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私がインドネシアに帰ってきて、体調を崩している間に出会った1冊の本について書きたいと思う。
本と言うより、正確にはデータベースである。
と言うのも、本のタイトルが【GORONTALO DALAM ANGKA】で隣に英語で【GORONTALO IN FIGURES】と書いてある。
直接すぎる!
私の下手な翻訳だと【図表で見るゴロンタロ】と言ったところだろうか。
この本は、毎年ゴロンタロ州政府が発行しているゴロンタロについての詳細な情報である。
各年の9月に新しいものが発行される。
出会ったと言うと、少々大げさではあるが、私が受けた衝撃は非常に大きかった。
今年(2013年)の9月に発行される本は、2012年の情報をもとにしている。
全13項目は以下の通りである。
第 1章・地理と気候
第2章・行政
第3章・人口と雇用
第4章・社会
第5章・農業
第6章・産業とエネルギー(源)
第7章・貿易
第8章・交通と通信と観光
第9章・金融と市価
第10章・住民の支出
第11章・地域所得
第12章・貧困
第13章・スラウェシ島における州間の比較
さて、ゴロンタロ州があるスラウェシ島は6つの州から成り立っている。
星印の場所は各州の州都所在地名である。
スラウェシ島で最も大きい都市は南スラウェシ州の州都であるマカッサルである。
ついで、北スラウェシ州の州都マナド。
残念ながら、ゴロンタロは下から数えた方が早い。
と言っても、下はどこも同じ程度で甲乙付け難い。
これは、最終章を見ると一目瞭然である。
私は正直このような本が政府から発行されていることを知らなかった。
きっかけは私の教授の質問からである。
“ゴロンタロって人口どれくらい?”
大体で答えたが、彼は正確な数字を必要としていた。
日本であれば、ネットで調べる・市役所などに電話をかける等の方法がある。
しかし、このような手段がここでは取れない。
そして、誰に聞いても答えはバラバラで大体の数さえ掴めないのである。
ゴロンタロ州は5つの県と1つの市から成っている。
インドネシアの場合、州(provinsi)の下に市(kota)と県(kabupaten)があるが両者に差はなく“市”と呼ばれるのは州都である。
ちなみに私が住んでいるのは、ゴロンタロ市(kota Gorontalo)である。
したがって、ゴロンタロ州の中では最も大きな都市である。
大学・病院・モールなどある程度がすべてそろっている。
その他にボアレモ県、ゴロンタロ県、ポフワト県、ボネ・ボラゴ県、北ゴロンタロ県の5つの県がある。
市および県の下には、郡(kecamatan)がありさらに下に区(Kelurahan)または村(desa)がある。
さて、教授に対する答え。
ゴロンタロ州の全人口は2011年時点で1,062,883人であり、昨年(2010年)より22,719人増えている。
1990年、2000年、2010年と2011年のデータがあるが、1990年はゴロンタロ市および県の2つのデータしかない。
2000年のデータは1市5県、すべてそろっており、ゴロンタロ州全人口が830,184人である。
データ(数字)はただの数字の羅列にならないよう、ほとんどの表にグラフが付録としてついている。
男女比はもちろんのこと、市と各県の年代別の人口増加率の比較。
最新の人口データを基にした人口ピラミッド(大変きれいな富士山型で少々興奮する)。
最初にもお伝えしたように、この本は非常に興味深い。
毎年、このように詳細なデータを集めていることに驚いた。
章だけで見ると大雑把なので、少し例をあげてみる。
・とうもろこしの収穫量と作付面積
・年間の観光客(インドネシア国内および外国)数と州内にある全ホテルの月別稼働率
・避妊方法
・貨幣の使用目的(何にいくら払っているか)
・月別エネルギー使用量
・世帯数(一軒に何人暮らしているか)
私が驚いたのはデータを集めていることだけでない。
このデータを信じることが出来ないのだ。
今まで1.5年という短い時間であるが、ここゴロンタロで生活して実感する結果とこのデータがどうしても合わない部分があると思うからだ。
例えば、屋台をしていたり自分の家に小さな店を開いたりしている場合。
この種の職業は特に開店許可書などを取らなくても、自分の意思だけで開ける。
ここで働いていても収入にしても報告の義務はない。
つまり、このデータには全く反映されないのである。
多くの人は、兼業している。
この多くの場合も(もちろん職種によるが)データに反映しないと思われる。
上記した、世帯数(一軒に何人暮らしているか)について。
市・各県の平均はすべて4人という結果に。
したがって、ゴロンタロ州の平均も4人である。
しかし多くの場合、一軒に兄弟家族と両親など、複数で生活している。
この傾向は田舎にいくほど顕著に表れ、人数は増える。
州都であるゴロンタロ市は独立して自身の家を構える家族もあるが、ここであってもまだ稀である。
と言う具合に、なかなか私の中でスッキリしない点が多いのである。
この本の欠点としては、このような疑問に対する答えが一切ないことである。
データを並べただけなのである。
ここ5年で砂糖や調理油の値段が2倍以上になっているのに、給料は一向にして変わらない。
この点に関して、ゴロンタロ州政府はどのような対策を取っている、またはどのように考えているのか。
外国人観光客がここ3年増えているのは、どうしてなのか。
(月別の就航回数はここ数年増えているので、ジャカルタやバリからの交通の便がよくなったため増えたと言える。しかし、国内・インドネシア人の観光客が毎年減少しているので、就航回数は理由にならないと思っている)
私が上記に示したような、データに反映されない職業や収入はどのように考えたらよいのか。
そもそも、どのようにこのデータを集めているのか。
(村から徐々に上へと結果を伝えているのだが、村がこのように詳細で膨大な項目のデータを集めているとは思えない)
このデータをどのように政府の政策に活かしているのか。
各章だけでさえ疑問は尽きないが、別々の章のデータを持ち出し比較しだすとさらにキリがない。
これらの質問に対する答えは、直接州政府に質問しないといけないようだ。
時間が出来次第、アポを取ろうと思っている。
それまでに、読み込み・データ比較などを続けていきたい。