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皆さん、おはようございます。
私はこう見えて、相当にプライドが高いようでございます。
まあ、個人的に知っている人や、
当コラムの「説明書」カテゴリーを読んで下さった方は、
そんなことは先刻ご承知でしょうけれども。
当コラムサイト代表理事閣下とFacebookでやりとりをしていて、
バイトの話になり、是非コラムに、ということだったので、
早速に書かせていただく次第です。
ちなみに、閣下は書きたくならせる名人ですな。(笑)
世の中にバイトは数あれど、
私にはいくつか、やりたくないバイトというのが存在します。
それらの特徴は、以下の2つが主です。
まず、私のプライドを損なう。
次に、音楽家のテンションとあまりに落差がありすぎる。
前者の典型が、「軽作業」というやつです。
求人広告の文句として「誰にでも出来る簡単なお仕事です」と、
よく書いてあるのを見かけませんか?
多くの人には安心材料となる言葉かもしれないけれど、
私にとっては傷付く材料となる言葉です。
軽作業なるバイトを始めて最初にやった仕事は、
ユニヴァーサルスタジオジャパンの夜中の清掃でした。
施設内のレストランを掃除してたのですが、
明け方、椅子をテーブルの上に上げ、
床にしゃがみ込んで掃除していると、ふと気が付きました。
貴族と召使の身分の差というものの性質に。
感覚的に、なんですが、フランス革命以前に、
召使である、ということはこういうことなんだな、
当時の社会背景はこういうことだったんだな、と。
こんなところで音楽家根性出してどうする、とも思いましたが。(笑)
次に行ったのが物流センターばかり立ち並ぶ区域での、
物流センターのピッキングの仕事。
この時目についたのが、一緒に働いていた人たち。
大半が、「誰にでも出来る簡単な仕事」しか出来ないだろうなあ、
という人たちだったのです。
こちとら音楽家ですから、「誰にでも出来る」どころか、
「出来る奴は簡単にできるが、出来ない奴は逆立ちしても出来ない」
という業界です。
私も、簡単に出来るレベルではないものの、
逆立ちまでしなくったって出来る程度ではあると思ってましたから、
仲間を見てプライドが傷つきました。
もう一つプライドが傷ついたのは、
マクドナルドの仕事です。
作る方の仕事をしましたが、
怖いおばさんが一人いて、
恐ろしい声で「体を動かす!」と怒鳴るのです。
そもそも私は「頭で考えさせずに体で覚えさせる」という行為は、
低次元の人間が低次元の人間にさせることだ、
という発想があり、
私はまず頭で整理し、その後に実行する、
というツーステップを踏まなければいけない人間です。
直感に従うことはありますが、勘が働かないことはまず考えるのです。
ここも私のいるべき場所ではないと、
早々に退散を致しました。
さて、もう一つの理由である、
「テンションに落差がありすぎる」職場はコンビニでした。
夜勤をしていましたが、私はその休憩時間を、
演奏会の準備、つまり譜読みに充てていました。
ところが、一応理解できるが興味のない分野の本を読んでいるようで、
全く頭にも体にもしみ込んできてくれません。
コンビニ店員のテンションでは音楽が入ってきてくれないのです。
春から初夏にかけて、3ケ月いましたがやめました。
ちなみに、夜勤のコンビニは人間観察、
とりわけ人間の本性を観察するには適した環境でした。
大阪市中央区長堀橋でしたから、ミナミの歓楽街がすぐ近所。
ということで、出勤後すぐに終電間際のサラリーマンを捌き、
続いて業者からの納品を受け、
その後、ミナミのホステスさんなど、周囲に住む人が
仕事帰りに買い物に来るのを相手するわけです。
えー、人間というのは、私みたいな生来の夜行性を除き、
朝起きて昼に活動、夜は寝る、というライフスタイルが
一番ストレスにならないようです。
こんなことを言う理由は一つ。
夜勤で私が相手していた人たちを観察するに、
大半がこの普通タイプの人たちだったからです。
つまり、そんな時間にコンビニにやってくること自体、
こういうことを意味しています。
本当はそんな時間に起きて外出していたくないのだが、
何らかの事情でそんな生活時間帯を強いられている人たち。
ですから、たいていが不機嫌です。
特にホステスなど、お客からもらったストレスを
こちらにぶつけてくる人が結構多い。
しかも、ストレスの発散のためか、
やたらとカゴの中の商品が多いことが大半で、
それらをグチャグチャに詰め込んでいるので、
袋詰めするにも手間暇がかかります。
するとすかさず、トゲのある声で
「はよしてや~!!」
中には、店員に「はい?」と聞き返されて怒鳴りつけるために、
わざと不明瞭に発音してタバコを注文する人、
という悪質なお客もいて、こちらのプライドも傷つき、
結局上記の理由2つが出そろってしまうことになります。
さらに、そこに夜勤という勤務の無理が加わってきます。
さっき私は夜行性だと言いましたが、
それは夜中が、芸術的な思考を凝らすのに、
私にとっては最適な時間帯だ、ということです。
はい、今も夜中ですね、2時11分を指しています。
その時間帯を不向きな仕事に奪われて、
大枠の生活時間帯にも関わってきて、
しかもテンションの落差から来る疲れが半端でない、
ということになると、もうどうしようもありません。
このどうしようもなさが、もう一つ別の仕事、
夜中の棚卸の仕事にもありました。
とあるユニクロの棚卸をしたのですが、
これも他の仕事に影響が少なからず・・・。
クライアントは私の仕事ぶりを気に入ってくれたそうで、
再度のお誘いはあったのですが、それ以降お受けしてません。
さて、次回は多少抵抗の少ないバイトについて書きましょうかね。