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ザ・エージェント
【JERRY MAGUIRE】1996年
以前のコラムでも何度か書いているが、
自分の法則で、何人かの俳優・女優タチが
『この役者=この映画(のこの役)』と勝手に頭の中で人格化されている。
アウトブレイクがダスティン・ホフマンの映画であれば、
トミリー・ジョーンズはボルケーノ、
ジュリア・ロバーツのエリン・ブロコビッチ、
クリスティーナ・リッチのペネロピ、
そして、トム・クルーズ【Tom Cruise】はこの映画『ザ・エージェント』。
最近思うに、役者は演じていて、そのどれもが異なる個性をもち、
ではその役者はどんな人、なんて映画のスクリーンからは知る由もなく
仮でも人格化されないと、頭の中に残らないのかな、と思う。
この映画は大学を卒業したての頃にアメリカで見たので、原題の
『ジェリー・マグワイア』という人の名前も音が良く印象に強かった。
オープニング、ジェリーは自分の職業をこう語る
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僕は表に出ない
プロ・スポーツの黒子 ーってスポーツエージェント
I’m the one behind the scenes.
I’m the sports agent.
(通りすがりに選手たちに会い挨拶をする。)
エージェントをお探しなら僕を
あんたのためなら 捨て身になって働く
Listen, the door is always open if you want a real agent.
I’m gonna go to a meeting now, and I’m gonna talk about you.
=====
最後のセリフの語尾に『〜 like animal.』といっているのだけれど
聞き取れなかったし、調べてみても、どのスクリプトにも載ってない。
聞き違いかもしれないが、気になりこのコラムを考え始めた。
そしてシーンは変わり、稼ぎのいい選手が試合で怪我をし入院、
それでも仕事の話をして帰るジェリーを選手の息子が呼び止める。
これ以上父さんを試合に出さな方がいい、と問われ、
君の父さんはまだまだ闘える、と答えたジェリーに少年は罵倒し走り去る。
=====
死んじまえ!
Fuck you.
僕は背広を着た人食い鮫?
Who had I become?
Just another shark in a suite?
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この出来事から、人のココロを無視し、ヒトを商品としか扱わない
そんな業界に嫌気がさし、そうやって働いてきた自分にも疑問を持ち
考え直し、苦悩し、それでもそのココロを取り戻すべく、
愛あり、友情あり、でストーリーは進んで行く。
like animalにしても、shark in a suiteにしても、
ヒトが闘争心を出すと、日本的表現であれば普通“鬼”になりそうだが、
英語だと動物になるのだな、と。
そして、そこには、常に人間に戻る可能性がある、のがいい。
動物がヒトと同じ生物学的な地球上の生き物であるとするならば、
想像物である鬼になったら人間には戻れないじゃない?なんて思う。
トム・クルーズの映画は何本もあるけれど、どれもみな、
それなりにカッコ良く映っているものが多い。
このジェリー・マグワイアも多々そうなのだけれど、
時々、なんとも言えないバツの悪そうな、不可抗力でこうなりました
的な中途半端な、でもすごく人間クサイ表情をする。
多分その要素がトム・クルーズとして私の中で人格化され、
“トム・クルーズの映画はジェリー・マグワイア”になった。
しかし
世の中はそうそう計算ずくしで乗り越えていけるものではないのである。
計算間違えなんてしょっちゅうで、あっていてもフリーズもするのに
そこにはヒトは人生を積み立て、ひび割れては修繕する。
けれどそれがヒトらしさで、そこに愛らしさがあって
トム・クルーズ版ジェリー・マグワイアの苦悩は、
当たり前に誰にでもありえるコトで、立ち止まり考え、歩みに戻る、
その“落ちずに戻ること”こそが大切なのである。