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2013/02/19
深夜から降り出した雪は窓に氷柱を作り、
朝陽にとかされ、
風に揺れて、
再び雫に変わり森へと還る、
今日の森は白く優しさが溶け合った冬景色、
枝に舞い降りた遠く旅した雪たちが、
冬の風に飛び立つ森、
昨日、月明りの青い夜に、
雪の中に君と僕が描いた2本の線は、
今日は誰にも見つからないようにと、
粉雪たちが隠してくれている、
あれから君と僕はどれくらい、
冬の森に来たんだろう、
静かな冬の森が、
滲んだ窓越しに聞こえる、
どんなに辛い事が有っても、
何も無い冬の森にいるだけで、
総て忘れる事が出来るの、
だから冬の森が一番好きと言って、
手の中で溶ける雪の結晶、
何度も、何度も、
舞い降りる結晶を手の平に受け止めようとする君、
今日の森は冬景色、
白い森が赤く染まりだす森が好きと言って、
森の中から朝陽が起きだす前から、
こんな風景が見たかったの、
滲んだ窓に額を押しあてて、
君の声が雪景色に響く冬の森、
こんな日は、
一日中部屋にいて好きな事をするの、
大好きなパンを焼いて、
大好きな人に食べてもらうの、
大好きな人と同じ時間を渡るの、
今日が終わらないうちに、
出来る事は総て、
そして今日を特別な日にするの、
今日の日は、
ずっと私が望んだ日だから、
いつもこんな穏やかな日が来る事を待っていたから、
外は粉雪、
キラキラ森の中を飛びまわる特別な日、
世界がどんなに変わろうと、
今日は私にとっては特別な日なの、
朝陽が色の無い世界を染め始める、
こんな風景が見たかったの、
君は窓に額を押しあてて、
冬の朝陽に微笑み、
窓の外は冬景色。
2013/02/19 11:13 | watanabe | No Comments