マルチタレントという肩書きのワタシ、合唱団の指導や伴奏などもしている。
秋は合唱祭のシーズンで、もうじき2本目の合唱祭を迎える。私なんぞは本業ではないので、たった2本目だが、忙しい方になると、一つの合唱祭で2つも3つも指揮したり、伴奏したりする方もいる。今シーズンだけでいくつ本番があるのだろう?
そして今度の合唱祭も40以上の団体が参加する。なんと合唱人口の多いこと!!
みんな選曲も様々。純粋な合唱曲から歌謡曲などのアレンジものまで。アレンジものは結構その年の流行りが出やすい。まだアナ雪は聞いてないけどね(笑)
私がお手伝いしている合唱団は今年は純粋、そしてド定番な合唱曲に取り組んでいて、今日はそれをご紹介したい。
木下牧子作曲、谷川俊太郎作詞
「春に」
地平線のかなたへという混声合唱曲集の一曲。
詩はWikipediaによると…
もともとは谷川俊太郎の詩集「どきん」に収録されていた詩の1篇であり、こちらも中学校の国語の教科書に掲載されるなど、有名なものである。
だそうな。となると知っている方も多いだろう。
「春に」
この気持ちは何だろう
この気持ちは何だろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地から足の裏を伝わって
この気持ちは何だろう
この気持ちは何だろう
ぼくの腹へ胸へそしてのどへ
声にならない叫びとなってこみ上げる
この気持ちは何だろう
枝の先のふくらんだ
新芽が心をつつく
喜びだしかし悲しみでもある
苛立ちだしかも安らぎがある
憧れだそして怒りが隠れている
心のダムに堰き止められ
よどみ渦巻きせめぎ合い
今あふれようとする
この気持ちは何だろう
この気持ちは何だろう
あの空のあの青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
明日と明後日が一度に来るといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩き続けたい
そのくせじっとしていたい
この草の上でじっとしていたい
声にならない叫びとなってこみ上げる
この気持ちは何だろう
どうですか?
詩がいいでしょう?思春期のなんともいえない、いろんな感情が入り混じる感じがよく出てる。
もともと中学生や高校生をイメージして作った曲らしく、フレーズもシンプルでいかにも青少年のための合唱曲という定番曲。
だけど侮るなかれ!
このいかにも青春みたいな和音進行や詩に見られる心の葛藤が本当によく音で表されているのだ。
いや、ストレートに表されすぎてむしろクサい域にまで達している。(怒られるな)
これがぐいぐい来るのよね。
「この気持ちは何だろう」はいつも2回繰り返されるんだけど、2回目の『気持ち』の和音が毎回心の隅をつつかれるような切ないような気持ちにさせられ、いかにも青春ソングといったところ。
「枝の先の~」の部分は転調してふと冷静にさせられ、一気に違う空気に包まれるのもなんともいえない。
それがすぐに揺れ動き出すのもたまらない。
他にもベタともいえる(やっぱり怒られるな)、言葉とシンクロしたリズムの数々がいちいち体に突き刺さる。
無駄な音はひとつもないし、曲として完璧ではないかとすら思える。
歌っているのは酸いも甘いも知る大人、伴奏してる私も世間的には中年に属してるけど、毎度毎度こうやって音楽によって体をえぐられているのは快感以外の何物でもない。
さてさて0歳児から入れるコンサート、中身はというと。
全編クラシック!!
イエーイ!!!ブラボー!!
なんでこんなに喜んでるかって???
プロのオーケストラが演奏するから当たり前だろうって???
いやいや、そうじゃないんですよ。
子供向けに行われているコンサート、クラシックの曲に混じって時々アニメソングが演奏されたりしちゃうわけ。
アニメがダメだというわけじゃない。
なんでクラシックの演奏家のコンサートに行ってるのに、アニメを聞かにゃならんのと思ってしまう。
アニメはアニメで聞けばいいじゃん?
あ、言っときますけど、これは私個人の意見ですよ。あしからず。
アニメも聞きたいって人は行けばいいし、いいとか悪いってことじゃないですよ。
そんな私にこのコンサートは好みにあったものだった。
まず出だしはエルガーの威風堂々!
超有名曲ともなっているこの曲、普段はそんなに好きとも思っていなかったけど、やっぱり生で聴くと喜びが倍増する!
しかも出産後、こもりがちになっていた生活に一気に花が咲いたような、子供と一緒に音に包まれている幸せが加わってもうウルウルしてしまった。こんな素晴らしいコンサートがあるのね、思いきって出かけてきて良かったともう感動しまくり。
他にもカルメン前奏曲、ローマの松、など聞き馴染みのある曲のオンパレード。あとはお話と合わせた「鶴の恩返し」(こちらは残念ながらちょっとぐずったのでロビーで聞いた)など。
出だしの大きな音で子どもがちょっとビックリしたり、キャンディード序曲で私がウキウキしたり、アンコールではウィーンフィルのニューイヤーコンサートさながら、ラデッキー行進曲で皆で手拍子したり、普通のコンサートのように約2時間強!
無料なのに2時間!!
赤ちゃんでも2時間!!!笑
いやいや本当に!
赤ちゃんも入れるからって短いプログラムにはしないってすごい!
肝が据わってる!笑
これも私が気に入ったポイントだなー。
子供だから飽きるでしょ、と短くするんじゃない。
子供向けにぬいぐるみが出てきたりしない!
アニメの曲をやるんじゃない!
コンサートはこういうものだから!
たっぷり満たされて帰ってきた!
こういう時間って、機会って必要だ!
あ、余談、ウキウキポイントがもう一つあった。
以前このジャンクステージでコラムを書いてたチェリストがたまたまこのコンサートに乗ってて、帰り道に少しだけの再会を喜んだ!好きなことはどこかで繋がっているもんだ!
0歳児が出かけられる場所はとても少ない。最初の一ヶ月はもちろんあまり外に出かけられないが、一ヶ月健診を過ぎると、少しずつお出かけできるようになってくる。
始めは近所のお散歩程度から様子をみて行動範囲を広げていく。
もともと家にこもってるのが苦手な私。外に出たくて仕方なかった。
赤ちゃん連れで出かけられるところを探してもなかなかない。
安心して出かけられるのはベビー休憩室があるデパートだった。
オムツ替えのスペースは広いし、授乳室に調乳スペース、子供達がご飯を食べられるように電子レンジがあったり、お母さんもベビーカーも一緒に入れるトイレもある。
最初にベビー休憩室を体験した時は感動したもんだ。
こんな赤ちゃん用の設備があるところはほとんどない。設備だけの問題だけでなく、”常識的に”行ける場所は少ないのだ。
レストランに映画館、美術館、オペラにバレエ…特にクラシックのコンサートなどは未就学児は入れない事が多い。
ところが!!!
先日うちの子は3ヶ月で生のオーケストラの演奏会に行ってきた!
このコンサートは猫のキャラクターで有名な宅急便の会社が毎年やっているらしく、たまたまインターネットで見つけた。
演奏するのはプロのオーケストラ、北から南まで各地で開催しており、入場料はなんと無料だが、チケットは抽選!
幸運にもそのチケットが当たったというわけ。
チケットが当たっても、ベビーカーで行こうか、抱っこ紐で行くか最後まで悩んだ。
だって…
ベビーカーはどこに預けるの???
クロークか???
でも座席に座る時は抱っこ紐があった方がいいよね???
結局抱っこ紐オンリーで出かけた。
会場に着くと、なんとベビーカーのママ達が沢山!
うーむ、ずっと抱っこはやはり疲れるからベビーカーで来ればよかったかとちょっぴり後悔。
そのベビーカーをどこに置くかというとホールのロビーに置き場を作ってそこに置いていた。
なるほど~。
普段はベビーカーなんて入らないから見たことない光景だし、こうしないと無理よねーなんて考える。
トイレはどうよ?
オムツ替えの台なんて付いてるの?
案の定、オムツ替えの台はなかった。ではどこで??
会場案内の人に聞くと、スタッフ控え室の一角をオムツ替えスペースに当てているという!
これもまたなるほど~!
大概のホールには車椅子で観れるスペースがあり、多目的トイレもあるけど、ベビーカー仕様にはなっていない。
そもそもが子供を対象にしてないのよね。
なんだかちょっと残念な気持ちだ。
こんな事、子供がいなければ思わなかったこと。
そりゃ、オーケストラもオペラもバレエもほとんどは大人の客かもしれないけど、0歳から観られる公演がいくつか出てきた今、出番は少ないかもしれないけど、トイレにオムツ替え台だって付けるべきだと思うし、車椅子のスペースにベビーカーのマークが一緒に並んでもいいじゃないかと思う。
乳児はやはり肩身が狭いね。
さてさて、コンサートの内容はまた次回アップしますよ~!!
産後3ヶ月近くなり、やっとバレエの稽古を受けることができた。
3ヶ月が早いか遅いのかは分からない。もちろん人によってなんだろうけど。
復帰早いね、なんて言われもしたが自分としては”やっと”という感じ。半年、一年も稽古を休んじゃったら身体を戻すのは本当に大変。気力すらなくなっちゃいそうだと焦り、稽古を受けたくて仕方なかった。
果たして身体はたるんでた。
腹筋は意識しづらくなるし、足はつる。稽古が終わればまさかの筋肉痛、骨盤の辺りも不快感があったり…。そりゃ仕方ないよね。産まれる2週間くらいまでは稽古してたけど脚はむくんでたし、さすがにジャンプはもう飛んでなかったし。身体のバランスが変わってたから本当の意味での稽古はできてなかったもんね。久々のジャンプの重いこと!腰が落ちちゃってタイミングも悪い。さらにポアントなんて致命的。脚が持ち堪えないこと(苦笑)
とはいえ悪いことばかりではない。
筋肉が落ちた分、どこをどうやって動かすのか、身体を作り直すようにフォーカスして稽古できるのはすごく貴重。ずっと続けて稽古してると見えなくなっているものに気がついたり。
つま先をのばして、頭を引っ張り上げて、指先に神経を這わせ、二の腕を上げて、脚の力を抜いて、肩を横に…改めて身体を作り直す!
自分の身体に集中できるってすごい幸せな時間だ。
上手い、下手はともかく、この集中を知った人は病みつきだよね、と再確認した日でもあった。
私が出産した病院は出産準備の講習が3回ほどあった。
1回目は妊娠中の食事や過ごし方等、2回目は出産時にリラックスするための呼吸法、体操等、そして3回目は産後の身体のケア等。
その2回目の講習ではアロマテラピーを説明され、更にオイルのサンプルをくれ、産む時に使用したい人は参考にして下さい、なんて言われた。
また、好きなCDをかけてもいいから聞きたい曲があったら持ってきてねと。病院にも何枚かCDあるし、それを聞いてもいいしと。
アロマはなんとなく分かるけど、出産時に聞きたい曲???
そんな時に相応しい曲なんてある???
きっと”あんな風に産みたい” ”こんな風に” というバースプランを叶えるためなんだろうけど。。。
病院にあるCDってどんなのよ?
流行りのJPOPか?またはKPOP?
はたまた昭和の喫茶BGMみたいなの?
いやいやヒーリングミュージック?
そもそもヒーリングミュージックとかもあんまり聞いたことないし、アジアンなポップスも聞かなきゃ欧米の流行も知らないし。
以前岩盤浴に行った時、こんな経験もした。
普段は無意識に耳に栓をして音楽を聞かないのだが、その時はかかっていたリラックス音楽をなんとなく聞いてしまった。ある一定の規則性に気が付いてしまい、次はこの展開か~、と一度耳に入ったら意識がそちらに行って全くリラックスできなかった。
とにかく私は聞きたい曲が思い浮かばずに入院準備をし、結局荷物にCDは入らなかった。
そうしてそのまま迎えた出産日。
早朝に陣痛が始まり分娩室に入るときに助産師さんが私に聞いた。
助「なんかCD聞く?持ってきた?」
私「なにも持ってきてません。アロマだけお願いします。」
助「了解。もっと出産が近くなったらアロマ焚こうね」
この病院では陣痛が始まってから出産までの時間を同じ部屋で過ごせるのでかなり長い時間になる。
病院によっては分娩室は出産直前にしか入れないらしい。
私はまだ陣痛が本格化してない時だったので、気持ちも余裕、出産に備え朝ご飯はしっかり食べておこうと出された食事もほぼ完食!
食べ終えたらなんだかCDがあったほうがいいのかという気になってしまい、これから家を出て立ち会ってもらう主人にCDを持ってきて、と頼んだ。
その際も何を聞いたらいいのかやはり分からなかった私はクラシックのCDを何枚か頼んだ。
到着した主人がCDを流してくれたら助産師さん「あら。クラシック?すごいわね」
え?クラシックは珍しいの?聞く人いないの?
それにクラシックだからってなんにもすごくないけど。。。
一体みんな何を聞くんだろう???助産師さんが驚くんだから滅多にいないんだろうな~。
なんてそうこうするうちに陣痛がだんだん強くなり、思考能力も低下。
結局ジタバタしてから約7時間、最後には音楽なんてどうでもいい、耳になんか入らないし、もしかしたらCDも終わって止まってたかも。
あんな時に音楽を聴ける人いるかしら。
もちろん陣痛が弱いときは聴けるだろうけど、人格が変わるとも言われる出産時にリラックスするために、もしくは音楽を力に変えよう、音楽からパワーをもらおうとかって聴ける人なんかいるかしら。
一体何が相応しいの?
サルサとかソンとか???
え~!もっと出産に合わないんじゃ???そんなリズムに乗って出産できないし。
ラテンの開放的な雰囲気でもしかしたら楽しく出産できたかも???
いやいや、あの苦しみでは絶対ないわ。
いまだに出産時にふさわしい音楽は皆目見当がつかないエイミーなのでした。
5月末、今までの人生で最大の事を経験した!
出産!!
10ヶ月間の初めての体験は長いような、今思えばあっという間の期間だった。
妊娠が発覚して周りの音楽家からは、お腹が大きくなると、「支え」が自然とでき、歌いやすくなったり、楽器を演奏しやすくなるよーと言われた。
きっと身体がどっしりして、安定するということなんだろうと楽しみにしていたが、それは残念ながら実感しなかった。
妊娠初期なんてお腹も大きくないし、体調さえ良ければ普段と何も変わらないし、大きくなればなったで今度は苦しい。胃も圧迫されるし、食べる量も減少、呼吸も入らず、歌うのがしんどくなったし。
しかも産んだら急にお腹がなくなるので今度はその支えがなくなって大変なんだとか…。まあ私の場合、妊娠中の歌いやすさがなかったのでその反動も特にないけど。
むしろ身体がスッキリしてきた今の方が楽な気さえする(笑)
あとよく言われたのが、歌のおかげで腹式呼吸もしてるし、バレエやってるから股関節も柔らかいだろうし、なんだか安産そうですねー、と。
いやいや、やはり出産はそんなに生易しいもんじゃなかったよ。
陣痛の波にアタフタすると呼吸も浅くなるし、パニック状態もしばしば。助産師さん達の言うことも耳に入ったり入らなかったり…。
自分の思い描く安産とは程遠い。
病院の講習会で言ってたように、「人格が変わる」
まさに!その通り!
もう少し冷静でいられるかと思ったんだけどなー。
詳しい流れを描くのは遠慮しておくが、予想外の進行でかなりハードな出産だった。もう一度経験することがあれば、もう少し上手に産めるのかなー…???
もう一度?いやいや、今はとてもそんな事考えられないわ。
ちなみにベビーは妊娠中から私の歌もピアノも聞いていたせいか、練習中そばに寝かせておいてもどこ吹く風で寝ていてくれる。モーツァルトを聞かせると頭が良くなるとか否とか…。
うちのアマデウスよ、どんどん親を凌いで成長しておくれ。
尊敬する師匠のバレエスタジオがオープンして一年、先日めでたく発表会を迎えた。
オープン当初から担当させていただいたベビークラスも、初めは少人数だったものの、今では立派な人数になり、はじめての舞台を迎えることができた!
初めてするバレエメイクに、ライトがある大きな舞台、周りの大人達もいつもとは違う雰囲気。そんな中で見事に(?)4曲を踊った。
リーダーシップを発揮する子、振りがなかなか覚えられない子、意外にしっかり者だった子、リズム感がある子、まだ先生の話もよく分からないほど小さい子、ボーッとしてる子、勇気がある子、いろんな面を見せてもらった。
もちろん舞台ではみんな少なからず緊張してたようで、うまくできなかった事もあったけど、大きい子は小さい子の面倒を見たり、小さい子同士でも彼女達はみんな協力してよく頑張った。
師匠の舞台創りを真近で見られたのも勉強になった。演目の選び方から振り付けの仕方、衣装のこと…一つの舞台が完成するには山ほどの事がある。準備期間、先生は妊娠中の私を気遣ってくれて、あまりフルではお手伝いできなかったが、子供達の指導に関しては、特に音楽教室の方とも通じる事が多々ありたくさん学ばせていただいた。
怪我もたいしたアクシデントもなく、無事に本番を終えられて良かった。
残念なことと言えば自分が発表会に出られなかったことかな。まあ嬉しいことではあるけれど、大きなお腹でこれはどうにもならない。
次の発表会では是非ともみんなと踊りたい!
さてさて二胡発表会、第二弾。
肝心の本番は無事終了!
相変わらず和声感が掴めなかったりいつも試行錯誤していたリハだが、ある日ちょっとびっくりしたことが。
生徒さんに聞かせるお手本のように先生が弾いて下さった!
すると! やろうとしている事がものすごく分かり易くてバシバシこちらに伝わってきた。
もちろん先生だから! プロだから!
こう演奏したい、という主張が見えて当たり前なんだけど、あまりの違いにとんでもなく驚いてしまった!
フレーズの盛り上がり、切れ目、音の入り方、抑揚…日本人が弾くのと中国人の先生が弾くのとではまるで違う!
なんだこれは?
意思?意志?国民性?
日本人もこういう風に弾ける奏者がいるんだろうか?
いい意味でのアクの強さというか、日本人からすると『決め』が多く感じるくらいなのに、そのメリハリがないと平坦で薄っぺらく聞こえてしまう。
音もそう!
呼吸が乗って身体と一体になった音がボーンと出てくる! 芯があって京劇のように激しかったり、でもなめらかだったり。
すごかったなー!!今まで近くでいろんな生演奏を聴いてきたけど久々にあんなにビックリした!
皆さんも機会があれば、ぜひ生で、二胡の音を演奏を味わってみてほしい。
圧倒されること間違いなし!!
また今年も二胡教室の発表会で伴奏をすることになった。
いつも事務の人が気を利かせて、CDなどの参考音源を送ってくれるのだが、毎度ちょっと戸惑う。
二胡の伴奏というのはピアノ用にきちんと書かれた譜面もあれば、揚琴という木琴のような楽器用の譜面を渡されたり、二胡の譜面、しかも数字譜しかなかったり…。 つまり西洋のクラシック音楽のようにコレという型がないらしい。
参考音源を聴いても、全然雰囲気が違ったり、西洋音楽の和声感に慣れてる私には民族的和声感が掴みづらかったり、なかなか苦労することがある。 知ってる日本の曲やポピュラーなものは何の問題もないが、例えば日本の民謡でも戸惑いは多いと思う。
結局、メロディーに西洋音楽でいうところの『この和音に来たら終わった感じがする』というような終止感、解決感が感じ辛いのだ。 だからフレーズの切れ目もよく分からなかったりする。
そもそも全然違う地域で育っているものに西洋音楽の形式を当てはめて考えることに無理があるので、分からないなりに試行錯誤してやっているのだけどね。 まぁ、先生からNGが出ていないので今のところ良しとするか。
とこんな感じでリハは進行。 二胡発表会、第二弾に続く…。
終わりましたね、ソチオリンピック。 私も浅田真央ちゃんを応援して、フリーの演技に涙したひとり。
残念だったショートプログラムからよく次の日にあそこまで持ち直したなと、感動という安っぽい一言では終われないほどびっくりやら、彼女の精神力に驚かされるやら。 同じ舞台なのにたった一日で天と地ほどの差。 その違いはいったい何だろう、と改めて考えさせられた。
真央ちゃんだけでなくオリンピックの選手には相当な重圧があると思う。 それはそれは、私になんか考えられないほどのプレッシャー。 だから批評めいたことを述べる資格もそんなつもりもないのだけれど、ただ演じるということをやっている者にとって大なり小なり近いものはあるわけで、ちょっとばかり感じたことを書かせてもらうと。
練習の積み重ねの後に本番があるのは当たり前のこと。 練習の密度はもちろん本番に関わってくるが、やはり本番にピークを持ってこなければいけないというのは並大抵のことではない難しさだ。 『頑張ったことに意味がある』とか『流した汗は裏切らない』とかのレベルなら、ある程度の情熱と集中力があれば、厳しいようだが誰でもできるのだ。
ただプロやそれを生業にしている人にはそれでは済まない。 何かしらの結果を残さなくてはいけない。 結果を残すということは本番にピークを持ってくこと。 いい状態で演じることができて、お客様が満足するということ。
よく『舞台には魔物がいる』なんて言われるがオリンピックの舞台もまさにそうだろう。 体調管理を徹底的に行い、心身ともに全力で向かっても、力が遮られることがある。 それはメンタルな部分であったり、物理的なものであったりするのだろうけど、それはごく些細なものなのだろうと思う。 本当に小さなことだけど追い風になるのか向かい風になるのかは大きな違いになる。 風向きが怪しくなってもピークに、もしくはピークと思われる範囲まで持っていけるかどうか。
周囲の期待も相当強かったが、真央ちゃん自身、自分で集大成と決めたオリンピック。 自分で決めた道に『最高の演技ができた』とピークまで持っていけた彼女はやはり素晴らしい、強い人だ。
彼女ほどの大舞台ではないにしろ、私も自分で決めた道に納得できる結果を残せる人になりたい。