先日生徒さんから「ジャズとポップスってどう違うんですか?」と
聞かれました。ジャズを習いたいけどジャズコースがないので
とりあえずポピュラーコースに通ってみたんです。。なんて方も
いらっしゃいますが、ジャズとポップス、大きな違いがあると
思います。
ポップスはとても広い言葉なので定義は難しいですが、「流行の
音楽」という意味で話していきます。その時代の流行の、という
ことなら、ジャズはポップスだった時代もあったんじゃないか?
と思いますが、今は残念ながら万人に流行している、とは言えない
ジャンルになってしまいました。
と、少し横道に逸れましたので話を戻します。
私もたまにポップス曲を演奏する仕事もしますが、基本的にポップス
は「譜面通り」の世界です。アドリブ部分も少しはあるかもしれません
が、そのサイズも決まっていて、1つの曲として決まった形が
あります。そういった意味ではクラシックに近いものがあるんじゃ
ないでしょうか?クラシックもポップスも何度も練習して決まった
音をより良く演奏することを目指すもの、といえます。
一方ジャズは、このコラムでも何度も書いていますが、「即興」が
重要な要素を占めます。譜面はほとんど必要でなく、コードを元に
自由に展開していきます。その展開の元となる材料としてポップス曲が
使われて、それが次第にジャズのスタンダード、という形になることも
あります。
ポップスでも、ある程度自由に演奏するジャズの要素を沢山取り入れる
人もいます。市販の譜面でメロディーだけが載っていてコードが上に
振られているもの、これはある程度ジャズの知識があると演奏しやすい
です。ポップだけれどジャズの4ビートのリズムやアドリブをどんどん
取り入れるポップスの曲や、ジャズのミュージシャンがポップな曲を
やることもあり、ポップスとジャズは融合できるお互いに柔軟性の
あるジャンルであるともいえます。
でもとりあえずジャズコースとポピュラーコース、どちらがよいかと
問われたら、ジャズやれたほうが面白いと思います。だってコードさえ
あれば、どんどん世界が広がっていくんですもの!!
さて、9月のコラムでも書いた新しいアルバムの進捗状況です。
とりあえずジャケットのデザインが決まり、CDが少しづつ
形になってきています。
そして、ジャズ雑誌にもインタビューが載る予定です。掲載
されたらまたお知らせしますが、インタビュアーの方がとても
鋭くて、本当に面白いインタビューでした。自分の気づかない
ところまで気づいてくださったり、悩んでいたところをズバリ
指摘されたり!!
CDという形で自分の演奏や作品を残すのは本当にこだわり始める
と際限がなく、とても大変ですが、でも喜びでもあります。
こうしてできた作品をお披露目するライブが決まりました!
JZ Bratは、3枚目のCD発売記念ライブでもお世話になりましたが、
音響も雰囲気もお料理もスタッフさんも最高で本当に素敵な
空間をお客様と共有できて幸せでした。この4枚目のアルバムも
このJZ Bratでぜひ皆さんに体験していただきたいと思って
おりますので、よろしくお願いします!!
♪♪外山安樹子トリオ 4thCD発売記念Live ~『Nobody Goes Away』~Jazz
11月5日(火)渋谷「JZ Brat」
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2階
(渋谷駅 南改札西口より徒歩3分)
http://www.jzbrat.com/
外山安樹子トリオ:関口宗之(b)秋葉正樹(dr)
1st:Start 19:302nd:Start 21:00(入替なし
予約¥3,300 当日¥3,800学生¥2,500(要学生証)
(未就学児童は無料です)
当日は、CD即売会もあります。定価3000円のところ
この日限定で2500円で発売いたします。
ご予約は
03-5728-0168(平日15時~21時)または
http://www.jzbrat.com/liveinfo/2013/11/#20131105
もしくは私まで直接連絡をください。
ambition.akiko@gmail.com
もう先月のことですが、外山安樹子トリオとして
3枚目、自身通算4枚目のアルバムを録音して
きました!過去2回は1日で録り終えたのですが、
今回は2日間、泊りがけで録ってみました。また
今までジャズスタンダードを1曲のみ収録していた
のを3曲に増やすことに。
3枚目のアルバムは、タイトルAmbitionの名の
ごとく、収録曲、アルバム全体の作りとしてとても
野心的なもの、今までで最高のものにしなきゃ、
という想いが強いものだったと思います。
今回は、前回2011年3月3日のAmbitionレコーディング
から今までに、日本でも私個人の中でも沢山辛いことが
起こって、それを受け止めながら、それでもやはり
音楽をやって行こうと静かに決意しながら書いた曲が
沢山詰まっています。大切な人は、今は近くから居なく
なってしまったかもしれない、けれど、生き続けてる、
きっと、自分の側にいてくれる…だから
『Nobody Goes Away』
こんなアルバムタイトルにしてみました。
トリオでも活動が5年近くになり、メンバーそれぞれが
より良いサウンドになるよう知恵を絞りながらベストを
尽くしてくれたことに本当に感謝しています。
やっとミックスダウンとマスタリングが終わりそうです。
発売は11月初旬になりそう。また順次色々発表して行きたいと
思います。
ジャズのライブに参加する楽器はもちろん、オーケストラ
でも、ほとんどの奏者は自分の楽器を持参して演奏しますが
ピアニストはそれがほぼ不可能です。ごく一部、自前のピアノ
をトラックで運びながらツアーしているという話も聞きますが
有名なピアニストでもその場所にあるピアノを選らぶことくらい
しかできないので、大抵はお抱えの調律師さんがいて、その人
に頼む、ということが多いようです。(実際調律師さんの腕に
よってピアノはグンと変わるのです!という話はまた後ほど)
さて、ライブの現場にはお抱え調律師さんを頼むことも、
マイピアノの持参も到底無理な私。。。言うまでもなく日々の
演奏場所で新たなピアノとの出会いの連続です。
初めて演奏する場所でのピアノとの出会い、それはいわば
お見合いのような感じです。種類や形は書類上ではわかって
いるけれど、実際に触ってみないとタッチや音色はわからない。
最初は探り合い、相性が良くてすぐに仲良くなれるピアノ、
なかなか心を割ってくれないピアノ・・・いろんなピアノが
あります。
レギュラーで定期的に行っている場所のピアノ、これも
付き合い始めの友達と同じで、わかったと思ったらそっぽを
向かれたり、ふとした瞬間に急に分かり合えたり。。。
ピアノというのは大きいけれど繊細な楽器だから温度や湿度
の差で状態も変わりやすいし、毎日いろんな奏者に弾かれる
から弦が切れていたりハンマーなどの部品が疲弊して鍵盤が
戻らなかったり。。。
どんなピアノだってその日の演奏が悪いとピアノのせい、
ではなくピアニストのせい、と思われることが多いのも事実です。
その日のその状態のピアノとうまく付き合っていくための
わざ、というのも身に着けなくてはいけません。こういうことは
なかなか教えられるものでなく、それこそ人それぞれに違う
ものなのだと思いますが。。。
私の対処法をちょっとだけ明かすと、、、
思いっきり調律が狂ったピアノの場合、ハーモニーの妙を楽しむ
曲調のものは合わないので、ホンキートンクでも合う曲調のもの
にガラッとプログラムを変える!。音が出ないところ、ひどく狂った
ところはなるべく弾かない。響きすぎるピアノは抑えて、響かない
ピアノは頑張りすぎず(手を傷めたりするので)素直に電気の力
を借りて増幅させる・・・などなど。
と、これまではひどい状態のピアノの対処法ばかりでしたが、
もちろん恵まれた良いピアノにあたることもあるし、どのピアノ
にするか選べる状況にあたったりもするわけです。で、どこの
ピアノがよいとか悪いとか、色々好みもあるわけですが。。。
色々なピアノを弾いたり聴いたりしてきて思ったことは
「ピアノは個体差より個人差」なのです。
同じピアノを十人が弾けば十人十色。機械的に音を出すはずの
電子ピアノでさえ、弾き手によってぜんぜん音が違ってきます。
そして、最初に言った調律師さん、その腕によっても音色や
タッチが違ってきます。
自分が気持ちよいなあ、と思うピアノの音を沢山聴いて、
そして自分が演奏する時にこういう音を出したい、と
思い描いて演奏する、これが良い音を出す秘訣かなと思います。
今日出会うピアノにも私はこうして向き合います。
前回のアドリブの習得法と外国語の習得法は共通点が多い、
という話題、色々反響をいただき嬉しいです。
一つだけ補足しておくと、私の考えでは「最終的には文法や
決まりなんて考えずに、自分の感覚を大切にして演奏する(話す)
ことが一番大切」だと思っています。
とりあえず喋って(何でも弾いて)みれば通じるかもしれない
のに、文法や単語が合ってるか(スケールやコードが合っているか)
を気にし過ぎてなかなか人前で外国語を話せない(アドリブできない)
、というのは自分も含め、多くの人が体験していることだと思います。
ここで自分のプライドや羞恥心をかなぐり捨てて、飛び込んでみること
もとても大事だと思います。そこで通じた時の喜びが、さらに上に
行こうという励みになると思います。
音も言葉も、人と人とのコミュニケーションツールの一つ、なんですよね。
ツールを使えるようになることだけに終始してはいけなくて、何を伝えるか、
しっかり持っていなくてはならない。
それはツールの勉強から離れたところに答えがある気がします。
以前から、ジャズのアドリブの習得は外国語の習得と感覚が似ている
なあと思ってました。
例えば、ABC=スケール、単語=コード、構文=ツーファイブワン(※)
などのコードの塊・・・というように置き換えてみる。ABCや単語(コードや
スケール)だけ覚えても、使い方やよく一緒に使う用語(よく出てくるコード
の流れ)など効率的に覚えないと実践で使えないですよね。さらにいえば、
読んだり書けたりするだけでなく、言いたいことを咄嗟に言う訓練も必要です。
この「言いたいことを咄嗟に言う」訓練はまさに「ジャズにおいて弾きたいこと
を咄嗟に弾く=アドリブの訓練」と一緒なのではないかなーと思うのです。
さらに、その習得の方法も「ひたすら聴く」「書いて覚える」「理論(文法)
から入る」「感覚で覚える」 など、、、外国語の学習とアドリブの習得法、
本当に似ています。
さらに最近思うのが「聴き取り」についてもこれと同じことが言えると
いうことです。私たちは母国語は当然のように聴き取れます。でも外国語は?
単語や構文を知らないと聴きとれないですよね?これと同じように、ジャズの
アドリブも、他のミュージシャンが演奏していることを聴き取るためにはある程度
ジャズ特有の音の使い方を知っていなければとても難しいのではないか?という
ことです。
実際に自分でも経験しています。私は小中学生の時にヤマハで聴音など訓練して
いたので、大抵の曲は聴いただけでコピーして弾けたりしました。ところが、
ジャズを始めた時に今までに弾いたことも聴いたこともない音に沢山出会って、
何を弾いているのか、なかなか聴き取れなかったのです。でもジャズのコードを
勉強したり自分でも演奏するようになると、聴き取りがとても楽にできるように
なりました。「自分で話せる言葉(音)は聴き取れるんだ」そんな当たり前のこと
に気づいたのでした。
そしてさらに、アドリブをすることと、自分の話しを聴いてもらうこと、これも
同じことなんだな、と思ったりします。言いたいこと相手に伝えるためにはどう
すればいいか?自分の想いをハッキリ頭の中に思い描き、饒舌になりすぎず完結に
話す・・・もちろん言うだけでなく相手のことも良く聴く。うまく伝えられなく
ても、想いがあれば伝わることもある。。。
表現する、というのはどんな手段でも同じようなことなんだなーと思います。
もっともっと、ジャズという音を、うまく扱って自分の伝えたいことを伝えられる
ように、頑張りたいと思います。
(※)ツーファイブワンとは・・・ジャズの曲によく出てくるコードの動き。これを
制するものはジャズを制するとも言われる。
最近良く思い出す言葉が、中学高校時代によく母に
言われていた言葉なんです。勉強ができるようになりたい
くせに努力は嫌いだった私に
「勉強は、やったらやっただけ成果がでるもの。こんな風に
ハッキリと正等に努力の結果が出るのは学生時代だけ。
社会に出たら頑張っても色んな要素で実力通り評価されないで
悔しい想いをすることもある。だから今、自分の実力で成果を
挙げられるうちにあげなさい」と。
ピアノなどの芸事はもちろん、社会生活の中では「自分の
ほうができるはずなのに。。。」と理不尽な想いをすることが
沢山あります。頑張っても頑張っただけの成果がでない、そんな
ことのほうが多いかもしれません。処世術や営業術も実力のうち
と言われ、本職の実力ではないところで評価されることも。
でも、でも、抜きん出た実力があれば、きっと評価してもらえる
はず、とも思います。プロになろうと決めてから先輩に言われた
言葉。
「この人がこんなところにいちゃいけない、そう思わせる演奏
をしていれば、きっと誰かが認めてくれる。自然にふさわしい
場所に出ていけるから頑張れ!」
この言葉を信じて、演奏以外の色んなことに気を揉めること
もあるけれど、やっぱり自分の演奏を追求していかなければ
いけないな、と思うのでした。
今月12日、3○回目の誕生日を無事迎えることが
できました!当日はボーカリストのサポートライブで、
共演者の皆様にケーキをいただいてお祝いしてもらい、
2日後にはリーダートリオでバースデーライブをさせて
いただき、今年も色々な方々に祝っていただきました。
みなさまありがとうございました!!
いつも行っている整体の担当の方からもプレゼントを
いただいたのですが、それが私の大好きなミッフィーちゃん
のグッズだったのです!前の担当の方から引き継ぎで最近
担当になってくれたその方、きっと私の好きなものの情報も
受け継いでいてくれたんですかね。それとも私との会話の
中でも出ていたのかも。。。とても嬉しかったと共に
見習わなきゃな~~と思ったのでした。お客様ひとりずひとり
のことを想っていないとなかなかできないことですよね。
ジャズのライブに日々足を運んでくださるお客様、
ひとりひとりに心を配ること、活動範囲が増えるほど大変に
なりますが、決して忘れてはいけないことだと思います。
必ずしもできていませんが、お誘いする時は個別にメールを
出してメッセージを添えること、お礼のメール、ライブ前後の
会話・・・。そういう中から今後の自分の演奏のヒントが
でてきたり、パワーをもらったりするものですが、毎回続ける
のは大変なことです。失礼なことも沢山していると思います。
そういうことで亡くしてしまったお客様もいらっしゃいます。
何のために演奏するのか、究極には顔の見える「誰か」に
聴いてもらいたい、そういうことから始まるんだと思います。
誕生日を迎えるたびに「原点に返る」という言葉を思いだします。
なぜジャズを始めたのか、なぜライブをするのか、なぜ表現をする
のか、きちんと問い返し続けたいと思います。
初めてジャズのオリジナルを作ってから来年で10年目
になります。まだプロとして活動していなかった時期で
したが、節目の1年になると思います。10年前の自分に
「こんなにがんばったよ!」といえるように、頑張ります!!
5月はリーダートリオをたくさんやりました。
まずは今月一番のトピックは故郷札幌での二年ぶりのレギュラートリオツアーです。
18歳までいた札幌ですが、ジャズの活動は東京で始めたので、北海道のジャズシーンと繋がりが出来たのはここ最近。4年前から、何度かの来札を重ねて、今では次回を楽しみにして下さるお客様も増えてきました。一人ひとりのファンの方の草の根的な応援、そして何より母が集客や色々な面でバックアップしてくれて、今回も無事ツアーを終えることができました。
演奏した3箇所、全部が違う雰囲気で演奏内容もそれに合わせて色々と変化があってとても楽しかったです。
2日間、3日間と来てくださったかたも何人もいらっしゃいました!
1日目の札幌「紙ひこうき」は、私が初めて札幌で演奏した時の会場、懐かしくも一番新しい自分が出せる場所です。
2日目の小樽「グルービー」、小樽での演奏自体が初めてで、どんな感じになるのかドキドキでしたが、沢山のお客様に来ていただけて、演奏もとても濃いものになりました。パラゴンのスピーカーもあって音にもこだわるマスターの配慮が生演奏のしやすさにも現れていました。
3日目の札幌「渡辺淳一文学館」こちらはホールということもあり、響きがとても美しくて、上品な?演奏になりました!沢山のお客さまに驚くほどCDもお買い上げいただき、感激。
アンケートにも、土曜の午後のジャズライブがよかったという声、
関口さんのベース渋いね〜〜秋葉さんのドラム鳥肌、という声も。
3日間を通して、札幌や北海道にちなんだ曲も沢山演奏しました。地元の方々にも共感していただけたようで、やはり故郷には共通の原風景があるんじゃないかな、と思いました。
そして、関東に帰ってきて、千葉と東京で2つのライブ。
どちらの演奏でも偶然「3人でなく、まるで沢山の人が演奏しているようなサウンドでした」と感想をいただきました。
これは本当に嬉しい感想で…というのも、私の頭の中にあるサウンドは常にオーケストラサウンドなんです。それをジャズの小さなフォーマットでアコースティックに表現したい、と思いながら演奏しています。
だから、それがお客様の耳にも届いているんだな、と思うと、励みになり、また一層の努力をせねば、と決意しました。
サウンドの立体感はCDだけではなかなか伝わりません。これからも少しでも多くの方にライブ演奏を聴いていただけるように頑張らねば!と思います。
皆さまもぜひ一度、生のトリオサウンドを体験しにいらっしゃって下さいね!
6月14日(金)20時半~
江古田「そるとぴーなつ」
http://homepage3.nifty.com/salt-peanuts/index.html
外山安樹子(p)トリオ:関口宗之(b)秋葉正樹(dr)
この日は、「外山安樹子バースデー2日過ぎちゃったライブ」です(笑)
6月29日(土)20時半~
市川「HSTrash」
http://red.zero.jp/h.s.trash/
外山安樹子トリオ:中江裕気(ts)関口宗之(b)
7月12日(金)20時~
ひたちなか「サムシング」
http://www.justmystage.com/home/something2/top.htm
外山安樹子(p)トリオ:関口宗之(b)秋葉正樹(dr)
7月20日(土)20時~
吉祥寺「Strings」
http://www.jazz-strings.com/
外山安樹子(p)トリオ:関口宗之(b)秋葉正樹(dr)
ジャズの演奏の仕事のうち、結構な部分を占めるBGM
(バックグラウンドミュージック)のお仕事について
このコラムではぜんぜん書いていませんでしたが、
とても大切な仕事の一つですので、書いてみようと思います。
ライブは一応「トヤマアキコ」や「JAZZ」に興味が
ある人が音楽を聴きに来て下さることが多いですが、
BGMはレストランやパーティーなど、音楽が目的でない方々
の前で演奏することが多いです。
つまりライブとBGMでは、聴衆の皆さんの「目的」が違う
んですね。
そして、そのBGMにも色々な状況があってそれに応じて
演奏の内容を考えます。だいたい依頼者側が「静か目に」
「盛り上げて」と言ってくれることも多いのですが、それが
ない場合はこちらの判断で決めるしかないです。
レストランなど食事をメインにお客様が楽しむ場所では
やはり、演奏は食事の邪魔をしないように、具体的には
お客様がガヤガヤしている時は逆に静か目の曲を(一緒に
音量を大きくすると、さらにお客様も声が大きくなって際限が
なくなるので)、逆にちょっと静かな場合は元気がでる曲を
(それでもあまり派手にならないように)弾きます。
ガヤガヤしていてぜんぜん聴かれてないなあ、、、反応も
拍手もないあな、、、と思っていてもどこかで誰かが、真剣で
はないけれど、食事と共に自然に耳に入っているんですよね。
たまに「さっきのよかったですよ」と声をかけてもらったり。
そんな時はとても嬉しいです。なによりこういう場所では
「自分の演奏を聴いてもらう」ことではなく「心地よく食事をしてもらう」
ことが仕事の目的ですから、そういう空間を演出できたら、
いい仕事ができたな、と思っています。
だから、音楽を空間演出と考えて依頼してくれる場所では
音楽がメインではないけれど、「演奏は求められている」ので、
精神的にもそれほどきつくないです。
ではどんな時にキツイなーと思うか。それは
「求められていない場で演奏すること」
なんです。実はこのことはライブもBGMも変わらないのだと
思います。
音楽が求められない空間では音楽は「雑音」でしかなくなり
ます。ライブでもお店やお客様によっては音楽的好みがハッキリ
していて、好みでない音楽だと心を閉ざしてしまう方も。。。
そんな閉ざされた心を開くのは、容易ではありません。そういう時
はこちらも弾いていてわかります。「ああ求められてないなあ」
こういう時が一番むなしく淋しいな、と思ってしまいます。
まったく聴いていない、もしくは聴かない聴衆に対しても
「素晴らしい音楽ならこちらを向いてくれるはず」「こちらを
向かせる努力をしてこそプロ」という考えもあります。もちろん
まったく否定はしません。でも、「聴かせるための演奏」は
押し付けにもなりかねません。こちらを振り向かせるために
奇抜なことをしたり、アピールしたり。もちろんピアニッシモ
なんてあったもんじゃないですね、大きな音で元気よく!
そういう演奏もプロであればすべき場所もあります。でも
私は個人的には「音楽のおしつけ」はしたくありません。
キャラクターにない演奏を無理にして自分が音楽を楽しめない
状況で、聴いている人が楽しくなってもらえるだろうか。
「北風と太陽」の話をよく思い出します。私は「北風」の
音楽はやりたくないんです。むりやりガンガンと相手の心に
入っていく音楽でなく、「太陽」のように、優しく根気強く
少しづつ、相手の心に入っていく音楽をやりたい、どんな
ところでもそう思って演奏しています。