« | Home | »

2012/02/29

ついに、雪の積もった港から、水温3度の海に潜る日がやって来ました。


2012年2月26日。岩手県大船度市三陸町、崎浜。
プロスキューバダイバーとフリーダイバーとによる、三陸の海の再生プロジェクト
「Sanriku Ocean Rescue Divers」略称SORD(ソード)が始動しました。
私もこの活動の一員です。

この日の気温は1度。水中の方が温かいはず、、と無理やり自分に言い聞かせ、、
恐る恐る入った海は、冷たいというより・・・唯一露出している頬が
ピリピリ痛い。でも6.5mmの分厚いウェットスーツを着た身体は全く寒さ
を感じませんでした。これまで体験した最低水温は14度なので、一気に
経験値が上がってしまいました。

            
●初めて入った三陸の海は静かで、澄んでいました。

漁師さんに「ちょっと様子を見てきてほしい」と言われ港の中心をスノーケルで
泳ぎまわりますが、水底は随分片付き、とても綺麗です。
が、ふと見ると水底に藻で覆われた籠が目に留まりました。
水深は5-6m程度、普段なら一瞬で潜れてしまうところですが、これが潜れない・・
防寒性抜群の分厚いウェットスーツは浮力もたっぷり。錘を沢山つけて、ジャックナイフで
潜り込むのに一苦労でした。何とかフィンキックして水底に到達。籠を掴むと砂を巻き上げ
ながらも軽く持ちあがり、素潜りでもたやすく引き上げることが出来ました。
これはタコ漁の籠。本当はもっと沖で使うのですが、港に置いてあったものが津波で
流されてしまったそうです。でも、こうして引き上げたものはまた使えるそうです。

 

船の上で待機している漁師さんに籠を手渡して、もう一度水中へ。
2個めの籠も探すまでもなくすぐそばに落ちている。
それどころか、少し岸壁よりに移動すると、同じような籠が無数に落ちていました。
さらにタイヤ、パイプ、工具、ビニールシートのようなもの、大きな金属の破片・・

これが、津波から丸一年たった三陸の海なんだ、と
氷の入ったコップの水のような海の中で、私は実感しました。

日本中が震撼した大震災から一年が経過。
東京にいると、時としてもう何事もなかったかのように感じることもあります。でも、
ここ三陸の海で漁業は壊滅的な打撃を受けており、いまだ目の前にある現実の出来事。
今回の崎浜では、先輩団体である「三陸ボランティアダイバーズ」と一緒に潜ることが
出来、彼らや漁師さんに色々なお話を聞きました。まだ使える漁具を拾い上げたり、
養殖の邪魔になる瓦礫を撤去したり、と人の手でコツコツやるしかないことが、
そして、少しずつでも役に立つことが、まだまだ沢山あります。そして何より、
沢山の人にやって来てほしい、忘れないで欲しい、と言われました。


●漁師さんたちのバーベキューでは地元の鹿肉も!

私にとって3.11は、全ての価値観が覆るような日でした。
「海」の存在を改めて大きく、強く感じる出来事でもありました。
フリーダイバーとして何か出来ないか、ということ思い続けていた昨年末のある日、
スピアフィッシングの名手であり、昨年花火による復興支援イベント「Light Up NIPPON」
を立ち上げた高田佳岳氏が「東北海開き」を構想していること、そしてフリーダイバーの力を
必要としていることを知り、私はいつの間にか、このプロジェクトに参画することになりました。

抜群の実行力と企画力、そしてとてつもなく熱い海への思いを持った
高田氏の熱意に巻き込まれるように、元海上自衛官、元海上保安官、学生、フリーダイバー、
スキューバダイバー、スピアフィッシャー・・・・「海に対して、自分が出来ることをしたい」と
思うメンバーが次々と集まりSORDが結成されました。
そして、最も海の冷たいこの時期に活動が始動しました。
なぜこんな寒い時に?と思いますが、実は、透明度の良い冬こそ、
効率的に水中での作業が行えるのです。

SORDは、スキューバダイバーとフリーダイバーがタッグを組んで作業をします。
水中で長時間作業を行うような場合にはタンクを背負ったスキューバダイバーが有利、
広範囲をサーチしたり、水面と水中を何度も往復したりする時は身軽な素潜りが効率的、
とそれぞれの特徴を生かして今後の活動を続けて行く予定です。

フリーダイバーが日々磨いている、息を止めたり、深く潜ったりする能力。
それがボランティア活動として役に立ち、海の復興支援に繋がるのであれば、
これ以上なく嬉しいことです。 だけど、無理をしたり、先を急ぐことはない。
今は、出来ることを、出来る人が少しずつやっていければ良いと思います。

私は、何度か訪れるうちにリアス式の美しい三陸海岸が大好きになりました。
それにここは、岸近くても大深度がとれる、とてもフリーダイビング向きの地形。
夏になったらフリーダイバーのみんなとモノフィンで潜りたい!というのが夢です。

でもまずは少しずつ清掃作業を。
今週末は気仙沼でサーチ活動を行います!

 詳細はこちらで・・https://www.facebook.com/#!/SORD.Divers

●雪の中も不思議と寒くない!作業が終わってウェットスーツを脱ぐと体から湯気が出ました。

photo by Tomohiro Noguchi
Youdo Takeuchi

*この日の作業を指導いただいた三陸ボランティアダイバーズさんのブログはこちらです。
http://volunteerdivers.blog.fc2.com/blog-entry-132.html

2012/02/29 11:54 | その他 | 2 Comments

Trackback URL
Comment & Trackback
Comments are closed.

[…] そして、いよいよその2週間後が本番、水温3度の海に潜りました。震災からほぼ丸一年たった海中はまだ沢山のものが沈んでいました。東京では、既に過去の出来事に思えていた震災が目の前にはまだ現実として未解決のまま残っている・・・そのことを目の当たりにしました。そして同時に、自然の生命力を感じることも出来ます。リアス式の美しい三陸海岸が大好きになりました。 […]

[…] ス0度以下だそうです。海水は0度では凍らないからです。コップの中の氷水よりも冷たい「水」。私のこれまで体験した最低水温は3℃前後なので、未体験ゾーンにいよいよ突入です。 […]