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先日、西日本の、とあるゲイタウンにあるゲイバーの閉店に関する手続を終えました。
そのお店は、昭和の時代に営業を開始したという老舗で、3代目の経営者でその歩みを止めることになりました。
景気の良い頃には、支店を出すほどの繁盛ぶりで、法人化や別事業への参入なども果たした程でしたが、ここ数年は、赤字が累積する一方でした。
ゲイバーは、アルコールを楽しむ場所であるのはもちろんですが、出会いを提供する場の役割が大きいと言います。
しかし、近年のインターネットの急速な発達により、人と人の出会いのきっかけが、インターネットを利用した様々なサービスに偏るようになり、ゲイバーの新規来店者数は激減したというのです。
確かに、同じような意見は、LGBTの風俗ビジネスや飲食ビジネスに携わる方たちからはよく聞きます。
「その場に行かないと同じセクシュアリティの仲間と出会えない」時代から、「いつでもどこでもインターネットを通じて自由に出会える時代」へと変化したわけです。
これは、当事者にとっては、とても便利なことでしょう。
ところが、この気軽さには、ゲイバーでの出会いにはない危険をはらんでいるというのです。
ゲイバーでは、マスターをはじめ、常連さんの目があるので、危険な出会いはある程度抑制できるとのこと。
もちろん、ゲイバーでの出会いが、100%安全なものであるとは言えないでしょうが、近年のインターネットでの出会いのトラブルをみていると、確かにゲイバー安全説もあり得なくはないなと思います。
そうした一種のセイフティーネットであるゲイタウンの老舗ゲイバーが、今、全国で姿を消しつつあります。
「時代には逆らえない」と冒頭の経営者は仰っていましたが、LGBTカルチャーの発祥・発展を担ってきた場が静かに消えゆく状況を当事者の皆さんはどうお考えでしょうか?
個々のお店の経営能力の問題と言って片づけることのできない問題があるような気がします。