制作手記 2
あたりをとった。 描き出した。
下描きという意識あまり持ちたくない。 なぜならそうすることで、工程がハッキリし過ぎてしまい、 作業たる作業に陥ることがあるからだ。 描いている間に変動する心境や価値観、物理的な条件など、全てを感じ続け従うことが理想と考えております。 故に、表現に対しての積極性は薄く、僕の絵は「絵の為の絵」ではない。
油絵具には不透明色と透明色がある。半透明色なんてのもある。 特性で言えば、不透明色は下の色を覆い隠す隠蔽力があるため、確信を持ってグイグイ絵具を置きながら書き進める作業に向いている。 原料となる顔料は鉱物系が多い。 透明色は、薄くのばして画面にかけると、下の色が透けて見えるため、作業密度が上がったように見えたりする。ニュアンスを加えたい時などに重宝する。 また、不透明色どうしを混色しすぎて濁った時に混ぜると、彩度が上がる。(材料学に基づいた良し悪しは別として。) 原料は動植物性だったりする。
どう使い分けるかは人によって様々だが、その時代時代に流行し良しとされた絵画や作家の影響を受けたりする。 僕らの学生時代には具象絵画ではルシアン・フロイドが流行り、「画面全体確信を持って不透明色で描きたおす。がカッコイイ。」的な風潮があった。 僕らの先生の世代では、クレモニーニが大流行りして、「絵具が厚くのっている箇所と全くのってない箇所が混在するリズミカルな画面」が良しとされたそうだ。 今になって思うと、そういったヒエラルキーのようなものに影響を受けないのが絵描きなのだろうが、なかなか、むずかしい。 というより、それが一番むずかしい。
さて、僕はどうしよう。
輪郭を追いながら、一方で色味を感じている。
青、赤 黄色。なんか、当たり前過ぎる。
でも、そう感じたのだからそうしよう。
こっちが明るくて、こっちは暗い感じ。
奥に行くカタチ、手前に来るカタチ。
永瀬、結婚おめでとう。 超うれしい。