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ある日、レインボーサポートネットの相談所に、中学生の子を伴った母親が相談に来られました。
相談の内容は、「子供が同性愛者である事を母親にカミングアウトし、母親としてはどうして良いかわからない。子供が大人になった後、同性愛者がどのような人生を送ることになるのかを、教えてほしい」というものでした。
話を良く聞いてみると、母親としては、同性愛者が悲惨な人生を送ることを子供に教えて、改心して欲しいという意図があることがわかりました。
子供の行く末を心配する親心なのでしょうが、あまりにも短絡的で無知な決め付けです。
まだ中学生という年齢ですから、セクシュアリティを決めつけるようなことはせず、子供からのカミングアウトに対しては、包容力をもって接してあげることが重要なはずです。
この母親と子供には、様々なセクシュアリティの人たちの話をし、その分類自体を気にする必要はなく、自分を型にはめようとする必要はないのだということを説明しました。
子供なりに悩み、決断して母親にカミングアウトしたのでしょうから、まずは、それを受け入れてあげなければいけません。その上で、年齢的にまだ若いので、自分のセクシュアリティを決めつけたりせず、自分の心に素直に生きていくことの大切さを説くべきではないでしょうか。
LGBT当事者の皆さんのお話を伺うと、小学生とかそれ以前から、恋愛対象や性的興味が同性に向いていたという方が多いのも事実です。
ということは、この子供も、大人になったらやはり同性愛者になるかもしれません。
しかし、まだまだ精神的に未熟な年齢の時に、自分自身を型にはめるような意識を植え付けることは、自我の形成に悪い影響を与える気がしてなりません。
特に母親の愛というのは、どこまでも寛容な包容力であるべきです。
実は、この相談は今から約5年ほど前のものです。先日、この母親からお手紙を頂きました。
当時中学生だった子は、大学生になったそうで、先日、異性の恋人を母親に紹介したそうです。
「もし、あの時、子供のセクシュアリティを決めつけるような対応をしていたら、子供はその型にはまってしまい、かえって、自由な心をを奪われていたかもしれません」とのことでした。
もちろん、異性の恋人を連れて来たからといって、セクシュアルマイノリティでないとは限りません。
この母親は安堵の気持ちでお手紙を寄せられたのだと思いますが、この先も寛容な包容力を持ち続けて欲しいと思います。