先日、西日本の、とあるゲイタウンにあるゲイバーの閉店に関する手続を終えました。
そのお店は、昭和の時代に営業を開始したという老舗で、3代目の経営者でその歩みを止めることになりました。
景気の良い頃には、支店を出すほどの繁盛ぶりで、法人化や別事業への参入なども果たした程でしたが、ここ数年は、赤字が累積する一方でした。
ゲイバーは、アルコールを楽しむ場所であるのはもちろんですが、出会いを提供する場の役割が大きいと言います。
しかし、近年のインターネットの急速な発達により、人と人の出会いのきっかけが、インターネットを利用した様々なサービスに偏るようになり、ゲイバーの新規来店者数は激減したというのです。
確かに、同じような意見は、LGBTの風俗ビジネスや飲食ビジネスに携わる方たちからはよく聞きます。
「その場に行かないと同じセクシュアリティの仲間と出会えない」時代から、「いつでもどこでもインターネットを通じて自由に出会える時代」へと変化したわけです。
これは、当事者にとっては、とても便利なことでしょう。
ところが、この気軽さには、ゲイバーでの出会いにはない危険をはらんでいるというのです。
ゲイバーでは、マスターをはじめ、常連さんの目があるので、危険な出会いはある程度抑制できるとのこと。
もちろん、ゲイバーでの出会いが、100%安全なものであるとは言えないでしょうが、近年のインターネットでの出会いのトラブルをみていると、確かにゲイバー安全説もあり得なくはないなと思います。
そうした一種のセイフティーネットであるゲイタウンの老舗ゲイバーが、今、全国で姿を消しつつあります。
「時代には逆らえない」と冒頭の経営者は仰っていましたが、LGBTカルチャーの発祥・発展を担ってきた場が静かに消えゆく状況を当事者の皆さんはどうお考えでしょうか?
個々のお店の経営能力の問題と言って片づけることのできない問題があるような気がします。
今年も暑い夏ですね。そして、雨や台風も酷い。これも異常気象と言われる現象なのでしょうか?
さて、夏のこの時期、レインボーサポートネットのメール相談では、若い世代の方々からの相談が増える時期でもあります。
夏は解放的な気分になる季節であるのか、毎年、ダイレクトに性的な事柄に関する相談が寄せられます。
昨今は、パソコンやスマホで簡単に調べたい事項の回答が得られる時代になりましたが、そうした情報が果たして正しいのか?自分自身にあてはめた時にどうなのか?という観点での質問をメール相談として寄せられるのです。
中でも多いのは、リスキーな行為(いわゆる脱法ドラッグの使用や無防備な性行為など)をしてしまった後に、自責の念や困惑、事後の影響などに関する相談です。
10代や20代前半の若い世代の、夏に経験する非日常な体験が、その後の人生の糧になるような良い体験ならばいいのですが、残念ながら危険な誘惑に乗ったことによる悪い経験であることが多いのが現状です。
自分自身でも後悔しているのならば、やってしまったことは取り返しがつきません。大切なことは過ちを繰り返さない事です。
大人への入口は、リスクの扉ではありません。
若い時は、確かに、多少の無鉄砲な振る舞いをしてしまうのかもしれません。でも、昨今の青少年への夏の誘惑は、その後の人生を不幸にしてしまう程の卑劣さを持つものが少なくありません。
情報だけが氾濫し、興味本位で安易にリスクを犯しがちな若者達に、身近にいる大人が、自分自身を大切にすることの重要性を普段から教えてあげる事が大切であると思います。
今日は、中橋とLGBTライフ研究会で中心的な役割をしておられる、片桐さん(仮名・38歳)との対談です。
中「LGBTライフ研究会での活動内容を教えて下さい」
片「その名の通り、LGBT当事者が人生を豊かにするためのあらゆることを研究しようという趣旨で活動しています。でも、ここ2年くらいは成果物を発表するのが楽しくて、そのためにメンバーが情報を持ち寄り、あ~でもない、こ~でもないと議論しています」
中「成果物というのは、レポート的なものを通信販売しているのですよね?」
片「私たち的には、『マニュアル』と呼んでいます。一つ完成させたら、次はどんなマニュアルを作って世に出そうかと、その議論が楽しかったりします。作成する苦労は半端ではないのですが、完成させたら、達成感から、その苦労を忘れちゃうんですよ(苦笑)」
中「最初は、友情結婚のマニュアルでしたね。反響はどうでしたか?」
片「とても良かったんです。今でも一番押しの商品です。我ながら自信作ですから」
中「他はどうですか?」
片「中橋さんにも助言を頂きながら、LGBT向けのエンディングノートを作りましたよね。でもあれ、売れないので反響もないんですよ。いいものなのに・・・」
中「売れてないのですね。。ちょっと残念です」
片「スイマセン。私たちは、自分たちの研究の成果を発表する目的で、ネット配信会社に協力してもらって、PDFダウンロードという形式で販売してもらっているのですが、全然宣伝してないのですよ。だから、こうして取材してもらって、中橋さんが記事にしてくれたら宣伝効果は絶大かと」
中「いえいえ。謝らなくても大丈夫ですよ。営利目的の活動ではないですからね。それと、対談記事を掲載しますけど、絶大な宣伝効果は全く期待しないで下さい(焦)」
片「今は、LGBTが直面する課題を、一つずつ、自分でクリアーしてもらえるように、課題ごとのマニュアルを充実して、LGBTライフのバイブルにしてもらいたいという思いを強くしています」
中「情報を収集し、それをまとめて、問題点を分析し、解決法を書籍で提案しているわけですよね。そういう活動を通して、LGBTに関する様々な制度的問題点などが明らかになるのではないですか?」
片「そうですね。人として、ただ幸せな人生を送っていきたいだけなのに、人生の大切な部分でLGBTはやはり差別的な扱いを社会から受けてしまっています」
中「最新のマニュアルは、遺言書だそうですね」
片「はい。自分で遺言書が書けるようなマニュアルを作成しました。同性カップルは法的に相続人になれませんから、遺言でパートナーに遺産がいくようにできますからね」
中「私は、公正証書遺言を勧めているのですが、自筆での遺言書が良いと?」
片「確かに公正証書は、公証役場で作成されるから、内容に法律的な間違いがある心配とか、保管上の問題が無いことは理解しています。でも、公証役場に行かないと作れないでしょう。それが問題なのです」
中「つまり、自分ひとりで、誰の関与も無く作成したいということですか?」
片「そうそう。紙とペンがあれば、それだけで作れるじゃないですか。あとは、遺言書を作成するための法律的なルールを知らないといけない。だから、そのためのマニュアルを作ったんです」
中「気持ちはわかりますが、法的な安全や、死後に家庭裁判所での検認の手間を省くこと、遺言書の紛失や改ざんの危険性を考えると、私は公正証書をお勧めしますね。公証人に会わなければなりませんが、守秘義務もある立場の方々ですから」
片「わかりますよ。公正証書が理想です。それはわかっています。でも、それでも、自分のセクシャリティをカミングアウトすることになるかもしれないというリスクを負いたくないというのが大多数の当事者の意見だと思いますよ。公正証書だと、証人も2人以上必要ですよね」
中「確かに、公証人・証人2名には少なくとも、自分の遺言の内容は知られてしまいますね」
片「例えば、中橋さんに依頼して公正証書で遺言を作成したら、公証役場との折衝や証人の調達もして下さって、作成当日に1回だけ公証役場に本人が行けばよいというのは、ある程度気軽で良いとは思います。でも、誰にも知られずに、あっ、パートナーに知ってもらっても良いという場合もあるかもしれませんが、それでも、自分のセクシャリティの秘密は守られるので、そこを重視したいんです」
中「なるほどねぇ。公正証書でも、秘密は十分守られると思いますが、知られてしまう相手が数人出てくるのは避けられませんね。それが嫌だから、自分で作る遺言書の方が良いということですね」
片「はい。もちろん、自分で作ることのリスクはあると思いますが、とりあえずは、それで良いと思うんです。もしかしたら、将来、別のパートナーを見つけるかもしれないし(爆)」
中「まぁ、有り得るんでしょうねぇ(笑) だったら、一応の保険的に、自筆で遺言書を作っておこうとなるわけですね」
片「そういうこともあり得るという事です」
中「わかりました。今日は、当事者の方が、遺言書の作成に対してどのように考えておられるかを知れてよかったです。今後とも研究会の活動頑張って下さいね」
片「はい。ありがとうございました」
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7月になり、レインボーサポートネットには、遺言書に関する問い合わせが増えてきました。
毎年、夏が近づいてくるにつれ、相談件数自体が増える傾向にありますが、近年はパートナーとの関係を法的な婚姻関係(結婚)に近づけるための手段として、遺言書の作成をされるカップルが増えてきました。
数年前までは、「同性婚のような法律的な関係を築くにはどうしたら良いですか?」というご相談が大半でしたが、昨年あたりからは、具体的に遺言書の作成をしたいので手続きをお願いしたいという問い合わせが増えています。
これは、同性カップルの多くが、どちらかの死後に、自分の財産をパートナーに安全に遺すには、遺言書の作成が必須であるということをきちんと認識してくれた結果だと思います。
国内で活発になってきた同性カップルの権利擁護運動や啓発活動の結果が、当事者の皆さんに確実に浸透してきたのでしょう。
同性カップルが、マンションや一戸建てを購入する際、共同でローンが組めないので、片方の名義&ローンで購入し、その方が不慮の事故や病気で死亡した場合に備えて、パートナーの住居を守るために、遺言書でその不動産などを遺贈(遺産を与えること)するように書いておくのです。
遺言書は全て自筆で作成する自筆証書遺言という方法もありますが、死後に家庭裁判所で手続が必要であったりと、遺されたパートナーに負担をかける部分が大きいので、公正証書で遺言を遺し(公正証書遺言)、死後の手続がスムーズかつ迅速にできるようにしておくのです。
遺言書は『最後のラブレター』と呼ばれています。
大切な人の余生を守ってあげるために。。同性カップルには必須の手続です。
同性婚制度や同性パートナーシップ制度によって、同性パートナーに遺産相続の権利が認められる日が来るまで、レインボーサポートネットの遺言書作成支援は続きます。
7月になり、レインボーサポートネットには、遺言書に関する問い合わせが増えてきました。
毎年、夏が近づいてくるにつれ、相談件数自体が増える傾向にありますが、近年はパートナーとの関係を法的な婚姻関係(結婚)に近づけるための手段として、遺言書の作成をされるカップルが増えてきました。
数年前までは、「同性婚のような法律的な関係を築くにはどうしたら良いですか?」というご相談が大半でしたが、昨年あたりからは、具体的に遺言書の作成をしたいので手続きをお願いしたいという問い合わせが増えています。
これは、同性カップルの多くが、どちらかの死後に、自分の財産をパートナーに安全に遺すには、遺言書の作成が必須であるということをきちんと認識してくれた結果だと思います。
国内で活発になってきた同性カップルの権利擁護運動や啓発活動の結果が、当事者の皆さんに確実に浸透してきたのでしょう。
同性カップルが、マンションや一戸建てを購入する際、共同でローンが組めないので、片方の名義&ローンで購入し、その方が不慮の事故や病気で死亡した場合に備えて、パートナーの住居を守るために、遺言書でその不動産などを遺贈(遺産を与えること)するように書いておくのです。
遺言書は全て自筆で作成する自筆証書遺言という方法もありますが、死後に家庭裁判所で手続が必要であったりと、遺されたパートナーに負担をかける部分が大きいので、公正証書で遺言を遺し(公正証書遺言)、死後の手続がスムーズかつ迅速にできるようにしておくのです。
遺言書は『最後のラブレター』と呼ばれています。
大切な人の余生を守ってあげるために。。同性カップルには必須の手続です。
同性婚制度や同性パートナーシップ制度によって、同性パートナーに遺産相続の権利が認められる日が来るまで、レインボーサポートネットの遺言書作成支援は続きます。
ある日、レインボーサポートネットの相談所に、中学生の子を伴った母親が相談に来られました。
相談の内容は、「子供が同性愛者である事を母親にカミングアウトし、母親としてはどうして良いかわからない。子供が大人になった後、同性愛者がどのような人生を送ることになるのかを、教えてほしい」というものでした。
話を良く聞いてみると、母親としては、同性愛者が悲惨な人生を送ることを子供に教えて、改心して欲しいという意図があることがわかりました。
子供の行く末を心配する親心なのでしょうが、あまりにも短絡的で無知な決め付けです。
まだ中学生という年齢ですから、セクシュアリティを決めつけるようなことはせず、子供からのカミングアウトに対しては、包容力をもって接してあげることが重要なはずです。
この母親と子供には、様々なセクシュアリティの人たちの話をし、その分類自体を気にする必要はなく、自分を型にはめようとする必要はないのだということを説明しました。
子供なりに悩み、決断して母親にカミングアウトしたのでしょうから、まずは、それを受け入れてあげなければいけません。その上で、年齢的にまだ若いので、自分のセクシュアリティを決めつけたりせず、自分の心に素直に生きていくことの大切さを説くべきではないでしょうか。
LGBT当事者の皆さんのお話を伺うと、小学生とかそれ以前から、恋愛対象や性的興味が同性に向いていたという方が多いのも事実です。
ということは、この子供も、大人になったらやはり同性愛者になるかもしれません。
しかし、まだまだ精神的に未熟な年齢の時に、自分自身を型にはめるような意識を植え付けることは、自我の形成に悪い影響を与える気がしてなりません。
特に母親の愛というのは、どこまでも寛容な包容力であるべきです。
実は、この相談は今から約5年ほど前のものです。先日、この母親からお手紙を頂きました。
当時中学生だった子は、大学生になったそうで、先日、異性の恋人を母親に紹介したそうです。
「もし、あの時、子供のセクシュアリティを決めつけるような対応をしていたら、子供はその型にはまってしまい、かえって、自由な心をを奪われていたかもしれません」とのことでした。
もちろん、異性の恋人を連れて来たからといって、セクシュアルマイノリティでないとは限りません。
この母親は安堵の気持ちでお手紙を寄せられたのだと思いますが、この先も寛容な包容力を持ち続けて欲しいと思います。
ある日、レインボーサポートネットの相談所に、中学生の子を伴った母親が相談に来られました。
相談の内容は、「子供が同性愛者である事を母親にカミングアウトし、母親としてはどうして良いかわからない。子供が大人になった後、同性愛者がどのような人生を送ることになるのかを、教えてほしい」というものでした。
話を良く聞いてみると、母親としては、同性愛者が悲惨な人生を送ることを子供に教えて、改心して欲しいという意図があることがわかりました。
子供の行く末を心配する親心なのでしょうが、あまりにも短絡的で無知な決め付けです。
まだ中学生という年齢ですから、セクシュアリティを決めつけるようなことはせず、子供からのカミングアウトに対しては、包容力をもって接してあげることが重要なはずです。
この母親と子供には、様々なセクシュアリティの人たちの話をし、その分類自体を気にする必要はなく、自分を型にはめようとする必要はないのだということを説明しました。
子供なりに悩み、決断して母親にカミングアウトしたのでしょうから、まずは、それを受け入れてあげなければいけません。その上で、年齢的にまだ若いので、自分のセクシュアリティを決めつけたりせず、自分の心に素直に生きていくことの大切さを説くべきではないでしょうか。
LGBT当事者の皆さんのお話を伺うと、小学生とかそれ以前から、恋愛対象や性的興味が同性に向いていたという方が多いのも事実です。
ということは、この子供も、大人になったらやはり同性愛者になるかもしれません。
しかし、まだまだ精神的に未熟な年齢の時に、自分自身を型にはめるような意識を植え付けることは、自我の形成に悪い影響を与える気がしてなりません。
特に母親の愛というのは、どこまでも寛容な包容力であるべきです。
実は、この相談は今から約5年ほど前のものです。先日、この母親からお手紙を頂きました。
当時中学生だった子は、大学生になったそうで、先日、異性の恋人を母親に紹介したそうです。
「もし、あの時、子供のセクシュアリティを決めつけるような対応をしていたら、子供はその型にはまってしまい、かえって、自由な心をを奪われていたかもしれません」とのことでした。
もちろん、異性の恋人を連れて来たからといって、セクシュアルマイノリティでないとは限りません。
この母親は安堵の気持ちでお手紙を寄せられたのだと思いますが、この先も寛容な包容力を持ち続けて欲しいと思います。
今回は、中橋とゲイの田中さん(仮名・40歳)との対談です。
中「田中さんは、交際して20年になる彼氏さんがおられるそうですが、長いお付き合いですね」
田「はい。今思うと、長いなぁという感じですが、最初からこうなると思っていたわけではなく、結果的にたまたま長い付き合いになりました」
中「同棲しているのですか?」
田「はい。付き合い始めた当初はお互いに学生だったので同棲していませんでしたが、お互いに社会人になってからは、同棲しました。同棲して15年くらいになります」
中「もう夫婦のような感じですかね?」
田「夫婦がどのようなものか実感が無いのでわかりませんが、家族であることは間違いありませんね」
中「なるほど。田中さんの彼氏さんは、田中さんと同じと歳ですか?」
田「彼氏は、1歳年下です。でも、私よりしっかりしているかもしれません。年下と付き合っている感覚は全然ありません(笑)」
中「そうなんですか。ケンカとかしますか?」
田「些細なことがきっかけでしますね。でも、シコリは残さないようにしています。お互いに言いたい事を吐き出して、変な意味でストレスをためないようにはしていますよ」
中「長続きの秘訣はソレですかね?」
田「う~ん、どうなんでしょう。私が思うに、私たちは、この世界(LGBTの世界)を知ってすぐに付き合って、お互いに他の人と付き合った経験が無いので、そういう何も知らない二人だから、ここまで続いたような気がするのですよ」
中「へぇ、そうなんですね。私の偏見かもしれませんが、ゲイの方たちは、恋多きというか、経験数が多い方ばかりのように思うのですが、田中さんカップルは希少なゲイの部類に入るのではないでしょうか」
田「はい。天然記念物並みかもしれません」
中「何だか、純愛っぽいですね」
田「恥ずかしぃ~(笑)」
中「交際期間が20年を経過して、家族同然のお二人と言う事ですが、もし、同性婚制度が日本に導入されたら結婚しますか?」
田「彼が望むのなら、私はOKしようと思います。でも、彼の両親が生きておられるうちには無理でしょう」
中「それは、なぜですか?」
田「私は両親にカミングアウトをしていますが、彼は彼の両親にカミングアウトしていません。彼の両親はとても厳格な方で、LGBTについて理解してくれる可能性は皆無なんです。今でも、彼が独身であることを普段から責めていて、彼はいつも悩んでいます。本当は、ありのままの自分を受け入れてもらいたいという気持ちがあるのに、その実現可能性はなくて、このまま、カミングアウトしないでいた方が良いのではないかと今のところは考えています」
中「難しい問題ですね。そうした問題を、カップルで真剣に考えるということからも、良いお付き合いを重ねてこられたお二人だと思います。どうそ、末長くお幸せに」
田「ありがとうございます」
「レズビアンである彼女にとって、女の幸せとは何でしょうか?」
ある会社の社長から、このような相談が寄せられました。
この女性は、相談者である社長の秘書だそうで、業務上の付き合いは5年に及び、大変良い働きぶりだそうで、とても社長が気に入っているとのことでした。
社長は、その女性が未婚であるので『とても良い条件の男性』を紹介したところ、その女性は自分がレズビアンであることを社長にカミングアウトしてお見合いを固辞したというのです。
社長は、ショックを受けたそうですが、その女性の今後の女としての幸せを危ぶみ、レインボーサポートネットへ相談を寄せられたのでした。
セクシャルマイノリティを考える時、「男として…」とか「女として…」という観点に立つと、セクシャリティの分類的理解や議論しかできず、個人の幸福を考えるという視点に欠けることがあります。
社長は自分なりに、レズビアンを理解しようとしたのでしょうが、そこには「レズビアンで女の幸せを手に入れる事ができるのか?」という壁があったようです。
そもそも『女の幸せ』を、「男性と結婚して、出産して、子育てをすること」に限定してしまう考え方が、この社長をはじめ、多くの人が持っています。
確かに、妊娠・出産は女性にしかできないことであり、そういう意味では女性であることの特権と言っても過言ではないでしょう。
大切なのは、女性が人生において、子供を産む事が、本人にとって重要な意味を持つかという事です。
子供を持つ事が幸せと思うかどうかは、人それぞれなので、この社長のように、一般的な価値観を絶対的に捉えてしまうと、勝手に不幸な女性を作り上げてしまう事になります。
幸福か不幸かは他人が決める事ではありません。
そういう基本的な事を理解できていない人が多いのは、とても残念なことです。
幸せの価値観が多様化しないと、あらゆるマイノリティに関する理解は進まないと思います。
福岡では、この5月にLGBTに関するイベントが多数開催されます。
今回は、そのご案内です。
福岡で活動するLGBT支援団体が、ユニークな企画を提供しています。
気候も良いこの時期、是非、出かけてみませんか?
▶5/17 警固公園街頭アクション(主催:FRENS)
▶5/24 チャリティLIVE & 撮影会(主催:Rainbow Soup)
▶5/31 映画「Call Me Kuchu ウガンダで、生きる」上映&トークイベント(共催:Rainbow Soup / FRENS / やっぱ愛ダホ!idaho-net / 西南学院大学 学内GP「ことばの力養成講座」
特に5/31の映画&トークイベントはおすすめです!
特設サイトもご覧ください。
https://sites.google.com/site/callmekuchufukuoka0531/