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「レズビアンである彼女にとって、女の幸せとは何でしょうか?」
ある会社の社長から、このような相談が寄せられました。
この女性は、相談者である社長の秘書だそうで、業務上の付き合いは5年に及び、大変良い働きぶりだそうで、とても社長が気に入っているとのことでした。
社長は、その女性が未婚であるので『とても良い条件の男性』を紹介したところ、その女性は自分がレズビアンであることを社長にカミングアウトしてお見合いを固辞したというのです。
社長は、ショックを受けたそうですが、その女性の今後の女としての幸せを危ぶみ、レインボーサポートネットへ相談を寄せられたのでした。
セクシャルマイノリティを考える時、「男として…」とか「女として…」という観点に立つと、セクシャリティの分類的理解や議論しかできず、個人の幸福を考えるという視点に欠けることがあります。
社長は自分なりに、レズビアンを理解しようとしたのでしょうが、そこには「レズビアンで女の幸せを手に入れる事ができるのか?」という壁があったようです。
そもそも『女の幸せ』を、「男性と結婚して、出産して、子育てをすること」に限定してしまう考え方が、この社長をはじめ、多くの人が持っています。
確かに、妊娠・出産は女性にしかできないことであり、そういう意味では女性であることの特権と言っても過言ではないでしょう。
大切なのは、女性が人生において、子供を産む事が、本人にとって重要な意味を持つかという事です。
子供を持つ事が幸せと思うかどうかは、人それぞれなので、この社長のように、一般的な価値観を絶対的に捉えてしまうと、勝手に不幸な女性を作り上げてしまう事になります。
幸福か不幸かは他人が決める事ではありません。
そういう基本的な事を理解できていない人が多いのは、とても残念なことです。
幸せの価値観が多様化しないと、あらゆるマイノリティに関する理解は進まないと思います。