« お兄ちゃんなお客様達 | Home | ☆男性司会と女性司会 »
こんばんは、酒井孝祥です。
このジャンクステージでは、実に幅広い分野で活躍されている方のコラムを読むことが出来ますが、同じタイトルの話題でも、ライターによって異なる視点から書けるのではないか…などと以前から思っておりました。
丁度先日、マルチタレントエイミーさんが「いつ習い事を始めるか」というタイトルのコラムを掲載されておりまして、そのテーマについて僕なりに思うことがありましたので、述べさせていただきます。
酒井が現在習い事として通っているものとして、日本舞踊と浄瑠璃がありますが、どちらも20代半ばを過ぎてから始めたことです。
逆に、小さい頃に習い事として何をやっていたかと言えば、ピアノを習っていました。
幼稚園の年長から小学6年生まで習い、期間としては長かったですが、練習をするのが好きでなくて、嫌々習っていたようなところがあり、あまり実らずに、中途半端なところで自分からやめました。
自分がやりたいと思って始めたというよりも、半ば親の意思で始めたことだったので、好きになれなかったのかもしれません。
それが今の活動に何か役に立っているかと言えば、簡単な楽譜が読めたり、聞こえてくる音をドレミの音階に置き換えられるようになっていることは大いに役立っております。
もしピアノを習っていなかったら楽譜すら読めないと思えば、ピアノを習わせてくれた親には感謝です。
一般的に、日本舞踊の稽古場に通う人の年齢層は高く、お稽古場によっては、お弟子さん達よりも先生の方が若いというところもあるようです。
けれど、本職として日本舞踊を教えている先生などになると、物心ついた頃からお稽古場に通っていたという方が多いと思います。
時折、先生から、先生自身が子どもの頃にお稽古していた時の話を聞くことがありますが、子ども心に、大人が苦労している姿を不思議に思うこともあったそうです。
たとえば、大人のお弟子さんが、お稽古が終った後に、覚えた振りを忘れてしまわないように必死に舞踊符として書きとめている様子を見ながら、何でお稽古すれば簡単に覚えられることをわざわざ書いているのだろうと思われたそうです。
やはり、小さい頃から何も考えずにお稽古して振りを覚えていた人と、大人になってから始めて、振りを記憶しようと試みている人では、振りを覚える際の脳の回路が違ってくるのではないかと思います。
日本舞踊の身体の使い方は、男の踊りを踊るときと、女の踊りを踊るときとでは方向性が異なり、時には真逆になることもあります。
僕の様に大人になってから始めた人の場合、男のときはこうしなければならない、女のときはこうしなければならないと、頭の中で意識を切り替えて区別しがちですが、子どもの頃から習っている人は、深く考えずに、男と女のスイッチが切り替えられる様です。
僕がお稽古をしていて、「酒井くん、見たままの通りに動くのよ」と注意されることが多いのですが、小さい頃から習っていると、見たままの通りに身体の状態を変化させる感覚を、脳と身体が身につけているのかもしれません。
そんな風に考えると、エイミーさんも仰るように、習い事を始めるのは、可能な限り早い方が良いかもしれません。
もちろん、子どもが自分の意思で習いたいと思うケースは稀ですから、親が判断することになるかと思います。
大きくなってから、「何であのとき習わせてくれなかったの?」と言われることを思えば、小さいときに習わないと習得出来ないことは、出来るだけ習わせたいと思うことでしょう。
けれど、僕がピアノを好きになれなかった様に、親が子どもに習い事をさせることが、子ども当人にとって喜ばしいことであるかは難しいところで、習いに行くことがストレスになってしまうことだってあるかもしれません。
親としても、折角ピアノまで買ったのだから、習い始めた以上、きちんと習得してもらわなければ困ってしまいます。
その親からの期待が、子どもに良い影響を及ぼすのか、悪い影響を及ぼすのかは、本当に難しいところです。
僕も含めて、大人になってから何か習い事を始めた人は、「小さい頃からやっていればもっと上手くなっているはずなのに…」と誰しもが思うことでしょう。
でも、どんなにそう思ったところで、その時間が返ってくることはありません。
逆に、大人になってから始めることのアドバンテージだってあるかと思います。
子どもの頃から始めるのは親の意思であっても、大人になってから始めるのは、ほとんどの場合、100%自分の意思です。
誰から指示されたわけでもなく、己の志をもってその道を選び、続けるということは、その家に生まれた人などでは、逆にやりようのないことです。
幼少期の環境故に苦労することはあっても、むしろ、それでも続けようとするその志は誇るべきことと思われ、それが実って得られるものも大きく感じられるのではないかと思います。
次回は、「男性司会と女性司会」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けします。