こんにちは。根本齒科室の根本です。
ここ半年~1年、いろいろ状況の変化があり、それに伴って考え方の一部が変わってきた感じを持っています。
簡単に言うと、すき焼き鍋の中の「肉ばかりでなく野菜もシイタケも食べなさい」みたいな仕事の感じになっている、といえばいいのか・・・
ちなみに私はシイタケは大嫌い。肉だけ食べたい。
しかし、経営は正直で、数字は正直です。
負けたらまたリセット、みたいなリセマラは現実の経営には通用しない。
仕方なく、シイタケにも箸を伸ばすようにしてみました。
私も元々あまり体力があるほうでもないし、肉体派でもありません。
本当は都心のデンタルオフィスみたいに、働く時間は短めでがっぽがっぽ、みたいなのが理想です。
とくに開業当初はそうでした。
でもまあそうも言っていられない事情もあり、心霊?!治療を始めてからはもう1年になります。昼休みを短縮してそろそろ1年弱になります。
正直、件数や数字は上がってきました。
CR(コンポジットレジン口腔内直接充填)だと30分枠だったのが、Cn(コンポジットレジン口腔外作成修復)だと1回10分くらいで終わるので15分のアポでも余裕を持って治療できます。
「半完成品」という概念は、自分でも合理的だったたと思います。
税理士に怒られた自費が、そこまでは下がってません。
保険の点数は1.5~2倍くらいになったでしょうか。
と同時に、シイタケも食べるようになって、仕事の感じも変わってきました。
最近特徴的なのは
Cn治療が極端に増えた(前出)
入れ歯が極端に増えた
急患対応がかなり柔軟になった
ことです。
昔はインプラントのメリットと(可撤性)義歯のデメリットばかりが頭を占有していました。
そしてご本人の自覚もないまま、私がここで何とかしないと誰も何もやらないし、この口腔内は崩壊していってしまう、などと変な責任感と言うか大きなお世話と言うか、自縄自縛になっているところもありました。
もちろん今も臨床的な診断についての考えは変わりありません。
しかし
①患者様の体は患者様のもの
と思いきって割り切ってしまったのが大きいのかもしれません。
私のおもちゃではないので、勝手なことはできないのは当然です。
もちろん黙っておくのはアンフェアなので説明はします。しますが、「こうしないとこうなりますよ、でもどの辺で折り合いをつけるかは患者様のご判断ですから、おまかせしますね」みたいな話し方に一気に変わってしまいました。
それでももちろん今でもインプラントのケースはそこそこありますが、
②営業系の苦心が極端に減った
のがこんなに楽だったとは!
「無理して自費を勧めなくていい」
と思うだけで、こんなに解き放たれてしまうなんて、、、
こんなのでいいのだろうかと思うくらいです。
昔は自費が多く出て自費率の高い医院の方がレベルの高い医院で、保険診療で数ばかり診ている医院は「意識低い系」だと思っていました。それは開業前に勤めていた医院の雰囲気に抵抗感を持っていた面が強かったのもあると思います。
で、「ナンバーワンの営業マンが語るマル秘ナンとかカンとか」とか「NOと言わせないトーク術のアアたらコーたら」みたいな本を読み漁ったりもしていましたね。
しかし、一向に”営業成績”は伸びませんでした。
それどころか日々プレッシャーや後味の悪さ、気まずさに苦しむばかりでした。
あまりにも苦しかったので、パソコンで「メニュー帳」のようなものを作って、待合室においておきました。たまに目を通される人もいらっしゃるようで、少しほっとしました。
◆ そして東日本大震災が発生しました。
これは、治療行為の無力さ、修復物の有限性を改めて思い知らされることになり、自分にとって大きな臨床的な転機になりました。
私より上手な先生が作ったとしか思えない修復物がボロボロ取れて、急患の方が大勢来ました。
私のところのような中間的なレベルの被害の地域は、ストレスによるブラキシズム(かみしめ・くいしばりetc)に端を発して、詰め物が取れてしまったり歯がかけてしまったり、知覚過敏になってしまったりなどの諸問題への対応がとても多かったのを覚えています。
その頃から、自分の関心が営業よりも生活習慣への介入の方に大きく移行し始めました。
被害のレベルが高く、津波や原発で辛い長期の避難所生活を余儀なくされた方々においては、義歯を紛失して仮義歯を作ることが、現地の応急診療所における当座のメインの仕事だったようです。これはどこの避難所でもそのような傾向があるみたいです、
避難所のエピソードを伺っていて、歯医者として「今」「ここで」困った人に対応できないのはいかがなものかと思い始めました。
そんなことは当たり前のように思うかもしれませんが、変な話、行列のできる人気ラーメン店を思い出してください。彼らは「スープ切れ次第終了」などといって、演出で出しているところも多いんでしょうが、本当に終了してしまいます。「鶏々」に食べに行った時には、本当に店員さんが私よりちょっと後の来店者にお引取り願っていて、驚きました。
そのように、急で困った人がいても「予約が一杯で」などといって断ってしまうことが、主導権がこちらにあって医院のステータスが高い証拠で、などと、力点が少しずれてるんじゃないか、みたいな考えにとらわれることもけっこうありました。
◆ そして「”心霊 Cn “治療」に手を染めました。
時間もかかってテクニックセンシティブな口腔内の直接充填に疲れた、というのがもともとの動機でもありました
意外なことに、この治療を始めてみて手技に対する不信感・無力感を感じる原因にもなりました。
あの頃は自分でも精一杯ていねいにやっていたつもりだったのに、後で良く見ると段差や気泡があったりしてがっかりしたことも多くて、口腔内での直接充填の限界を思い知らされました。
この作業を模型上で手にとって行なうと、はるかに楽ですし、治療時間の短縮にもなります。
大きな時短を生み出すと予約の枠も余裕が出てきて、歯科医院ががぜん地元になじんできたような感じがしまいた。
「今ここで対応」と思っていると、総義歯を中心とした義歯(入れ歯)のケースが大幅に増加しました。
私はもともと口腔外科出身なので、義歯よりも観血的なこと、たとえばインプラントの方が手にははるかに合います。入れ歯は正直得意ではないと自分でも思います。
それなのに、入れ歯を作ってくれという声は絶えない。
よりによってこんな私でいいのだろうか、などと思いつつも、現在のところは技工所さんが上手なので何とかなっているのが現状です。本当に助かっています。
少し前までは、義歯を入れること自体に罪悪感があり、臨床家としての堕落だ、みたいな強迫観念すらありました。
たしかに、とくに部分床義歯は他の歯に依存して支持・把持・維持しているので、他の歯を傷めるし、教科書的にもより大きな部分床義歯に移行しやすい。3年で3割、5年で5割の入れ歯が使用されなくなるというデータもありますし、とくにバネをかけた歯がいたんですぐに抜歯(や残根上義歯)になったりするのは私もよく経験しています。
ですのでそういう心配は常に付きまといながら入れ歯を入れているのが現状です。
もちろんインプラントのほうが強度的には圧倒的に安心だし他の歯も守られます。
私からしてみても外科処置のリスクもありながらも安心感は桁違いです。
ただ患者様にとっては費用面のハードルも高いし、ねじ。
以前は「NO」という人をどうやって「YES」に持っていこうか、といろいろ苦心したが、さっき書いたように苦心しないことにした。
今までの経緯を見ても、インプラントを選択された方の多くは、やはり最初からインプラントがご自身の中で選択肢にあったり、中には最初から「インプラントでお願いします」のような方だったりしている。また、そのような方のほうがメンテナンスの受診維持率も高い。
◆ そして自分の歯の治療の機会がありました。
自分にとっての第一の恩師の先生のところに、今年の2月くらいから7月くらいまで、ちょこちょこですが通いました。
古い歯医者と言うこともあり、非常に混雑しており、当たり前のように10分15分待たされます。このあたりの経緯は以前のコラムに書いたとおりですが、やっぱり、自分と師匠を見比べてみて(師匠の○○先生のほうがかなり歯医者っぽいw)と思えました。
忙しそうでしたが、何か「医療」をしているような感じがするんです。
自分の歯以外にも色々考え直す機会でした。
もったいを付けないでいいのか
入れ歯を作ってもいいのか
待たせてもいいのか
こう思うと、心理的にはだいぶ楽になってきます。
【今回のまとめ】
自分の普段の生活スタイルとあまりにかけ離れた臨床スタイルは取りにくい
こんにちは。根本齒科室の根本です。
まずもって、大変長らくご無沙汰してしまったことをお詫びいたします。
ちょっと「ソレいつの話だよ?」って感じになってしまいますが、一応ご報告まで。
「学校保健委員会」の案内が届きました。
(何だろう、この総花的な微妙な名称は…?)
ここでふと、以前の電話の話を思い出しました。
先「あと、たまに講演をお願いされりこともあるけど、他院批判はしないでね」
↑
前々回の奴です。
もしかしてアレのことか。心の準備は全くできてないし!
でも案内には講演をシロとは書いていない。
隅で黙っときゃあ終わるだろう。
今回も何も持たずに学校に駆けつけました。
校医には、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の3人がいる形になります。
当然私が一番新米です。
いつものように校長室に通される「根」。畜生
これが一番荷が思い。
校「・・・今日はいい天気ですね・・・」
根「・・・ええ、・・・暑いですね・・・」
・・・
こんな感じです。
嵐の前の静けさ。
外から聞こえてくるセミの鳴き声が、悔しい。。
お前ばかり自由を堪能しやがって!
私は、こういうときの雑談があまり得意ではないんです。
あたふたしていたら、朗らかな50代位の女性が部屋をノックして入ってきました。
校長先生と和やかに雑談している。カッコイイ!!
しばらくして、校長先生が所要だと言って座を外しました。
そしたらその女性が声を掛けてきました。
薬「はじめまして!学校薬剤師の○○です。」
根「ぁ、あ~今年から学校歯科医になりました根本です。佐貫駅前で開業しています」
びっくりして、たいした話もできませんでした。
やおら、校長先生と、進行役の先生が部屋に入ってきやがりました。
まだ学校「医」の先生が見えてないが、時間なので開始したいとのこと。
改行
改行
改行
改行
進行役の先生に連れられて、2階の図書室に向かう私たち。
改行
改行
改行
改行
…
や、やべー、ついに
改行
改行
改行
改行
♪~サリーのお触り、梨と湯葉~
和田っぽいイタリー、悪いブル早ァ~
邉居なくてハァ民、指~ドットまぁ~
分かっても粗チ○、ヤメーロ、定(さだ)~!♪
頭の中では、きわめて不謹慎で禍々しく、微妙に空耳にしにくいISIS(イスラム国)の 殺人アカペラ ナシード(saleel sawarim)がほのかに鳴り響き始める。早ァ~とは早いの静岡弁だが、そんなこととかかつて悪いブルだった中野(青木)惠子さんのダイエット奮闘記とか粗○ンとか「定(さだ)」って何者なのかとか定さんの好みはもっと違う感じの男性なんじゃないかとかお触りするサリーは青いツムの方か赤いツムの方かとかももうどうでもよくなっている。
あの後藤健二さん湯川遥菜さんの凄惨なニュースが脳裏をよぎり、生きた心地がしない。
オレンジの囚人服を着せられた「根」と女性薬剤師。
ふと、最期に上野の韻松亭で冷たい梨と湯葉料理を食べたいと思った…
マスクをしても誰かは一目瞭然な男たち。銃を構えて横を固める校長先生戦闘員Aと進行担当の先生戦闘員B
…
もう、連行されながらのイメージは、まんまコレです
…
改行
改行
改行
改行
と、とんでもない光景が目に飛び込んできました。
イカン!
「根」の席が一番マズイ位置(真正面)じゃねえか!
てか、まんま文化大革命のコレだよwwwwww
(jpgは中華に直臨アル)
正面の3人の席以外は全て埋まっている。
一斉に戦闘員出席者全員がこちらをじろっと一瞥する。アイタタタ
とここで校長先生が
「学校「医」の△△先生は所要で本日はお休みになります。今日は学校歯科医の根本先生と学校薬剤師の○○先生で進行していきますので、よろしくお願いします」
えーっ、聞いてねぇ!
こ、これって隅で黙っときゃあ終わる感じとはぜんぜん違うだろw
もしや、「医」はトンズラーのリストか?
最初にPTA会長と進行役の先生の挨拶があり、養護教諭から数分、身長体重などの健康面について説明がありました。
しばらくは怯えながら養護教諭の説明を聞いていました。このままこの話だけで終わってくれ、とかなわぬ願いを祈りながら聞いていたのですが、式次第がそうなっていない以上、それは無駄な抵抗でした。
やおら進行の先生が
「えー、それではここから、校医の先生を交えて、ざっくばらんに質疑応答をしたいと思いますので、皆様よろしくお願いします」
と宣言しました。
って、校医って、「医」いねーじゃん!自分と薬剤師さんしかいないでしょう・・・
ちょっと、「ざっくばらん」って?!待てよえっ、あっ!-
案の定と言うか、戦闘員達 父兄の主婦の方々が、次々に 襲い掛かり 質問し始めました。
「えーと、あのー歯ブラシはどんなのがいいですか」
「硬いのがいいですか軟らかいのがいいですか」
「フッ素って塗ってもらった方がいいですか」
「歯みがき粉って何がいいですか」
「仕上げみがきは何年までやった方がいいですか」
etc
それこそ、簡単な物から難しいものまで、次から次へと歯に関する質問攻めで、気がつけば危惧していた九段会館に近い状態になってしまっていました。
あまつさえ、何とそのうちに父兄の主婦同士で、
「アレがいいと思うよ」
「いや、コレがいいと思うよ」
「でもこないださーTVでやってて」
などと、大型の井戸端会議になってしまいました。
完全に置いてかれた私
↑
いやー、針のむしろと言うのはこういうことを言うのか。本当に居場所がなかったですね。
そんなこんなで1時間半、さんざんサンドバッグのように叩きのめされ、すっかりグロッキーになってしまった「根」。やっと会合が終わって退室するころには、肩も落ちてへとへとでした。
根「ハァーっ、今日はこんな目にあうとは思ってなくて、参りました」
薬「でも根本先生のお人柄が出てて、よかったと思いますよ」
薬剤師の○○先生が慰めて下さいました。
単に人間関係が不器用で話しベタだっただけです。
第2回の学校保健委員会は、12月頃に開催の予定とのことでした。
その回は、スクールカウンセラーが参加するとのことでした。
心配なので一応聞いておきました。
根「・・・あのー、学校歯科医は参加しなくて大丈夫ですよね」
薬「はい。大丈夫ですよ」
しばらくはお沙汰はなさそうで、ちょっぴり安心しながら帰路に着きました。
今年の猛暑で、セミの声が心地よく耳を通り過ぎていきました。
もちろん心地よかった理由は、帰り道だったからにほかなりません。
【今回のまとめ】
校医は学校保健委員会という集まりで、父兄やPTA等にイジラレル対応する
こんにちは。根本齒科室の根本です。
時間のたつのが本当に早いです。あれよあれよという間に7月9日を迎えてしまいましたが、大丈夫w私にはまだ余命35~40年くらいあります(ことになってる)ので、まだまだコラムの旗は降ろさず、(ほそぼそとですが)更新していきます。
さて、いよいよ数日前になりました。
養護教諭の先生の話では、検診の道具は学校にあるとのことで、とりあえずほっとしました。
また、1日で全員はきついと思うので2日に分けましょう、みたいなお話をいただいており、若干安心しました。
そしてとても大切なことですが、その日に備えてユニクロで『安物のブレザー』と『真面目なチノパン』みたいなのを購入しました。
じつは歯科医師とは、常日頃からスーツを着る機会が極端に少ない(おそらく年に数日程度)職業でもあり、私などは、そこそこ気軽にネクタイを締められるような服など持っていなかったのです。
2日に分けてということだったので、チノパンはツータックのとノータックのを1本づつ買いました。
2日続けて同じのというのは微妙な感じがしたので2本購入したのですが、何だかすごく損した気分です。
ついに当日の朝です。
口から胃が飛び出しそうなくらい緊張します。
それなのに雲一つない、えらくスガスガしい天気なので、ムカつきますw
下見をしておいた小学校は、私が通っていたところ(静岡県三島市立沢地小学校)と遜色ないくらい立派な建物でした。
グラウンドをふらふら歩いていたら、何か体育教師のような人に声をかけられて、そのまま「いきなり」校長室に通されました。
いやーもう、心拍数180位逝ってたでしょうw
どうしても校長先生とか校長室に心理的になじめないのは、前回書いた通りです。
それでも、しきりに雑談を振ってくるので、キョドりながらも、何とかあたふた応対していました。
聞くところによると、ここの小学校は全校生徒で300人いないみたいです。また近隣の小学校はどこもそんならしいとの話でした。
びっくりしました。自分らが子供のころはその3倍はいたと思います。
何と言っても、1学年40+α人学級×4クラス×6学年
こりゃ、昔の校医の先生は大変だorz
今でよかった トホホ
とはいえ、着替えが校長室というのは本当にキツかった!マジで勘弁してほしいです。
出されたコーヒーの味もよく分からないうちに、検診が始まってしまいました。
さて、養護教諭に『連行』されて向かった1階の理科室。
廊下には大勢の1年生が体育座りしていて、それを見るだけでビビります。
◇ 低学年
はっきりいって、あまり幼稚園と変わらないイメージでした。全体的に乳歯ですし、ある子に集中してあり、ほとんどの子はむし歯はないのです。
◇ 中学年
このくらいになると、4前歯の永久歯がそろっている子が目立ちます。
体格の成鳥が速い子遅い子もいますが、それとは別に、歯の交換も早い子遅い子の差も感じられて、とても興味深かったです。
むし歯の傾向は、低学年と同様で、さすがに永久歯がやられているような子は見られませんでした。
また、このころになると、矯正装置が入っている子がちらほら見られるようになります。
◇ 高学年
1日目は3年生まで、2日目から4年生以降を見たのですが、5年生6年生になると、残念ながら6番(第一大臼歯)がやられている子がちょこちょこ目立つようになります。
低学年までは、むし歯はある子に集中してあるのですが、そうではなく、どの子にも割とまんべんなく少しづつはむし歯があるようになってきてしまいます。
これは、高学年になるにつれて、子どもが成長してしっかりしてきたと勘違いしてしまう面も大きいと思います。
この時期に、仕上げ磨きの手を離れてしまうことや、間食等についても低学年のころのようにあまりとやかく躾けたりしなくなってくるものです。
それがダイレクトに傾向の変化に結び付いてきている気がします。
印象に残ったのは、低学年~中学年~高学年と移行するにしたがって、お口の中の特徴が大きく変わっていくのが手に取るように実感できたことです。
中学年~高学年への大人の介入はもう少し検討の余地がありそうです。
大人でさえちゃんとしたプラークコントロール、シュガーコントロールは困難なのに、小学校高学年の子供にそれを望むのは土台無理です!
そんなこんなで、何とか初検診は終了しました。
全体の進行は、それでも割と自分にしてはスムーズでした。
<1>
今まで経験した幼稚園の就学前検診や保健センターの1歳6か月/2歳6か月検診などとことなり、保護者がいないのが大きいです。
付添いの保護者は、割としばしばあれこれ質問してくるものです。するとそれにこたえなければならず、その時間も結構バカにならないのです。
小学校の検診ではそれがないばかりか、(当然ですが)(一応)私語禁止で、うるさい子は養護教諭や担任にビシビシ注意されていました。
もしかしたら、子供たちも好奇心旺盛な年頃ですし、私にいろいろ質問したかったりしたのかもしれません…
<2>
また、1-6検診は当然として、2-6~3-6検診でも言うことを聞かない猛獣の赤さんのようなのがたくさんいまして、押さえつけたりするだけで大変です。
実をいうと、ものすごく強引に押さえつけたりしてるのですが、当然絶対笑顔と猫なで声は絶やしてはいけません。
もう3歳未満は、鳴き声を上げて口を開けた瞬間にパパッと見るのがデフォルトwww
ある先生など「鼻をつまめば口を開けて泣き出すから、その間にやっちゃうのよ」などと言ってはばかりません。
世の中、そんなものです。
でも、そこは小さいお子様をお持ちの親御様は、絶対にこんな実態を我が子の前ではおくびにも出されないでいただくことを強く望みます…
小学生はそれはありません。
私の隣で養護教諭がじろりと睨みを利かせていますので、子供たちもすごすごと検診に応じています。またそれができる年齢でもあります。
このように、<1><2>に示すようなボトルネックになる点が、小学校の検診の場合は存在せず、養護教諭(と担任の先生のサポートもある)との連携も頼れますので、小学校の検診はかなりスムーズにさばけるのです。
たしかに(昔の私のような)やんちゃ坊主どもは各学年にまんべんなく存在しており、そのたびに、(私の前では)温厚な養護教諭が穏やかながらもびしっとキツイ一言で〆られて指導していたので、大きなボトルネックになることもありませんでした。
それを横目に見ながら、我ながら心がビクビクしていました。コイツらはまんま30数年前の自分そのものであり、どんなに別人だと頭でわかっていても心は正直で、どうしても自分自身が怒られているように反応してしまうのです。そのたびに胸がチクリチクリと傷みっぱなしでした。
子どもの成長と自立という問題もありますが、お口の中を見ている感じでは、まだまだ手放しで性善説を唱えるわけにはいかなさそうです。はっきり言えば、それは『甘え』です。
神の見えざる手は、健康よりも、しばしばむし歯を運んできてしまうのです。
また、第二次性徴を迎えて強い自我形成に至ってしまうと、なかなか今までのような仕上げ磨きという訳にはいかなくなりますが、そこまでにいかにしっかりとした基礎を作っておくかが、その後の口腔内の予後を結構決定づけてしまうと思います。
【今回のまとめ】
検診の結果、小学校高学年までは、適切な口腔内の介入が必要だと思われた。
こんにちは。根本齒科室の根本です。
どうもこのところ、自分の中のアウトプット回路がさびついてしまったのか、なかなか文章が出てこない状態が続いていて、たまった下書き(ほとんどメモとか箇条書きのようなもの)が放置状態になっていました。
何とかパソコンに向かっています。
ある日、歯科医師会の会長の先生から医院に電話がかかってきました。
「根本先生、県南(歯科医師会)の医療管理委員会の仕事をしてもらえませんか?」
アチャー(ノA`;)
ついにお鉢が・・・
PTAでもなんでもそうですが、役員って、名前聞くだけで嫌ですよね。歯科医師会も含め、あまねく『会』と称するものは、一部そういうのが好きな奇特な方がいらして、そのような方々で回すもんだとばかり思っておりました。その方が彼らも明らかにやりやすいですよね。自他ともに認める下っ端の私は、豆鉄砲を食らった鳩、いや、個別指導を食らった開業医のような表情に一瞬なりました。
ちなみに医療管理委員会とは、簡単に言えば保健所の立ち入り検査対策の部署です。私も2013年の立ち入り検査の時には大変お世話になりました。
県南歯科医師会の過去の理事の皆様の努力もあり、現在は保健所の担当者とは「友好的な関係」で推移しているとのこと。
(そういう政治的なことは苦手なんだけどなぁ)
と思っていたら、次の日また電話がかかってきました。
「根本先生、小学校の校医もやってほしいんだけど」
・・・はい? Σ(‘A`;)
はい。最初は罰ゲームにしか聞こえなかったです。
(俺は今まで何も会に迷惑をかけるようなことはしていない。会費もちゃんと払ってる。それなのにどうしてこんな仕打ちを・・・)。
私は今まで歯科医師会という名前がついた会合や厄介ごとは、ちょっとした飲み会も含めてことごとく欠席し、きわめて純度の高い幽霊会員の座を確固たるものとしてきました。まさに自分自身が幽霊になry あれ、こんな時間に来客が
(誰か自分を快く思っていない会員の先生がいるのだろうか・・・)
怪訝な気持ちは晴れません。
とりあえず
根「みどり幼稚園の園医もやっていることですし、他の先生に・・・」
とお茶を濁そうとしました。
先「でも先生、報酬はいいよ。年間『あqwせdrftgyふじこ(自主規制)』万円だから」
先「校医ってのはかなりオトクな話なので、なるべく県南の(理事の)仕事をしてもらえる先生に回そうと思っているんだ」
ふじこの話には思わず心がぐらっと動きました。俺も小物っすなぁ
先「あと、たまに講演をお願いされりこともあるけど、他院批判はしないでね」
えっ、こ、講演ですか
その昔、武田邦彦先生のファンだった私は、生涯1度くらいは講演をして、その最中の写真を収めておきたいと思っていました(動画は勘弁)。でも、そんなに何度もしたくはなく、1回で十分です。その写真が出来たら孫子に自慢して「じぃじは昔こんなこともしてたんじゃ、うぉっほん」みたいなのは、ちょっと考えないでもありませんでした。
根「分かりました。頑張ります」このインコ並みの心変わりの速さ
とはいえ、電話を切ってみると、やはり不安感はつのる一方です。
今度の小学校は公立(市立)ですので、市役所の方と、学校の方が別々に医院にご挨拶に見えました。
そのたびに冷や汗ものでした。
契約書のようなものは、小学校ではなく、市役所とかわす形になります。
小学校の方からは養護教諭の先生がご挨拶に見えました。
お優しそうな先生でしたが、市町村の小中学校の検診の紙の書式を見せていただいたら、とたんに緊張感が増してきます。
と思ったら、数日後、いきなりアポなしで校長先生がご挨拶に見えました。
診療中だったので何事かと思いましたが、これは心底ビビりましたw
身長がすらっと高くスマートな紳士で、180以上はありそうです。
でも、「(とくに小中の)校長先生」というと「朝礼等での表彰式」「悪童を叱りつける最凶かつ最強の鬼 もとい ラスボス」という2つのイメージが骨身に滲みて極端に強い私は、カメみたいに恐縮していました。
GW開けには、いよいよ初めての検診です。
実家に帰省していても、(1日1日、検診の日が近づいている)などと思い出すと緊張するので、なるべく考えないように考えないようにしていました。
(つづく)
<1>写真がないのはご了承ください。盗撮するわけにもいかないので
<2>次回は、実際に検診して思ったことを書きます
【今回のまとめ】
公立の校医は、学校ではなく(歯科医師会の推薦で)自治体との契約になる
こんにちは。根本齒科室の根本です。
さすがにダラダラした内容になってきたので、項を分けました。
私が気に入っていたA歯科医院(仮称)。今見るとずいぶんと古臭い所もあります。
清潔感はありますが、待合室とトイレが狭い。ユニットごとの仕切りがない。ITがほぼ導入されていない。etc
さすがに自分が経営者でも、そのような医院を新しく作ろうとかは思えません。
でも、自分が通うとなった場合に、それだからダメ、という訳でもないんですよね。
◆ 初回いきなり待たされて・・・
30分ですよ…!!
ちなみに(最近はややグダグダなところもあるが)いままで根本齒科室では、計画診療の重要性や時間契約の意義にかんがみ、「患者様を待たせない」ということを重視してやってきました。
キャンセルなどで空き時間ができたりしてしまうと痛手だし、出しきれないストレスもたまるんですが、それが誠意だと思っていました。
それは、患者様にとって待たされることは、とても嫌で辛いことだと考えていたからです。
A歯科医院は、当然ながら人気店で、院長だけで1時間に最低4人、多いと6人くらい入っています。受付の方からアポ帳を見せていただきました。ラーメン屋や内科医からしたら非常に少なく感じる人数ですが、歯医者でこれは真面目にやったら限界のレベルかもしれません。
もちろん治療順の前後入れ替えや、長短のばらつきがあるので、まあ5分10分は理解できますが、初回いきなり30分も待たされました。
もし自分が自院でこんな状況だったら、お待たせしている患者様のことが気が気でなく、イライラしてしまっていたでしょう。
しかし、不思議なものです。
そのときはいろいろな昔の駆け出しの頃の思い出などに浸って待っている間に10分15分はすぐすぎてしまい、残りの時間も「ツムツム」や「シムズフリープレイ」などで時間をつぶしていたらあっという間でした(でも毎回30分待ちは困りますけど)。
30分待たされてみて、意外だったのは、以前自分が待たされる立場で想像していた感情とはかなり異なっていたことです。
もちろん、後ろの予定が詰まっているときは別だ。たとえば3時半に予約で、4時に歯医者を出られれば4時半に○○に間に合う、などという所で30分も待たされるのでは、キレるか「次回に変更にしてくれ」ということになる。そこはケースバイケースだ。
しかし、そうでもない場合は、歯医者で待たされるのは、変な意味、意外と大丈夫でした。待たされた本人が言うのだから間違いありません。
なぜ予想していたほどイラつかないのか?
◆ 最も大切なものは信頼感
それは、当たり前ですが、先に出てきた「信頼感」です。
あえて言えば「正当性より信頼感」と言ってしまっても良いでしょう。
逆に歯医者とか個人商店にありがちなのは、「信頼感より正当性」のたぐいです。散々セミナーやスタディーグループに参加し、あれこれ臨床(治療)の主義やスタイルにこだわり、それはいいのですが、ともすればその路線に沿わない患者様にきつく当たってしまったり「うちでは○○はやらない方針だ」などと冷たいことを言い放ってしまったりする例もよく聞きます。
そしてそれが正しいとか筋が通っているとか合理的なマーケティング手法(逆選別)のひとつであるとか思いがちです。
まあ、あれだけ大金をかけて箱モノを構えて商売をするんですから、こだわりの2つ3つは出てきて当たり前と言っては当たり前ではあります。
しかし度が過ぎると、人間疎外になってしまいます。客商売のくくりで考えても本末転倒です。
逆に言うと、人間は正しいと分かっていることでも受け入れられない。いわゆる歴史「認識」問題がそうだが、どうしても各々が自分の信じたいものを信じてしまうようだ。もともと歴史と歴史認識はまったく違う概念で、歴史は多分ひとつしかないんだろうが、歴史認識はそれこそヒト(客体)の数だけあるので、論じても無理だと私は思う。だからこそ、国民教育は悲観的かつ硬直的であるべきでなく、楽観的かつ多様な価値観を許容する素地を涵養したいものだ
明らかに考え方が自分の理念とはほど遠いと思われる患者様にも、自分が正しいとい思われることを伝えなければいけません。
それが歯医者の仕事の大きい部分でもあります。
逆説的ですが、そのためには最初はその間違った考えかたごとその人を受け入れてあげないとだめなのだろうと思います。
そのうちに接触回数も増え、信頼関係ができてくると、「先生におまかせします」的な発言が増えてくるものです。
そうなって初めていろいろ申し上げたいことが受け入れられてくるようになる。
まぁ、人間も(私を含めて)ある意味ややこしいどうぶつです。
◆ 自分自身の課題として感じたこと
一度診察を受けて、待合室から診療室をのぞき、先生やスタッフの動き、「客あしらい」の流れなどを見て、思いました。
「自分はまだ全然出し切れてない」
信頼関係が大事だというのは、先に書いたとおりです。
「自分が大事に、誠実に対処される」
そう思えるからこそ、患者側も少々のことは目をつぶれるものです。
でも逆に考えると、今までの自分が、割と瑣末なところにこだわるあまり、イラつかなくてもいい所で勝手にイラついたりしていて、逆に無駄が多く効率を損なっており、「出しきれない」原因になっていたのではないか?と、かなり反省させられました。
院内新聞の2015年1月号にも書きましたが、医院側と患者様側でお互いに不測の事態を許容しあうとどうしても予約の時間は厳密にならずに、待ち時間が生じやすくなります。一見不親切に見えるかもしれませんが、さきほどの「正当性より信頼感」という大言壮語に照らせば、むしろこちらのほうがより人間的で信頼感を持ちやすいスタイルなのかもしれない。
まさか自分がこんな風な考えに至るとは、1年前はつゆほども思っていませんでした。
【今回のまとめ】
「正当性よりも信頼感」だと、自分が歯医者で待たされてみて分かった
こんにちは。根本齒科室の根本です。
恥ずかしながら、他人には偉そうなことを言いながら、自分ではむし歯をこじらせて、先般ついに歯を腐らせてしまいました。
「ベストセメント」を入れてごまかせればと多寡をくくっていたら、歯から異臭がするようになってしまい、もうたまらず歯医者の門を叩いた次第。まさにダメ患者の典型です。
何だこりゃ
ベストセメントも封鎖が甘いとほとんど意味がないですね。
もうこれは効かなかったことにして、悪いところはしっかり取ろう、と反省したりもしました。
◆ 恐ろしい歯医者選び
私が行く歯医者は決まっています。
ここで名前は出しませんが、知りたい方は上のバナー(院内新聞「種」)をクリックするとすぐに判明しますw
ここは、私が大卒ではじめて勤務した歯科医院であり、ここの院長に箸の上げ下ろし、イロハのイからみっちり鍛えていただいた私の歯科医師としてのルーツでもあり、道場でもあり、実家でもあり、そんなところです。たまたまだったのですが、ここの院長は私が東京医科歯科大学の1回生だったときの6回生です。女性医師ですが、臨床全般において習熟というか「場慣れ」しており、今見ても大変手際が良いです。その上、あきらめの悪いところがあり、絶対に取り残さないとか絶対に角を丸めきるとか、とにかく一つ一つの仕事に手抜きがありません。さらに小児歯科については認定医資格を持っており、東京医科歯科大学から難症例の小児患者が紹介されてくるほどの凄腕です。
大学「に」紹介ではない。大学「から」紹介です。
もうただ驚くばかりです。また何より性格が明るくほがらかでハキハキしており、女性にありがちな表裏が少ないタイプなので、弟子としてもとても接しやすいです。
そんな先生が自分の最初の師匠で、本当によかったと思います。
治療については自分自身でも(大体こういうことをやられるだろうなあ)みたいに予想は当然つけて行きます。多分左上の根管治療を3回くらいで、型を取って、でも対合も咬頭ハセツしてるから後でやらないと、とか。
ただ歯科の治療は再現性がないブラックボックスであり、最近はやりのAIIB(あいーぶ アジアインチキイカサマ銀行)に例えると、まさに構造的な「ガバナンス0」です。
とてもではないが「変な人間」に触らせることはできません。
「ここの院長なら大丈夫だろう」
私が駆け出しの頃のボスであった、その院長なら。。。
逆にこの先生でダメだったら、あきらめがつきます。
よくよく考えると、それでもライブでカクニンできたりしているわけではないので、「ガバナンス0」であることに変わりはありません。
そんなときに世の中で唯一頼りになるということになっているのが、「過去の実績」とか「信頼」とか呼ばれる間接的なものです。
私も弟子の立ち位置から、師匠の手の動きや仕事の進め方などは、なんどもお目にかかる機会があり、その都度勉強になったし、無駄なくかつていねいな仕事振りに弟子ながら感心の毎日でした。
でも逆に考えると、一般の方は、何を頼りに歯科医院を選んでいるのだろう?
それを考えると、背筋が寒くなります。
具体的に目視・確認できる論拠が一切ないからです。
歯科では、一切自分の治療中の状態を確認できない。
確認できないので評価はさらにできない。
こうなると、何を信じて歯医者選びしたらいいのだろう?
もう口コミとかネット・電話帳で検索くらいしか手がないですね。
一般の方々は、何を心の拠り所にして歯科医院を選んでいるのだろう?
◆ 選ぶときの心の拠り所
こう書くと、なんで根本はそんなに歯医者選びを大げさに書くのか、と思うかもしれませんが、歯科治療はブラックボックスで監督のしようがないから、出来上がった歯の治療がきちんとしていたかそうでないかは、誰も分かりません。極端な話、むし歯が残っていたり内面がガタガタでも、かぶせてしまえばバレない(根管治療とコア形成はレントゲンでばれる)。恐ろしい限りです。
また、そんな不透明性そのものが(故意または過失による)いい加減な歯医者が淘汰されない原因になってしまいます。結局(自分の実感では)何割ものオーダーで存在できてしまっていると見ています。
早くて痛くなくてやさしい先生と言うだけでよいのだろうか?
「かぶせてしまえばバレない」でない保証はどこにあるのか?
ホントはダメですよね。
そんなときは、やはり過去の「実績」を信用するしかない。
「○○さんがやって具合が良い」
「○○年の経営実績がある」
こういうところしか判断材料になりません。
だから大手や老舗は商売に強いんですね。
これは私も同じです。
いくらそこの院長を良く見て知っていると言っても、実際に自分がやられている瞬間はいちいちライブで監督することはできません。
それでもその院長は、途中途中でまめに合わせ鏡で見せてくれたり、レントゲンを見せてくれたり(見た内容についての説明は当然省略)と、その辺の配慮がていねいなのでありがたいです。
というか、そのクセが幸いにも弟子時代の私に「感染」していたようです。
◆ いつもやってることをやられる側から見て
当然ながら、治療すべき部位と手技のステップは、私が普段やっていることに照らし合わせてほとんど完全に理解、というか院長と共有しているレベルで治療を受けている。
次何をするか、そうするとどうなるか、というのは全部分かっているので、当然ながら院長からのかみくだいたような説明は全くと言っていいほどない。その場その場で専門用語がぱぱっと出てくる感じ。
こんな患者は、ほんとうにやりにくいと我ながら思うんですが、それでも嫌な顔ひとつせず昔のように気さくにかつていねいに治療していただけるのは本当にありがたいです。
大体が私のような(保険者が歯科医師国保の第一種)保険証を持っていて、いきなり知らない歯科医院の受付で出したら鬱陶しがられること請け合いです。私だってそれをやられたら(何で知り合いのところでやってもらわないで、いきなりうちなんかに来たんだろう?)と怪訝に思いますよ。
[1]根の先に神経が生き残っている?
さて、まずは左上の歯を腐らせてしまった部分の根管治療からです。
神経が腐っているので、理屈の上では麻酔は要らない予定でしたが、根尖付近のファイリング操作ででわずかにぴりっと違和感がすることが分かりました。
(これは残髄か?それとも側枝か?)
これは自分がびっくりしました。
[2]歯肉なのに冷たいものがしみる感じ?
手前側(写真で言う左側の部分は歯肉縁下マージン(歯肉ラインよりも下に歯の根のヘリがある))を削って歯肉に触れたときに、神経に触ったのと似たような感覚がありました。
*[1][2]については確たることは言えないが、こうかもしれない。
歯の神経の説明図は、通常まっすぐに歯に向かっているが、実際は根尖部2ミリ程度のところまでは「側枝」といって、横から歯に入り込んでいる神経も少なくない。
なので、神経を取ったはずなのに、治療でこすると少しピリッとすることもあるわけだ。
ところで、歯は骨に直接癒着しているわけではなく、「歯根膜」というスジを通じてこびりついている。ここに「側枝」の一部がさらに入り込んでいるのではと思われる。
なので、歯根膜に炎症が外から波及するような状態、たとえば仮歯のバリが食い込んで歯の回りが腫れている状態のときなどは、刺激で「しみたような感じ」がすることがしばしばある。
また、そのような歯肉縁の場所に対して、いわゆる楔状欠損に伴う象牙質知覚過敏ではないのに、しみた感じがすると患者様が訴えられるケースがしばしばある。
(これのことか)と、我ながら勉強になった。
[3]麻酔を刺したところをなめると相当苦い!
歯科の麻酔を歯肉に行なうと、一次的にぷくっと水ぶくれのようになりますが、その中央、ちょうど針を刺した部分の上を舐めるとそこだけすごく苦いのでびっくりしました。
また周辺の頬や口唇などにも効いてくるんですが、あの違和感はいわば「殴られた後のジーンとする感じ」に非常に似てます。これは患者様には精神的に結構不快だろうと思いました。
[4]ドリルの音が相当五月蝿い。
これは久しぶりにやられてみて、改めて痛感しました。
ドリルにはタービン(や5倍速コントラ)とコントラという2種類に大別されます。タービン(や5倍速コントラ)のほうは早く回転するので、ドリルの尖端には一般的にダイヤモンド粉を吹き付けてあります。
これがうるさいんです。
「キーン」という音よりも、ドリルが歯に当たったときの「カーッ!」という摩擦音がすごい!
こりゃ一昔前にレーザーが流行ったわけです・・
[5]削った面を舐めたら耐水ペーパーのようでした。
いわゆる土台を削って形作り(別名PZ)をして型を取れるようにする処置があります。もちろん上から最終的にかぶせるわけですが、削りたての土台を舐めると耐水ペーパーのように強い摩擦力を感じたのにはびっくりしました。面白かったので何度も舐めてみました。
また、数分するとその摩擦力を感じなくなってきます。これは唾液の中のタンパク質や獲得皮膜などで覆われてしまうからだと推察されます。
そこの院長先生は、また形成(削ること)の手際がとてもよかったのでそれにもびっくりしました。
(あれっ、もう終わったの?)と思って取った歯型を見てみると、しかし、過不足なくバランスよくPZされており、失礼ながら弟子のクセに感心してしまいました。
俺も頑張んねぇと
[6]シールがしみた
削ったところを簡易的に詰めたりかぶせる材料で「○○シール」という材料がよく使われます。もっともメジャーなのは「デュラシール」というものですが、硬くなりすぎるのが欠点で、私は別のメーカーのものを主に使っています。
製品は粉(ポリマー)と液(モノマー)でできてます。使用法は専用の筆を液に浸し、粉のカップに筆先を触れることで、筆に玉のように混合体がついてくる(筆積み法)ので、その「玉」を覆いたいところに置いてきます。
「仮封は自分でやっといてね」という院長の大雑把な優しいご宣託により、我孫子から佐貫に戻った後、自院のシールで鏡を見ながら仮封しようとしたところ、いきなり「ビリッ!」と口角に鋭い激痛が走ったので驚きました。
よく見たら、液(モノマー)が口角のアカギレのところに触れたようです。
これってこんなに痛いのか!
その他、日頃非常に気軽に行なっている処置ながら、もしかしたら患者様に非常に苦痛を与えてしまっていたことがあったかもしれない、と、強く反省しました。
◆ 初回いきなり待たされて・・・
なぜ予想していたほどイラつかないのか?
その辺は後篇にゆずります。
【今回のまとめ】
自分が治療を受ける側になってみて、改めて学ぶ点が多かった。
こんにちは。根本齒科室の根本です。
どうも仰々しくてすみません。
そういえば、すっかり当院のおなじみになってきた「心霊?!治療」。
(一応)隠しメニュー
少なからぬ患者様には好評が多い
同業者の目に留まると批判が多い
どうみても「いかがわしさ」そのものにしま見えませんw
そこで一応どんなことをしているのか、備忘録として手順書を書いてみます。
「納品技工物」ではなく「口腔外CR(コンポジットレジン)充填」という位置づけなので、大幅な省力化が可能です。
咬合器も南加大ダウエルピンも要りません。
(画像合計8.3Mです。少し重いです)
◆ まとめ
◇ メリット
保険で白く詰めることができる
自分で技工するので納期に束縛されない
自分で技工するので技工料金がかからない
治療時間(チェアタイム)の短縮
重合収縮による歯髄反応の回避
◇ デメリット(と思われるもの)
強度にやや難あり。まれに欠けることもある
詰め物との境界線が長期的には見えてくる
技工にハマると、帰宅が遅くなる
点数が低い(安い)ので技工所に出すと赤字
◇ 必要と思われるもの
松風プロビマスター
PKT1番
エバンス
パラフィンワックス・ワセリン
コンポジットレジン(多いのはGCユニフィルローフロープラスのA2とE、その他)
ケルヒャーなどのスチームクリーナー
DualCure typeレジンセメント(Gルーティング、パナビアetc)
◆ 実際の手順
形成はナイフエッジマージンを作らないようにすれば、大まかで結構ですし。、アンダーカットにも神経質にならなくても大丈夫です。
ただし、印象直前に、窩洞内ボンディングは忘れないでください。
私は。、3Mのスコッチボンドユニバーサルアドヒーシブのユニドース(1回使用)タイプを使用しています。
仮封は、ワセリンの後にデュラシール(硬すぎるから不可)以外のシール材を使用します。
モデルトリマーで模型をトリミングします。
シャープペンでマージンくらいは書き込みます。
松風プロビマスターで割をぎりぎりまで入れます。
割は、(お口の)頬側(外面)、舌側(内面)、模型基底面の3方向から入れます。
石膏残存部が5~6ミリ四方くらいになるようなイメージで割を入れると操作しやすいです。
このように全部割を入れたら、指でぽきっと折ります。
対合?そんなものありません。
これはインレーではなく口腔外CRだからです。
マージンラインに沿って、ラウンドバーで通法通り軽くマージン出しをします。
窩洞内面とマージン部分に薄く薄くスペーサーを塗布します。
マテリアルがメタルではなくレジンなので、パラフィンワックスがいちばん楽です。
ただしアンダーカット(下掘れ部分)はしっかりリリーフ(埋め立て)します。
コンタクトですが、現在は個人的にエバンスで軽く10回程度なでるのが一番合っている感じがしています。
全くなでないと、少しコンタクトが緩めにできてしまいます。
あとは部分部分で何回かに分けて『積層充填』ならぬ『分割重合』をしていきます。
1回目の分割重合が終わった段階です。
こちらは重合部分を外して見た所です。
かならず重合ごとに着脱を確認します。
コンタクト以外の重合が終わりました。
着脱を確認します。
模型の窩洞にセットして、隣接面と合わせます。
コンタクトはまだ盛っていないので接していません。
模型の「割」面があるので、割面同士でぴったり合います。
(接着していません)
コンタクトを作ります。
絶対に隣接面に触るように、少し多めにレジンを盛ります。
(接点部だけ未重合状態です)
その状態で隣接面との割面を合わせると、おおっぴらに隣接面に未重合レジンが触れています。
(気持ち悪い人はこの直前に隣接面にワセリンを少し塗っておきます)
そのまま照射してしまいます。
コンタクト下部の深い所が未重合で残ることがありますので、咬合面側からだけでなく頬舌側からも照射します。
このとき絶対に割面を合わせたところが動かないように注意してください。
お互いをぺりっと剥がします。
当然、このような形になっています。
残したいコンタクトをマーキングします。
側面からです。
大雑把にレジンを成形します。
大きめのカーボランダムとビッグシリコンポイント茶が使いやすいです。
何かショートマージンっぽい感じもします…
…しますがとりあえずケルヒャー(流蝋(るろう))します。
これは撮影用にピンセットを置いてありますが、当然ですが必ずピンセットで本体や模型を持って、取り残しのないようにしっかり流蝋してください。
やっぱりショートマージンがありましたね。
でもあわてないあわてない。
窩洞内面の当該部位にワセリンを塗って、
その場で補修しちゃいます。なおりましたw
修復物を模型に嵌めたら、模型の割面同士が合う所を、ずれないようにして少量の瞬間接着剤で固定します。
割面の片面に少量ゼリー状の瞬間接着剤を塗布し、慎重に割面同士を合わせます。
すかさず頬舌側と基底面側からアルテコ(瞬間接着剤硬化促進剤)スプレーを塗布します。
瞬間接着剤は、もともと水ばんそうこうと言われていただけあって、人間の指は異常に早く接着しますが、石膏など指以外の物は、硬化が結構遅いのです。ものによっては1分くらいかかります。
ですから、そこを瞬時に硬化させるためには、アルテコが必要なのです。
はい、終了!
慣れると15~20分くらいでできます。
◆ おわりに
これを本職の技工士さんがご覧になると、なんという手抜きなんだ!と思われるかもしれません。
また、歯科医師の方でも「これで入れていいのかよ?」と思われるかもしれません。
しかし、これは意見が分かれるところだとは思いますが、「保険」で「2級CR(接点を含むレジン充填)」を入れることを考えたら、はるかにましだと思います。
曲率を読めないコンタクト下マージンについて「模型上で作成できる」ということが、最大の強みです。
たとえば、Kerr社のアダプトセクショナル マトリックスという、接点の仕切り板フィルムみたいなものがあります。
しかし、「緩」「急」2種類の曲率しかないので、直接法でトライして合わなかったらおしまいです。。
また、昔は、トッフルマイヤーのリテーナーなどという、今から考えたら噴飯ものとしか思えない(乳歯は別)もので隣接麺を仕切って「光」重合で充填していました時代もありました。
私もさんざんこれらで2級重点を行ってきましたが、はっきりいって平均的な信頼度は「心霊?!(CRインレー)治療」の足元にも及びません。
とくに術後疼痛や歯髄反応が直接法に比べて大幅に少ないことは、大幅に国民の福祉に資すると考えています。
その他、臨床的趣旨については、前掲コラムをご参照ください。
【今回のまとめ】
これ、一番書きたくなかったかもしれないものだが、ついに書いてしまった。
恥ずかしいw
こんにちは。根本齒科室の根本です。
前回の続きです。
今の日本では、前回のようなおおらかな話は通じません。
たとえば家族にキャリアの方がいて、その処遇について、などというプライベートな内容とは別に、不特定多数の方に観血的処置をもって接さざるを得ない歯科医院のような施設では、求められる感染対策のレベルは違ってきます。
一般に、感染対策では
「一般予防策」
「標準予防策」
というものがあります。
◆ 中国大陸と肝炎つづき
前回は、付き合いで行った団体旅行の後に、違法売春の取り締まりのニュースと、肝炎蔓延のニュースを目にして慄然とした話までしました。
でも昔は日本もいろいろな意味でほめられたものではありませんでした。
そこで、
「一般予防策(ユニバーサルプリコーション)」
「標準予防策(スtナダードプリコーション)」
のような概念が取りざたされるようになってきました。
詳しくはガイドラインなどがネットでいくらでも落とせますのでそちらに譲ります。
◆ 肝炎をエイズ扱い?!
基本的にはウイルス感染症ですので、薬液消毒と十分な手指の洗浄がキホンになります。
私のところでも、開業当時にいた衛生士のIが、いろいろ調べて、具体的なマニュアルを策定してくれました。
これを見ると「あぁ、なんて素晴らしいんだろう」などと、今でも他人事のようにふと思います。
そこで、ウイルス性肝炎の患者さんが来院されたときには、このようなマニュアルに従って処置を進めていくわけですが、まぁ、面倒くさい!
事前準備はまぁいいとして、事後の清掃の後に、60分放置、とかあります。
① 清掃後の待ち時間は、他の患者様をそのユニットに通せません
ですから、アポの人数が3人くらい違ってきてしまいます。
また、ガイドラインに従って、ドリルなどの道具は完全に分けています。
新しいドリルなどが必要になった時は、通常治療用のところから流用して、その後それを感染症専用にしています。
② 道具を共用することはできません
ですから、あまり大きな声では言えないのですが、経営的な面からだけ言えば、感染症対策は大きなコストであり、明らかな採算割れです。
これらの
「一般予防策(ユニバーサルプリコーション)」
「標準予防策(スtナダードプリコーション)」
は、感染症一般、たとえばエボラのような極端に感染力や危険性の高いウイルスは別として、通常のエイズを含む慢性ウイルス感染症の対策です。
ウイルス対策は、スタッフが感染しないこともさることながら、患者様同士で交差感染を起こさないことも重要視されています。
ですから観血的な道具の使いまわしは論外なのは当然として、さまざまな器具類の洗浄や滅菌についての細かいガイドラインがあります。
◆ 医療機関の使命
これは難しい問題です。
とりわけ、日本では意図的に民間を下請けとして利用することで保険制度を維持してきた歴史的経緯がありますからなおさらなのですが、肝炎やエイズのかたが来院されても「診られない」と言ってはいけないことになっています。
それでも「近所の●●先生のところでは肝炎は診られないと言われた」といって当院に流れてきてしまうパターンも少なくなく、正直、大きな声では言えませんが、複雑な心境です。
これらの感染症対策にからんでは、物理的、なかんずく時間的コストを大きく損ねる形になります。
当院では、少しでもそのあたりのロスを防いで他の患者様に大きな影響を与えないようにする観点から、なるべく、昼ごろの来院をお願いして、昼休みの時間を利用して消毒を終えるようにはしています。
それでも、その日に入れられるアポの人数が3人くらい違ってきてしまうので、ロスでないとは言えません。
しかし「診ない」とはいえないんです。
その肝炎の方だって、(ほとんどの方は)望んでなられたわけではないですから、その意味では善意の方です。最大限忖度しなければいけません。
でも、あまり大きな声では言いたくないのですが、たとえば肝炎が当たり前のような某国にあそびに行って移ってしまったとか、肝炎の代わりにエイズになってしまったとか、など、明らかな自業自得のケースもあるので、現場は非常に非常に悩み多い時間を過ごしているんですよ。
<ケース1>
あるB型肝炎の方がいて、いつもどおりに感染症対策を取りながら治療をしていました。ご本人もそれが一般的な形だと思っていたのですが、あるときその方が、予約時間の変更を申し出て、夕方4時ごろにならないか、という話になりました。
夕方4時と言えば、書き入れ時です。他の方に大きなロスが出ます。
どうも、その方に感染症対策の件が伝わっていなかったようでした。
そこで、私みずから、患者様に改めて説明しなおしました。
B型肝炎は、ご案内のようにDNA情報が細胞にコピーされてしまうので、治ったと思っても、ほおっておくと勝手に自分の細胞が肝炎ウイルスを産生してしまう。昔はそのようなことは細かく言わなかったが、個人的な人間関係とは異なり、不特定多数を相手にする医院のような公的な場所では万全を期さなければならない。その意味で、交差感染を防ぐ意味からも「一般予防策(ユニバーサルプリコーション)」や「標準予防策(スtナダードプリコーション)」のようなガイドラインの励行が推奨されている。
その方は少し驚かれたようですが、納得していただきました。
<ケース2>
あるC型肝炎の方がいて、いつもどおりに感染症対策を取りながら治療や定期検診をしていました。肝炎の方はがん化して、ときどき手術をしていたりしたようでした。ある年の8月ごろに、「これから手術にいってきます」とおっしゃっていました。
私は「それは大変ですね」と言いましたが、その方は「いえ、手術は慣れてるから大丈夫よ」と気にもしていない様子でした。
結局、その来院がその方の最後になってしまいました。
あくる年の3月ごろ、ある男性患者様が「入れ歯が合わない」といって見えました。
お話を聞くと、なんとそのC型肝炎の患者様のご主人の方でした。
「じつは女房から、根本さんが親切でいいと何度もいわれていたんですよ(多分奥様が買いかぶられたか視野がお狭かったのだろうと思います)。しかし昨年末に他界しましてね」
「他の先生のところに通っていたんですが、どんな先生かと思ってね、来てみたんですよ」
ご主人は、歯がわりあい健康だった奥様に比べて、残念なことに総入れ歯の状態でした。
合わないというので、何度も型をとり直し、最近何とか形になりました。。
保険の総入れ歯は一般論で言えばコスト高で不採算なのですが、私はその奥様の顔を思い出すと、そんなことも言ってられませんでした。気がつけば技工所にも無理を言って人一倍一生懸命に打ち込んでしまいました。
感染症対策と言えば、確かにコスト高で割に合わないのかもしれませんが、それでもたまに、こんなほんのりしたエピソードもあります。
人生、「やりたいこと」「やりたくないこと」の座標軸にとらわれることなく「やるべきこと」「やるべきでないこと」という目的意識で自らを律して生きていくことが、もしかしたら大きな今生の課題なのかもしれませんね。
【今回のまとめ】
歯科医院での感染症対策は、公的であるがゆえにシビアでありコスト高でもある
こんにちは。根本齒科室の根本です。
いきなりですが、香港旅行の話をしたいと思います。
以前私は地元の○○会のつてで、強引に中国旅行に連れ出されたことがありました。
最初は香港+α旅行みたいな感じと聞いていたのですが・・・
初日の午後に成田を立って、晩には香港に付きました
・・・と思ったら、あっという間に空港を出た先でバンに押し込められ、「通訳ガイド」O氏にパスポートを回収され、付いた先はなんと勝手に国境を越えて中華人民共和国(新浪)広東省()東莞市(とんがんし)樟木頭鎮(しょくもくとうちん)というところの【三正半山ホテル】でしたorz
しかも、三正半山ホテルは城壁のように周りを囲まれており、周囲の人民からは完全に隔離されています。
バンに押し込められながらホテルに向かう道中、おいしそうな屋台がたくさんありました。深夜12時だというのに良い香りが車の中にまで漂い、人民は男女とも楽しそうに屋台で何かをほおばっています。
「ぜったいにこういう所で降りたり、口にしたりしないでください。命の保証はできません」
「ホテルについたら、絶対に門から出てはいけません。命の保証はできません」
通訳ガイドは、いきなりぶっそうなことを口にします。。
◆ 中国でえらい目にあった
そこの旅行記を記すことが本意ではないので、手短にまとめますが、初日の夜(午後に成田を出たばかりだというのに)ホテルの部屋でくつろいでいたら、一室に集合がかかりました。いきなりそこでミーティングだったのですが、驚いたのは旅行のメンバー以外に、若いホステスと思われる中華女性がなぜか20名くらいも同席していてニヤニヤしていたんです。一部のメンバーは、すでに彼女たちと仲良くなってでれでれしたり触れ合ったり日中友好したりしています。
「これは、俺は騙されたか?!」
ホント、こういうの無理なんで、とりあえずそばにいたYさんとIさんと、1階の食堂に逃れました。
チンジャオロース、ホイコーロー、エビチリ、チンタオビール。。。とりあえずなじみ深い料理を注文してつつきながら
根「いきなり女子というのは、どうなんですかねぇ」
根「俺、客ってダメだもんで。だからキャバとかも肌に合わなくて」
YさんとIさんは何となくニヤニヤしていました。
初日は複雑な気持ちで床に就きました。
TVをつけたら反日ドラマをやっていたのですぐ消しました。
次の日の昼間に、またミーティングがあり、午後は何だか強制的にそのホテルに併設している別棟の個室サウナに行かされる感じになりました。私は愕然としていたのですが、メンバーはみんな心なしかうきうきしている感じです。
あとでメンバーの一人に聞いたのですが、みなさんは、日ごろから家庭内でナイ●ラ●フが疎遠だったり嗜好を満足できなかったりしているので、こういう羽を伸ばせる機会をとても楽しみにしているようなのです。
(外国人では言葉が通じないじゃないか)まず私はそう思ったのですが、彼らはそんなことはどうでもいいようです。何か、ずいぶんある意味せっぱつまっているようにも見受けられます。。
私は本当に、こういう「客」というのがダメなたちだもんで、通訳ガイドのOさんに訴えました。
根「Oさん、僕、どうしたらいいですかね・・」
O 「根本さんはそういうのに興味はないんですか?」
根「ええ、あのー今回は、香港の散策旅行だと言って連れてこられたんですが、現地に着いたら全然違う感じなんでw そう(♂♀)いう趣旨なら最初からそうだと言っておいてくれればなんですけど、いきなりだもんで、こういうのって無理なんですよ」
O 「そうですか。じゃ、今回は純粋なマッサージだけっていうコースもありますから、支配人が来たら英語で交渉してみたらどうですか」
・・・ヲイ、英語かよ
無理やり押し込められた個室は二間に分かれていて、向こう側にはオペ室のようなベッドとサウナ・シャワーになっていて、こちら側はリビングのようになっていて中華テレビや新浪テレビを見ることができます。
新浪テレビ、ひたすら宣伝ばかり!ウォシュレットの宣伝までありました。
言葉は分からないのですが、文字と絵で大体わかります。。
そんな中、ひっきりなしに訪れる中華燕服女子や新浪バニーガールにひたすら
「こーるみーちぇあまんぷりーず」
「あいをなとーくとぅーちぇあまん」
「さーびすのーさんきゅーそーりー」
待つこと10分、やっときました、ゐけめんおにーさん。
ゐ「Hello! Excuse me. What’s the matter?」
根「えー、あいをんとぅ おんりーまっさーじこーす、のーせっくすさーびす」
「そー、うじゅーこーでぃねーと おんりーまっさーじこーす?」
ゐ「・・・OK. I see. Just a moment please.」
根「三九」
待つこと10分、やっときました、こすぷれおねーさん。
カタイ感じです。
なんだか小学校の体育着のようなのとオレンジ色のブルマを着ています。
さっきの愛想満点な中華燕服女子や新浪バニーガールとはえらい違いです。
とりあえず、あちこち肩をもんでもらったり腕や足をマッサージしてもらって、何とかその場は逃げおおせました。
しかし、夕食の時にまたミーティングがががががが
そこでは
「7時半に1階のカラオケルーム前に集合」
との冷たい宣告。
嫌な予感を感じながら、カラオケルーム前に集合しました。
というか、カラオケじゃありません。もろステージつきのキャバクラです。
「いいか、いい子がいたら、サッサと持ち帰るんだ。」
「料金は、連れて帰るだけが2(百元)、本番が5()、一晩添い寝が8()、リャンウッパーだ」
えっ、(最低でも)200元(≒当時で15倍なので3000円くらい)も取られんの?
もう、この分かりやすすぎる詐欺商法の前に、目の前真っ暗です。
それに比べて他の人たちの嬉しそうなことったらwww
いきなり昨日のIさんが「根本君、これ必要だと思うからあげるよ」と近藤夢をプレゼントしてくれました。
ざけんな!とも言えませんし、付き合いもあるので、仕方なく頂戴するしかありません。
入り口付近のステージの前にたたずむお姉さんたちを連れて帰る人は、さすがにいませんでしたので、私たちは、中心の大舞台の袖の上あたりにあるカラオケルームに移動することにしました。
中心の大舞台では、ときどき中華青年や新浪ボーイどもが、だんすやうたを行ったりしていました。
それらを横目に見ながら、私たちは時間をつぶすのにどうするかで悩んでいました。
「ここにいる女性はみんな胸に番号札がついています。番号札がついている女性はみんな買うことができます。」うれしそうに話す通訳ガイドのOさん。
あぁ、恐ろしい国に来てしまったもんだ(たしかにみんな番号札がついている)。
カラオケルームの中には、あきらかに整形手術や豊胸手術をしたとみられる中華女子共や新浪ガールズばかりが、我々のメンバーの倍くらいいて、何だかよく分からないけど、言葉も通じないくせにメンバーたちと盛り上がっていました。もちろんみんな番号札付きです。
通訳ガイドのOさんもトークを楽しんでいるみたいです。昼間に聞いた話では「糖尿病で最近はアッチの方はどうも」などと言っていたのですが、かえってそれがトークに余裕を持たせているのか、女性たちはOさんの周りで楽しそうです。
私はどうしていいかわからなかったので、Oさんに助け舟を求めました。
根「Oさん、どうしたらいいですか」
O 「いい子がいたら、部屋に連れ帰ってください。料金はリャンウッパーです」
根「(だから、そうじゃないって)・・・分かりました」
O 「何かあったらこちらに電話してください」
Oさんは何事もなかったかのように、横の女子と触れ合って楽しんじゃってます・・
全く使えない通訳ガイドです。
こうなったら、だれかを連れて帰らないと、ことが終わりません。
しかし、それはいやな感じです。
テーブルの上には、たくさんのさいころが置かれていました。
中国では、さいころで遊ぶいろいろな方法があるようで、もう必死にそれで時間をつぶしてました。
しかし、それも永久に続くわけではありません。
気が付くと、メンバーで残っているのは、私だけになってしまいました。
本当に仕方がないので、両脇にいたAさん(仮名)とBさん(仮名)を部屋に連れて帰ることにしました。
連れて帰ったのはいいのですが、どうにもそういうサービスには反応しない体質だもんで、結局何事もおこりませんでした。
AさんやBさんのプライドを傷つけてしまったのかもしれませんが、それぞれに200元と日本円の1000円札をつけて渡して、ばいばいしました。
(‘A`)
次の日には、中国を脱して、いきなりマカオにいくことになりました。
昼間に深[土川]で食事をした後、フェリーみたいなのに乗って1時間くらいすると、もうマカオでした。
マカオと言えばカジノと、そう、回遊魚(売春婦)です。
マカオについたら、通訳ガイドがOさんからNさんに交代しました。
ホテルの部屋についたら、例によっていきなり非常呼集がかかりました。まるでレンジャー訓練です。
あわただしくマイクロバスに乗ると、飲み屋みたいなところに連れていかれました。
フロアの2階かな?エレベーターで上がったそこは、小学校の教室位の広さがあり、コの字型に机が並んでいて、十数人づつ出会い系ねるとんパーティーみたいなことができるようになっていました。
コの字の外側に、メンバーが並び、内側に回遊魚(売春婦)が並びます。
10分くらいトークをしたら、ねるとんみたいに時間切れになって、女子の方が隣に移動します。
気に入った子がいたら、フロアのエレベーターを上がって、4階に個室があるのでそこに赴くだかだそうです
(‘A`)
やー、これも、望まないでやらされるのは、拷問ですよw
つまんないつまんない1時間半を過ごした挙句、会計が自腹だったので、ちょっとこわかったけどクレジットカードで支払いました。
(とりあえず大丈夫でした)
もう寄宿舎のホテルに帰ったとたんに、ぐったりと伸びきって寝てしまいました・・
次の日は移動日、もう4日目になっています。
もう、「恐ろしい夜の時間」がやってくることもありません。
とりあえずほっとしながら、帰路につきました。
最後に、成田空港のそばで、反省会と称する食事会があったので、辟易しました。
でも「てめーら嵌めやがってふざけんなこの野郎!」みたいなことは言えません。
根「初めて生の中国を見てみて、日本とだいぶ違うのでカルチャーショックックでした」
みたいに無難にまとめて、散々な3泊4日の拷問旅行は何とか終了しました。
◆ 中国で売春カラオケ取締り「掃黄」活発化との報道!
そのころは尖閣問題はまだ表面化していませんでしたが、長野での聖火リレー蛮行とか毒餃子事件が大きな問題になっていたころでした。
私は大陸はちょっと、という気持ちがあったのですが、すっかり騙されてパスポートを独裁政権に汚されてしまいました。
ふとネットを見ると、私が経験したような、半ば強引なカラオケバーでの売春「夜総会」が徹底取り締まり中で、日本人もたくさんつかまっている、などというニュースがたくさん飛び交っていました。
怖かったです。
私が行かされたときは、通訳ガイドのOさんの友人の地元公安(警察)の角刈りの人がいつもついて回っていました。
その角刈りは、こともあろうに、ニヤニヤしながら私に「早く女性を捕まえて連れ帰りなさい」みたいなことをOさんと一緒になって言うのです。
現場の治安当局がそれで、いいのか?
まぁ、それでいいから今回のツアーが組まれたんでしょうけど、ずいぶんと乱暴な国柄だなぁ、というイメージを持ちました。)
◆ 中国大陸と肝炎
そのちょっと後でしょうか。中国には今でもB型肝炎をはじめとして、肝炎ウイルスによる感染症が猛威を振るっている、というニュースを目にしました。
まさに肌に粟立つ(慄然)思いでした。
日本では、今でこそウイルス性肝炎は基本的にコントロールされた状態と言っても良く、あまり日常的に問題になっていませんが、逆に中国では、肝炎に感染していることのほうが一般的で、むしろそれでその程度ではニュースにならない、ということでした。
今現在でも、感染症には注意した方がいいのかもしれません。
まるで日本の昭和のようです。
恥ずかしながら、私の祖父、庄兵衛は、B型肝炎の感染による劇症化で命を落としました。昭和52年1月17日のことです。
昔の歯科医は、肝炎のキャリアも多かったようです。また、残念な話ではありますが、医療施設において交差感染でそのようなウイルスに感染してしまったという話も少なくないようです。総じて、そういう問題に対して無頓着だったことは間違いありません。
(つづく)
こんにちは。根本齒科室の根本です。
本年もよろしくお願いいたします。
ではさっそく 駆け込み 前々回の続きです。
NHKのような宙ぶらりん、道路交通法のようなグレーゾーン、いろいろ判然としないことが国内には色々あるというお話でした。
医科と違い、歯科の法的規制はあいまいな部分があることも話しました。
それらがよい状態だとは思いません。NHKの放送法とワン!セグは特にいけないということも強調しました。
ではどうするか。
◆ 悪い?!改善策 その1
日本の歯医者の大方を押さえつけようと思ったら割合簡単かもしれません。
「悪法も法」
消費税増税法とか、少年法とか、禁酒法とか、憲法前文とか9条2項とか96条とか、健康増進法とか、裁判員制度とか、(人によっては)郵政民営化法とか、大麻取締法とか、入管特例法とか、医師法19条とか、つぶしましたが人権擁護法案とかetc
本来「悪法」なのであれば、改正法案を出すか、凍結・廃止法案を出すか、というのがスジというものです。
しかし、悪徳政治家は自らの権益保護のために悪法こそ厳格に、いや、恣意的に運用するものです。
あと、歯なんかもそうですが、医療系は特にたたきやすい分野です。
医療費削減の「錦の御旗」の下なら、ほとんど何をやっても許されるでしょう。
何か言われたら
「『国()』の借金ガー」
「国債暴落ガー」
「通貨の信任ガー」
「財政の規律ガー」
とかバカの1つ覚えのように言っておけばマスゴミ対策も財務省対策も万全ですし、懲罰的税務調査の心配も無用です。情弱どももご満悦()でしょう。
で、どうするか・・
車の青切符のように、「歯科反則通告制度()」を作るのですwww
公安委員会のような「行政処分委員会」を設置し、支部を各地方厚生局の下にでも設置して、「反則行為」をきっちり決めてしまいます。
監督官庁は保健所系統になると思います。医院の許認可を持っているからです。
で、上記の「反則行為」の取り締まりを厳密に運用するだけでいいのです。
たとえば違反点数が6点を超えた医院は営業停止半年で、講習で5ヶ月半短縮wwwとか、車のような感じで決めておきます。。
報告は一定期間内における一定数の患者通報(密告)が一番効率が良いと思います。
しかし「患者通報に信憑性はあるのか」という当然の疑問があります。
ひとつの策として、ここは二段階でいきます。
例ですが、まず通報が2件あったら「警告」とします。
警告では反則認定はしませんが、半年間くらいの効力を持たせてみます。
あくまでも法ではなく行政処分、いわば青キップなので、丸め込むことは可能でしょう。
たとえば現状、地方厚生局の「個別指導」でもそれなりの数が患者通報です。
個別指導とは、保険点数の算定における不正や疑義があるものに対して、患者通報や高平均点数があった場合に行なわれる、非常に厳しい調査で、現に行なわれています。高点数の場合は、まず「集団的個別指導(集個)」という大部屋に呼び出しての警告(免停短縮講習のような形式)が行なわれます。その翌年に平均点が上位8%に入ると、「個別指導」に移行します。
ここでは歯科での通報はありませんが、他科での通報事例が2件ほどあります。もちろん私たち開業医側からすればこんなことはして欲しくないに決まっていますが、何らかの奨励策をとれば、通報件数は飛躍的に上がるでしょう。
患者通報は、現在も行なわれている個別指導や監査を考えても、信憑性・正当性は十分担保されていると考えられます。そう考えると、患者通報で十分だというロジックは結構固いと思います。(もちろんヤラセ・スパイ行為などのような事例が発覚した場合は反則金と点数の返還を行ないます)
また、「個別指導」「監査」は、あくまで保険診療上の問題についての取り締まりであり、自由診療は関係ない話になってきます。
しかし「歯科反則通告制度()」は、保険・保険外関係なく、すべての歯科医療機関に適応になります。矯正専門医やインプラントセンターも例外ではありません。ですから、定期立ち入り検査や開設管理を統括している、保健所の系統が取り扱うのが妥当かと思います。
通報の際は、住所氏名、反則年月日・時間(午前か午後か程度でOK)、反則内容を申告します。もちろん住所氏名は個人情報保護法に基づき適切に対処します。
例まず通報が2件あった時点で「警告」とし、半年間くらいの効力を持たせてみます。
警告から半年以内に通報が2件あったら「反則行為」と認定し、「青キップ」を切ってしまいます。
反則行為はあらかじめ
例)助手・衛生士のレントゲン 3点
助手の本印象(型取り) 2点
・・・
のように青キップのようにきっちり「行政処分委員会」で決めておきます。
反則金の目安は1点10万位とかにします。
政府やメディアも積極的に「反則歯科医院の取り締まり」キャンペーンを行い、
通報(密告)の奨励による『歯科治療の質の確保()』を繰り返し訴えます。
これ(歯科治療の質の確保)に反対する国民は、多分いないでしょう。
5年後くらいには、歯医者の3割くらいは消滅してると思います。
そして、歯科業界も体力のある大手チェーン店とか、特区バカの企業資本で占有されてしまうでしょう。
反則行為の取り締まりに名を借りた、立派な医療費削減策でした?!
(ちょっと詰めが甘いか)
もちろん個人的には、今の法規を規制緩和、権限拡大の方向に改正して、助手でも型や仮歯・仮詰め、レントゲンのスイッチができて、衛生士でも浸潤麻酔できるようにすべきという意見ですので、このような悪法を厳格化するような時代の逆行には断固反対です。
◆ おそろしい「個別指導」「監査」の復習 ⇒おさらいはこちらをClick
保険点数のレセプトは、全国的にたぶん1枚の平均が1500点弱前後だと思います。
(「レセプト」「1枚」の単語の意味を説明すると長くなるので省略)
つまり、平均してひとりの患者さんに一月あたり1300~1400点、3割負担で4000円程度の治療が多いということです。
①集個(集団的個別指導)
現在、平均点が上位5~8パーセント(茨城県)の医院は、集団的個別指導(集個)という、免停短縮講習のような指導があります。これは大部屋に呼ばれて「平均点を下げて下さい」といわれるだけなのですが、、、
②個別(個別指導)
それでも集個の翌年に平均点が下がらないと、今度は個別指導という個人での呼び出しを食らいます。個別指導は平均点上位~4パーセント(茨城県)となっています。
これは例えると、警察や検察に出頭して、取調室で厳しく追及される感じです。
個別指導の場合は、3日前とか1週間前に20人分のカルテを指定されて、そのほか日計表や技工指示書、レントゲン、模型などを持参して水戸の地方厚生局まで出頭しなければなりません。
そんな抜き打ちで患者様のカルテの名前を指定してくるくらいですから、向こうでは容疑は固まっているに決まっています。。
個別指導は税務調査に似ているところがあって、取締官も何かの狙いや容疑を固めてから取り締まりに入ります。また、何かしらの瑕疵が出て、いわゆる懲罰的「おみやげ(修正申告や自主返還)」が発生するところも似ています。自主返還はその名前とは裏腹に、けっこうきついです。下に詳しく書きます。
個別指導でも改まらない場合や、悪質な場合は、さらに恐ろしい「監査」が待っています。
指導とはいえ、個別指導の目的は「自主返還(=罰金)」です。だからなるべく医院に負担がかかるようなやり口になっています。そしてなんだかんだと難癖をつけては、「歯科衛生士実地指導80点の5年分と歯科疾患管理110点の5年分」などと何らかの「自主返還(=罰金)」が言い渡されます。
全員分の5年分ですから、数十万から、多いときは百万単位になります。指導のシステムも恣意的で、過去にも自殺者が続出して問題になっています。
個別指導は、その他、患者通報でも行なわれます。容疑は
二重請求(自費治療したのに保険でも治療したことにされた)
付け増し請求(1本治療したのに2本治療したことにされた)
などの詐欺的なものが代表的とされています。
最近は「医療費の通知」が患者さんのところに行くようになって、私には理解できないのですが「やられてない治療がやられたことになってる」という例も増えているようです。
このような通報が地方厚生局に行くと、患者を呼び出したり、場合によっては出向いたりして患者の口腔内をチェック(裏取り)までして、不正が確定した場合は、集個を経ないで、一発個別になります。
これはもう指導と言うよりか、取り調べそのものになります。
指導でも改まらない場合は、こんどは「監査」といって、取締官が直接医院におしかけてカルテを調べたりします。イメージとしては東京地検特捜部の家宅捜索とか国税局の査察に非常に似ています。
監査の場合は、審議内容にもよりますが「保険医停止5年」になることが圧倒的です。
(ただ藤枝市民病院や阿見日本医大病院のような地域の機関病院の場合は、何だかんだ理由をつけて大幅な短縮が行なわれるケースが多いです)
皆保険社会の日本での保険医停止5年は、すなわち死刑宣告を意味します。
知らない人は、「税務調査」「査察」「地検特捜部」とか聞くと大変おっかない感じがすると思いますが、「指導」「監査」という単語を聞いても、そんなにインパクトは感じないものです。
しかし保険医療機関にとっての指導や監査は、おそろしい閉鎖的共産独裁国家における人民裁判のようなものです。
◆ 平均点のチキンレースが弊害を・・
なので、どこの医院もみんな「指導」や「監査」にならないよう、必死になって平均点を下げています。
平均点が多いということは、1人の患者に、あれもこれもとたくさん治療を行なっていることを意味します。だから本質的には悪いことではないはずなのに、です。
それは置いておき、平均点を下げるには、消毒とか検診とか、負担の小さい患者数の割合が多くなることです。相対的に平均点が下がり、目立たなくなります。
とにかくどんな手を使っても『患者数を増やす』ことが、すなわち1枚(=1人)あたりの平均点を下げることにつながります。
しかしこれでは、イスが何台もあり、代診を多く雇ってる、規模の大きい医院の方が有利になってしまいます。小さい医院は、あれもこれもときっちり治療をしようとすると、必然的1枚あたりの平均点が上がってしまうからです。
◆ 多少ましな?!改善策 その2
ですから、そこで、集個の基準を、平均点ではなく、枚数(1か月に来た方の数。延べ人数ではない)にするのはどうでしょうか(複数の医師がいる医院は、おそらく勤務医の人数や出勤日数で割ったほうがいいと思いますが)。
すると規模の大きい医院ややたらと回転の速い医院は、頭数(枚数)を増やすと集個の対象になるので、患者数(≒枚数)を抑制する方向に動かざるをえないと思うんです。
いっぽう小さい医院には、大きな医院の余剰患者の流入があり、その中でていねいに治療をしてもお咎めなしになれば、必然的に評判も上がり、患者数も増加していくと思うんです。当然ですが、規模の大きい医院ややたらと回転の速い医院も、より個別ごとに速度よりもていねいさを重視する方向に移行するインセンティブが働きます。
このように、平均点制でなく枚数制のシステムにしていくと、だんだん、どこの医院も同程度の規模に収れんしていき、社会インフラとしての歯科医療を考えたときに、より妥当な形に向かうのではと思います。
そうなると、設備投資の大きかった所よりも小さかったところの方がゆとりが生まれやすいですし、回転至上主義で患者数を回していたところから診療方針の見直しが進む形になると思うからです。
また、なぜ平均点制よりも枚数制のほうがよいかのもうひとつの理由は、いみじくも以前紹介した書評の本の冒頭に書いてありました。
「こんなにきれいに削ることができました」といっても
「そんなことはいいから早く治療してくれ」と言われるのが落ち。
つまり、患者には歯医者の技術が理解できないのです。
これは私も常日頃から感じているところです。
また雑な治療ほど痛くなくて早い治療と誤解されやすく、ていねいにやればやるほど時間もかかるし一過性の痛みが出るリスクも高まり、忌避されやすい。
技術が高いから流行るのではなく、早く回すのが上手だから客が増える。それだけなんです。
多くの歯科医師は「ばからしい!効率化できるところは極力効率化しよう」
と思うしかありません。
少々、いや、だいぶ雑でも、回転率を上げて平均点を下げる方向に行く。
これが平均点制の主要な欠点のひとつでもあります。
本当にていねいに、まさに身内や自分自身だと思って治療を行なえば、そんなに枚数が行くはずもないし、そもそも保険診療を選ばないはずです(それを言っちゃあおしまいですが)。
少なくとも枚数制なら、大多数の小~中規模医院はどうどうとていねいな治療をしていれば自然と患者数が増えてきて報われる。
さらに大規模医院の寡占化も「一定程度」抑制される。
枚数の多いところは、おそらく規模の大きいところです。
ですから、勤務する歯科医師数や勤務日数で割るなど、勘案したほうがいいですね。
私の知っている事例ですが、東日暮里の方に、やたらと、というかとてつもなく手の早い先生がいました。ゴッドハンドとかと言うわけではなく、技術レベルは平均的なんですが、とにかく患者の回転が早い早い。保険医としてはまさに理想的ですwwwその人は、ユニット2台、Dr1人で、毎月40万点とか50万点とか普通に出していました。
それもひとつの特技でしょう。まぁ、そこまで真似しようとは思いませんでしたが、こういう例は、取り締まったほうがいいのかもしれません。。。
◆ 望ましいルールのあり方とは
「役人が下手に手出ししてごちょごちょ規制をいじくり回すからおかしいことになってしまう。なんでも自由化すればいい」という考え方も大阪の方や三浦半島の先端のほうに時々あります。
それも結構ですが、必要以上の自由化するとだいたい一部の勝ち組と大多数の負け組みに分かれてしまい、大きいところの寡占化が進むのは、他業種を見るまでもなく明らかです。
佐貫の周りも、取手も土浦も死んでますし、つくばのイオンくらいしか娯楽がないので、つまらないものです。Quizモールなんてひどいもんです(街づくりや地元については、言いたいことがたくさんありますが、ここでそういう歯科以外のことをぶちまけると運営の目が○○いので、、そのうち1回くらいやってみるかな)。。
日本の皆保険制度、なかんづく歯科医療において、過度の弱肉強食の競争や、一部資本による寡占化が良いとは、まったく思いません。たしかにもともと基本が全くなっていないような藪医者も今までは一部いましたが、歯科医院数が増えてくることによって、彼らも淘汰される方向にあります。たとえばインプラントをやる医院、やらない医院、矯正をやる医院、やらない医院などのような棲み分けはあろうかと思いますが、まずは
①多くの医院になるべく均等にばらけて受診者が
流れるようにします。そして何より
②受療率(受診率)そのものの掘り起こしをすすめる
ことが、少なくとも現段階では必要です。
私は、削って詰める、型を取る、などのような治療が万能であるとは全く思いませんし、修復的処置を持ち上げたりそれで安心する風潮には強い違和感を覚えることには人後に落ちません。そのようなことが必要ない世の中を将来作っていかなければいけないと強く思っています。
強く思っていますが、残念ながら今はそもそも
受療率の低さ=潜在患者率の高さ=歯医者の敷居の高さ
がそもそも問題になっていて、必要な歯科医療サービスすら国民に行き届いていないことを改善しないといけないレベルの段階だからです。
まだまだ「質よりも量の改善」「歯医者の敷居を低くする」ことを優先すべきなのが巷の実態なのかもしれません。
だから、反則通告制度はともかくとして、平均点制から枚数制への移行ないしは概念の導入は、患者をより均等に振り分けていく効果が期待できると考え、おおいに検討すべきだと思います。そうすることで、歯科医院群全体での許容力やキャパシティの向上につながるからです。
その上で「助手が○○できない」「衛生士が○○できない」といった医学的根拠のないガラパゴスな現場レベルの規制というか因襲は、どんどん取り払うことにより、歯科医院群全体でのキャパシティ向上にさらに寄与していくのではないでしょうか。
私も助手がTEKや印象くらいできなかったり衛生士が浸麻くらいできなかったりでは、世界に向けてもカッコ悪いとつねづね思っています。まるでインドのカースト制みたいです。
【今回のまとめ】
まず歯科医院に気軽に足を運ばせること。その上で現場レベルの規制緩和。