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JunkStageをご覧の皆様、こんにちは。
皆様はお花をどなたかに贈ったり、贈られたりしたことはありますか?
お花といえばお祝い事には欠かせないアイテムの一つですが、日常でもふと通りかかった花屋さんの店先に目を奪われるという経験をお持ちの方は多いはず。
今回は素敵な贈り物としてだけでなく、日常生活を彩ってくれる花のスペシャリストをご紹介させていただきます。
■vol.37 花屋経営・上村恵理さん
――『じゃあ 好きな花ベスト3は?』
即答できる人ってちょっとかっこいいと思うのです
もちろん一つでもいい 好きなお花、ちょっと考えてみて下さい(上村恵理)
花屋へ嫁ぎ、現在は家族で経営。様々なお客さんと接する中での花と人との人間模様を執筆。
http://www.junkstage.com/eri/
上村さんは29歳のとき、ご結婚を機に、ご主人の家業である花屋で働き始めます。それまではブライダル関連のお仕事を7年されていたとのことですが、花に関してはほぼ素人の状態だったとのこと。最初は特別花に思い入れもなかったという上村さんですが、だんだんに花が好きになり、現在に至るまで約10年弱にわたって“街の花屋さん”として店頭に立ち続けていらっしゃいます。
ところで皆様は花屋についてどんなイメージがあるでしょうか。
男性だと少し入りにくいとか、何か特別な日のプレゼントを買いに行く、という具体的な利用の仕方を考える方まで様々だと思いますが、上村さんのコラムを読むといろんな方がいろんな用途で花屋を活用している様子がうかがえます。
たとえば、200本のバラの花束を贈られた相手は…? というエピソードやプロポーズのためのブーケの話、意外と地域差のある墓参用のお花の話、出産のお祝いなどはまさに花屋という職業だからこそ見聞きできるもの。ほほえましいものから切ないもの、そしてあっと驚くような話まで豊富にコラムに描かれています。
といっても、ロマンチックなエピソードだけが面白いわけではありません!
たとえば、バラの花の棘抜き話。あの棘を一つ一つ手作業で抜いているのか…!と思うと、その細かな作業はほとんど感動ものです。また、生花という商品の性質から来るインターネットを介した販売のむずかしさ、市場での競りの様子、バックヤードには配達するからこそ知る表には出てこないある業界の裏の面。実は想像以上に大変な在庫の花の水替え……。
挙げればきりがないですが、営業職を経験されてきた上村さんだからこその視点と批評眼が光るコラムは思わず「そうだったのか!」と思うような発見に溢れています。
* * *
単に花を売るだけではなく、技術やセンスを売りたいという矜持をお持ちの上村さん。
そのため、生産農家を訪ねたり、デザインコンテストに応募し見事受賞するなど色々と研鑽を重ねていらっしゃいます。
でも、上村さんの基本は、あくまでも“街の花屋さん”なのです。
たとえば先に挙げたような、少し照れながら花束を買いにくる男性だとか、墓参のために切り花を求めに来る常連のお客さん、そして近所の皆様のために、上村さんは花屋として看板を上げていらっしゃるような気がします。
今回、このページに掲載してあるお花の写真はすべて、上村さんとご主人、そのお義母様の作品です。どれも見ているだけでなんとなく幸せになるようなパワーのある作品ばかりですが、それはおそらく上村さんたちが花の力を信じているからのように私には思えます。
新しい商品のアレンジメントに心をくばり、プレゼントに悩む方にアドバイスし……というのは贈られた側の気持ちを考えるから。
お花を通して贈る側も贈られる側も幸せになる、そんな花の力を信じているからこそ、上村さんのコラムには読んでいて爽快で、でもどことなく明るい気分になるような、不思議な力があふれているのではないでしょうか。