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2013/09/26

 

目を覚ますと秋の森は、

ただただ静かで、

音をどこかに隠してしまったかのように静まり返っていた、

木々の緑は命をせいいっぱい輝かせ生き抜いたあかしに、

葉は虫に食われ所々に穴が開き、

今まで以上に世の中が見えるようになっていた、

鮮やかだった緑色の肉体は薄汚れ、

誰からも見向きもされない、

ただ梢の上で若い頃から憧れた青い空を眺めている、

季節風が冷たい風を運ぶ頃、

昔だったら気にする必要もない風に煽られ、

その身を風に委ねてみることにした、

常識という枝からは慣れた枯れ葉、

空は下に見え、

地面は上に見え、

微笑む顔の裏側に憎しみが見え、

セレブリティーと誰からも噂されていたはずなのに、

何かを隠す為に必死に取り繕っているスタイルの良い女性が見え、

そして彼は満たされることなくい未だに何かを探し続ける、

両手に何も持たずただ立ち尽くし

その身を風に委ねてみると、

ただ感覚が研ぎすまされていく、

 

森の中で目を覚ますと、

秋の贈り物、

今年も私に届けられていた、

森の総てが命を休めようとして、

静けさで森を満たしているというのに、

私だけに再び命を輝かせることの出来る贈り物が届けられた、

名前も知らない青い実、

まだ青々としたドングリ、

暖かな日射しで爆ぜた山栗、

そしてその隣には、

ホウの葉で包まれ可憐な白い花で結ばれた秋の贈り物、

これだから人生は止められない、

何が得で何が損で、

何が許されて何が許されないか、

何が安全で何が危険なのか、

シリアはアメリカとロシアにどうされるのか、

iPhone5の性能がどうなのか、

所詮、誰かの思惑で決まること、

私に届けられた秋の贈り物、

この中にどんな私の人生が包まれているかと思うと、

研ぎすまされた感情で私が満たされていくのを感じる、

これだから人生は止められない。

2013/09/26 03:21 | watanabe | No Comments