« | Home | »

2013/01/29

先日1月19日に大阪西成区のウェル大阪にて
開設10周年記念講演会として開催された講演会に
参加してきました。
講師は、大阪や関西で福祉の仕事をしていると何かと
お名前を聞いたり著書にふれたりあるいは研修等で
お会いする機会も自然と少なからずある
大阪市立大学大学院教授 岩間伸之先生でした。
僕も今まで何度かお話を聞く機会がありましたが
現場と理論の両方をよく知ってらっしゃって
熱くて篤実な思いをもってらっしゃる尊敬できる先生です。
僕の中では、勝手にですが、
「関西福祉界の(わりと)若手の大御所かつ実践者」
というポジションで要するにとても好きな先生で
今回の講演会には「だから行った」というのが最大の理由です。
 
タイトルの
「人を援助すること」の意味を問い直す
ということもまさにずっとの私のテーマで常に問い続け問い直しつつ
迷いながら少しでもいいと思える、人の可能性をつぶさず広げていけるような
そして笑顔や自信、誇りをどの人もその人なりにそこはかとなく感じながら
たのしくやっていけるのがいいなと思って日々対人援助ということに考えながら携わっています。

岩間先生がよく言われることは -この日の講演会でも話が出ていましたが-
「実践を言葉で説明する力を持ちなさい」ということだ。
それが福祉(に限らずでしょうが)専門職にとって必要であり
求められていることでもある。
自分たちの仕事や判断という実践の根拠を常に説明できる者であれということは
当然のことであると同時に対人援助の分野においてともすれば「経験的に」
「いやーそれは長いことやっとったらわかるよ」的に何となく流れ流されてしまいがちな
日々の業務こそをつぶさにひとつひとつ見直す自己点検と成長の機会にしなさい、
そういう考えるタネはあなたのやってる日常の業務のなかすべてにこそあるのですよ、
という厳しく真面目な視点でもあると思う。

曰く、
「その実践の根拠は何か、なぜそのように働きかけたのか、
ソーシャルワークがより広く社会に開かれ、またより深く社会に根付いた存在となるために、
この問いに的確に答えることのできる「実践を言葉で説明する力」がソーシャルワークに求められる。
他職種との連携や地域住民との協働などが強調される近年の実践状況のなかで、
ソーシャルワーカーたちが自分たちの実践を外に向けて正確に説明できなければ、
社会的に認められる存在にはなりえず、
場合によってはソーシャルワークの専門性や業務について周囲からの誤解を招くことになる。
実践を言葉で説明するためには、必然的に実践の根拠を問うことになる。
ソーシャルワーカーが自分たちの実践の根拠を絶えず意識化しておかなければ言語化は不可能である。
その根拠の最も根底に位置する「価値」と乖離した実践は
独善的な援助や場当たり的な働きかけをもたらすことになる。」
(『ソーシャルワーク研究』第31巻第4号,2006年)

エンパワメントとはなにか。
人を援助するとはどういうことなのか。
「援助する側」「援助される側」の非対称的な力や関係性のあり方、
その固定化や役割意識、関係性の拘束により
援助される側が援助する側に身を委ねてしまう=委ねさせてしまう、
あるいは委ねるような役割意識の中に関係性の中におとしこんでいってしまう、
という依存性を生み、結果、対人援助は時に「力の付与」ではなく
「力の剥奪」に手を貸してきたのではないか。

そういう自己反省が援助職の仕事や専門性の中には
意識的に内包されるべきものであることを、そのようにしてしか、
つまりは「人を援助することの意味」を問い続け、問い直す中からしか
おそらくは相手の方の生きていくその生において
意味ある支えとなるような援助はできないのであろうと思う。

講演会の最後に岩間先生はこうも言った。
「援助の目的やゴールははじめから決まっているのではなく、
本質的に前もって決定されるるものではない」と。
だからこそ二人三脚のようなプロセスをもってこそ行き着いたところ
それがゴールなのである、と。
 
 
私は、先日1月26日の土曜日、福祉系国家資格のひとつである
精神保健福祉士の国家試験を受けてきました。
速報サイトによる自己採点ではありますがおそらく合格していると思います。
昨年の社会福祉士に続き、2年連続で勉強をしてきて、
特に今年は通信の福祉系専門学校に入学して
たくさんのレポート提出や夏季の1週間のスクーリングを経て
受験資格を得ての受験でしたので正直働きながら勉強するのはたいへんでしたが
これで必要な資格は去年今年で取得できたと思います。
またそれに至るまでの勉強についても、僕はもともと学生時代は心理学の出身で
福祉分野の専門的な勉強を体系的にしたことはなかったので
対人援助職としての知識や価値、そのあり方を根本から広げ見直し掘り下げていく
いい勉強ができたと思います。

「勉強」はいったんこれで終わります。
知識と経験と資格という3つのベースが一定レベルにおいて確保、
確立できたのが今なので問題はここから何をするかなのだと思います。
どうこのような自分を生かし活用していけるのか、何ができるのか、
何をしたくて何をするべきなのか、
日々の仕事を通して、自分の援助者としての
またスーパーバイザーとしての資質や精度を高めつつ
これからのことをこらから今度は少しゆっくりめに考えていきたいです。
 
誰がライフセーバーを救うのか。
その答えや方向性もそのなかに見えてくるような気がしています。

2013/01/29 07:05 | senami | No Comments