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こんばんは、酒井孝祥です。
酒井が劇団の研究生だった頃、研究生の1年後輩の女の子が、様々なホテル、宴会場、レストランなどで飲食サービスを行なう配膳の仕事をしていました。
それなりに時給が高く、何よりも時間の融通がかなりきくと以前から耳にしていて、何となく興味を持っていたこともあり、彼女に紹介してもらって配膳会に登録し、配膳の仕事を始めました。
最初の頃は、仕事の要領が分からない状態である上に、あちこちの現場に行って、右も左も分からない環境での仕事にてんやわんやで、仕事をすること自体が辛くてたまりませんでした。
紹介してくれた後輩に、自分はこの仕事に向かないかも知れないと言ったところ、
「一番幸せな人の傍で仕事が出来ると思って頑張って下さい。」
と励まされました。
そう、配膳の仕事は、土日祝日は婚礼がメインとなり、人生で一番幸せな時を迎えるであろう新郎新婦の傍で働くことになるのです。
色々な現場をあちこち回るのが配膳会の特徴ですが、そのうち、土日に働くときの現場は1箇所に固定されるようになりました。
そこは、平日の宴会等は入らない、婚礼を行なうことのみを目的に作られた結婚式場です。
最初は仕事が覚えられずに、怒鳴られたり、時には蹴られたりもしましたが、仕事に慣れてくるにつれて、だんだん結婚式場という仕事場が居心地の良い場所になってきました。
前述した様に、結婚式のその日というのは、挙式をされるお二人にとって、人生で一番幸せな時とも言えるでしょう。
その時を迎えるために、お二人は何度も結婚式場に足を運び、打ち合わせや諸準備を行なっていきます。
そこでお二人に接するスタッフが、もしも暗い顔をしていたら、お二人の幸せな気分に水をさしてしまいます。
ですから、結婚式場のスタッフは、お二人に接するときには、努めて笑顔をつくり、明るく振る舞います。
努めてそう振る舞うと言うよりも、お二人は幸せいっぱいな気持ちで会場に訪れるわけですから、その気持ちがスタッフにも伝染し、自然に明るい振舞いになると言えるかもしれません。
プランナー、調理、配膳、司会、音響、花屋、衣装、美容、特殊演出、カメラマン、清掃…
結婚式場の中では、実に様々なジャンルのプロフェッショナルが働いています。
プロとしてのそれぞれの能力の種類は異なれども、お二人にとっての人生最良の時間を創り上げるという共通した目的のもと、お互い連携を取りあって仕事をするのです。
そしてお二人の幸せを願う気持ちが動機となって、それぞれの仕事の効率化、高水準化を目指しているわけです。
新人を怒鳴り散らす様なスタッフもいますが、それだって、お二人に幸せになって欲しいという根底の気持ちがあってこそです。
そんなわけですから、結婚式場という職場で働く人は、基本的に明るい人が多く、表面上は明るく見えなくとも、実は良い人であったりすることが多く、現場にはプラスなエネルギーが満ち溢れています。
舞台に立つための資金を稼ぐためのアルバイトとして働いていながらも、だんだんそこにいることが気持ちよくなってきて、このままずっとここで働いていたいと思えるようになってきました。
しかし、役者としての活動のためのアルバイトの方が主目的になってしまったら、本末転倒でしかありません。
そのときに気が付いたのが、結婚式場の中でも司会の仕事は、役者としての能力を活かすことが出来、ブライダルの司会自体、俳優のパフォーマンスの一形態と考えられることです。
そう思っていた矢先に、その結婚式場全スタッフの新年会に出席する機会があり、そのときに酒井は、サービスのキャプテンから、その場で何か余興をやれと言われました。
そこで、自分で曲を唄いながら日本舞踊の一部を踊ったところ、その会場専属の大ベテランの司会者さんが、たまたま日本舞踊のお名取さんだったこともあってか、酒井にとても興味を持ったらしく、その方から、
「あなた司会やりませんか?」
と言われたのが、酒井がブライダルの司会をやるようになったきっかけです。
酒井は、舞台に立つときも幸せを感じますが、結婚式場で働くときにも同じくらいの幸せを感じます。
何しろ、こんなに幸せな場所はありませんから。
次回は、「かためのさかずき」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。