荷物がなくなり、身が軽くなった私はドンドン歩く。
前方に見晴らしの良さそうな高台を発見。
高い所は大好きだ。
長い階段を上がり、頂上に着くと素晴らしい景色が広がっていた。
運送屋があんなに小さく見える!あっ人が歩いてる!なんて浮かれてはしゃいでいると、後ろからゴホンっと咳払いが聞こえた。
振り返ると、そこにはダンディーなおじさんが立っていた。
景色に夢中で人がいる事に気が付かなかった。
私は顔を赤らめながら、慌てて挨拶をした。
『こんにちは。さっきから何度も声を掛けていたのだが・・よっぽどこの景色が気に入ったようだね。』
私は頷いた。
『素晴らしい場所だろう?私は子供の頃、この近所に住んでいてね。辛い事や悲しい事、嬉しい事があると、よくここでボッ〜としたものだよ。今はもう
遠くに引っ越してしまってね。今日は久しぶりに、このお気に入りの場所に来たのだよ。』
私はおじさんに何かあったのですか?と尋ねた。
『うむ、来月に娘が結婚するのだよ。嬉しいやら、寂しいやらで。』
おめでとうございますと私は伝えた。
『ありがとう。今度、娘と一緒にココに来ようと思っているんだ。家では照れくさくて言えないような事でも、ここでは言えそうな気がすんだよ。まっ、来てくれればの話なんだがね・・』
いえ!絶対に来てくれますよ!っというと、おじさんは照れくさそうに笑った。
重い・・リンゴが・・
ちょっと多すぎる。
お腹が空いたらとりあえず食べているが、いっこうになくならない。
ここらで少し休憩しようと腰を下ろすと、目の前に運送屋さんの文字が。
そうだ!実家の両親に送ってあげよう。
私は重い腰を上げ、運送屋さんに向かった。
すいません!っと階段を昇ると、社長らしき人物に迎えられた。
私はこのリンゴを配達してもらいたい事を伝えた。
『承知しました!宛先をこちらに書いていただけますでしょうか?』
私は実家の住所を書いて渡した。
『お客様のご住所は?』
そうだった!私には住所がなかった・・
とりあえず心配させないように、ブロックの家の住所を書いておいた。
『ふむふむ、この送り先は・・ここからだと中距離地区ですね〜。あいにく今うちにいるランナーは短距離タイプと長距離タイプの二人だけなのですが。
どうしましょか?』
どう違うのだろうか?私は説明を求めた。
『え〜短距離タイプは短い時間凄い早さで走るのですが、すぐスタミナが切れて休憩します。あと早く走るので荷物はくちゃくちゃになります。長距離タイプは遅いですが一定のスピードで走り、スタミナもありますが時間が結構かかります。』
トータルでどちらが早く着きますかと訪ねた。
『う〜ん、そうやな〜。中距離かぁ〜・・トントンやな。』
同じくらいなら、短距離タイプを選ぶわけがない。荷物がクチャクチャになるし。
それじゃあ長距離タイプでお願いします。
すると社長は少し寂しそうな顔をしながら、
『うんそうやな!長距離タイプしかええな!じゃあ長田君、ひとっ走り頼むわ!』
長田君は私から荷物を受け取り、実家目指して走っていった。
なぜか落ち込んでいる社長の横で短距離タイプの彼が何やら呟いている。
『社長・・もうやめましょう・・ちょっと解りにくいですよ・・』
『うん!そうやな!』
かなり遅くなりましたが。あけましておめでとうございます。
小さい人シリーズが絶不調でして・・
同じ絵を何度も描き直しています(涙)
なので今回は友達に頼まれていたバイクのイラストです。
HONDAのCB400SFになります。
僕も少し前までバイクに乗っていたのですが、自分の欲しい物を買うために手放しました。
でも手放すと寂しいもので、また乗りたくなるという悪循環がまっています。
ツーリングがね、楽しいのですよ!
こればかりは行ってみないと良さが解らないとは思いますが!
カメラを持ってフラフラと彷徨う。
あ〜考えただけでたまりません!!
大きくて、カラフルな家を見つけた。
屋上に木が沢山生い茂っている、なんとも珍しい家だ。
一体どうなっているのだろう?
私は不思議に思い、住人の方に声をかけて屋上を見せてもらおうと思った。
玄関から声をかけてみるが返事はない。
聞こえていないのかな?
私は大きな声をだすのが苦手だが大きな声でもう一度声をかけてみた。
すると上から返事がきた。
『はい!どうかしましたか?』
私は屋上を見たい事を伝えた。
『どうぞどうぞ!はしごを昇って来てください。』
はしごを一つ登ると、そこはまるで森のようだ。
赤い実がたわわに実っている。
もう一つ昇ると、そこに住人の方がいた。
『初めまして!私は加持津 実と申します。この果樹園のオーナーです。ゆっくりしていってくださいね!』
私も簡単な自己紹介をした。
『ほ〜ほ〜なるほど。家を探す旅ね〜。いいね〜そういうの好きだよ私。私もこの家を見つけた時はビビッときたもんだ。
果樹園するきゃないってね!見てこのくぼみ!植えるっきゃないでしょ!』
私はフンフンと頷いておいた。
『ここ見て!この間植えた種が芽を出したのよ。かわいいだろう。早く大きくならないかな〜。楽しみだね〜。
あっ!そうだ、うちで採れたアップル持っていきなよ!ちょっと待ってて!袋に入れてきてあげるから!』
そう言うと彼は下に降りて行った。
私も下に降りて家の前で待っていると、両手に袋一杯のリンゴを持って彼が家から出てきた。
『少ないけどこれ持っていきな!』
私はこんなに沢山いただけないと、お断りした。
『遠慮しなさんな!家が決まったら近所に配りな!親戚や家族にも忘れずにね!』
そう言うと私の手に二つの袋を持たせてくれた。
私はありがとうございますとお礼を言い、ヨタヨタと歩き出した。
早く家を見つけなくちゃ…
貯水タンクに人が潜っていた。
こんな所に人が入っているとは思ってもいなかったので、ビックリした。
私は軽くお辞儀をして、どこから入ったのか訪ねた。
しかし返事はない。
そりゃそうだ。
向こうは水の中だから聞こえるわけがない。
しかし私が何かしゃべっている事に気が付いた彼は、少しそこで待っていてくれと合図をして。上に浮上していった。
どうやら一番上の方に小さな丸い入り口があるようで、彼はそこから顔を出し、よじ登ってきた。
『ここから出るのが一番大変なのだよ。』
よじ登ると、今度は坂道を転げ落ちてきた。
『いたたたた…』
腰を摩りながら、彼は私に近づいて来た。
『初めまして、私はさすらいの潜水士の石田です。液体がある所を探して旅をしています。』
私も簡単な挨拶をして、彼に潜って何をしているのか訪ねた。
『何をしているかと聞かれると困るね〜ただそこに液体があると入らずにはいられないのですよ。』
そう言うと、石田さんは背負っていたボンベをおろして、そこに腰をかけた。
そして今まで旅をして入ってきた液体の数々を語りだした。
『ニュルニュルした液体や、泡が出るのにも入った。一番怖かったのが真っ黒の液体だ。入ったのはいいが出口が見つからなくてね。あの時は死ぬかと思ったよ。』
彼の話は面白くて、時間があっという間に過ぎ去った。
『おっと、長話しすぎちゃったね。そろそろ私も行かなくっちゃ。もし変わった液体を見つけたらココに連絡をしてよ。』
っと言って、名刺を渡してくれた。
あっ!!私は湯たんぽで釣りをしていた、おじさんを思い出した。
私が歩いてきた方向に行くと、釣りをしているおじさんがいるのだけど、そこには入らないでほしいと伝えた。
おじさんに潜っている所を見られると、さすがに魚がいるか気になってしまいそうだから。
『そこに液体があるのならば、それは無理なお願いだ。だけど、おじさんのいない隙にこっそり潜っておくよ。』
そう言って次なる液体を求めて、彼は歩き出した。
私は久しぶりに空き家の情報を得た。
情報源はあのカメラ好きのおじさんだ。
あの変なおじさんの言う事なので正直あまり期待していなかったが、予想以上に素晴らしい家だ。
緑豊かな庭があり、ピンク色の花をつけた木が沢山生い茂っている。
その庭より高い場所に家があり、部屋からこの奇麗な庭を一望できる。
そして何よりこの独特なフォルムがたまらない。
家の外装が赤いというのも好ましい。
ようやく私の家探しの旅は、終わりをむかえたかのように見えたのだが…
キョロキョロ辺りを見渡すも階段がない。
目の前にはロープ。
私は全てを察知して、そっと立ち去った…
えーっと、次からは小さい人の日常が始まりますと言いましたが‥
少しお待ちください!!!
すいません!!
っと、これで終わるわけにはいかないので、少し話をさせていただきます。
僕が、この小さい人シリーズを描きだしたのが、多分四年くらい前でしょうか?
このJunk stageさんで公開している絵は初期の頃の絵も混ざっております。
町役場編や、空き瓶なんかがそうです。
よく見ると小さい人の描き方が違うのが解ると思います。
初期は手や足なんかも描いて、スリムな感じ。
最近の絵は、かなりデフォルメされて、ぽっちゃり気味。
あと初期の頃は、無駄に人物が多いです。
そして大半の絵は何回かリメイクしています。
今回は町役場編のコンテナをリメイクしました。
構図は同じですが、人物をシンプルな配置に。良くなったのか、悪くなったのか‥
お久しぶりです。
もう忘れられてしまったのではないかと心配しながら、コラムを書いております。
この数ヶ月、少しバタついておりました。
僕のコラムは小さい人が理想の家を探す話なのですが、小さい人より先に自分の家を見つけてしまいました。
これがなかなか大変でしてね…
もう二度と家は建てたくないです。
まあ、建てれませんけどね…
そして引っ越しも終わり、ネットもできるようになって、ようやく落ち着いてきました。
しかし!
今まで絵を描いていた場所がなくなり、新たな環境に移ったため、落ち着かないのか、まったく絵が描けません。
理由はそれだけではないいんでしょうが。
少しの間、更新にムラがでるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします!!
次回は小さい人シリーズですよ!!
JunkStageをご覧の皆様、こんにちは。
いつもJunkStageをご訪問いただき、ありがとうございます。
「小さい人の日常」のライター、物語作家・細川亮さんですが、現在私事多忙のため8月末日までこちらの連載を休載とさせて頂いております。
ご愛読頂いております皆様には大変申し訳ございませんが、次回更新の際をお楽しみにお待ちくださいますよう、お願い申しあげます。
(JunkStage編集部)
カシャカシャ。カシャカシャ。
黙々とシャッターを切るおじさんと出会った。
実は私、カメラが趣味だ。
今は残念ながら持っていないが、落ち着いたら買おうと思っている。
おじさんは、フワフワと揺れる花を熱心に撮影している。
見た事もない花だ。
私はおじさんに、この花は何という花なのか尋ねた。
『……これは…船花…』
ボソボソと喋るので聞き取りにくい。
カシャカシャ。
私は、えっ?と聞きなおした。
『…風…花……ちょっと…花に…触れて…ないか…』
カシャカシャ。
シャッター音が気になって仕方ない。
『早く……』
私はおじさんの言う通り花に触れてみた。
パンっ!!
大きな音と共に丸い花は弾けてしまった。
私はビックリして尻もちをついた。
カシャカシャカシャカシャ。
『フフ…良いの…撮れたよ…』