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慶應病院の内科研究室をやめて、スポーツ医学研究センターの仕事が始 まりました。
仕事の大きな柱はライフスタイルマネージメントの研究と実践、そして大学体育会へのサポートです。
まずライフスタイルマネージメントは世の中 が骨粗鬆症ブームになったので、骨代謝の知識を活かし、ライフスタイルすなわち栄養や休養や運動がどう骨粗鬆症とかかわるのかを徹底的に勉強しました。
世 の中では運動の分野に骨代謝の知識はあまりなく、一方骨代謝野中に運動や生活の知識も乏しいというのが現状でした。
わたしの勉強はすぐに実り出し、骨粗鬆 症の分野における運動の一人者の1人に数年でなることができました。学会で発表したり、論文を書きまくってました。このころ「コツコツ体操」などというも のも編み出したりそれは楽しい毎日でした。日本骨代謝学会、骨粗鬆学会、臨床スポーツ学会、日本体力医学学会、そしてアメリカの骨代謝とスポーツの学会で も年に2回は渡米して発表していました。
勉強すればするほど運動の効用っていうのはすばらしいと感じます。中でも私が着目していたのは、骨密度を増やすた めの運動ではなく、骨折の起点となる転倒の予防です。転ばなくする薬はないからです。柔軟性の低下、筋力の低下、そしてバランスの低下が転倒のリスクを高 めます。これらの低下をまんべんなく抑えることができるのが運動ということになります。
この頃、運動といってもphysical fitnessとphysical activityというのがあるというこ とを学んだことが印象的です。スポーツやメニュー・プログラム、体力などをphysical fitnessと表現しています。スポー ツクラブに行って、physical fitnessがどんなに高くても、スポーツクラブへは車で行き、2Fへはエレベー ターで行くような人は逆にphysical activityが低いのです。
一方で、運動なんかしてないよというヒトでも家の掃除で家じゅうを動 き、庭の草むしりをしたり、毎日買い物で1時間以上歩いている人は実はphysical activityが高く健康だったりしま す。
生活習慣病における運動の役割はもちろん、運動やスポーツに関する勉強を本当によくやった時期でもあります。
慶應大学の日吉キャンパスは銀杏並木があって、その美しい景色の中で 病院で病人ばかりに触れていた頃から、北里研究所病院の外来は少しあるものの、運動についての勉強に勤しむ若返って時代でもありました。さらには体育会へ のサポートにも没頭していたのもこの頃です。その話を次回はしたいと思います。