが、まだまだ多くの種を撮っていない現状ですが、いつかはちゃんとした図鑑が出来上がれば良いとこつこつ地味に行っているのですが、完成までまだまだ長い道のりがありそうです。
今回の写真:イロカエルアンコウ
春先頃から1cmほどのかわいい幼魚が見られるようになります。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea
被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げるとともに 犠牲になられた方とご遺族の皆さまに対し深くお悔やみ申し上げます。
ここセブでも毎日、ニュースで報道されていてまわりのフィリピン人達からも励ましの言葉をもらっています。日本はこれまで多くの震災に遭ってきましたが、全て乗り越えて前に歩いて来た国民なのです。必ずこの震災からも月日は掛かると思いますが多くの人々が一つになり、この災害から乗り越える力を持っていると信じています。
ニュースを毎日、見ていてすごく気になることがあります。それは福島原発のニュースなのですが、なぜあのように恐怖を植え付けるように報道するのか、すごく気になって仕方がありません。確かに原発事故はあってはならないですが、今現在も必死に問題を食い止める人々がいることや日本最大の震災に見舞われた人々はまだまだ多く、さらに支援を求める人たちに十分な物資が渡っていない状況、各避難場所にいられる方々の分かっている名簿など報道することが今、大切のことのように思えます。
東北地方はセブに来てくれるゲストも多く、日々、インターネットとニュースでしか分からず、歯痒い思いの日々です。日本から離れているので、今すぐに何を出来るわけでは無いですが、今月末に帰国予定なのでこれから出来ることを考えていきます。
被災された皆さんがまた、笑って過ごせる日々が早くやってくることを祈ります。
今回の写真:バンテッドトードフィッシュ 見た目、顔がウーパールーパーみたいな魚で結構人気のある種になるアンコウ科の魚です。
Tropical Reef-Fishes Of The Philippines Sea