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こんばんは、酒井孝祥です。
歌舞伎に「盟三五大切」という作品があります。
知らない人が題字を見てもまず読み方が分からないと思いますが、「かみかけてさんごたいせつ」と読みます。
今回のテーマは、別に漢字が難しい作品についてではありません。
さて、歌舞伎観賞に出向いて、チケット販売口の前で長時間並んでいるとき、退屈しのぎに並んでいる人を観察してみます。
昔からの歌舞伎ファンのようなご年配の方、ご贔屓の俳優を地方から追っかけてきている方、大学で日本文化を勉強しているっぽい雰囲気の若い方、観光で来ている親子連れなど、様々なタイプの方達が並んでいます。
そして、意外に多いのが外国人のお客様です。
そして、今回のテーマは、僕が遭遇した、ある外国人のお客様の反応にあります。
前述した作品には、狂気地味た男が、無抵抗な相手を次々に刀で斬殺していくという何とも陰惨なシーンがあります。
ゆっくりと一人一人が斬られていくその場面を、観客たちは固唾をのんで見守り、客席を含んだ劇場全体が異様な空気に包まれていきます。
そんな場面を観ていたある日、客席内のどこかより、あろうことか、大笑いをする声が聞こえてきました。
声の方向を見ると、1人の外国人男性のお客様が大爆笑している姿が見えました。
なぜそこで笑うのか?
どうやら、人が斬られたときに、絶叫しながらオーバーリアクションで身悶えする姿が滑稽に映ったらしいのです。
確かに、悲鳴を上げながら、大袈裟とも思える様子で死んでいく姿は、前後の話の内容関係なしに、その絵だけを見れば、コント的というか漫画的な印象があるかもしれません。
日本語が分からず、ストーリーが分からないままに見ていて、その光景だけが可笑しく見えたのかもしれません。
しかしながら、シンと静まりかえって、息を殺しておどろおどろしいシーンを見守る中、一ヵ所から場違いな笑い声が聞こえてくるというのは、ある意味シュールに感じられました。
もちろん、外国人のお客様が皆そういう反応をするわけではなく、たまたま僕が観に行ったときにそういうお客様がいただけかとは思いますが、受け取る側の捉え方によって、同じシーンでも全く違った風に伝わることがあるのだと思った瞬間でした。
次回は、「司会者として最も緊張する瞬間」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けします。