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2013/05/20

JunkStageをご覧のみなさま、こんにちは。
ほぼここの更新を独占しているスタッフの桃生です。

夏が近くなるのでダイエットを心がけているのですが……今日ご紹介するライターさんのコラムはダイエット中の桃生には美味しすぎて目に毒なほど。
読むたびに「食事」について考えさせられる、今日はこのライターさんを取り上げたいと思います。

■vol.20 百姓・川口巽次郎さん
――こんな暮らしをしてみて本当に驚嘆するのは、ご先祖様方は本当に働き者で
いらしたのだなぁ、という事。家事も全て手作業で、洗濯機も掃除機もない。
私はその何れの仕事も免れて暮らしているのに、こんなに忙しく感じている
のですから。(百姓・川口巽次郎)

外資系サラリーマンを経て、瀬戸内海近辺の片田舎へ。農民として、畑仕事で自給自足的生活を送る日々を綴る。
http://www.junkstage.com/kawaguchi/

*  * *

川口さんは現在、奥様と共にほぼ自給自足で食生活を賄っている(!)という驚異の農民生活を行っていらっしゃいます。自らを「百姓」と自認し、農家であれば当然のように導入されている農具機械類も出来るだけ排して手作業で営まれる食卓を私も昨年体験させていただきましたが、その過程は食の有難さを痛感すると同時に「これ毎日とか無理…!」と悲鳴をあげそうになるほどのストイックさでした。

その際の模様は同行して頂いたユウさんのコラムにも詳しいですが、実はこのような自給自足生活に突入される前は川口さんは外資系のサラリーマン。毎日往復2時間の通勤を行い、自宅で食事を作って採るのはせいぜい土日くらいだったと云います。

けれど今、川口さんのコラムは旬の野菜や食べ物が満載!

更新が途切れると「まさか雨で収穫できなかったのだろうか…」「よもや暑すぎて稲が死んだか…!?」と思うほど、春はスナップエンドウから始まり、初夏にはマルベリー、秋にはワイン用のブドウの収穫、そして冬には実ったお米の脱穀の様子など、普段私達が忘れがちな旬の食べ物の話題が満載。
素材そのもののお話もさることながら、川口さんのコラムに登場する料理が非常に!おいしそうで、読むだけでおなかがすいてきそうです。

が、勿論、こうした「おいしい」食事にはそれだけの手が掛かっています。

例えば毎日食べているお米にしても、川口さんのコラムに従えば田植え→草取り→草取り→草取り…とエンドレスで続く夏。気が遠くなるほどの手が掛かり、収穫してもそのまま食べられるわけではありません。川口さんのお宅では「自然農」といっていわゆる農薬を一切使っていないので、雑草は伸び放題、つまり朝夕の草取りは必須項目。また前述した通り農具と呼ばれる機械類もない。つまりそれだけ時間も体力もかけている大切な「食べ物」なのです。

こうして収穫したお米をお伺いした私達も頂いたわけですが、これがまた精米に大変な労力を費やします。
茶碗一杯の白米をつくるために私達が費やした時間はほぼ一時間。
精米機を使えば一升10分の世界ですが、おそらく今は一升という単位それ自体もピンとこない方も多いでしょう。

スーパーには1キロいくらで精米されたお米が並び、パック詰めされた野菜がたくさん並びます。農業から離れた私達には便利なものですが、その蔭にこれだけの努力があることを忘れてはならないと感じさせられる次第です。
(※もちろん、川口さんの言によればプロ農家の方々は機械もちゃんと使ってらっしゃいますが)

*  * *

川口さんのコラムを読んでいていつも感じるのは「自然」に対するスタンスの特殊性です。

天気が良いと「あぁ晴れた」と思い、雨が降ると「神様が田んぼに水を入れてくれた」と感じるという川口さんですが、それが押しつけでもなく伝わってくるのはきっと川口さんが本当にそう思っていらっしゃるからなのでしょう。川口さんにとって、自然は食べ物を育ててくれる大切なパートナーなのだなと思わされる。そのめぐみの一端が旬の食べ物であり、育っていく稲や苗や、ご褒美のように与えられる木の実なのでしょう。

この感覚を得るには「ただ買って食べる」という生活では難しいのかもしれません。

川口さんのようにハードなスローライフを営めば可能なのかもしれませんが、それには当然時間も体力も掛かります。そこまではちょっと…というのは自然な感情だと思うのです。

でも、そんな方にこそ、私は川口さんのコラムを読んでほしい。
大事なのは想像すること。
今日口にした食べ物が、どんな風に誰かの手を掛けられたものなのか、を考えるだけで食事はぐんとおいしくなるのですから。

 

2013/05/20 07:20 | sp | No Comments