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シックス・センス【The Six Sense】
1999年
多くの人も同じと思うが、この“シックス・センス”で
監督ナイト・シャマラン【M. Night Shyamalan】を知る。
映画館で見た覚えがないから、後でビデオで見たのだと思う。
続くアンブレイカブルやサインは、シックス・センスからの期待が大きかったせいか、
残念ながらピンと来なかったけれど、レディー・イン・ザ・ウォーカーは好きだった。
ブルース・ウィルス演じる精神科医のマルコム博士【Dr. Malcolm】と
名子役として名を上げたハーレイ・ジョエル・オスメント【Haley Joel Osment】
演じるコール【Cole】少年。
“幽霊が見える”という秘密を話せない少年と、過去の失敗から慎重に診察を進める博士が
ひとつひとつ丁寧に関係を進めていく。
その紡がれた出来事が、“衝撃的な結末”と繋がり、その脚本の才は素晴らしい。
そして、最後を知っていたとしても、再び見ると、
その積み重ねられるストーリーに再び引き込まれるのだから、驚いてしまう。
その“衝撃的な結末”はぜひ見て確かめてもらいたいので、別のシーンから。
ある日、コール少年は母親に幽霊が見えると秘密を打ち明ける。
少し考えさせて
Just let me think for a minute.
と戸惑う母親に、なんとか自分の話を信じてもらおうと、
お祖母ちゃん、つまりは母親の母、と話していることを打ち明ける。
お祖母ちゃんが・・・
Grandma says hi.
それでもなかなか受け入れられない母親。
そんなことはないわ
亡くなったのよ
Cole, that’s very wrong.
Grandma’s gone, you know that.
“Very wrong”、信じられないことは、おかしい、と位置づけるしかなく、
“You know that”、あなたも知っているでしょう、と物理的な現実を出す。
それでも頑張るコール。
母親がお祖母ちゃんのお墓の前で質問をした答えを知っていると伝える。
こうも言った
ママはお墓へ行って 質問をしたと
質問の答えはー “もちろんよ”
She said,
You came to the place where they buried her,
Asked her a question.
She said the answer is… every day.
どんな質問をしたの
What did you ask?
母親しか知らない質問。コールはお祖母ちゃんからは答えしかもらっていない。
ここで一方通行だった会話が往復になる。果たして質問の内容は。
“私を愛してくれた?”
Do… Do I make her proud?
make you proud、直訳すれば、“私はあなたが誇れるようなことができていましたか”。
だから、誇れる=愛する、になるのだろうけれど、makeしているのは自分、
ただ無条件に愛してくれたかと聞いているのではなく、
ちゃんと愛されるような行いをしてきたけれど、どうか、という、自分の努力がある。
淋しさだけで、愛していてくれた、と聞くのではない。
くじけそうになっても、自分が信じたことを続け、生きてきた。
それでもヒトはふとそれが正しいのかを考える。
だから母親に聞く、ちゃんとできていた娘だったかと。
このproudは親子の会話によく出てくるが
正直私自身はまだ日本語の『愛する』への訳につなげきれていない。
けれど、愛されることがただ与えられるものではなく、
生きることへの努力を誰が認めるのかといえば、愛でしかないのかな、
と、この会話を聞いて、そう思う。
逆も然り、親が子を愛することは、子を誇りに思うこと、と思い
親になったら誇りを持てる子を育てよう、とも思う。いつか。