彼のクシャクシャの家を引きずりながら何とか運んで来た。
『お疲れ様。まぁ・・以前とは家の向きが違うけど・・そこは模様替えしたと思えば大丈夫です。』
やはり彼は寝転んだままだ。
流石に私の堪忍袋の緒も切れそうだ。
そんな私の怒りに気が付いたのか、気まずそうに寝返りをうって私に背を向けて何かを呟いた。
『・・行きな。』
小さな声だったので肝心な部分が聞き取れなかった。
何?っと聞き返した。
『ここから500mほど北に行きな。あなたが求める家はそこにある。』
私は彼にお礼を言い、ワクワクしながらその場を去った。
急がなきゃ!!誰かに住まれる前に!!
〜続く〜
少し強い風が吹き、豆田さんの家はフワッと舞い上がり、少し離れた場所に着地した。
『・・・』
長い沈黙が続いたが豆田さんが口を開いた。
『あの・・申し訳ないのですが、家を拾ってきていただけないでしょうか?』
私は『えっ!』と聞き返した。
『いや、見た目は大きくて重そうですが、思いのほか軽いですよ。』
重いとか軽いの問題ではない。
『じゃあ、何か差し上げますから!』
そう言うと豆田さんは辺りを見回したが何もなかった。
『どうしたら取って来てくれるんですか!!』
何故か少し怒り気味だ。
私は飽きれてその場を立ち去ろうとした。
『ちょ、ちょっと!どこに行くんですか!』
今、家を探しているので先を急ぎます。と彼に告げた。
『なんだ!それなそうと言ってくださいよ!私、良い家の情報持ってますよ。』
私の足はピタっと止まり、振り返り豆田さんの顔を見た。
豆田さんは寝ながら、ニヤッと笑った。
『まずは私の家を。』
信じて良いのだろうか・・・
〜続く〜
何だか・・しわくちゃな家。
中で住人の方がお昼寝している。
風が吹く度にグラグラと小さく揺れている。
家と地面を固定しているものは何もない。
今にも飛んでいきそうだ。
私の家ではないが心配だ。
『大丈夫だ。』っと声がした。
どうやら起きていたようだ。
『この家を作ってから三日も経つが、飛ばされた事は一度もない。』
男は寝転がったまま私にこう言った。
『あ〜失礼、私は面倒臭がりの豆田と言います。起き上がりませんよ、面倒ですから。』
私も挨拶しようと、口を開いた瞬間。
『あ〜いいです!そろそろ喋るのが面倒になってきましたから。』
私は開いた口が塞がらなかった・・
その時だった!!
〜続く〜
※久しぶりの更新となり、長い間放置したままで申し訳ありませんでした。
今回は今までの1話完結型とは異なり、4話で完結してみようと考えております。
次の更新もなるべく早くできるように努力いたしますので、どうかよろしくお願いします。
私は久しぶりに家探しを再開した。
しばらく家探しから離れていたので、何だか新鮮な気分だ。
少し歩くと一件のお宅を発見。
何やら外壁を塗り替えているようだ。
しかしちょっと待て。
どう考えても上の方は塗れないぞ。
何か策はあるのか?
ハシゴを立てるつもりか。
いや足場が悪いから危険だ!
じゃあどうする・・?
私には考えつかないような秘策があるに違いない。
気になる・・
そうこうしているうちに、男は手の届く範囲の壁を白く塗り終えた。
いよいよだ。
どのような秘策があるのか楽しみで仕方ない。
私の目は男に釘付けだ。
すると男はローラーとバケツを置いて、こう言った。
『よし!終わりだ。』
えっ・・こんな中途半端な塗り方は許せない!
私はつい男に、肩車しましょうか?っと声を掛けてしまった。
突然ですが、私は仕事を辞めました。
それはもう十分なお金を稼いだからです。
会社の社長には留まるように説得されましたが、私の意思は変わりません。
たとえ時給を50円アップしてくれると言ってもだ。
そんな僕に社長は、『気が向いたらいつでも戻って来い。』と言ってくれた。
一人で旅をしていると、そんな些細な優しさが凄く嬉しい。
私はポケットからハンカチを出して涙を拭いた。
まぁあの会社が何を作っているのかは解りませんが・・
すると突然『おっちゃんなんで泣いてんの〜?』っと子供の声が。
振り向くとそこには大勢の子供が!
あぁ・・タバコの煙が目に・・
『ふ〜ん。それなら今からここで鬼ごっこするから、邪魔なんで早く降りてくれる?』
あっゴメン・・
JunkStageをご覧の皆様、こんにちは。 いつもJunkStageをご訪問いただき、ありがとうございます。
「小さい人の日常」のライター、物語作家・細川亮さんですが、現在私事多忙のため2014年11月末日までこちらの連載を休載とさせて頂いております。
ご愛読頂いております皆様には大変申し訳ございませんが、次回更新の際をお楽しみにお待ちくださいますよう、お願い申しあげます。
(JunkStage編集部)
2014.9.4 休載期間訂正
私は求人掲示板で見つけた少し怪しい職場の面接に合格し、無事初日を終えた。
恐らく明日は全身筋肉痛になるであろう。
それほど大変な仕事だったのだ。
えっ?どんな仕事かって??
これだけは絶対に言えない・・・
いや本当に。
言えないってば!!
私は少しお金が減ってきたので仕事をしようと求人掲示板を訪れた。
基本お金がなくても最低限の食料は支給されるのですが、贅沢をするにはお金が必要なんです。
僕だってたまにはお茶をしたり、レストランで美味しい食事がしたいですからね。
さてどんな仕事があるのかな。
まずはここから見てみよう。
『この壁を押さないでください。倒れる恐れがあります。』
いやこれは違う。
注意書きだ。
たしかに少し触っただけでユラユラする。
次を見てみよう。
『10分1000円〜お店に来てのお楽しみ。』
なんだろう?
凄く気になる・・
いやいや!今は仕事を探しているんだ!
しかしどの仕事も時給が安い。
できれば簡単で楽チンな仕事が良いんだけど。
そんな仕事はないか・・
ん?!
『時給1000円 誰にでも簡単にできる仕事です。
ただし仕事の内容を外部に漏らさない!が条件です。
詳しくは面接にて。』
少し気になる所があるがここにしよう。
※今回着色が間に合いませんでした。後日完成次第、差し替える予定です!!
申し訳ありませんがよろしくお願いします。
あの出来事を誰にも喋らないようにと、しつこく念を押された。
それでもまだ心配なのか、家でお茶でも飲んでいきなさいと無理矢理自宅に招かれる事になった。
五十嵐さんの家はあの場所からは少し離れた所にあったが
お互い自己紹介や最近の出来事なんかを話ながら楽しく歩いた。
特に私が家を探している事を話すと、彼は自分の住んでいる家はオススメだと鼻息荒く迫って来た。
ちょうど今は空き部屋もあるらしい。
そこまでススメてくれる家なら期待ができる!
ワクワクしながら着いたのがココである。
何とも乱雑な家だ・・
これが私の第一印象だ。
『僕の家はこの黄色の家です。ねっ!いいでしょ!この密集した感じが何とも言えないでしょ!さぁ入って、入って!』
正直この雰囲気は私の好みではない。
しかし、中も見てみない事には何とも言えない。
とりあえずお邪魔してみようとした時、隣の家からおばさんが出て来た。
『五十嵐さん、ちょっといいですか?』
すると五十嵐さんは少し気まずそうな顔をしながら黙り込んだ。
『旅行から帰って来てビックリ!部屋中グチャグチャ!以前にも言いましたよね?プロレスごっこは外でしてくださいって!
家が密着しているうえに壁がペラペラ何ですから!解りますよね?私の言ってる事!』
五十嵐さんは申し訳なさそうに頭を下げ
『すいません・・大学の同級生が久しぶりに遊びに来てくれたので、つい調子に乗っちゃって・・』
『ほんと仕方ないわね〜・・それじゃあ片付けるの手伝ってくれる?』
『もちろんです。』
そう言うと五十嵐さんはおばさんの家に入って行った。
するとおばさんは私を見てこう言った。
『あんた何してるの!あんたも手伝いなさい!!』
えっ・・
黒い物が蠢いている側で一人の男性が立ち尽くしていた。
これは一体何なのか?
私はそっと近づいてみた。
すると男性は私に気付いて後ろを振り向いたが
すぐさま視線を前に戻し呟いた。
『私はこれが一体何なのか全く検討がつかない。
興味本位で引っ張ってみたんだが、次から次に出てくるではないか。
後で元に戻せば問題ないと思い私はさらに引っ張りだした。
とても楽しいひとときだった・・』
男性はため息をつき
話を続けた。
『ところがね、風がいたずらをしていったのだよ・・
ピュ〜っとね。
そしてこの有様だよ。
そこらじゅう捻れてしわくちゃで・・
それでも私は何とか元通りにしようと試みたが余計に収拾がつかなくなってね。
最初に言った通り、私はこれが何なのか解らない。
歴史上とても大事な物かもしれないし、もしかしたら何の価値もないゴミみたいな物かもしれない。
でも何かやってはいけない事をやってしまった。
そんな感じになってしまってね。
只々こうして立ち尽くしていたのだよ。』
彼の話を聞いた私は何て声を掛ければいいのか解らず、只々黙って彼の後ろで立ち尽くした・・