« ブルネッロ博物館でブルネッロ | Home | 天使は禁止!? »
ボイスオーバーなんて言葉を聞いた事ありますか?
外人の声に日本語を被せるような作業なのですが…
それって吹替じゃないの?
…みたいな事を思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちょっと違うんですよねー。
吹替だと、原音が全く聴こえないように処理されるので口パクはキッチリ合わせるような感じになります。
ボイスオーバーだと、原音もうっすら残しつつ声を重ねる感じに処理されるので多少、口パクをずらす必要があったりします。
吹替の場合はどこの制作さんでも大体同じような方法論でやれますが、このボイスオーバーって仕事は制作さんによってやり方は色々です。
①吹替ばりにキッチリ口を合わせてください
②出だしの声は原音を残したいのでちょっと遅れ気味に出てもらってケツで合わせてください
③出だしとケツの原音を聴かせたいので出遅れ気味で早上がり的でお願いします
④尺内で収まっていればそれでいいです
…と、まぁ色々な演出があるわけです。
どーも僕は外人に声をアテるとなると、吹替的なテンションになってしまうので、ピッタリ合わせてやるぜ的なアテ方をしがちなのですが、そうすると…
もうちょっと巻き気味でお願いします
などと言われる場合があります。要するにこの場合は、②、③、④のいずれかの演出なんだろうなって事になります。
ちょっと細かい話になりますが、吹替っていうのは画の人が喋り出したのを聴いて出る(声をアテる)感じで始まって、画の人が喋り終わったらこちらも台詞を喋り終わる…みたいな感じなんですよね。要するに画の人が喋り出したのを確認してから声をアテ始めるので厳密に言えば画の人が喋りだすタイミングより遅れて声をアテ始めるわけです。で、ケツは画の人が喋り終わってからこちらも喋り終わるわけで、これも厳密に言えば少々台詞が溢れる…つまり画の人よりも遅れてこちらの台詞が終了するわけです。
わかりやすく言いますと…
出遅れ気味で台詞を言い始め、ケツの台詞はこぼし気味で終わる…
こんな感じが吹替的にアテるという感じなんですよね。でも勘違いしないでくださいよ!めっちゃミクロな尺の話ですからね!何秒もズレてるような話ではありません。普通の人が見たら(聴いたら)ピッタリ合ってんじゃん!なんて思うレベルでの事だと思います。
でも、とどのつまりズレてんでしょ!?
なんてお思いの方もいらっしゃるでしょう。
ちょっと出遅れ気味でこぼれ気味が目立っちゃったような台詞の場合は、録った台詞を科学の力でちょっと前にズラしてあげればアラ不思議!ビッタリ口に合ったじゃないですか♪ミキサーさんありがとう!的な感じになります。出遅れてこぼれ気味という事は画の人の台詞の尺と、我々声優が喋る台詞の尺はほぼ一緒なんです。尺さえあっていれば科学の力が何とかしてくれたりもするというわけです。凄いですね!ありがたいです♪お手数をかけさせないように気をつけます(笑)!
話は脱線しましたが…
先程も言いましたが、僕はどうも外人に声をアテるとなると吹替的な方法論で攻めようと思ってしまうのですが、このボイスオーバーという仕事はその方法論が通じない場合があるという事です。
なんでかって言ったら…
画の人が本当に日本語を喋ってるんじゃないかって思わせたいからなのかもしれませんね。はい。これは僕の勝手なエゴです(笑)
本当に画の人がやっているような事を表現しようと思ったら、やっぱり吹替みたいなアテ方がベストだと思うのですが、何せ吹替ってのは前もってリハーサル用の映像と台本を貰って家で稽古できるので、ある程度のクオリティの芝居を提供できるわけですが…
ボイスオーバーってのは現場に行って、原稿を渡されて、んじゃやりますか!的な場合が多いのでそんなに細かい部分を表現するような事を考える時間が無い場合が多いです。
でも、ボイスオーバーでも前もってリハVと台本をくれるような番組もありますけどね。でもそれは、リハしてきてもらわないと収録がスムーズにいかないというようなレベルの内容だからだという事です。内容が吹替に近かったりするようなボイスオーバーもありますしね。
現場に行って台本を渡されて、すぐに『んじゃやりますか!』なんて現場も多いという話の続きですが、当然そのような場合だと現場に到着したばかりなのでこちらは画も見てないし、台本も今もらったばかりなので…
さて、どうしたものか
と、なります(笑)
とりあえず台本に目を通して、こんな感じなのかな~…だとか、読み方だとか、大体の尺だとか、こんな役なのか~…などと、ちょっと考えます。
とは言え、そんなに気長に僕らの読み込みを待ってくれないような現場もあります(笑)。制作さんも切羽詰っていて早く収録したいよ~的なオーラを発している場合もありますし、実際、数時間後、もしくは数分後にOAしなきゃいけない番組などでは読み込む時間も省いて自ら『じゃ、やりましょうか』なんて気を使う場合もあります(他の人はどうだか知りませんが僕はそういう事が多々あります)。
先程記した吹替的な方法を実行したいと思えども、さすがに画も見てない、台本も目を通していない状況では、いくらプロの声優とはいえども良いパフォーマンスはできないと思います。
このような場合、時間が無いので何を重要視するか。
僕の場合は、その役の人が何を言いたいのかって事と、尺に収める事と、その役がどんな風貌なのか…って事位になっちゃいますね。
一人の役だけならいいですが、大抵そんなわけにもいかず、何役かやらなければいけないような事が多かったりもします。なので同じ声でやるわけにもいかないっていう諸事情もあります。
そんなこんなを瞬時にやらなければいけないような作業がボイスオーバーという仕事にはあったりします(作品にもよるので一概にそうだと言い切る事はできませんが)。
画も見てない、台本も見ていない
そんな中、収録を始めるってのはなかなかの集中力を要します(笑)。さらにテス本(テストという名の本番)でいっちゃいますか!なんて言われる時もありますので気が抜けません。じゃあまずは練習で~♪なんて気楽な感じで喋るわけにはいかないという事です。
まず、自分の役が出てきた瞬間にその役に合う声を瞬時にチョイスし、声を出します。もはや瞬発力の仕事ですね(笑)。
変な話ですが、その外人がどの位の尺で台詞を終えるのかなんてわかんないじゃないですか(親切な原稿だと大まかな秒数は書いてくださる事もありますが)。この位の分量の台詞なら大体何秒だな~、とか、この制作さんの原稿は一行で何秒計算で書いてくれてるな~、とかってのはあるっちゃありますし、僕らには体内時計みたいなのが備わっていますのでさじ加減一つで台詞の尺をコントロールする事は可能ではありますが、全ての制作さんが同じ計算で原稿を作っているわけではありませんし、画の人も人それぞれ喋るスピードやれなんやれが違ってくるわけで…
よくもまぁ、アテられますね(笑)
てゆーか、何を書いてるのかわけがわからなくなってきましたよ(笑)
できれば…画も見せてもらって、台本も読みこむ時間も少々頂いて、テストでアテさせてもらって、それから本番…みたいな感じにしてもらえると、こちら側からすると非常にありがたいのですが、そうも言っていられない場合も多々ありますので、ある意味、奥が深いなあ…なんて思ったりもします。
中には僕ら声優を神か何かかと勘違いなさっているのか…
声優は台本を渡せば、すぐにアテられる
なんて思ってくださってる人もいらっしゃいます。ありがたいようなありがたくないような…(笑)
でも…
最低限、画は見たいです(笑)!一度でいいから見せてください!
いや… 見せてくれと言えば見せてくれるでしょう。見せてくれますとも…。
でもなぁ…
早く録り終わらなきゃいけないってピリピリしてるような現場だと、画を見せてくれ…なんて言い出しにくいんだよなぁ~…
まあいいか♪早く録り終わるのもスキルの一つです!頑張ります☆彡
ヽ(*´∀`)ノ スピーディー
長くなりましたのでこの辺で…