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2013/12/20

JunkStage をご覧の皆様、こんばんは。女子部スタッフの桃生です。
年末年始の連休も近づくこの頃は、普段にもまして神社仏閣へ足を運ぶ方も増える時期。初詣はどこへ行こうか、なんて素敵な予定で頭を悩ませている方も多いことと思います。
本日ご紹介するのは、そんなとき「おっ」という発見を与えてくださるこのライターさん。お寺参りが楽しくなるトピック満載のこちらのコラム、ぜひご一読を!

■vol.26 仏像彫刻師・紺野侊慶さん

――仏像は宗教と密接に繋がっているため、いくら技術を磨いても、人の悲しみ、苦しみ、痛み等を知り理解しその思いを形にしなければ仏像とは言えないのではないかと思うようになりました。今は、その二つを常に考え表現する事が私にとっての仏師のあるべき姿だと考えております。(紺野侊慶)

konno
千手観音から衝撃を受け、仏師を志す。現在は教室を構え、展示会にも精力的に参加する傍ら、その精神を広めるべく活動中。
http://www.junkstage.com/konno/

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現在、仏像彫刻を初めて17年余のキャリアを持ち、ご自身の教室ではたくさんの生徒さんに指導を行っている紺野さん。その技術の高さはこちらに掲げた作品からも伝わってくる細やかさと繊細な表現からもご理解いただけることと思います。

紺野さんは現在4冊の本を上梓し、度々メディアでも取り上げられるなど年々評価を得て活動の場を広げておりますが、この道に足を踏み入れたきっかけは、なんと中学校の修学旅行だったのだそう。千手観音をはじめ、二十八部衆が立ち並ぶ荘厳な風景に、紺野さんは「雷が落ちたような」衝撃を感じたのだといいます。

 

「何だこれは!!」
日本にこんな凄いものがあるのかとその場を動けなくなりました。
まだ車や機械もない時代にこの数を作り上げた古来の人々の迫力と思いを初めて肌で感じる事ができました。
(初投稿記事より抜粋 http://www.junkstage.com/konno/?p=211

 

その強烈な感動が、紺野さんの進路を決めました。
中学卒業後、紺野さんは富山県にある彫刻師の工房を訪れ、斉藤侊琳師のもとへ弟子入りしたのです。約10年に及ぶ修行は厳しく、技術指導だけではなく日常生活に至るまで、師や兄弟子の皆さんに鍛えられたというのですから、紺野さんの受けた清新な印象の強さはいかばかりだったのかと思います。
もちろん、好きなことを学ぶとは言え修行は修行。なかには自身で制作した作品を川に捨てられるという辛い経験もあったそうですが、現在の活躍は周知のとおりです。

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ところで、仏像彫刻師、すなわち仏師とは簡単に言うと仏像を専門に制作し職にしている人を指し、他にもお寺や仏壇にある古くなって壊れている仏像を修復する仕事も行っているとのこと。歴史ある仕事であるだけに、確立された様式の中で自分のカラーを出していくのが醍醐味であると紺野さんは語ります。

私は博物館や仏閣に安置されている仏像を見ても「すごいな、大きいな」(……などと我ながら悲しくなるほど雑な)という感慨をもつ程度なのですが、紺野さんは初めに全体のバランスと面の構成を見るのだそう。その後、部分的な面の構成を見てから細かな細工等を見るとのことですが、「彫刻にとってもっとも重要なのは、この面と構成のバランスなのです」との由。

また、例えば「この仏像の光背はどんなだったろう?」と想像して楽しむこともあるのだそう。

このあたり、まさにプロならではの視点を感じる言葉です。

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「時代が求める仏様を作りたい」と度々このコラムの中でも口にされる紺野さん。
その思いが、「日本木彫刻協会」の設立や現在に至るまでの活動の根幹にあるように私には思えます。
もし、自分が仏様を掘れたとしたら、そのお顔はどんなものになるのだろう。
そう考えるきっかけをくれた紺野さんのコラムは、自分の心の鏡のようにも思えるのです。

2013/12/20 09:21 | sp | No Comments