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2013/03/31

今日で3月も終わり。
今年は既に桜も葉桜になりかけていますが、フリーダイビング界も例年より前倒しで既に「シーズンイン」しています。

桜も満開過ぎましたが・・・

今年はフリーダイビングの世界大会は個人戦の年(昨年は団体戦)にあたり6月にはセルビア・ベオグラードでAIDA World Championship 2013(プール個人戦)が開催されます。これに合わせて実質の日本代表の最終選考会となる「フリーダイビング・インドアカップ2013イン館山」が、いよいよ今週末の4月6日(土)7日(日)に開催されます。世界大会が例年より数ヶ月早く開催される分、館山大会も例年より一ヶ月半早くなりました。(⇨世界大会選考の解説についてはこちら参照)

という流れの中、今年は館山大会の前哨戦として2月半ば以降ほぼ毎週都内のどこかでミニ大会が開催されていたという状況。大会が行われるたびに好記録が続出してランキングが入れ替わっており、セルビア代表枠が誰になるのか、最後まで目が離せないという状況になっています!

<AIDA World Championship 2013(プール個人戦)日本代表選考について>

なお、セルビア大会は世界で現在10位以内に既に入っている選手は「Wild card」として無条件で出場枠が与えられています。日本勢は、人魚JAPANメンバーである平井美鈴、廣瀬花子、福田朋夏の3名がダイナミック・ウィズ・フィン(フィンを履いてプールを並行に泳ぐ距離を競う)と、スタティック(息を止める時間の長さを競う)にワイルドカード入りしています。

<現在の世界大会ワイルドカード>

STATIC(息止め)

 

 

Dynamic with fin(フィンを履いての平行潜水)

 

Dynamic without fin(フィンを履かずに平泳ぎでの平行潜水)

平行潜水は男子だと200mが当たり前、息止めは7分が当たり前、と世界は凄まじいレベルの高さ・・・です。が、日本選手全体もかなりのレベルの高さ。

ワイルドカードをのぞく4枠をめぐり、ハイレベルな戦いが繰り広げられることでしょう。来週末の館山大会で現在の好記録保持者が逃げ切るか、新たな新記録が生まれるか、セルビアへの切符を手にするのは誰か?!

・・・と、白熱する一方、この館山大会は初心者からベテランまで誰でも参加できるオープンな大会。沢山のフリーダイバーに会えるのが楽しみな一大イベントでもあります。というわけで、プール種目が大の苦手な私も今年の大会には2年振りに参加します。代表枠は射程圏外なのでマイペースに・・^^;;;

いよいよ来週にせまった館山大会、選手達は最終調整に入ります。レポートをお楽しみに〜!

 

 

2/17に開催された今年最初の大会(True North Double Challenge vol.2 

 

10:58 | yukimuto | シーズンイン! はコメントを受け付けていません
2013/03/10

2013年3月9日(土)「第一回流氷カップin知床」が開催されました。
世界でも流氷下をウェットスーツで素潜りしたことのあるダイバーはそうそういない
貴重な体験。 どんなに忙しくとも、この機会を逃す訳にはいきません!
というわけで行って来ました世界遺産・知床。「流氷の下で素潜りをする」
というだけのために、日帰りで。

●女満別へ
朝一の羽田発・女満別行きのチェックインカウンター。
スノボやスキーを預けるたくさんの搭乗者の中、私が預けるのはロングフィン。
チェックイン時に真っ黒な長細い荷物(フィンケース)を預けるといつもの通り
「お荷物の中身は何ですか?」と怪訝そうに聞かれます。
「ダイビング機材です」の答えにますます怪訝そうな顔をされましたが・・・
そんなことより不安なのはボードに書かれた「条件付き運行:現地吹雪のため、羽田に引き返すか、釧路空港に到着の可能性があります」というインフォメーション・・・。

一抹の不安を抱えながらも搭乗するや即爆睡。
一瞬で無事女満別空港に到着しました。
ここ数日暖かかった東京とは全く別世界。白く凍てつく世界。
キリッとした空気を胸一杯に吸い込みます。

女満別空港からさらに車で2時間かけて、いよいよ一路知床・ウトロへ。
途中立ち寄ったコンビ二では各自「油物」を調達してこれからのダイブに備えました。
通常フリーダイビングの競技前には胃にもたれるものや油物を食べることはまずありませんが、今回は別。唐揚げやコロッケを潜る前に食べるのは寒さ対策として効果的なのです。
(という、主催者野口君のアドバイスに素直に従ってみました)

<ここは知床世界遺産!「オシンコシンの滝」>

<流氷がびっしりです>

●ウトロ到着、流氷ダイブへ!

そして、昼過ぎにウトロへ到着。
ウトロ在住のフリーダイバー和田唯ちゃんと、東京海洋大現役&OB3名の頼もしいスキューバダイバー君達が準備万端で待っていてくれました。

すぐにウェットスーツに着替えると、大会会場である「ウトロ漁港」の堤防の先へ直行。
漁港、といってもどこもかしこも凍って雪に覆われています。陸も空も海も真っ白な世界。どこが陸地でどこが「海」なのか、判別もつきません。
液体はマイナス下では個体になる、そんな物理的法則を目の当たりにし「さっき唐揚食べておいて良かったなあ・・」としみじみ思ったのでした。

そんな寒さの中、全員でテキパキと堤防から「海」へと荷物を降ろし
会場に向かって歩きます。たいした距離ではないのですが足先の感覚が冷たさで
麻痺して来たため、かなりの距離に思えました。

堤防を超えると・・・・いよいよ流氷がどーん、と見えて来ます。
テトラポットが凍っています。確かに、「海の上」にいる、という実感。

そして、ごつごつと凹凸がある一面の流氷の中、
一カ所にぽっかりと「穴」がありました。

ここが大会会場。
数日前に皆が空けてくれた「アイス・ブルーホール」です。

●流氷下へダイブ!
まずはセーフティにスキューバダイバーが潜り、つづいてフリーダイバーが潜ります。
水深−15mほど。水温はマイナス0度以下だそうです。海水は0度では凍らないからです。コップの中の氷水よりも冷たい「水」。私のこれまで体験した最低水温は3℃前後なので、未体験ゾーンにいよいよ突入です。


いざ・・!

呼吸を整えて・・集中。

・・・ちゃぽん。

この日最初は太陽が出ていなかったので水中はほぼ真っ暗です。
何も見えず、何の音もしない世界。
が、ロープ沿いに少しだけ潜り、5mほどで上を見上げると・・・

氷の下から見上げると緑色の薄ぼんやりとした穴が見えます。静かな不思議な世界。
海水温は実は水面近くの氷の近くの方が冷たいようです。海が液体でいる以上は、地上よりは暖かいことになります。とはいえ、零下というのは十分な冷たさなのですが、

6.5mmのウェットスーツを着ていると水中では不思議と冷たさは感じません。何より、興奮しているせいなのか、少しだけでも動いたせいなのか、ほぼ感覚がなくなっていた手足まで血が巡って来たのが本当に不思議です。

「ああ、ここまで来て良かった〜」と嬉しさを噛み締めながら、ゆっくり浮上。そして

満面の笑みで「アイムオッケー!」のつもりが
・・・・顔、こわばってました。

最初は1本で十分だと思っていたのですが、風が吹きすさぶ陸上にいるよりもむしろ海中の方が静かで暖かく、せっかくなので数本潜りました。真っ暗なボトムまで行く気にはならず、少し潜っては見上げて氷の下の不思議な光景に見とれていました。
そして、途中から太陽が顔を出すと、流氷下の世界は一変。
丸い氷の穴から見えた青空の不思議さ、忘れられません。

<太陽が顔を出すと風景は一変。キラキラして来ます>

それにしても、潜る前にマスクを水で洗うと、一瞬で凍ります。
自分の髪の毛についた海水も、すぐに氷の塊になってしまいます。
外気温は-8〜10度だったようです。

クレイジーな・・いえいえ、勇敢なダイバーズ!お疲れさまでした!
スキューバダイバーのみんな、ドライスーツといえど極寒の中ありがとう!

そして、元来た道を戻り、機材撤収。ダイビング機材、すべて凍っていました。

本当は一泊し、翌日はゆっくり世界遺産知床を堪能したいところでしたが、
翌日は吹雪の予報。飛行機が欠航して帰れなくなると大変なので、そのまま
トンボ帰りすることになりました。

大急ぎで温泉に入り凍った身体を解かし、美味しい海鮮丼を食べ
またも車で2時間かけて、女満別空港へ。

そして一瞬で羽田へ。羽田に到着したとたん、花粉の洗礼、くしゃみ連発の私・・
いつもの世界です。なんだか、夢のような1日でした。

●海が液体として存在する、ギリギリの温度
沢山の海に素潜りして来たつもりですが、流氷は特別。今でも興奮が去りません。
海水が凍る温度は塩分濃度によって異なるものの、-4,5℃ほど。。
北極や南極の海水温も、液体でいる限りは変わらないそうです。
流氷下の-3℃のまさに海が液体として存在するギリギリの温度の海に潜ったのです。

この環境では、人間が泳いだり潜ったり出来る時間はほんの僅かです。
でもその僅かな世界を垣間見て、またひとつ、海の新しい魅力を発見してしまいました。

それにしても日本は流氷から珊瑚礁まで、本当に色々な海に囲まれているんだなあ、
という誇らしい思いを新たにした、日帰り弾丸流氷素潜りツアーでした。


次回はもっとゆっくり、のんびりと世界遺産を堪能しに来ます!

Thanks &  photo by  
Tomohiro Noguch, Yui Wada,Tetsuo Hara,
Masatsugu Tamai
, Kazeta Hashimoto,Yoichiro Nitta,

11:32 | yukimuto | 流氷フリーダイビング はコメントを受け付けていません
2013/02/26

昨日は東京マラソンでしたね。
ランナーのみなさん、応援のみなさん、ボランティアのみなさん、お疲れ様でした!

私は家でぬくぬくとFacebookを眺めつつ「もうすぐ10キロ地点!」とか「完走した!」とか「サブフォー達成!」などなどの投稿に感動しながら「いいね、いいね」と押しまくっておりました。
私は生まれてこのかたフルマラソンを走ったことなどなく、42.195kmを走る、という行為は全く想像を絶する世界なのですが、マラソンランナーには憧れと同時に、何となくシンパシーを感じてしまいます。

マラソンが超メジャースポーツなのに対してフリーダイビングは超マイナー。
マラソンは陸上。フリーダイビングは水中。何もかもが違うようですが、
ある共通点があります。それはマラソンランナーもフリーダイバーも
おそらく同じ質問をされたことがあるだろう、という点です。

「苦しそう。一体どこが楽しいの?」と。

マラソンランナーが炎天下または真冬の早朝ひた走り続る姿は決してラクには
見えないし、フリーダイバーが呼吸を止めたり、とんでもない水圧に身体を
晒して何も無い海底に潜っていく行為、はたから見ると正直全然楽しそう
には思えません。

どちらも「つらそう」「孤独」「ストイック」の3拍子が揃っています。がそれでも、
ランナーもフリーダイバーもそこに魅せられてしまうんですよね。・・何故だろう?
というわけで、早速、東京マラソンを完走した友人数名に質問。

質問1「フルマラソンって辛くないの?」
   →超つらい。
   →走った後は二度とやりたくないと思う。
   →正直つらい。でも走った後の達成感がたまらない!
質問2「マラソンのどこが楽しいの?」
    →完走する喜び、感動!
   →人とのふれあい。走ってるとみんな仲間に思える。

とのことです。

ではフリーダイバーは??ということで日本女子チャンピオン平井美鈴選手
(世界四番目に90mの深海に潜った女性!)にインタビュー。

質問1「フリーダイビングって辛くないの?」
   →キツい。特に競技終盤。
   →でも受け入れているので競技中は「辛い」と言う言葉は出ない。
質問2「フリーダイビングのどこが楽しいの?」
       →自然とひとつになる感じ。自分が進化していくこと。仲間がいること!

だそうです。ちなみに私の場合は
「怖いし苦しいしその上、孤独。何故こんなことをやっているのか我ながら不思議」
と思うことがけっこうあります。(チャンピオンとのこの違い・・・)

でも潜っている時、泳いでいる時、息を止めている時、
「ここでしか味わえない深い集中と安心感」に包まれる一瞬があります。
その感覚が忘れられない。
そして一番好きな瞬間は、誰もいない薄暗い海底からたった一人で浮上し、
途中で迎えに来てれたダイバーと目が出会う時。
その後しだいに海面からの”光”が強くなり、
だんだん海面が近づき体が軽くなり、水面に出る瞬間です。
「仲間がいて、光がある」ことの喜びを、全細胞で感じる一瞬。

これは、ひょっとして、ランナーにとっては沿道の応援の中、
ゴールする瞬間と似ていたりするのでしょうか??
そう言えば、昨日サブフォーを見事達成したランナーSちゃんは
「42キロ過ぎて、残りが195mになるでしょ?そしたら、また元気が出てきて、フィニッシュゲートがキラキラ見える」とそれはもうキラキラとした瞳で語ってくれました。

ゴールテープも、海面も、走ったり、潜ったりの経過がなければただの目印。
それがこの上なく輝いた場所になる。
マラソンとフリーダイビング。どちらも辛さの果てにある「自分の限界」に近づき、
そのことで自分自身と深く向き合う。そして日常では気づかない、輝く一瞬に出会う
まさにそれが醍醐味なのかもしれません。

辛いことと、それを乗り越えた先にだけある、喜びの瞬間。
それは、マラソンとか、フリーダイビングとか、仕事とか、恋愛とか全てに共通することかもしれない。それに出会うために、人って生きているのかも知れません。
つまり、人生そのものかも?

・・・と、だいぶ深くなりました^^;  というわけで。
これからも「どМ!」と言われながらも一瞬のキラキラを求めて、
「つらい」「孤独」「楽しそうじゃない」フリーダイビング修行を、私は続けます。

ともあれ、日本全国のランナーのみなさま、本当に尊敬します。
次のゴールを目指して、まずはゆっくり休んでください。お疲れさまでした!!

<キラキラした瞬間のひとたち>

東京マラソン2013完走goool!!!! junkstage仲間のメグミさん
「最後のフルマラソンが五年前、それ走った翌月にガン告知だったので、絶対に克服してまた走るんだという、強い気持ちだけで脚が動きます! 」2013/2/24

平井美鈴、90m達成後のこの笑顔!!!2012/11/29

photo by Yukko Saito
Megumi Minowa
Igor Liberti 

03:34 | yukimuto | マラソンとフリーダイビング はコメントを受け付けていません
2013/01/31

私が主催しているフリーダイビングサークル「リトルブルー」では
今月からスキンダイビング講習会を開催しています!

スキューバダイビングでもフリーダイビングでもなくて
素潜りで

「もっと水中を楽しみたい」
「イルカと泳ぎたい」
「魚と泳ぎたい」

という人のためのレッスンです。
2月は毎週日曜日18:30または19:00から代々木で開催しています。

詳細はこちら

http://littleblue.biz/news.html

ちなみに講師のヨネヤマはフリーダイビングでダイナミック(プールで平行に泳ぐ)歴代女子3位165mという記録を持つ男並みの肺活量を持つ美女です^^

既にキャンセル待ちのレッスンもあるので、ご希望の方は是非
お早めにおしらせください!

07:56 | yukimuto | 【お知らせ】スキンダイビングレッスン はコメントを受け付けていません
2013/01/03

A Happy New Year 2013!

今年一年、沢山の人が海から恵みをいただけますように
いつも海に感謝していられますように
美しい海がいつまでもここにありますように

フリーダイバーより愛をこめて

 photo by Kohei Ishida
direcred by Miyako Yoneyama

 

01:24 | yukimuto | A Happy New Year 2013! はコメントを受け付けていません
2013/01/02

いよいよ秋も深まる10月-11月は 真鶴 → バハマ大会 でようやく終了です。

<10月>
●第13回真鶴フリーダイビング・クラシック

10月中旬は東京フリーダイビング倶楽部が主催する恒例のフリーダイビング大会「第13回真鶴フリーダイビング・クラシック」が開催されました。真鶴の海には四季折々の表情があり、10月は透明度も増しながらも水温はまだ高く、潜るには一番良い季節です。私は毎年この大会で一年の集大成を出すべくトレーニングをしていましたが、今年は選手ではなく運営および、セーフティダイバーの任務に専念しました。また、この大会での水底映像「ボトムカメラ」についてはこちらで紹介しています。

<11月>
●冬の真鶴

そしてシーズン最後の11月の真鶴での練習。すっかり海は冬の表情になっていました。いよいよ、今年の集大成であるバハマ大会目前の最後の海洋練習でしたが、このとき「ターゲットダイブ」(自分のmax深度の潜り)が久しぶりだったことに気がつき、少しばかり焦りました。

●トレーニング:辰巳、横浜、代々木公園、シンガポール・・他

実はこのころになると仕事も加速度的に忙しくなって来ました。まとまったトレーニングの時間を取ることなかなかできず、隙間時間でのトレーニングを心がけました。私のトレーニング場所は辰巳国際水泳場・横浜国際水泳場それから出勤前の代々木公園、果ては出張先のシンガポールのホテルのプールなど、でした。

 

●Vertial Blue:バハマ・ロングアイランド

11月20日から、バハマ・ロングアイランドのブルーホールでVertial Blueが開催されました。私は一年越しでどうしても達成できていない、コンスタント・ウェイト・ウィズ・フィンでの-60mを、この大会で成功させたいと思っていました。-57mが今の自分の公式ベスト記録。-60mは2回失敗していました。「あと少しだけ、息を長く止められる」ようになれば、3mの壁は突破出来ると思っていました。

深度競技の課題のひとつ「耳抜き」に関しては、私は苦労せずとも自然に圧平衡が出来る幸運な体質。また「胸郭の柔軟性」についても、まだ自分の潜る深度で肺に違和感や圧迫感を感じることはありません。なので、自分の課題は「閉息能力(息を止めていられる能力)」に尽きると考えていました。そもそも私は肺活量は人並み以下。フリーダイバーとして閉息能力は高い方ではなく、閉息時間がモノを言うプール競技などが本当に苦手です。そのため、今年はともかくこの能力向上のために地味にトレーニングをして来ました。しかし、バハマ大会では功を奏さず短期間で二度もBlack Outをするという惨憺たる結果に終わりました。

1日目◎成功:CWT -55m white
2日目×失格:CWT -60m red(Black Out)
3日目△減点:CWT-58m(-53m early) yellow
4日目×失格:CWT -58m red(Black Out)
5日目◎成功:FIM -36m white
6日目△減点:CWT -56m(-38m early) yellow

この結果について分析すると・・・(これでも圧縮していますがかなりマニアック。悪しからず)

(1)フィジカル面
●コンディショニング不足
30時間以上の長旅および日常の疲れも取れないまま、事前練習もなく本戦に突入。十分な休息を入れず間髪入れず連日の競技を行ったこと。特に前半は時差ぼけもあったのか常に身体が重くダルかったことを覚えています。冷静な判断力があれば、とてもベストのダイブが出来る状態ではありませんでした。後半は後半で鼓膜に疲労が溜まり、最終日は満足な耳抜きが出来ず申告深度の半分ほどでアーリーターンとなりました。「せっかく遠征に来たのだから」という気持ちを捨て、身体の声を聞くべきでした。
⇨身体あっての競技、コンディショニングは基本中の基本。

●トレーニング不足 
日々の地味な閉息トレーニングの結果、プール練習では少しずつその効果が出ていました。しかし、それも十分なものではなく、そもそも深度練習やフィンワーク練習が圧倒的に不足していた。海に行くのとトレーニングとは別物だ、と沖縄大会で痛感していたはずなのですが・・・あとから映像を見返すとモノフィンのフォームがすっかり崩れ、明らかに無駄に酸素消費をする泳ぎ方をしていました。また、フリーフォールを用いてより酸素消費を押さえる潜り方も取り入れるべきかもしれません。
⇨トータルでバランスの取れたトレーニングを!トレーニングは計画的に。

(2)メンタル面
●戦略不足:
今回の自分の本命ダイブは「-60m」(成功したらそれ以上)と決めていました。が、これをどこに持ってくるかが重要でした。2日目にいきなり-60mを申告した理由は「身体や耳に疲れが溜まる前に目標の本命ダイブを済ませてしまおう」という考えからでした。しかし2日目のBOは心身にネガティブに作用し立て直しが難しくなりました。もう少し心身に余裕のある深度を積み重ね、良い感覚を染み込ませてから本命ダイブに挑めば、違った展開になっていたかもしれません。
⇨これはIFの世界なのでなんとも言えませんが・・。

●暗さへの嫌悪感:
ブルーホールは素晴らしい場所だ、とどのフリーダイバーも言います。しかし今回の私は「ブルーホールではなくてブラックホールだ・・・」「海ではなくてただの真っ暗な穴だ・・」と感じていました。-50mを超えたあたりからの暗さ。ボトムプレートは下からライトで照らされており、それが余計に周りの闇を濃くしているように感じました。大会期間中は自分でそんな考えは認めませんでしたが「今日もあの暗い場所にたった一人で行くのか・・・」という憂鬱にも似た気持ちが芽生えていました。
海は心を映す鏡。こんな時こそメンタルコントロールを意識的に!

●集中不足:
色々やりすぎた2012年後半、バハマ大会は忙しい年末にもあたり「本当に今、行くべきなのだろうか・・」という迷いを抱きながらの遠征になってしまいました。その場に集中するというより、「早く大会をこなしてしまおう」とでもいう、どこか落ち着かない気持ちがありました。その後、帰路に出張でサンフランシスコに降り立った時の安堵感。さらに、成田に帰って来た時の安堵感。やはり自分の気持ちが潜ることに集中しきれていなかった。これは大きなマイナス点でした。
⇨2013年は自分の活動の選択と集中・・!

と、フィジカル、メンタルともに反省点が山盛り。苦いバハマでしたが・・・
結果として、やはりこの大会に参加出来たこと、ここで沢山の課題を得られたことは、あっさり60mを達成する以上に大きな収穫だったと思います。また、トップ選手たちの驚異的なダイブを間近で見られことも得難い経験です。ロシアのアレクセイの世界記録-127m達成、日本人では平井美鈴選手の-90m(世界の女性で4番目に到達)福田朋夏選手の-80m(日本人で男女合わせて7番目に到達)。どれも本当に、素晴らしいパフォーマンスでした。

最後に、これは私が唯一成功した初日の-55mダイブの映像です。

「情熱大陸」にも出演した公式ビデオグラファー二木あい氏が撮影・編集してくれた素敵なムービーです。自分の潜りに関しては修正点やツッコミどころ満載なのですが、ふと考えると、一流のスタッフに囲まれてこんな風に潜れる、こんな最高な機会を何故もっと純粋に楽しまなかったのか?という疑問が浮かびます^^;

ともあれ、ブルーホールは「最高の準備をしてきた人にとっては最高の場所」であると思います。いずれチャンスがあれば、今度こそ最高の準備をして、心から楽しんで「青い穴」に潜りたいと思っています!


***

2012年海の旅のまとめはこれにてやっと終了です。真鶴、三陸、エジプト、尖閣諸島、八重山諸島、沖縄、葉山、ニース、御蔵島、バハマ・・私としては数年分に匹敵するぐらい、色々な場所で色々な経験をしました。緑、青、水色、コバルトブルー、群青、濃紺、黒・・様々な色の海に潜りました。そして海を通じて日本各地・世界各地で沢山の出会いがあり、仲間と一緒に素晴らしい時間を過ごすことができました。仕事とフリーダイビングが両立出来る環境、ハードスケジュールに耐えた自分の身体に感謝します。

ただ・・私には一年間ではとても消化しきれないほどの経験でした。撮りためたビデオを一度も見返していない、読みたい本を買い漁って積んである、授業を受けて復習していない、そんな感じがしています。2013年は少し落ち着いた年にしようと思っています。そして2012年の沢山の経験をゆっくりと消化して、血や肉にし、何かを実らせていきたいと思っています。

まとめ、終わりです!

photo by Tomohiro Noguchi
Tetsuo Hara
movie by Ai Futaki

10:58 | yukimuto | 2012年武者修行まとめ(4)真鶴→バハマ はコメントを受け付けていません
2012/12/31

夏本番8月−9月の海は 葉山 → フランス・ニース → 御蔵島です。

<8月>
●葉山:一色海岸

夏本番の8月、さぞ色々な海に繰り出したのでは?と思われそうですが、私は一通り各地を飛び回って一段落したところ。そして何より、この月から正式に新しい仕事を開始したので、東京に腰を据えた一ヶ月でした。

けれど遠くに行かなくても、どこもかしこも夏、というのが8月です。
そんな夏を満喫するのに最高の場所は、葉山の一色海岸。ちょうど今年はフリーダイバー仲間の結婚式が真夏の一色海岸で行われました。これがほぼお祭り。「結婚式幹事の打合せ」と称した謎の集まりが毎週のように招集されては、昼間は暑いからと各自勝手に海に入り、夕暮れになるとビーチでジャンベやらディジュリドゥーやらの魅力的なライブが始まってしまい「打合せ」の進展が何も無いまま毎回流れ解散、という具合。なのに本番は最高に素敵でワイルドなウェディングになったので真夏というのは不思議なものです。

さて、こんな「正しい夏」はいつまでも続くような気がしてしまうのですが、
葉山の友人達に言わせると、正真正銘の夏は8月の始めまでで、それ以降は少しづつ「秋」が混じってくるとのこと。確かに夏はナマモノで一週ごとに少しづつ空気が変わって来ます。でもそんな短くて凝縮された日本の夏が、どんな常夏の国よりも、私は大好きです。

 

 

<9月>
●AIDA Team World Championship 2012:フランス・ニース

2年に一度の世界大会団体戦がフリーダイビング発祥の地、フランスのニースで開催されました。私も日本代表チーム人魚ジャパンの一員として、行って参りました。「補欠選手」という立場での参加ですが、幸い大会中メンバーにトラブルなどなく、私は大会開始後は完全にコーチとして全力投球することになりました。ただし練習期間中は選手と一緒にトレーニング。4ヶ月前のマルセイユでのささやかな夢はすぐに実現し、南仏の海で潜ることが出来たわけです。ニースは、そもそも空が真っ青なので、海の中も青インクを溶かしたように真っ青です。ただ、30m位を過ぎたところでサーモクラインがあり、急に水温が下がる、というのが特徴的でした。

大会会場はヴィルフランシェ・シュル・ラ・メールという舌を噛みそうな名前の、とんでもなく素敵な場所でした。しかし、大会期間中の選手の生活はまさに合宿所。1ベットルームしかないアパートメントに7人が泊まり、もう屋内はぎゅうぎゅうでした。私は殆どの時間はジャージ姿で大会本部テントに居座り情報収集や交渉に費やし、(ぼーっとしているとチームの練習場所や移動手段が確保出来なかったり、翌日の競技時間の情報を入手出来ないので大変なのです)このおかげで様々な国の選手やスタッフと親しくなりました。また、競技中はチーム全選手と一緒になって緊張したので、ある意味、大会を隅々まで満喫した気がします。笑。

この大会で印象的だったことといえば、フランスはフリーダイバーの層が厚い、ということ。配車係のドライバーのおじさん(やけにダンディ)が、実は映画「グランブルー」のエンゾと競い合っていた往年のチャンピオンだったり。こんな方がごろごろとおり、彼らが全く偉そうではない役割で、実に楽しそうに大会運営側に回り、大会を盛り上げていました。

また、代表選手一人一人の違った強さにも毎度感動していました。
その一つが大島俊選手のエピソード。私はちょうど彼の海洋競技のサポートに着いていました。競技開始直前、これから82mを潜るという2分前のカウントが始まった後で、ラニヤード(既に事前の安全チェックにパスしていたもの)を無理矢理交換させられる、というトラブルがありました。彼は一瞬抵抗したもののそのまま競技を始めるしか無く、十分な呼吸ができないまま潜水開始。結果-79mでアーリーターンとなりました。完全に集中が途切れてしまったはず。普通の選手だったら運営側にクレームしてもおかしくないのですが、彼は浮上後にひとこと「俺、あの時一瞬カッとなっちゃたから駄目だったんだな。」と呟いたのです。自分の集中を乱した他人を責めるのではなく、集中を乱されカッとなった自分を自省する。成長する選手は違うな、と感心した一件でした。また、どんなトラブルも自分のこととして受け入れる、ということは、自然相手のスポーツをする選手にとって最も重要な資質のような気もしました。

ほか、この大会のエピソードはここでは語り尽くせないほどあるのですが・・・
これ、「まとめ」だったことを思い出しましたのでこの位で^^;

結果、この世界大会で日本女子は圧倒的な強さで優勝、「金メダル」二連覇を達成しました!(参考:Numberの記事http://number.bunshun.jp/articles/-/280414、他メディア掲載多数)さらに嬉しいことに、日本チームは「ベストチームワーク賞(ルイック・エフェルモ賞)」を授与されました!人魚ジャパンを心から誇りに思います。人魚ジャパンを盛り上げ、日本から応援し続けてくれた一人一人に、感謝します。2012年、この場に居られたことは一生の宝です。

 

●ドルフィンスイム:東京都・御蔵島
さて、ニースから無事帰国した週末。どうしても我慢出来ずに行って来ました。
毎年数回は必ず訪れる、私のパワースポット。東京・竹芝桟橋から船で7時間、野生のイルカが生息する御蔵島です。黒潮の当たる生きの良い荒々しい海に囲まれた小さな島です。今年はさすがに忙しすぎるので諦めるつもりでしたが、このまま一度もイルカと泳がずに夏を終わらせるわけにはいかないでしょう・・・と、もう一人の自分の声が・・・

この夏はニース大会補欠として日々欠かさず地味にトレーニングをしていたおかげか、イルカと水中で一緒に泳げる時間が以前よりずっと長くなっていたように感じました。フリーダイビングをやっていて良かったと一番強く思うのは、実はイルカと泳ぐこの瞬間だったりします。

(今回お会いし撮影いただいたyagoさんのムービーです。イルカの泳ぎを眺めているだけでも、幸せになります!)

こうして、ようやく夏が終わりましたが。まだ武者修行は続きます。

photo by Tetsuya yamamoto
                  Den CG.
movie by Tetsuo Yago

08:48 | yukimuto | 2012年武者修行まとめ(3)葉山→ニース→御蔵島 はコメントを受け付けていません
2012/12/31

続いて6月‐7月は 台湾 → 尖閣諸島 → 八重山諸島 → 沖縄本島 → 気仙沼 へ。

<6月>
●台湾:

<上:OMDC 海人與海潛水訓練中心の店内。 下:寧夏夜市!>

フランスから帰国した翌週、台風の乱気流に乗って台北に到着しました。
新しい仕事の関連で台北で開催されたIT関連の展示会COMPUTEX TAIPEIに参加しつつ、
台湾のフリーダイバー、Jayさんのお店、「OMDC 海人與海潛水訓練中心」を訪問しました。蒸し暑い台湾でしたが、すーっと静かな空気に包まれた、川沿いのお店です。ダイブショップというより博物館のような素敵な場所。色々なフィンのコレクションや、写真集を見せて貰ううちに、・・あっという間に時間が経ちます。
とっぷり日が暮れた後は一緒にトレーニング・・・の代わりに、夜市へ繰り出しました!夜市はどこもエネルギッシュで大好きですが、私のお気に入りは「寧夏夜市」というとてもローカルな場所です。

Jayさんはその後、AIDA TAIWAN立ち上げに奔走し、10月には来日して沢山の日本人フリーダイバーとも繋がりました!日本と台湾はお隣の国同士。今後のアジアネットワークの広がりが楽しみです。台湾の南東にある「緑島(GREEN ISLAND)」で、いつか潜ってみたいと思っています。

 

●尖閣諸島:

<厳かな日の出と魚釣島>

縁あって、尖閣諸島に行く機会が訪れました。くしくも台湾の翌日。地理的には台湾と石垣島はすぐ隣なのですが、目に見えない国境・・・台湾から石垣島に直接渡ることが叶わず、深夜に一度羽田に戻っての石垣入りとなりました。

石垣島港から漁船に乗ること7時間(と書くと簡単ですが・・船に慣れていない人には往復14時間、地獄の船酔いの旅のようでした)尖閣諸島に到着しました。日の出とともに、荘厳な魚釣島が見えてきました。それまではニュースで見る地図の上で「東シナ海の碁石」という記号のように思えていた魚釣島。実際に尖閣諸島の海域で、私が感じたことを敢えて正直に書くと・・・「これは、人間が取り合うものではない」という感覚。海鳥が飛び交う豊かな豊かな海。「守る」という言葉すらおこがましい。ひたすら神々しい、絶海の孤島。
この時、海に入ることはもちろん叶いませんでしたが、もうこの海域にいるだけで、深く海に潜ったとき以上の圧倒的な「自然」の存在を感じたのです。太古からの自然崇拝がすっと、理解できます。人にとって、「祈り」の姿勢とはとても自然なものなのだ、と感じました。・・・今年一番の一番圧倒的な経験でした。

●石垣島&八重山諸島

<育江さんと、海を一望できる前庭>

その後は石垣島および八重山に気の向くままに滞在。
世界各国を旅した2012年ですが、石垣島ほど「帰りたくない・・」と思った場所はなく、実際予定より長く滞在してしまい、台風が来たので泣く泣く帰京する始末でした。鳩間島では手作りの銛で漁をし、念願の西表島では達人のスピアフィッシングを目の前で見て感動し、数年ぶりに竹富島にも寄ってしまいました。・・・海、珊瑚、滝、泡盛、三線・・・・帰りたくない要素ばかりで困りました^^;

石垣島では移住した友人たつさんと秘密の素潜りポイントに毎日潜り、そして、フリーダイバー大先輩の益戸育江さん(芸名:高木沙耶さん)のお宅に訪問しました。
育江さんは女優でありながらフリーダイビングの海洋競技で日本記録を達成したことでも話題になりましたが、現在はフリーダイビングの競技からは引退しており、石垣島で自給自足の生活を送っています。超がつく、素敵な人です。ホーリーバジルという草のお茶をご馳走になりながら、色々なお話をしました。育江さんは地球共存スタイルを産み出す「虹の豆」というステキなプロジェクトを推進中です!

 

<7月>
●沖縄大会DEEP WATER CUP OKINAWA

<左:私の潜行の様子(igor liberti 撮影) 右:かなりうねっていた真栄田沖の競技会場>

7月半ばに沖縄本島で開催された「DEEP WATER CUP OKINAWA」。今年9月の世界大会の最終選考会を兼ねており、多くの国内のフリーダイバーが参加しました。私ももちろん参加しました。ここまでの段階でまだ東京は梅雨すら開けていないのですが、例年以上に海に漬かっていて私は既に全身真っ黒に日焼け。体はすっかり海仕様、になっていたつもりでした。

が、この大会で私は思うような結果は出せませんでした。この大会は全部で3日間で構成され、初日は海洋競技のみ。二日目と三日目は海洋競技とプール競技の総合得点を競うものでした。私は初日は-58mという、昨年楽に成功した深度でブラックアウト(失格)。ここではじめて、自分の身体がトレーニング不足であったことに気が付きました。この反省から2日目、3日目は大分抑え目で安全圏でのホワイトカードを狙い立て直し。幸い総合3位に入ることが出来ました。しかし、やはり競技で結果を出すためにはしっかり地道にプールトレーニングをしたり、小さな国内大会で集中と緊張に慣れておいたり、ということが大切だということを痛感したのでした。

 

●Sanriku UMI-BIRAKI in Oshima:(気仙沼・小田の浜)

<少し肌寒かったけれど・・・子供たちは元気いっぱいでした!>

7月21日(土)宮城県気仙沼大島「小田の浜」 で気仙沼大島観光協会が実施した海開きイベント「Sanriku UMI-BIRAKI in Oshima」。震災で壊滅的な被害を受けた海水浴場ですが、復興に向けた第一歩として県内で唯一営業を開始しました。ここで、「海に関わる各ジャンルのスペシャリスト」として子供達とのアクティビティ」を企画して実施したのが、Sanriku Ocean Rescue Diversと、オーシャンアスリート鈴木一也氏が率いるNPO法人erthlysoul。ダイビングやスノーケリング、アウトリガーカヌーやビーチフラッグスといった様々なプログラムを開催し、気仙沼の子供達に、もう一度海に帰ってきて、海を学び、海の遊びを体験してもらおう、というイベントを実施しました。フリーダイバーも、女子チャンピオンの平井美鈴選手を中心に多数参加しました。

私は準備段階で大島を訪れた際に観光協会の方が言われていた「果たしてどの程度の子供達が集まるか・・。少なくとも大人でももう海に入りたくない人は沢山いる」という言葉が印象的で、当日まで、一体子供たちが来てくれるのか・・・非常に不安でした。果たして、当日は多くの子供が殺到・・とはいきませんでしたが、それでも来てくれた地元の子供達は皆屈託なく海で遊びました。坊主頭の中学生二人組が、寒さに震えながらももっともっと潜りたい、と素潜りに夢中になっている姿を見て、こちらが元気を貰ったのです。

・・・続く。

06:35 | yukimuto | 2012年武者修行まとめ(2)台湾→八重山諸島→沖縄本島→気仙沼 はコメントを受け付けていません
2012/12/30

今年一年を振り返ると、多分自分の人生で一番色々な海で潜り、たくさんの時間を海で過ごし、フリーダイビングのために一番沢山の時間を使った一年でした。昨年の今頃は、こんな一年になるとは想像もしませんでした。人生何があるかわからないものです。

しかしフリーダイバーとしては・・・競技開始以来初めて、コンスタントの記録をただの1mも更新出来ない一年でもありました。なので費用対効果という面では最悪です。ともかく、転職のかたわら、海に関してやりたい活動(競技・ボランティア・遊び・広報)と、とりあえずやりたいことにどんどん手を出し首をつっこんでいたので、少々欲張り過ぎだったかな・・と反省しきり。

にもかかわず、今こうして一年間潜った色々な海、海を通じて出会った人たちの顔を思い出すと「やっぱり、すごい一年だった!」と、思わずにいられません。最高に素敵な経験を沢山したことは確かです。

昨年は年末にフリーダイビング界を振り返り「10大ニュース」を書きましたが、今年は個人の振り返りでいっぱいいっぱいにつき、私的な武者修行まとめです。ご容赦のほど・・

それでは、今年潜った色々な海を写真で振り返っていきます!

 

<1月>
●初日の出(陸前高田)


祈りと共に2012年が始まりました。
3.11から1年が経とうとした三陸の静かな日の出を見ていて、改めて胸が締め付けられました。3.11は私にとっても特別な一日だったからです。この時には、まだ、真冬の三陸の海に自分が潜ることになるとは思いませんでした。

 

●初潜り:(真鶴・琴が浜)


そして初潜りは1月3日。真鶴の貴船神社に初詣して、今年一年の海での安全祈願をしてから、3㎜のウエットスーツで潜る冬の海。真冬にフリーダイビングの練習をしたのは、今年が初めてでした。年末から風邪をひいて声も出なくなっていたのですが、潜っているうちに治ってしまったという不思議な初潜りでした。

●フリーダイビング初めて講座第一回目開催:新木場


海ではありませんが・・・
フリーダイビングを始めたくてもきっかけがない、という人のための初心者講習会「フリーダイビング初めて講座」を開催。これをきっかけにフリーダイビングに足を踏み入れたひとも何人か^^第三回目は来年1月に開催します。

<2月>

●SORD訓練:真鶴琴が浜

三陸の海での瓦礫撤去プロジェクトSanriku Ocean Rescue Divers(SORD)が真冬に始動。
ロープワーク、海底サーチの事前シミュレーションを真鶴で行いました。
ほぼ全員にとって未体験となるため、念入りにあれこれと議論をしながら、
身体は凍えながらも、熱い気持ちのウェットスーツ野郎でいっぱいの琴が浜でした。
見た目はまるで悪の軍団。でも正義の味方たちなのです!

●SORD第一回目:三陸、崎浜漁港


そして、いよいよその2週間後が本番、水温3度の海に潜りました。震災からほぼ丸一年たった海中はまだ沢山のものが沈んでいました。東京では、既に過去の出来事に思えていた震災が目の前にはまだ現実として未解決のまま残っている・・・そのことを目の当たりにしました。そして同時に、自然の生命力を感じることも出来ます。リアス式の美しい三陸海岸が大好きになりました。

 

<3月>

●SORD第2回目:三陸、気仙沼湾内


そして2回目は気仙沼湾内に潜りました。またも水温は3度。前回は冷たくとも透明度の良い海でしたが、今回は冷たい上に視界も殆どなし。少し恐怖を感じる海でした。素潜りでできること、スキューバで出来ること、を試行錯誤しながら、漁師さんと一緒になっての作業となりました。

 

<4月>
●ヨット:東京湾

今年の自分の一番の大きな出来事「転職」にあたり、この月は10年間勤めた職場での霞が関OL最後のラストスパートの一か月でした。今年唯一海に潜らない月でしたが、4月の最後に久々に海に出ました。ゴールデンウィークの始まり、長い有給休暇の始まり、これから始まる新しい仕事、自分の人生の船出のように感じたセイリングでした。

 

<5月>
ここから、怒濤の武者修行(無茶修行?)が始まりました。

●アプネア・アカデミー(エジプト、シャルムエルシェイク)

長い休暇のはじまりは紅海での武者修行です。アプネア・アカデミー インストラクターコースで丸一週間フリーダイビング漬けでフリーダイビングの原点から学び直しました。

●マルセイユ

エジプト帰りに、マルセイユのフリーダイバー、グレッグ&ちか家に居候しました。
本当はマルセイユのフリーダイビングチームmessilia sudに混ざって海洋練習出来る予定でしたが、あいにく北風ミストラルが吹き荒れ海も大荒れ。一度も潜ることは出来ませんでした。そのかわりプール練習会に参加したり、海岸沿いをランニングしたり・・ひたすらに青い南仏の空と海を眺めながら。いつか絶対ここで潜る!!と決心しました。

そのいつかは4か月後に早速やってきましたが^^;

・・・続く。

11:42 | yukimuto | 2012年武者修行まとめ(1) はコメントを受け付けていません
2012/12/30

私の2012年を振り返ると、多分自分の人生で一番色々な海で潜り、たくさんの時間を海で過ごし、フリーダイビングのために一番沢山の時間を使った一年でした。昨年の今頃は、こんな一年になるとは想像もしませんでした。人生何があるかわからないものです。

しかしフリーダイバーとしては・・・競技開始以来初めて、海洋競技の記録をただの1mも更新出来ない一年でもありました。なので費用対効果という面では最悪です。ともかく、転職のかたわら、海に関してやりたい活動(競技・ボランティア・遊び・広報・・・)にどんどん手を出し首をつっこんでいたので、少々欲張り過ぎだったかな・・と反省しきり。

にもかかわず、今こうして一年間潜った色々な海、海を通じて出会った人たちの顔を思い出すと「やっぱり、すごい一年だった!」と、思わずにいられません。沢山の海で、最高に素敵な経験を沢山したことは確かです。

昨年は年末にフリーダイビング界を振り返り「10大ニュース」を書きましたが、今年は個人の振り返りでいっぱいいっぱいにつき、私的な武者修行まとめです。ご容赦のほど・・

それでは、今年潜った色々な海を写真と共に振り返っていきます!
まずは1月から5月まで。 真鶴 → 三陸 → エジプト → マルセイユです。

<1月>
●初日の出:(陸前高田・黒崎仙峡)


祈りと共に2012年が始まりました。
3.11から1年が経とうとした三陸の静かな日の出を見ていて、改めて胸が締め付けられました。3.11は私にとっても特別な一日だったからです。この時には、まだ、真冬の三陸の海に自分が潜ることになるとは思いませんでした。

 

●初潜り:(真鶴・琴が浜)


そして初潜りは1月3日。真鶴の貴船神社に初詣して、今年一年の海での安全祈願をしてから、3㎜のウエットスーツで潜る冬の海。真冬にフリーダイビングの練習をしたのは、今年が初めてでした。年末から風邪をひいて声も出なくなっていたのですが、潜っているうちに治ってしまったという不思議な初潜りでした。

●フリーダイビング初めて講座第一回目開催:(新木場)


海ではありませんが・・・
フリーダイビングを始めたくてもきっかけがない、という人のための初心者講習会「フリーダイビング初めて講座」を開催。これをきっかけにフリーダイビングに足を踏み入れたひとも何人か^^第三回目は来年1月に開催します。

<2月>

●SORD訓練:(真鶴・琴が浜)

三陸の海での瓦礫撤去プロジェクトSanriku Ocean Rescue Divers(SORD)が真冬に始動。
ロープワーク、海底サーチの事前シミュレーションを真鶴で行いました。
ほぼ全員にとって未体験となるため、念入りにあれこれと議論をしながらの訓練。
身体は凍えながらも、熱い気持ちのウェットスーツ野郎でいっぱいの琴が浜でした。
見た目はまるで悪の軍団。でも正義の味方たちなのです!

●SORD始動:(三陸・崎浜漁港)


そして、いよいよその2週間後が本番、水温3度の海に潜りました。震災からほぼ丸一年たった海中はまだ沢山のものが沈んでいました。東京では、既に過去の出来事に思えていた震災が目の前にはまだ現実として未解決のまま残っている・・・そのことを目の当たりにしました。そして同時に、自然の生命力を感じることも出来ました。リアス式の美しい三陸海岸が大好きになりました。

 

<3月>

●SORD活動:(三陸・気仙沼湾内)


そして3月は気仙沼湾内に潜りました。またも水温は3度。前回は冷たくとも透明度の良い海でしたが、今回は冷たい上に視界も殆どなし。これはまた新たな体験でした。素潜りでできること、スキューバで出来ること、を試行錯誤しながら、漁師さんと一緒になっての作業となりました。

 

<4月>
●セイリング:(東京湾・横浜ベイサイドマリーナ)

今年の自分の一番の大きな出来事「転職」にあたり、この月は10年間勤めた職場でのラストスパートの大切な一か月でした。というわけで、今年唯一海に潜らない月でしたが、4月の最後に久々に、知人のヨットで海に出ました。ゴールデンウィークの始まり、長い有給休暇の始まり、これから始まる新しい仕事、自分の人生の船出のように感じたセイリングでした。

 

<5月>
ここから、怒濤の武者修行(無茶修行?)が始まりました。

●アプネア・アカデミー:(エジプト・シャルムエルシェイク)

長い休暇のはじまりは紅海での武者修行です。アプネア・アカデミー インストラクターコースで丸一週間フリーダイビング漬けでフリーダイビングの原点から学び直しました。

●マルセイユ

エジプト帰りに、マルセイユのフリーダイバー、グレッグ&ちか家に居候しました。
本当はマルセイユのフリーダイビングチームmessilia sudに混ざって海洋練習出来る予定でしたが、あいにく北風ミストラルが吹き荒れ海も大荒れ。一度も潜ることは出来ませんでした。そのかわりプール練習会に参加したり、海岸沿いをランニングしたり・・ひたすらに青い南仏の空と海を眺めながら。いつか絶対南仏で潜る!!と決心しました。

そのいつかは4か月後に早速やってきましたが^^;

・・・続く。

11:42 | yukimuto | 2012年武者修行まとめ(1)真鶴→三陸→エジプト→マルセイユ はコメントを受け付けていません

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