« | Home | »

2013/06/28

先日、SNSで発信した『眼鏡は身体の一部です』という出来事

長年、舞台演技などをしている者は眼鏡は基本的にはタブーであることを知っている
何故ならば、舞台上でライトが反射して眩しい上、表情が見えない

かける例としては…
役に必要なときは衣装としてかける
かけていても役のイメージを崩さなければかけてもよい
しかし、演出面からみて許可が必要であったりする

例え眼鏡をトレードマークとしている舞台人であっても、演出側からの判断が大半

なにが「出来事」だったかというと
先日、トラで出演させていただいた舞台のゲネプロ(本番同様に行われる通し)での出来事

昼組、夜組とダブルキャストであるため、私たちエキストラ(合唱)は場当たりとゲネプロを2セットこなさなければならなかった
昼組も早着替えや裏歌なども含め、大きな事故もなく終えた

次は夜組だ!と、場当たりも終わらせ、個々のパートだけで出る場面もこなしいざエキストラ全員がステージに現れる直前の影歌あとに事件は起こった

ゲネプロは何があっても止めずに進行していく…はずなのに
「合唱!舞台上に上がっていかなくていいぞ!」という罵声
私たちはもちろん、裏方キャストがキョトンとする
マエストロは音楽を止めたが、気を取り直してまたタクトを降り始めたので私たちも気を取り直し舞台上に上がる

一幕が終わり…何事かと様子を伺っていると
私たちを集めて監督(演出家とはまた別人)が
「眼鏡を外して舞台に上がってください」
私たち若手は、ゲネプロより前に衣装合わせで指摘する問題だけど、直前で決まることはあるし…仕方ない」と各々思っていたが
事務局と他の一部の眼鏡着用者がこう口々に言った
「そういうことは一ヶ月ほど早く言っていただかないと困ります。」

• 早目に一言あれば、裸眼での練習やコンタクトレンズを作ってくる
• ゲネプロ途中から外したら、指揮が見えず音楽がブレる
• 舞台裏で裸眼でいて怪我をしたらどうするのか、保険には入るべきか

など…意見が出たのだった

結局は、演出家の配慮もあり
稽古通り、裸眼が危険な方はかけたままステージに乗ってかまわない
となったが

よく考えると、歌劇というのは古典芸術であること
エキストラといえども舞台人として
健康体であるべきか、そして
「その再現芸術の時代にふさわしいかどうかを踏まえて、舞台に立っているか」

その根本的な心意気がこの専属合唱団全体にあったかどうかが疑問に思えた

確かに、市民オペラというのは合唱団のメンバーの集金によって成り立っている部分も少しあったりする

合唱といえども、プロもアマチュアも出演者の1人であり
プロとアマが混在する団体で
制作と出演者両方が、納得のいくように運営していくのは本当に難しいことを若手ながら痛感した

そんな裏側の事情など、客席には関係のないことで
演奏、演出を含めて作品全体の評価はすべて、客席が判断することなのだ

2013/06/28 09:50 | uika | No Comments