電車を降りた私が最初に出会ったのは、水野さんという一人の老人だ。
水野さんはここで50年、火の番人をしている。
夕暮れ前に火を灯すと、近くの住民がランタンを持って火を貰いに来る。
その火で料理したり、部屋を明るくしたり、寒い時は暖まるため火の周りに家族が集まる。
私も小さい頃はよく火を貰ってきて~っと母に頼まれたものだ。
しかし近頃は電池とかいう新しいエネルギーの出現で、火を貰いに来る人が激減。
あっちこっちで火の番人が閉業している。
水野さんも、ここにある蝋燭がなくなり次第、引退を考えているらしい。
この火が見れなくなるのは寂しい話だ・・・。
この近辺には私の好きそうな家はないようだ。
少し遠くまで足を延ばしてみることにした。
そこで私は最近話題になっている電車なるものを利用してみることに。
遠くに行くには、この電車は必要不可欠だ。
利用方法はいたって簡単。
電車停なる場所でひたすら電車を待つ。いつくるかは解らない。
電車が来たら、乗務員の方が縄梯子を垂らしてくれるので、それを昇る。
あとは目的地に着くまで座っていればいいわけです。
楽でいいのだが、なかなか先に進まないのが欠点だ。
何故かと言いますと、この電車には操縦するものがない。
※走るか止まるかはレバーで操作できるようだ。
ただひたすら直進する。
障害物があるたびに乗務員が下に降りて電車の向きを変える。
場合によっては、客である我々も駆りだされる。
そして夜には屋根の上で皆で寝るわけです。
そんな訳で、私の目的地にたどり着くのはいつになる事やら・・
ここは旅人の間では大人気の宿だ。
あの有名な探検家ボブさんが滞在した事で人気に火がついたようだ。
以来、この宿は旅人の聖地となり、世界各地から多くの旅人が訪れる。
私はボブさんの大ファンだ。
彼の書いた『世界に果てはない。』は何度も読み返した。
オーナーにボブさんの泊った部屋は空いているか尋ねてみると、運よくたった今、空き部屋になったとの事。
私も今までの旅路をノートに綴ってみようかな。
我々が住む世界には、まだまだ理解できないような不思議な建造物がたくさんある。
そんな疑問を解決しようと結成されたのが歴史調査隊だ。
主にこのような古い書物などを調べて、過去の情報を手に入れる。
私は偶然にも調査の現場を見学することができた。
『文字が凄い大きいですね。』
『昔の人は目が悪かったんじゃないでしょうか?』
『いや、これだけ文字が大きいと離れて見る方が読みやすいですよ。なので逆に目がよかったんじゃあ?』
『いやいや!私は特に目が良いわけじゃないけど、離れた方が読みやすいですよ。』
『じゃあ目が悪かったんじゃないですか!!』
『中井さんはすぐ拗ねるんだから。』
『拗ねてませんよ!』
『ほら!』
『まぁまぁ山田さんもそれくらいにして。』
『じゃあ谷口さんはどっちだと思いますか??』
『どちらかと言うと~悪いかな?!』
『ほら!』
『・・・』
『それでは今日の調査は2対1で文字の大きいのは昔の人の目が悪かったからと言う事で。』
『異議なし!』
『また明日いつもの時間にココに集合で。引き続き調査します。』
これは調査とは言わないと私は思った。
あれ?
こんな所に縄梯子が掛けてある。
ギシギシ、ユラユラ。頼りない梯子を昇ると、上では男性が一人で釣りをしていた。
釣れますか?と私は男性に尋ねた。
『釣れんね~。私は毎日10年間ここで釣りをしているが、一匹も釣った事がないんだよ。
私の釣り方が悪いのか、ここの魚は賢いのか。』
私が潜って、中の様子を見てきましょうか?っと尋ねた。
『いやいや、気持ちだけいただいておくよ。
見てごらん。水面があんなに下にあるんだよ。中に入ると出てこれなくなってしまうよ。
それに私は釣れても、釣れなくてもどちらでもいいんだ。
ここで毎日、竿を出してのんびりした時間を過ごすのが好きなんでね。
魚がいないとわかってしまうと、さすがの私もここで釣りはできないね。』っと言うと彼はニコッと笑った。
釣れるといいですね!っと私も笑顔で返し、その場を後にした。
グッスリ眠って元気になった私は、小林さんにお礼を言ってその場を後にした。
しかしあの家は羨ましいな~。
でも夏は暑そうだな。
それに奇抜な家は飽きそうだし。
もっとこう何て言うんですか、シンプルな感じの家がいいな~。
なんて考えていると、向こうから変な歌が聞こえてくるではないか。
ぴ~かぴか♪つ~るつる♪気持ちいい~♪
どこかで聞いたような歌詞だな?
あっ!そうだ!※お掃除ブラザーズのテーマ曲だ。
※お掃除ブラザーズとは各地の汚れた物をピカピカにしてしまう凄腕職人兄弟のユニット名。
自分の掃除魂を揺さぶられる物しか掃除しないことで有名。
実は以前紹介した蛇口も彼らの腕であのピカピカを取り戻した。
どうやら大きな筒のような物を掃除しているようだ。
私は彼らの大ファンで、走って彼らのもとに駆け寄った。
そして邪魔をしないという約束で、仕事を見学させてもらえる事に。
歌に合わせてブラシをゴシゴシ、タオルでふきふき。
一日中見ていても飽きそうにない。
すると突然、お兄さんが話しかけてきてくれた。
『あなたはこの近所の方ですか?』
私は緊張しながらも、家を探して旅をしている事を伝えた。
『それは大変だね~。それじゃあ、もし気に入った家が汚れてたら僕に手紙してよ。ピカピカにしてあげるから。』
っと言って、私に連絡先を教えてくれた。
私は舞い上がってしまった。
グッスリ眠って元気になった私は、小林さんにお礼を言ってその場を後にした。
しかしあの家は羨ましいな~。
でも夏は暑そうだな。
それに奇抜な家は飽きそうだし。
もっとこう何て言うんですか、シンプルな感じの家がいいな~。
なんて考えていると、向こうから変な歌が聞こえてくるではないか。
ぴ~かぴか♪つ~るつる♪気持ちいい~♪
どこかで聞いたような歌詞だな?
あっ!そうだ!※お掃除ブラザーズのテーマ曲だ。
※お掃除ブラザーズとは各地の汚れた物をピカピカにしてしまう凄腕職人兄弟のユニット名。
自分の掃除魂を揺さぶられる物しか掃除しないことで有名。
実は以前紹介した蛇口も彼らの腕であのピカピカを取り戻した。
どうやら大きな筒のような物を掃除しているようだ。
私は彼らの大ファンで、走って彼らのもとに駆け寄った。
そして邪魔をしないという約束で、仕事を見学させてもらえる事に。
歌に合わせてブラシをゴシゴシ、タオルでふきふき。
一日中見ていても飽きそうにない。
すると突然、お兄さんが話しかけてきてくれた。
『あなたはこの近所の方ですか?』
私は緊張しながらも、家を探して旅をしている事を伝えた。
『それは大変だね~。それじゃあ、もし気に入った家が汚れてたら僕に手紙してよ。ピカピカにしてあげるから。』
っと言って、私に連絡先を教えてくれた。
私は舞い上がってしまった。
小林さんは助けてくれたお礼にと、私を家に招待したいと言ってくれた。
野宿続きで疲れていた私には嬉しい話だ。
お言葉に甘え、小林邸に向かって歩き出した。
小林さんはとても仕事熱心な方で、道中に危険な場所の話を沢山してくれた。
『あっ!そうだ。僕、本を出してましてね。危険な目に遭いたければココに行け!って本なんです。
よかったら差し上げますよ。』
私は危険な目には遭いたくない事を伝えた。
『そう言うと思いましたよ。対処法なんかも書いてあるので役に立つと思いますよ。』
あっ。それならいただきます。
そんな話をしているうちに、小林邸が見えてきた。
丸いモコモコした可愛い家だ。
真ん中にスペースがあり、そこから小林さんの家族が明かりを持って出迎えてくれた。
しかし玄関が見当たらない。
キョロキョロしている私を見て小林さんはニヤッとした。
『僕達はね、この毛糸をよじ登って部屋に行くんだよ。だけど初めてのお客さんにはこの中を通ってもらうんだ。
柔らかくて気持ちいいって評判なんだよ。毛糸をかき分けて上の部屋へどうぞ。』
なんて面倒な家だと思ったが、前言撤回!
すごく気持ちがいいし、暖かい。疲れていた私は部屋に着く前に眠ってしまった・・・
え~まことに勝手ながら今回は僕が小さい人シリーズを描く以前に描いていた、風景画を紹介させてください。
すいませんが、暖かい目で見守っていただければ幸いです。
絵を描きだした頃は風景画ばかり描いていました。
風景画といいましても、山や海、川などの自然の風景は描かず、古い街並みや路地ばかり描いていました。
今回は、過去の作品で自分がお気に入りのものを2点チョイスさせていただきました。
まずはこの一枚。
和歌山の湯浅町。お気に入りの場所でもあります。
醤油が有名ですね!郵便ポストが良いアクセントに。
完成していませんが・・
※当時、描いている途中に反対側はなくてもいいんじゃないかと思ったからです・・
次の一枚は奈良です。
たしか奈良町近辺だったと思います。
電柱や看板が大好きです。
街並みを描く方は電柱や電線を描かない方が多いと思いますが、僕はウェルカムです。
いつかまた不定期で風景画を紹介できればと考えています!
決して小さい人シリーズのネタが無くなったわけじゃないですよ~!!
着替えは必要だな。
あんな恥ずかしい思いはもうしたくはない。
私は顔を赤らめて、少し寂しい通りを歩いていると、どこからか小さな声がする。
耳をすましてみると。
『助けて~。』
確かに聞こえる。
辺りをキョロキョロ見回せど姿は見えず。
でもまた声が聞こえる。
私は声が聞こえてくる方向にゆっくりと歩いていった。
どうやらココから聞こえるようだ。
この黄色い物体は何だろう?
上の方から声がするが、どうやって登ったのだろうか?
周りを探ってみると裏にハシゴが架かっている。
すこし気味悪いけど、私はハシゴを登ってみた。
するとそこは白い世界。
その中に男性が上半身だけ出して突き刺さっているではないですか!
そんな私の顔を見て、ホッとした彼はこう言った。
『ようやく人が来てくれた。あっ!申し遅れました、私は危険な場所調査員の小林と言います。』
危険な場所調査員??
『ええ、私達の身の回りには意外に危険がいっぱいなのです。そんな危険っぽい場所を我々が試して五段階で評価するのです。
いつもは相棒と二人で回ってるのですが、今日は熱っぽいとの事で休んでいるのですよ。』
だからと言って一人は危険すぎるんじゃないですか。
『調査が遅れて市民の方が危険に晒されるのではないかと思うとジッとしていられなくて。ちなみにココは星五つです!
下手に動くとドンドン沈むし、一人じゃあ出れません!』
私は彼の手を取り、引っこ抜いてあげました。
絵の糊はフエキ糊 http://www.fueki.co.jp/