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2012/09/20

JunkStageをご覧のみなさま、こんにちは。
9月も下旬と言うのに日本ではまだ残暑真っ盛りですが、そんなときこそ訪れたいのが水族館。
今日ご紹介するライターさんは、水族館で「アシカのお兄さん兼飼育員」として、水族館に掛ける気迫は気温に負けない熱さをもったこの方です!

 

■vol.14 水族館員・こばやしさん
―みんなを幸せにできる水族館を目指して!わしゃもっともっとやったるけん。(こばやし)

水族館員になるという保育園児の頃よりの夢を叶え、地元愛知県の水族館で飼育員兼アシカのお兄さんとして勤務中。
http://www.junkstage.com/kobayashi/

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こばやしさんの水族館での業務は多岐にわたります。

展示する生き物の収集(仕入れ、ではなく、むしろスカウト)、展示の解説ボード作り、アシカショーのお兄さん、生き物の飼育、水族館としてのイベントの企画立案実施、などなど。どのお仕事も生き生きとこなしていらっしゃるのはコラムにも表れているとおりですが、私が睨んだところ一番楽しんでいらっしゃる様子なのがスカウトです。

休日には山に行ってサワガニを獲り、夜には夜で港へ行ってウミケムシなるゲテモノ(失礼)を獲り、深夜未明には船酔いしながらトウゴロウイワシと格闘し、ドンコに展示品を食べられてしまい寂しくなった水槽のために近所でパンを餌にオイカワを釣る
今、ざざっと例を挙げてみましたが、これらの記事の掲載スパンはなんとたったの3カ月!
勿論こばやしさんは以前よりスカウト行為に精力的に取り組んでいらっしゃるわけですが、こうやって列挙しながらひとつひとつの記事を眺めていくと、本当に本当にほんっとうに!こばやしさんはこの仕事を愛しておられるのだなあ、という気がひしひしとするのです。

(ちなみに自宅でもアピストグラマというきれいな熱帯魚を飼ってらっしゃいます。美女です。)

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また、こばやしさんといえば絶対に触れておきたいのがその文章力の高さ!

文句なしに面白いコラムは読んでいただけば実感頂けるので割愛することとして、その技術が余すところなく活かされた展示パネルを例に引きたいと思います。

魚名版と呼ばれる解説パネルは通常、学名や特徴などが簡潔に記されたスタイルであることが多いのですが、こばやしさんの勤務先の竹島水族館のパネルは一味もふた味も違います。

来場者へ展示された魚の特性を強く印象付ける方言パネル・シリーズ、食べられる魚の味に言及した味覚パネル・シリーズなど、読んでいるだけで「へえ!」と勉強になって、楽しくて、ついでに実際のお魚も見たくなって一石二鳥どころの話ではありません。
これらのパネルはこばやしさんを含む担当スタッフの皆さんが手作りしたものであり、正確かもしれないけれど記憶に残らないパネルではなく、「何が何でも読ませて見せる」という強い意識を感じさせるものです。

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冒頭に掲げた言葉は、そういう意味で、こばやしさんの情熱の源のようにわたしには感じられます。楽しんで水生の生き物たちと触れ合える場を、楽しんで学びが出来る場を、そして何より来場された方全員が幸せになって帰れるような場所を、つくる。

この決意を、こばやしさんは別なコラムでこんな言葉で表現もしています。

「ヒトが魚を見て、いろんなことを学んで(教科書的な勉強!じゃなくて)、喜んで、笑って、家族や好きな人と話をして、何かを感じとれれば、それが水族館の魚にとって幸せや喜びの一つであるかもしれない。と、思うわけだよな。水族館は奥が深い。(中略)
水族館の魚たちは、オレたちはここにいる!すごいんだぞ!だからオマエもいろいろ考えて頑張るんだぞ!自分以外には優しくするんだぞ!ということを人々に教える代表選手。イイ水族館にして、そういうことを来る人に溢れんばかりに伝えるようにしなきゃいかん。」

この、真摯な気持ちこそが、こばやしさんの熱意の原動力なのではないか。
読み返すたびに感じる、仕事への誇りと生き物たちへの愛情。
こばやしさんは、JunkStageが誇る水族館のお兄さんです。

2012/09/20 12:00 | sp | No Comments