またシンガポールに行ってきた。
エアアジアのお陰で、片道1500円ほどでシンガポールに行けるので、気分は国内旅行。
日本から来たお友達と待ち合わせして、食べ歩き。。
話は変わって、マレー語のレッスンで先生がみんなに面白い話をしてくれた。
先生が、「みんな夫のお給料がいつ出てて、いくら貰っているか知ってる?」と質問してきた。
海外にいるということもあって、女性がATMで大金を下ろすのは危ないので、お財布管理は夫と言う人が多い。
クラスには定年退職したご夫婦も何組もいるけれど、クラスの80%くらいは夫のお給料について詳しく把握してないということがわかった。
マレー人の先生も夫婦共働きだから夫のお給料額を知らないのだとか。
けれど、イスラム教徒の女性は夫のお給料を把握したいのだと言う。
ここにはイスラム教らしい理由があった。
夫のお給料の額を知っていれば、他に奥さんがいるかどうか分かるからだそうだ。
マレーシアのイスラム教徒の男性は4人まで妻を持って良いが、正妻以外の妻を持つ場合は、正妻(第一夫人)の許可が必要とされている。
しかしここには抜け穴があって、お隣タイで結婚を済ませてしまえば正妻の許可がなくても結婚が出来てしまう。
だから、先生の妹は実際に正妻に内緒で結婚して第二夫人になったんだそうだ。
いくらイスラム教徒の文化だからと言っても、やっぱり自分以外に愛する妻となる人がいるというのは女性として複雑なもの。
だから多くの場合、夫が第二夫人を持つと言っても、正妻が認めないことが多く、正妻が第二夫人になる人のご両親に「お宅のお嬢さんと夫との結婚を辞めさせて欲しい」とお願いしにくるパターンがあるんだとか。
先生の妹さんのケースでも、正妻がご両親に「二人の関係を破談にさせて欲しい。だからご両親も協力して下さい」と頼みに来たらしい。
両親としてもやっぱり可愛い娘だから第二夫人よりも第一夫人となって欲しいので、正妻に協力することにした。
けれど、正妻も両親も知らないところで、当人同士はタイ旅行に行き、結婚してしまったんだそうだ。
数年たって事実が発覚し、両親も激怒、正妻も激怒ということになったようだ。
ただこのケースでは、夫もお金持ち、正妻もキャリアウーマン、第二夫人もキャリアウーマンだったので、正妻と第二夫人それぞれが自分で自分名義の家や車を持っていたために金銭面のトラブルにはならなかったようだ。
結局、10年経ってようやく正妻が、第二夫人が子供ももうけないことを知り第二夫人の存在を認めるようになったそうだ。
マレーシアの場合、複数の妻を持つ時は月々それぞれの奥さんに同額の生活費を渡すことが決まりで、例えば車を買ってあげる時も平等に買い与えなくては行けない。
だから、夫のお給料の額を知っていれば、自分がもらう額と照らし合わせると、他の家庭にお金が流れているかどうかがわかるんだそうだ。
一夫多妻の文化がない国で育っているので、この辺りの心境はわからないけれど・・・。
やっぱりいくら文化だから言っても、第二夫人になる本人もその親も複雑な心境だということらしい。
先生が最後に言ったことが印象的だった。
「私は自分の娘には小さい頃から、必ず自分だけを愛してくれる人と結婚しなさい。結婚する時は、他に夫人を持つ気はないかを確認しなさい。もし他に夫人を持ちたいと言われたらすぐにお母さんに相談に来なさい」と教えている。
「イスラム教の文化で一夫多妻が認められている」言葉にしたらシンプルで、日本とは違う文化なんだなぁっと思ってあっさり受け流せるけれど、やっぱりそこには女性の複雑な気持ちがあるわけで、第一夫人には第一夫人なりの気持ちがあり、第二夫人には第二夫人なりの気持ちがある。
そして両親には両親の気持ち、夫には夫の気持ちがある。
日本人とは違う文化・価値観なんだって言ってしまったらそれまでだけど、異なった文化の深いところには必ず人の心があるわけで、文化が違っても嬉しさや悲しさは一緒だ。
だって同じ心を持った人間なんだから。
イスラム教の第二夫人の気持ち。
考えると、幸せと寂しさが入り混じった香りがする。