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ゲイやレズビアンにとって、法律上の結婚が出来ない我が国では、パートナーを法的な伴侶に近い存在として位置付けるためには、様々な制度の利用をする必要があります。
最も単純な方法は、養子縁組をして、法律上の親子関係となることですが、これには抵抗がある方も多く、厳密には親子関係を構築したいわけではないので、法的な有効性にも疑義があります。しかし、その疑義自体を立証するのも難しいことですし、昔からよく行われている手法ではあります。
養子縁組をせずに、パートナーに法的な婚姻関係と同様の効果を持たせる方法として、任意後見契約と遺言書の作成があります。
任意後見契約は、本人が認知症などで判断能力が失われた場合に、本人に代わって、その財産を管理したり、療養看護に関する事務手続を行う権限をパートナーに持たせるものです。これは、法律上の夫婦の関係よりもパートナーを代理するという意味では強い権限があり、本人の万が一の場合にパートナーが全てお世話をしますよというような内容になります。
さて、今回の本題は遺言書についてです。
遺言書というのは主に、本人の財産を死後、誰に譲るのかという事を決めておくものですが、近年の保険法の改正により、死亡保険金の受取人を変更するための道具としても使用できるということが明文化されました。
セクシャルマイノリティの場合、自分自身が契約している死亡保険金の受取人を親や兄弟などの親族に契約上は指定している事が多いのですが、これを遺言書でパートナーに変更することができるというのは、とても画期的な事です。
我が国の大半の保険会社では、死亡保険金の受取人は、本人の親族に限るところが多いので、保険契約の段階では同性のパートナーを指定できないのです。
さらに、保険契約の際に、自分のセクシャリティをカミングアウトするような話の流れにもなりかねず、困った問題として存在していました。
そこで、保険契約の段階では、死亡保険金の受取人は親や兄弟姉妹等の親族にしておいて、遺言書でパートナーに変更するという手段をとるのです。
同性パートナーもお付き合いが長くなれば、本当に実際の夫婦と変わらない家族という存在になります。
愛する家族のために、万が一に備えようとする動機は、とても尊い考えです。
法律上の結婚は出来なくても、法律上の夫婦と同じような権利をパートナーに与える方法がここにもあるということを知っておいて頂きたいです。
但し、保険の契約内容や契約時期などによっては可能とは限りませんので、遺言書を作成する公証役場などで確認することをお勧めします。