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皆さん、おはようございます。
さてそれでは、6月9日にヒルトンプラザイースト、
アトリウムでのコンサートに向けて、
当日にプログラムなどない分、
予告編たるこちらで詳細を書き綴っていくことに致しましょう。
とりあえずはまず、演奏曲目をざっと列挙いたします。
1ステージ
「美しき水車小屋の娘」より
No.3「止まれ!」
No.4「小川への感謝の言葉」
No.5「仕事を終えた夕べにの集い」
No.6「知りたがる男」
「冬の旅」より
No.13「郵便馬車」
No.11「春の夢」
「白鳥の歌」より
No.4「セレナーデ」
以上シューベルト作曲
「式子内親王」
「陽成院」
以上梵智惇声作曲
2ステージ
「詩人の恋」(梵智セレクトヴァージョン全16曲)
以上シューマン作曲
以上がこのプログラムですが、
このコンサートの仮題は
「吾輩の恋と連作歌曲集」といいます。
私はあまり単品の歌曲というのは歌わない傾向があります。
一曲一曲になると、感情移入しにくい、というのが理由です。
それで連作歌曲集がターゲットになるのですが、
そこで扱われているのは大抵恋愛です。
そうなると、私自身の恋愛感情をベースに、
それらの作品と取り組んでいくことになります。
結局、「水車小屋」、「冬の旅」、「詩人の恋」については、
それぞれ、私の中だけでの話ですが、別称が存在しています。
「水車小屋」は「ドイツ歌曲」とか「M(名前は伏す)歌曲」とか。
「冬の旅」は「Yちゃん歌曲」、「Uちゃん歌曲」、あるいは「F歌曲」、
さらには「K歌曲」、
「詩人の恋」は「T歌曲」。
「水車小屋」は、一度だけドイツに行った折、
通訳として同行してくれていた現地の女性への思いが、
帰国後、この歌曲集に目を向けるきっかけになったのです。
この歌曲集ではWanderschaftといって、
遍歴修業をする職人が、ある親方の娘に恋をして、
失恋するというプロセスが描かれています。
遍歴修業には色々と掟があり、
その中には同じ親方のところに3ケ月以上いてはならない、
というものがあるのですが、
この歌曲集の若者が色々と焦るのは、そんなリミットがあるからです。
考えてもみて下さい。
繊細で内気な若者が、親方の娘をどうにかしようとするには、
3ケ月というのは少し短い期間かもしれませんよ。
女たらしならば3分で済むことが、内気では3年かかっても怪しいでしょう。
この状況が、数日間というリミット付の旅行である我が身に、
とてもしっくり来たことをいまだに覚えています。
加えて場所はドイツの、最もドイツらしい片田舎。
この時点での私はまだこの歌曲集を、
とりあえず歌いとおす技術さえなく、
全曲歌ったのは、シューベルトがこれを書いた26歳で開いた、
付曲されなかった詩を朗読しつつの完全版リサイタルでのことでした。
そのようなわけで、私は「水車小屋」のことを、
相手の名前である「M」をとって「M歌曲」、
あるいはドイツでの思い出、ということで
「ドイツ歌曲」という名前で呼んでいるのです。
「冬の旅」は比較的早く、22歳の折に、
フォルテピアノの伴奏でリサイタルを開いた作品です。
それが私の初めてのソロリサイタルでした。
この作品を歌う背景は、別名がいくつもあるように、
上手くいかなかった経験のたびに名前が増えていく、という
取り上げた回数は一番多いであろう歌曲集なので、
煩雑にもなりますし、詳細をいちいち説明することはやめます。
その中の「Uちゃん」など、私がこの歌曲集を扱うことについて、
考え方の相違でもめたのがきっかけとなって、
縁が切れてしまった、といういわくつきの歌曲集でもあります。
「詩人の恋」についての背景は、こちらを見ていただきましょう。
これは同時に、「式子内親王」「陽成院」の説明にもなるはずです。
これら2曲も含め、当該女性の名前をとって「T歌曲」なのです。
以上、これらがコンサートのタイトルについての解説になります。
次は、1ステージの曲目について思うところを綴っていきましょう。