お客様から電話がかかってきます
『知り合いの誕生日だったんだけどすっかり忘れてて。
いつもの感じで届けておいてもらえる?
お金はまた近く通った時でいい?』
うちの花屋にはよくあることで
こういうお客様を“お得意様”というんでしょう
お客様の好みもわかっていて
こういうお花を入れてほしいんだとか
こういう色合いが好みだとか
一回一回聞かなくてもわかっております
定期的にご注文をいただける
大変ありがたいお客様
お誕生日、結婚記念日、お悔やみ、
ちょっとしたお土産
お花を上手に贈りものとして活用されています
ですが、反対にいつも思うことがあります
“花屋ってなんて便利なんだろう~”
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私の実家は静岡ですので
両親の誕生日や父の日、母の日などというイベントは
配送するのがお決まりになっています
先日、父の誕生日のことですが
うっかりしてまして前日まで準備し忘れておりました
(そのままうっかりで終わってしまうこともしばしばですが)
こちらは鹿児島ですので
今から用意して発送するとなるととても間に合いません
そこで考えました
実家の近くにアイスクリーム屋さんがないかな?
おいしいアイスクリームを直接宅配してもらおう!
しかし、宅配をしてくれるようなアイスクリーム屋さんはなかなか見つかりません
mixiでも静岡の方にお伺いを立てたりもしましたが良い情報は得られず
(全く知らない方が 私が買って届けましょうか?と言って下さって
なんていい人がいるんだ・・・とびっくりしましたが 笑)
なんで花屋は配達するのに
アイスクリーム屋さんは配達しないの~???
私は不思議でなりませんでした
ケーキ屋さんなどは配達してくれるのかもしれないけど
初めて注文のお客さんで 今日の今日
配達してくれるようなお店はなかなかないんですね
結局あきらめて、amazonで注文し
さらに、在庫切れのため10日も遅れて父のもとにアイスクリームが届きました
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こんなこともあってか
一本の電話で配達してくれる花屋って
なんて便利なのかしら?
と自分自身が花屋でありながら感じるのです
しかし、もちろん
お店とお客様の今までの信頼関係があって
できることでもありますね
全く見ず知らずの方にお電話で1万円の注文をもらって
1週間後の支払いで・・・となったら
さすがにヒトのいいお花屋さんでもこれは受けられないでしょう
ですから
いろいろなお花屋さんに行って好みのお店を見つけることも大事
そしてそのお店で店員さんとお話をして
自分を覚えてもらうことも大事
またどんなものが好きなのか 話しておくことも大事
私たちもたくさんのお花を扱い
たくさんのお客様に接しますが
意外と1つのお花を見ると
“これは、○○さんの好きなお花だ~”とか
“○○さんのご注文に入れて喜ばれたな~”
と必ず思い浮かべる顔があったりして
そのお花の時期になると
そのお客様にプレゼントしたくなっちゃうこともあるんです
そんなやり取りの中で
ふと思い出した時に電話一本でお花を届けてくれる
素敵な関係ができあがっていくんですね
是非、行きつけの素敵なお花屋さん見つけて下さいね
大切な人に大きな花束を贈ったことがありますか?
もしくはもらったことがありますか?
映画やドラマでよく見る抱えきれないほどの大きな花束ですが
現実にはなかなか見る機会が少ないものではないでしょうか
私たちは実際に『このお花で』と一種類を指定されて
花束を作ること、結構あります
ゆり、ガーベラ、チューリップ、グロリオサなどもありましたが
やっぱり圧倒的に注文が多いのは『バラの花束』
とくに年齢の数だけといったものが多いですね
私たちもそんなロマンティックなご注文をいただくと
ちょっとうきうき 浮足立ってしまうのですが
私が花屋になりたてのころのお話です
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ある県外の男性のお客様からご注文の電話がありました
『ある女性に花束を贈りたい
○日に配達して下さい』
ありがとうございます・・・それでどういったお花を?
『黄色いバラだけで花束にしてほしいんだけど』
黄バラですね
ご予算とかございますか?
『予算と言うより黄色いバラを200本花束にしてほしい』
2・・・200本!?!?
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今でこそネット社会の恩恵を被って
1万円以上のご注文をお受けすることも増えてきましたが
当時、鹿児島でバラ200本の花束なんて贈り物は
ほとんど聞いたことがなかった私たち
しかも赤バラでなく黄バラというご注文に
小さな花屋はあたふたあたふた
当日の配達でなかったことが救いでした
もちろん200本の黄バラの在庫なんてあるはずもなく・・・
多方面に協力をいただき なんとかそろえた黄バラ200本
トゲ取りに水揚げにラッピング
どれをとっても今までの扱ったことのない量でした
花束の形はなんとか出来上がったものの
体格のいい夫でも
『よっこらしょ』と持ちあげるのが大変な重さになりました
さあ 問題はお値段です
200本のバラと言われたので
≪このヒト バラが1本50円ぐらいだと思ってるんじゃないのかな?≫
とちょっと不安に思っていた私たち
そこへまたそのお客様から電話です
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200本黄バラそろいました♪
『ありがとう。じゃあ配達お願いします』
わかりました
『で、いくらになりました?』
≪きたー!これでキャンセルされたらどうする??≫←心の声
えっと、1本200円でしたので4万円に・・・≪どきどき≫
『ほんと?安かったね』
≪・・・!≫
そ・・・そうですか、よかったです(^^;
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ほっとしました
しかし この200本のバラ
もしかしたら プロポーズにでも使ったのかしら?
それとも どこかの大スターに?
とでも お思いでしょうか
実はここからまったく夢のないお話へ突入ですが(笑)
なんとこの花束は
行きつけの【ラウンジのお姉ちゃん】にプレゼントされたのです~
夜のお店で働いている女性は
お誕生日にお花がどれだけ届くかが人気のバロメータになるようですね
このお花もその一つ
ですから
せめて200本の黄バラが届いたときに
『うわ~すごい~!!』と反応してもらえると嬉しいのですが
配達した社長いわく
持っていったら 大した反応もなく
『そこにおいといて下さい』
とそっけなく言われた
そうです
まあ、私たちはお客様のご注文通りに
確実にお花をお届するのが仕事ですし
それ以上の感動をもらおうなんて虫が良すぎますが
黄バラ200本なんて
ちょっと夢見たくなるような注文でしたので
やっぱり なんか 肩すかし~・・・
な出来事となってしまいました(^^;
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ちなみに今週は
ご両親のご結婚35周年を記念して
息子さんから35本の赤バラのご注文というのいただいています
同じバラの花束ですが
こちらはなんだかほっこりしますね(^^)
『あなたの好きな花ベスト3を挙げて下さい』と聞かれたら 何と答えますか?
先日クイズ番組で爆笑問題の田中さんが
『好きな果物ベスト3を聴くのが好きなんだ』と言っていて
そのテーマで盛り上がっていました
なるほど 意外とこのテーマってヒトそれぞれで面白いなあと思ったわけです
ゲストの男性陣は意外と『桃』が多くてびっくり
桃ってそんなに食べる機会あるのかな?
ちなみに私は 『梨 柿 イチゴ』です
そこで、『じゃあ 好きな花ベスト3は?』となったら
みなさん、何をあげられるのかな?と思ったわけです
即答できる人ってちょっとかっこいいと思うのです
もちろん一つでもいい
好きなお花、ちょっと考えてみて下さい
ちなみに 小さな子供が好きなお花は ひまわり ガーベラ チューリップ
ほぼこの3つに集約されます
パカッとお花が咲く雰囲気が好きなんでしょうね
年齢を重ねるごとに バラだったり桜だったり
香りが好きということで金木犀だったり
いろいろなお花に興味が分かれてきますね
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ちょっと話が変わりますが
私は社会人になった年 今の夫とともに
フラワーアレンジ教室にお花の勉強に通いました
もちろんお花が初めてのど素人でした
数か月通ってちょっとお花の名前を覚えた時に
先生に意気揚々と『私 ブルースターがすきなんですぅぅ』と言った記憶があります
今思うとちょっと恥ずかしいのですが
その時の私は
『 ね 先生 私、お花の名前ちょっと知ってるんですよ~ 』と
玄人感を出して言ったんでしょうね
ブルースターは本当にかわいいメルヘンチックなお花で
(もちろん今でも大好きですが)
若い女の子はこぞってこのブルースターが好きなのに
『私はこんなにお花に詳しいのよ感を出した自分』を
若かったな~と思う今日このごろです
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ちょっとそれてしまいましたが
とくに年齢を重ねられた女性はお花をご自分で育てられることが多く
いろいろなお花の名前を知っています
でももっともっと若い方だったり
男性の方でも 自分の好きだなと感じるお花を見つけて
名前を調べて
『この花が好きなんですよ』と言えるようになると
かっこいいなあと思います
アンケートや自己紹介で
・好きな映画 ・好きな音楽 ・好きなスポーツ
はよく見るけど
『好きなお花』を答える機会って意外とないですね
聞かれても困る方が大半なんでしょうが
ここを答えられるかどうかは
ステキ大人になれるかどうかの境目かも♪
ちなみに花屋をしていてちょっぴりさびしく感じるのが
『自分の好きなお花』というものが
『アレンジしやすい便利なお花』や『持ちがよく使いやすいお花』
になりがちなこと
昔はもっともっとはかなげなお花が好きだったのに
1週間でもパリッとしていてそうな
強いお花を好むようになってしまいました
好きという意味がどうしても変わってしまいます
そこが職業病とも言えるちょっぴり悲しいところでしょうか
ご自分の好きなお花が思いつかない時は
『もし今 好きな一種類だけのお花を花束にしてプレゼントしてもらうとしたら
なんのお花がいいかな?』
と考えてみましょう
何色?大きなお花?小さなお花?
ちなみに私が欲しい花束は・・・
季節はずれだけど
やっぱり
チューリップです♪
こんにちは 鹿児島の花屋 上村恵理です
前回の自己紹介文がJunkStageさんに掲載されたのを見て
セレブの集うパーティに招かれたはいいけど
たった一人だけ 普段着姿の一般庶民のようで
てへへへ と笑っているしかない私
そんな心持ち
そんな感じも楽しみながら
書いていきたいと思いますので
お付き合いいただけたら嬉しいです
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1回目のコラムにふさわしいテーマのお花は
やっぱり『バラ』ではないかしら
いろいろなお花やできごとを頭の中で廻らせてたけど
今日、仕入れたばかりのバラのトゲを取りながら
やっぱり『バラ』だ!と思いたどり着いたのです
バラほど種類が多く豊富で
愛好家も多いお花はあまりないのではないでしょうか?
そのバラの種類の多さには助けられ 時に悩まされるけど
何よりも悩まされるのは『トゲ』
これまで幾度となくトゲにはやられましたが
刺された日は とてもとてもブルーになります
何年たっても慣れません
大きなトゲは えい!っと抜いちゃえますが
小さなトゲはなかなかとれず
『もういいや、気にするな』と思っても
なにせ指先に刺さっているものだから
1日中気になって気になって仕方がない
反対の手の指でつまんだり
5円玉の穴の部分を当てて
コサージピン(花屋にはある)でほじくったり
最悪なのは毛抜きでトゲをつかむも
途中で切れてしまってつかめなくなるパターン
何度やっても取れない場合は・・・あきらめます
だからお花屋さんの体には
バラのトゲがいくつか埋め込まれているはずです
“お花屋さんの体の0.001%はバラでできているのです”
そう考えるとちょっとステキかもしれない♪♪
以前お客さんに
『お花屋さんにバラのトゲをザーって
“素手”で取る人がいるんでしょ?』
って言われました
どこに??どこにいるの?そんな人???
いまだに信じられない私です
ちなみにバラのトゲ取りは
一つずつハサミかナイフで取ってあげます
手でポキンっと折れるトゲもあります
トゲ取り(正式名称?)という便利なものもありますが
茎を傷めるのでお勧めしません
(でも時間がない上に あまりにしつこいトゲの場合は
使っちゃいますけどね、ごめんなさい)
ほとんどトゲのないおりこうちゃんなバラもありますし
小さな 本当に小さなバラなのに
『とげとげ とげとげ どこにも触らせないぞ~』
オーラを出している子悪魔バラもおります
お客さんが怪我をしないように そして
もちろん私たち花屋も これ以上刺されないように
これからもトゲを取り続けます
そういえば、『茨の道(いばらのみち)』などの
“いばら”から“バラ”と言われるようになったというのは有名ですが
なるほど、トゲがささってもささっても進む花屋の道は
まさに色とりどりな“茨の道”でしょうねえ
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なんだか今回は初回なのにバラの悪口になっちゃいましたが(^^;
こんな思いをしながらお花屋さんはバラを扱っているんだな~
と思いながらお花屋さんをのぞいてみてもらえたら嬉しいですね
はじめまして。
こちらでコラムを書かせていただくことになりました
花屋歴6年の上村恵理(かみむらえり)と申します。
お花は一般の方よりすこーし詳しい程度
あまりに広く深いその世界の入口に立ったばかりのようなものです
とはいっても、6年間も毎日、
花とともに生活していればいろいろなお花、お客様、事件に遭遇します
まさにゆりかごから墓場までのお付き合いをする花屋ですから
その時に見える人間模様はそれはそれは興味深い世界です
ひとつひとつのお花が持つ世界とそこに生まれるエピソードを
私たちだけのものにしてしまってはもったいない!
日常、視界に入っているものの目にとめてもらえないようなお花の健気さやかわいらしさを
ぜひ皆さんにも知っていただきたいと思っています
では簡単な自己紹介を・・・
出身は静岡県静岡市。高校まで実家でのほほんと暮らし、大学時代に宮崎で生活。
牛やヤギ、羊たちとともにのんびりと暮しました(畜産関係の学科でしたので)
ぎりぎりの単位をもらって卒業した後、就職で鹿児島に参りました。
ブライダル関連の営業職を7年ほど続け、結婚を機に夫と義母の花屋で働き始めました。29歳のころです。
現在35歳、3歳の男の子が一人おります。
花屋と言ってもいろいろですが、
私たちのお店はよくあるタイプの小さなお花屋さんです。
忙しい時にお手伝いをいただくことはありますが、基本的には家族だけで営業しています。
だからこそ一から十まで自分たちですべてやるので、一年中飽きることがありません。
私はお花に関して、全くの無知でこの世界に飛び込みました。
知っているお花は、バラ、ガーベラ、カーネーション、ゆり、カスミソウ、桜、チューリップ、菊、ひまわり。これで全部。小学生と同じです。
結局、それまでの人生、お花に全く興味がなかったのですね。
その私が6年も経てば 一丁前に花嫁さんにブーケのアドバイスをし、
バラの品種を指定してお花を仕入れるようになるわけですから
石の上にも6年ということでしょうか。
お花が好きで好きでお花屋さんになる方は大勢いらっしゃいますが
私のようにお花屋さんになってから徐々にお花が好きになる人というのは少ないのだと思います。
ですから一般の方に近い目線で、お花やこの仕事の魅力をご紹介できるんじゃないかな?
お花を身近に感じていただくのが私の使命!と思いこのコラムを書かせていただくことにしました。
ただし、ただ美しい、かわいいお花の紹介記事だけではないことをご了承くださいね(^^;
小さな花屋さんのままでいるつもりはありませんので
その奮闘ぶりや生々しい現場の出来事などもつづっていくつもりです
お花屋さんに憧れをもつ方の夢を壊さない程度に・・・
それではこれからよろしくお願いいたします♪