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ジャズのライブに参加する楽器はもちろん、オーケストラ
でも、ほとんどの奏者は自分の楽器を持参して演奏しますが
ピアニストはそれがほぼ不可能です。ごく一部、自前のピアノ
をトラックで運びながらツアーしているという話も聞きますが
有名なピアニストでもその場所にあるピアノを選らぶことくらい
しかできないので、大抵はお抱えの調律師さんがいて、その人
に頼む、ということが多いようです。(実際調律師さんの腕に
よってピアノはグンと変わるのです!という話はまた後ほど)
さて、ライブの現場にはお抱え調律師さんを頼むことも、
マイピアノの持参も到底無理な私。。。言うまでもなく日々の
演奏場所で新たなピアノとの出会いの連続です。
初めて演奏する場所でのピアノとの出会い、それはいわば
お見合いのような感じです。種類や形は書類上ではわかって
いるけれど、実際に触ってみないとタッチや音色はわからない。
最初は探り合い、相性が良くてすぐに仲良くなれるピアノ、
なかなか心を割ってくれないピアノ・・・いろんなピアノが
あります。
レギュラーで定期的に行っている場所のピアノ、これも
付き合い始めの友達と同じで、わかったと思ったらそっぽを
向かれたり、ふとした瞬間に急に分かり合えたり。。。
ピアノというのは大きいけれど繊細な楽器だから温度や湿度
の差で状態も変わりやすいし、毎日いろんな奏者に弾かれる
から弦が切れていたりハンマーなどの部品が疲弊して鍵盤が
戻らなかったり。。。
どんなピアノだってその日の演奏が悪いとピアノのせい、
ではなくピアニストのせい、と思われることが多いのも事実です。
その日のその状態のピアノとうまく付き合っていくための
わざ、というのも身に着けなくてはいけません。こういうことは
なかなか教えられるものでなく、それこそ人それぞれに違う
ものなのだと思いますが。。。
私の対処法をちょっとだけ明かすと、、、
思いっきり調律が狂ったピアノの場合、ハーモニーの妙を楽しむ
曲調のものは合わないので、ホンキートンクでも合う曲調のもの
にガラッとプログラムを変える!。音が出ないところ、ひどく狂った
ところはなるべく弾かない。響きすぎるピアノは抑えて、響かない
ピアノは頑張りすぎず(手を傷めたりするので)素直に電気の力
を借りて増幅させる・・・などなど。
と、これまではひどい状態のピアノの対処法ばかりでしたが、
もちろん恵まれた良いピアノにあたることもあるし、どのピアノ
にするか選べる状況にあたったりもするわけです。で、どこの
ピアノがよいとか悪いとか、色々好みもあるわけですが。。。
色々なピアノを弾いたり聴いたりしてきて思ったことは
「ピアノは個体差より個人差」なのです。
同じピアノを十人が弾けば十人十色。機械的に音を出すはずの
電子ピアノでさえ、弾き手によってぜんぜん音が違ってきます。
そして、最初に言った調律師さん、その腕によっても音色や
タッチが違ってきます。
自分が気持ちよいなあ、と思うピアノの音を沢山聴いて、
そして自分が演奏する時にこういう音を出したい、と
思い描いて演奏する、これが良い音を出す秘訣かなと思います。
今日出会うピアノにも私はこうして向き合います。