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2012/12/23

先日、ほわっとのマスターから電話がありました。
・・・ま、タイトルからしてロクな話ではない、
ということはおわかりでしょうけども、
これは、取次ぎ役を果たしたマスターに非はありません。
その点は念のために申し上げておきます。

マスターが言うには、
1月14日のオケの宣伝を見て、梵智さんに連絡をしたい、
ということで、某テレビ局の某番組ディレクターが
ほわっとに連絡してきた、とのこと。
まあ、そんな言い方をしたのであれば、
ほわっとでオケをやるってことに興味があるのかな?と思い、
マスターからディレクターの連絡先を聞いて電話をかけました。

かけたらその時点ではとれなかったらしく、
すぐに折り返しの電話がかかってきました。
曰く、26日に東京の局で収録があるのだが云々・・・
26日に収録がというところを見ると、
オケの話ではなさそう。
まあ、私単体での出演依頼でしょう。

話を聞いてみると、ロクな話ではありませんでした。
その番組の企画の一つに、バンドや歌手などをステージに上げ、
やらせてみて、レギュラー2人が合否を決めると。
ただ、不合格の場合、下に落とされたりという具合に、
災難に遭う羽目になるのだが、
レギュラーは面白がって、バンドの場合、イントロの途中で
不合格ボタンを押して、演者は下に・・・という具合に、
笑いをとるための材料にしているそうです。

私に依頼があったのもその類で、
不合格ボタンを押されて下にさげられると、
そこは以前より過酷な状況がしつらえられていて、
ギブアップしたらそこで終わり、
耐えつつ歌い続けても良いと。
ただ、どちらにしろ、笑いものにされる企画です。

お笑い企画としては確かに面白いでしょうし、
そんなのでもいいからテレビに出たい、
という同業者がいらっしゃることについては
個人の自由なので、その方の人格を否定する気はありません。
(ディレクターの話によると、それでも出たい人がいるそうです。)
ただ、合否がまともな態度の審査で決められず、
笑いものにするために不合格を出される、
などという番組が、
我々芸を提供する者に対して、
そして何よりも芸そのものに対して、
敬意を払ってくれるとは到底思えません。

少なくとも私はそんなものに出たいとは思えないし、
第一、そんな状況に使える歌・・いや、作品など知りません。
我々声楽家のレパートリーにそんなものがあるとは思えず、
ポップスだろうがジャズ、ロックにいたるまで、
やはりそんな扱いをしていい作品があるとは思えません。
そう思っている私がそんなことをした日には、
私は自分自身の芸術生命を裏切ったことになります。

そのレギュラーの人は、私は嫌いではないですし、
映画監督としては結構評価している方ですから、
同じ番組に出ることについては吝かではありません。
しかし、笑いの道具にされるのだけはご免です。
私がしたことで笑っていただくのは構いませんが、
初めから笑いの道具にするために呼ばれるのは迷惑です。

幸か不幸か、収録の26日にはドン・ジョヴァンニの稽古があります。
まともな宣伝効果が望めるのであればともかく、
こんなバカらしい番組のために、
ドン・ジョヴァンニの大事な稽古を潰す気はありません。
そも断る口実になっただけ、その日に稽古を入れて正解でした。

2012/12/23 01:40 | bonchi | No Comments